「すみません」のつもりで"Sorry"を使ってはいけない…外資系CAが身をもって学んだ「英会話でのNGフレーズ」【2024上半期BEST5】
プレジデントオンライン / 2024年9月18日 17時15分
※本稿は、Ryucrew『国際線外資系CAが伝えたい自由へ飛び立つ翼の育て方 当機は“自分らしい生き方”へのノンストップ直行便です』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■「すみません」のつもりで“Sorry”を多用してはいけない
海外へ行くと、外国語でコミュニケーションをとる必要が出てきます。発音がうまくないとか、文法が間違っているといったことは、大きな問題ではないと個人的には考えています。極論をいえば、伝わればOKです。ただ、ちょっとした言葉の選択や表現に気をつけるだけで、相手の心証がグッとよくなると感じることがあります。
日本人がよく使うのが、“Sorry”という言葉です。ご存じの通り、「すみません」「ごめんなさい」という意味です。日本語でコミュニケーションをとるとき、「すみません」と言うのは、決して珍しいことでも、特別なことでもありません。日常でも使うことはあると思いますし、耳にする言葉でもあると思います。
しかしながら、その感覚で“ソーリー”を多用することは、避けたほうがいいかもしれません。英語がネイティブではないことも手伝って、事あるごとに“ソーリー”と口にしていると、相手に舐められてしまう可能性があるからです。
■都合よく仕事を押し付けられるようになってしまう
北米では、日本に比べると“ソーリー”はあまり使いません。なぜなら自分の非を認めたことになるからです。謝ることに関しては、日本人に比べてかなりシビアに考えられています。
こちらに長く住んでいると、ルールがあるような場所でも強く言った者が勝つという世界があることに気づきました。ビジネスシーンでも日常生活においても、「私はこうだ!」と自分の意見や意思をはっきり堂々と強く言った人が最終的には勝つというところがある気がします(もちろん日本でも接客業などにおいてお客様が理不尽な要求を強く言い通して、店側が折れるみたいなことはありますが)。
“Sorry”と安易に口にすることで、「この人、チョロそうやなあ」と、都合よく使われてしまうこともあるかもしれません。さらに職場であれば、何かを要求されたり、「頼めばやってくれる」と認識されたりしてしまうのです。私も、カナダでフライトアテンダントとして働き始めたばかりの頃は、自分にできないことがあると、つい“ソーリー”と言ってしまっていたのですが、そうすると変に舐められてしまうことを実際に経験しました。
日本では、謙虚さや素直さが美徳とされる文化がありますが、海外ではそれが、むしろ仇になることも多いと感じています。謙虚であればあるほど、それを相手の都合のいいように理解されてしまうことがあるのです。
■「品がない」「偉そう」と思われる言い方とは
謝罪の意味ではなく、相手に許可を求めるような場面、例えば人混みをかき分けて進むときに、通してほしいという意思表示で用いる「すみません」は、“ソーリー”よりも“Excuse me”が最適です。あるいは、謝罪よりも感謝を伝える。日本語でも、何かしてもらったときには「すみません」よりも「ありがとう」のほうがいいといわれることがあると思います。ここはぜひ、“Thank you”と伝えてみてください。
そのほかに、機内でもよくあるのが“Please”をつけないケースです。頑張って英語で伝えようとするのですが、“Coffee”とか“Orange juice”とだけ伝えて、“プリーズ”をつけないことで、品がないように聞こえたり、上からものを言っているように聞こえたりしてしまいがちです。言われたフライトアテンダントがピリッとしているように見えることも稀にあるので、基本的には“プリーズ”をつけておけば間違いない、くらいに思っておくとよいかもしれません。
日本語でも一緒で、「オレンジジュースください」と言うのと「オレンジジュース」とだけ言うのでは、心証が異なりますよね。
■“Please”をつけない乗客にCAが返す嫌味
北米では、その点をシビアにとらえている人も結構多く、ただ“オレンジュース”とだけ言われたら、フライトアテンダントが“プリーズ?(プリーズは?)”と言ったり、サービスを受けてお客様が“サンキュー”と言っていないのに、“Your welcome”とわざと言ったりすることがあります。これ、ホンマにただの嫌味なんですけど、これまで何度かそういう状況を機内で目の当たりにしたことがあります(日本のエアラインだと考えられない状況ですよね)。ただ面白いのは、北米だと、そのように言われたお客様もそれに対して「おい、何言ってんだ!」と怒るのではなく、慌てて、“Oh,sorry. Thank you”と返す方もいらっしゃることです。
日本と違って、察したり、空気を読んだりする文化ではないので、きちんと言葉にしないと伝わりません。ですから、もし外資系の航空会社を利用される予定のある方で、外国人クルーと英語でコミュニケーションを取りたいなと思われる場合には、とても簡単な一言ですし、つけたら全然(伝わり方が)違いますので、あえて意識して使ってみられるのもおすすめです。
ただ私たちにとって英語は第二言語なので、やはりそこまで細かいことは気にせずに、とにかく笑顔で相手に伝えることが一番大切だなと強く思います。
■英語の上達のために一番大切なのは単語とイディオム
英語が話せることは、世界中の人とコミュニケーションをとる上では、とても重要な要素だと思います。グローバル社会の現代では、英語が話せることはむしろ特別なことではなく、当たり前という流れもあるかもしれません。
カナダで生活し、外資の航空会社でフライトアテンダントとして働くためには、英語が不可欠です。とはいえ、私はもともと英語学習が好きだったわけでも、頑張ったわけでもありません。必要に迫られて習得しなければならなかったわけですが、そのなかで、個人的に上達するためのポイントがいくつかありましたので、この場でシェアさせていただければと思います。
英語の上達のためには、単語とイディオムが一番大切だと思います。文法どうこうではなく、単語とイディオムの知識量が豊富で、それらをきちんと聞き取ることさえできれば、文脈はなんとなく想像がつくものです(そう信じたいです)。そうなれば話の本筋がそこまで大きくずれることはありませんし、まったくの見当違いをすることも少ないかと思います。私もまずは、単語とイディオムを徹底的にたたき込み、語彙(ごい)力を身につけました。
文法について学ぼうとすると、時間がどれだけあっても足りないという印象があります。
語彙力も、伸ばそうと思えばキリがないのですが、ある程度習得できると、相手の言っていることを理解できるようになりました。
■オンライン英会話から始めるのはおすすめできない
また、自分の得意分野の話や、よく聞かれるような話は、会話をシミュレートしておいて、何か聞かれたら、すぐに返せるような会話文を記憶しておくと、少しは安心感があります。なんなら丸暗記しておくくらいで構いません。
そうすることで、自分にとって不得意な話題や、理解が追いつかない会話を振られたときに、自分の得意分野に話を持っていくこともできます。会話のキャッチボールが生まれると、意図的に「今結構、話せてるやん」「ちゃんと伝わってるし!」と、自信もつくはずです。
実際に留学を経験した私がよく聞かれたのは、日本についてでした。日本はどういう国なのか、日本で人気のスポーツは何か、といったことは十中八九聞かれるので、毎回同じ返答をすることにはなりますが、ペラペラとしゃべれるようにしていました。
最近は、YouTubeでも英会話や英語学習系のチャンネルがいろいろとありますし、英会話アプリもたくさんあります。
そういった教材やアイテムを活用して学習する場合には、自分にとって都合のいいタイミングで手軽に学習を進めやすいものや、楽しく学べるものなど、自分に合っているものを選ぶのがよいと思います。
ひとつだけ、最初からいきなりオンラインで英会話の先生と話すという勉強方法は、やめておいたほうがよいと私は感じています。日本語を話せる先生で、日本語でもコミュニケーションがとれればまだいいのですが、オンライン英会話は基本的にネイティブの先生が相手なので、緊張しやすいですし、そこでうまく会話ができないと、自信を失ってしまうだけです。
ましてやオンラインでの授業ですので、話が聞き取れず、またうまく伝えられずにサイレントの時間が続いてしまったときは地獄に感じてしまうかもしれません。むしろ苦手意識をより強くする印象がありますし、長続きもしない印象です。
■アジア人留学生との会話で英会話が上達した
私が一番英語が伸びたと感じた方法は、ホームステイ先が一緒だった外国人留学生と会話をすることでした。
私は最初のホストファミリーとの相性があまりよくなくて、1カ月ほどで変えてもらったのですが、移った先の高齢のご夫婦の家には、私のほかにも留学生がホームステイしていました。語学学校で仲良くなった韓国人の女の子も一緒で、よく英語でコミュニケーションを取っていたのですが、彼女は留学期間が4カ月だったので、途中で帰国してしまいました。
彼女と入れ替わるように、年上の中国人男性がやって来ました。カナダの大学を卒業し、大学院へ進もうとしているだけあって、英語はペラぺラでした。彼と出会ってから英語がグンと伸びましたね。
留学生同士なのでそんなに気を使わないですし、同じアジア人なので緊張しなかったのもよかったと思います。とてもきれいな英語を話していたので、吸収しやすかったですし、よく教えてもらっていました。
日本人の留学生が相手だと、どうしても日本語を使ってしまいがちですし、なんとなく「間違った英語を話したら恥ずかしい」という思いがどこかにあったりします。それに、英語のレベルが結局同じくらいなので、上達するまでには至らないというのが実際のところだと思います。
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外資系エアラインCA
1992年生まれ、大阪育ち。カナダのバンクーバーを拠点とする外資系エアラインの現役CA(キャビンアテンダント)。YouTubeチャンネル「関西弁CA / Ryucrew」は登録24万人超(2024年3月時点)。コテコテの関西弁と人間味のあるユーモアで、客室乗務員の仕事やカナダでの生活、旅のTipsを配信。日本テレビ系「マツコ会議」ほか、数々のメディアに出演。
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(外資系エアラインCA Ryucrew)
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