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子供を英語教室に通わせたがる親の共通点…親の「英語コンプレックス」が子供の才能を潰していると言えるワケ

プレジデントオンライン / 2024年9月18日 8時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Crisfotolux

「頭のいい子」に育てるために、親はどうしたらいいのか。進学塾「VAMOS」代表の富永雄輔さんは「英語が苦手だった親ほど子供を語学教室に通わせたがる。語学力を身につけるだけでは時間の無駄になりかねない」という――。

※本稿は、富永雄輔『AIに潰されない「頭のいい子」の育て方』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。

■旧ジャニーズ事務所、宝塚歌劇団に共通する「失敗」

私たち人間はどうしても今の自分を守ることに注力し、変化を嫌います。しかし、「変わる」ということは、その人の人生にとっても、世の中全体にとっても、非常に大切な要素なのです。

最近の例で言えば、日大アメフト部や旧ジャニーズ事務所、そして宝塚歌劇団の問題などが、「変わることを嫌って大きな負を抱える」姿を露呈しました。

深い事情を知っているわけではありませんが、日大内部には変えなくてはならないものがありながら、それを変えたくない勢力が存在していたことは間違いないでしょう。そのために国からの助成金は交付されず、人々からの信頼も失うことになり、ついにあの歴史ある部が廃止という結果になりました。

■自分自身は常に新しくあれ

旧ジャニーズ事務所は、未成年に対する性加害に世界がどう反応するかについて、あまりにも無知でした。しかも、外部からの指摘など握り潰せるという古い価値観に支配された行動をとり続けました(それを糾弾せずに加担すらしたマスメディアの価値観も、相当に古いものでしたが)。

彼らは、自分たちに対する世の中の批判が思いのほか強いことを初めて知って、慌てることになりました。みんなから憧れられる最先端の仕事をしているつもりだった彼らは、ひどく古かったわけです。

こうした事案は、数え上げたらきりがありません。経済界や政界、はたまた教育界でも、古い価値観に縛られている人はたくさんいます。

とくに、古い企業などにいると、外からの指摘を受ける機会が少なく、「自分たちの常識は世界の非常識」であることに気づけません。

それでも、終身雇用が当たり前だった頃は、そこで仕事人生を完結することが可能でした。しかし、もうそういう時代ではありません。みなさんが何歳だろうと、どんな環境に身を置いていようと、自分自身は常に新しくあらねばなりません。

■古くてもある程度までは持ちこたえられてしまう

注意しなければならないのは、古い価値観に支配された世界にいたとしても、ある時点までは持ちこたえられてしまうことです。なまじ持ちこたえてしまっているから、「ずっと、このままで大丈夫なんだ」という誤解が生まれます。

しかし、そのままで大丈夫なはずはなく、「変わらなければいけなかったんだ」と気づいたときには、もう手の施しようがないほど立ち遅れてしまうのです。

繰り返しますが、成功者であると自覚している人ほど危険です。自分の価値観に常に疑いの目を向けてください。今のままでいいとは思わないでください。

変わることを厭わない人でなければ、自分自身が潰れるだけでなく、子どもをも潰してしまいかねません。

■AIの時代は「極める」を強いてはいけない

私は塾経営とサッカーをはじめとするスポーツ選手のマネジメントという二足のわらじを履いています。それによって掛け算の相乗効果が得られています。

そんな私のスタンスを、批判的に見ている人たちがいるのも事実です。彼らの目には、塾経営とスポーツ選手のマネジメントのどちらかに集中しない私は「てきとう」で、仕事をなめているふうにも映るようです。

もちろん、仕事をなめているつもりなど毛頭ありません。ただ、てきとうだと言われたらそうなのかもしれません。むしろ、これからの時代は、てきとうなくらいでいいのではないかと私は思っています。

AIが登場する以前は、一つのことを「極める」人が高く評価されました。実際に、中途採用市場などでも、ジェネラリストよりスペシャリストのほうが歓迎されました。

しかし、コツコツ足し算を重ね極めていくというやり方は、戦う相手が人間だった時代にこそ強みを発揮するのであって、AIが相手なら話はまったく別です。一つのことを極める能力は、AIにかないっこありません。

一方で、てきとうなところに広く網を張るのは、AIより人間のほうが得意なはずです。私たちは、AIの得意なことではなく不得意なことをやっていかねばならないのです。だから、部下や我が子に対し、間違っても「極める」を強いてはいけません。それよりも、広く多くのことに手を伸ばさせてあげてください。

■「どっちもアリだね」こそ最強

複数の職業に携わる感覚を抵抗なく身につけるためにも、若いうちから副業を始めることは非常に大事です。

それによって複数の環境に身を置けば、それぞれ異なる価値観に触れられます。そのときに、どちらが正しいか正しくないかを選別するのではなく、「どっちもアリだね」と思えたら最強です。またほかの違う環境に身を置くことになっても、「これもアリだね」と柔軟に受け入れられるでしょう。

AIが台頭するこれからの時代、こうした緩やかな判断ができる、ちょっといい加減なくらいの人が生き残ります。

「『どっちもアリだね』なんて甘すぎる。一つを選んで極めるべきだ」などという考えが胸をよぎったとしたら、相当にヤバいと思ってください。

■語学力のない親ほど子どもに語学を習わせがち

今後ますますグローバル化が進み、国境を越えたコミュニケーションが必要となってくることは明らかです。それを意識している親は、我が子の英語教育に力を入れます。とくに、自分の語学力に自信がない人ほど子どもに期待をかけ、早くから多額のお金を払って英語教室に通わせる傾向があるようです。

英語の学習をする子ども
写真=iStock.com/yulee lyne
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/yulee lyne

今は、英語カリキュラムを導入している幼稚園もあり、人気を博しています。もちろん、小学生相手の英会話教室も百花繚乱です。

たしかに、そういうところに通っていれば、早くから流暢な発音を身につけることもできます。それを見た親は有頂天になって、「自分が苦手だった英語を、この子は使いこなせるようになってくれる」と喜ぶわけです。

しかし、どこで使いこなせるかについては極めて不明瞭です。その子が将来、日本国内に限られた仕事をするなら、その英語感覚も武器になるかもしれません。でも、海外で活躍させるには足りません。

というのも、これからはAIが翻訳業務を担ってくれるということがあるためです。加えて、英語力では上には上がいるからです。

■帰国子女は「語学力」も「文化力」も備えている

親の仕事の都合で、ニューヨーク、ロサンゼルス、ワシントン、シアトル……とアメリカの主要都市で暮らしている日本人の子どもはたくさんいます。英語をネイティブのように使える日本人が増えているという事実から目をそらしてはいけません。彼らは英語を「学習」しているのではなく、生活に必須のものとして身につけています。そうした彼らの強みは、語学力よりもむしろ「文化力」です。

長く外国で暮らした帰国生が、AIと比較してどれほど正確な英語をしゃべれるのか私にはわかりません。しかし、その経験から得た西洋カルチャーへの理解や適応能力、外国人との人間関係構築力というものは、AIを凌ぐでしょう。

■「英語信仰」は親の古い価値観

富永雄輔『AIに潰されない「頭のいい子」の育て方』(幻冬舎新書)
富永雄輔『AIに潰されない「頭のいい子」の育て方』(幻冬舎新書)

もちろん、中国などアジア諸国についても同じことが言えます。たとえば、中国人やベトナム人と彼らの国の言葉で話して会話が成立したとして、それで彼らを理解できていると思ったら大間違いです。日常生活を送るための会話なら、AIでいい。AIを凌駕するような経験値は、どっぷりとその国で暮らした人でなければ得られません。

そういう経験を積んだ帰国生たちと競争して負けないほどの語学力を身につけることは、半端な勉強量では難しいでしょう。

こういう状況を勘案せず、語学学習に時間を割かせるのは、正しい判断ではないかもしれません。ほかのことをやらせたほうが、その子の未来は明るいかもしれないのです。「語学学習は大事だ」というのが、誰の価値観なのか考えてみましょう。もしかしたら、親の古い価値観ではありませんか?

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富永 雄輔(とみなが・ゆうすけ)
進学塾VAMOS(バモス)代表
幼少期の10年間、スペインのマドリッドで過ごす。京都大学を卒業後、東京・吉祥寺、四谷に幼稚園生から高校生まで通塾する進学塾「VAMOS」を設立。入塾テストを行わず、先着順で子どもを受け入れるスタイルでありながら、毎年約8割の塾生を難関校に合格させている。受験コンサルティングとしての活動も積極的に行っており、年間300人以上の家庭をヒアリング。その経験をもとに、子どもの個性にあった難関校突破法や東大生を育てる家庭に共通する習慣についても研究を続けている。

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(進学塾VAMOS(バモス)代表 富永 雄輔)

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