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「シュッとした中高年」は毎日食べている…体内の「倍速老化」を防ぐ「1日8000歩、朝食前の歯磨き」あと一つは?

プレジデントオンライン / 2024年9月25日 8時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazoka30

いつまでも健康で過ごすためには、何を心がければいいのか。医学博士の飯沼一茂さんは「あらゆる病気のもととなる『免疫暴走』を防ぐためには、制御免疫を増やすことが大切だ。制御免疫のきっかけとなる『酪酸菌』を増やす食生活を心がけるといい」という――。

※本稿は、飯沼一茂『倍速老化』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

■まずは「1日8000歩」から始めよう

免疫暴走を抑えるには、何を差し置いても体内のゴミを増やさないようにする必要があります。それには、まず過食や過度なアルコール摂取を控えることが効果的です。どちらも脂肪細胞を肥大化させ、体内のゴミを大きく増やしてしまうからです。

もちろん発生したゴミを体外へ排出することも大切です。それには適度な運動が効果的。体を動かし血流を上げることには、体内に滞ったゴミをゴミ処理場であるリンパ節へ押し流す効果があります。

おすすめしたいのは1日8000歩程度のウォーキングです。運動習慣がないと大変に感じるかもしれませんが、電車通勤している方なら行きと帰りにひと駅分、十数分ずつ歩くなどで達成できるはずです。

あまりにハードな運動は免疫の力が落ちてしまうため、避けたほうがよいのですが、1日8000歩程度のウォーキングなら何の問題もありません。筋肉を激しく損傷したり臓器に過度の負担をかけたりすることなく、全身の血流を上げられます。

そこまでの歩数が無理だったとしても、まずは歩く習慣をつけ、血流が上がる時間を積極的に増やすよう意識してみてください。

■「朝食前の歯磨き」で人生が変わる

そして朝の歯磨きは「朝食後でなく起床後すぐ」が鉄則。食べ物とともに歯周病菌を飲み込むと、体内のゴミを激増させ糖尿病やうつのリスクが高まります。大げさでなく、朝食前の歯磨きを習慣にできるかどうかで人生が変わるとお考えください。

化学物質の摂取や利用をできるだけ減らしていくことも、ゴミ削減に有効です。ただ、身のまわりにあるものを挙げればキリがないですし、すべて排除できるものではないでしょう。それでも合成保存料、合成着色料、合成洗剤、合成肥育ホルモン剤などを極力摂取しないようにするだけで、体内に広がり続けるゴミは削減可能です。できることを一つでも見つけ、実践してみてください。

残留農薬については、アメリカでは、「Dirty Dozen」と「Clean 15」というリストが発表されています。これは、アメリカの環境保護団体が同国農務省(USDA)からの最新試験データを分析して毎年発表するもので、残留農薬が多かった野菜や果物12品目を「Dirty Dozen」、残留農薬の少なかった15品目を「Clean 15」として挙げています。

■アボカド、とうもろこし、パイナップル、玉ねぎ…

【アメリカで残留農薬が多く見つかった野菜や果物「Dirty Dozen」】
いちご、ほうれん草、ケール、ぶどう、もも、なし、りんご、ピーマン(唐辛子)、さくらんぼ、ブルーベリー、インゲン豆(残留農薬が多い順に記載)

【アメリカで残留農薬が少なかった野菜や果物「Clean 15」】
アボカド、とうもろこし、パイナップル、玉ねぎ、パパイヤ、アスパラガス、メロン、キウイ、キャベツ、すいか、マッシュルーム、マンゴー、さつまいも、グリンピース、にんじん(残留農薬が少ない順に記載)

日本には、このリストに相当するものはありません。ただ、残留農薬に関する情報は厚生労働省や消費者庁などによって提供されてはいます。農薬により収穫量が大きく増え価格が抑えられている品目もあり、お財布と相談しなければならない部分もありますが、こうした情報を意識した消費行動が増えれば、体への害が少ないものがより安く流通する状況をつくれるはずです。

1.短鎖脂肪酸の酪酸をつくる

制御免疫が体を守るうえで必要な量が生まれるかどうかは、体内の環境次第ですが、そのなかでも免疫細胞の7割がいる腸内で「制御免疫をつくれ!」というスイッチを入れてくれる存在がいます。それが近年話題の「短鎖脂肪酸」の一つ「酪酸」です。

この名称はヨーグルトやサプリメントでよく目にするようになりましたが、じつは倍速老化を促しあらゆる病気を呼び寄せる免疫暴走を止める存在だからこそ、ここまで注目されるようになったのです。

■腸を強くする「酪酸菌」を育てるには

短鎖脂肪酸は、その名のとおり「脂肪酸」の一種です。脂肪酸はいくつかの炭素が鎖のようにつながった構造をしており、なかでも炭素が6つ以下のものを「短鎖脂肪酸」と呼んでいます。私たちの腸内でつくられているおもな短鎖脂肪酸は、酪酸、プロピオン酸、酢酸の3つです。

このうちのプロピオン酸と酢酸も、免疫全体のバランスをよくしてくれるので大切ではあるのですが、特に重要なのは酪酸です。なぜなら、腸の内側を覆う上皮細胞の重要なエネルギー源となるうえ、制御免疫の主役・制御性T細胞を生み出す指令を出す力が最も強いからです。

この酪酸を唯一、体内で生み出すことができるのが「酪酸菌」という善玉菌です。酪酸菌は食べ物を分解することで酪酸を生み出す菌の総称。

この重要な酪酸菌を育てるにはエサが必要です。彼らはそのエサを食べて酪酸を生み出すからです。そのエサとなるものが「発酵性食物繊維」。なんだか耳慣れない、という方も多いのではないでしょうか。

食物繊維は長いあいだ、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維という区分けで語られてきました。「発酵性食物繊維」には水溶性食物繊維のものが多いのですが、なかには不溶性食物繊維のものもあります。そこで新たに「発酵性食物繊維」という区分ができたのです。「発酵性食物繊維」が含まれる食品には以下のようなものがあります。それぞれ種類ごとに成分名と多く含む食材を挙げましょう。

■玄米、きのこ、キウイ、大豆などがベスト

【発酵性食物繊維(水溶性食物繊維)】
β-グルカン 穀類(オーツ麦、玄米、大麦、全粒小麦)、菌類(きのこ、黒酵母菌、パン酵母菌)、いも類(こんにゃく)
ペクチン 果物類(キウイ、みかん、プルーン、いちご、レモン)、野菜類(モロヘイヤ)
難消化性オリゴ糖 豆類(大豆、あずき、ひよこ豆)
イヌリン 根菜類(ごぼう、やまいも)
アルギン酸 海藻類

【発酵性食物繊維(不溶性食物繊維)】
アラビノキシラン 穀類(オーツ麦、玄米、大麦、全粒小麦)

【発酵性食物繊維(デンプン)】
レジスタントスターチ 豆類(あずき、インゲン豆)、いも類(さといも、さつまいも)

これらを私たちが食べると、腸内の酪酸菌が大喜びで食べて酪酸を生んでくれるわけです。豆や根菜、海藻、きのこ、玄米など古くから日本人が食べてきたものばかりなので、老化の加速や大病を遠ざけたい方は積極的に取り入れましょう。

このように菌が食物を取り入れて、人体に有用な代謝物を生み出す過程を「発酵」と言います。反対に毒素など人体に有用でない代謝物を生み出す過程が「腐敗」です。

■ご飯は冷たいまま食べるのがいい理由

不溶性食物繊維のレジスタントスターチは「難消化性デンプン」と呼ばれ、腸の奥深くまでデンプンのまま運ばれます。ここに挙げた豆類やいも類にも含まれますが、ほかに「冷たいご飯」にも含まれる成分です。

昔は冷えたご飯もよく食べられ、江戸時代の庶民は朝に炊いた米をおひつに移し一日かけて食べていました。その後、保温できる炊飯器や電子レンジが普及したことで、すぐに温かいご飯が食べられるようになり、おにぎりやお弁当以外で冷たいご飯を食べる機会は減っています。この昔ながらの冷えたご飯が制御免疫をつくるうえではとても都合がよかったというのは、なんとも興味深い話です。

お弁当
写真=iStock.com/KarinaUrmantseva
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/KarinaUrmantseva

レジスタントスターチは特にわかりやすいですが、発酵性食物繊維には食物繊維のなかでも「消化されにくい」という特徴があります。これは大腸の最後のほうにたどり着くまで、腸内細菌によって発酵などされずに残っているということです。

腸内細菌には嫌気性菌(酸素を嫌う菌)と、好気性菌(酸素を好む菌)とがいて、酪酸菌は嫌気性、なかでも酸素が少しでもいると死んでしまう「偏性嫌気性菌」です。嫌気性のものには酪酸菌をはじめとした善玉菌が多く、好気性のものには悪玉菌が多く含まれます。

腸内でも、小腸には酸素がありますが大腸にはありません。そのため酪酸菌が棲んでいるのは大腸、しかもかなり奥のほうです。つまり、胃や小腸で消化されるものでは酪酸菌にまで届かないため、難消化性のものである必要があるということです。

■きのこ類が苦手な人は魚をたくさん食べよう

2.制御免疫を増やすビタミンDを摂る

制御性T細胞をつくる際にはビタミンDが使われます。そのため制御性T細胞を増やすにはビタミンDを摂ることも大切です。また、ビタミンDには炎症性サイトカインを抑えて、「攻撃やめ!」のサインを増やすはたらきもあります。

ビタミンDは一般的に免疫力を高める栄養素として有名で、マクロファージなどの攻撃免疫を元気にするはたらきもあるのですが、それはあくまで全体的に免疫バランスを整えてくれるということで、攻撃免疫を優位にするわけではありません。

ビタミンDが含まれる代表的な食材といえば、きのこ。きのこ類には酪酸菌のエサとなるβ-グルカンも豊富ですから、制御免疫を育てるのに最強の食材とも言えます。ほかにビタミンDが豊富な食材としては、以下などがあります。

【ビタミンDが豊富な食材】
サケ、サンマ、ブリ、マアジ、マイワシ、あん肝、シラス干し、卵

摂るべき食材ばかり多くて困る、という方は陽の光に当たるといいでしょう。ビタミンDは日光に当たることでも増えると言われています。紫外線対策をしながらも、ある程度は日光に当たりましょう。夏は5~10分程度、冬は30~40分程度の日光浴がおすすめです。夏の日差しは強烈で皮膚へのダメージも大きいため10~14時の時間帯は避けてください。

■脳に効くDHA食品は制御免疫にも効果的

日光を浴びるとビタミンDが増えるのは食材も同じで、たとえばしいたけでも、生よりは干ししいたけのほうが含有量は多くなります。ですから、天日干しした食材のほうが効率よく摂取できると言えるでしょう。

なお、ビタミンDは脂溶性で、水溶性ビタミンと違って余った分を尿などとともに排泄できないため、サプリメントなどで摂る際は用量を守るなど摂りすぎにも注意が必要です。

3.制御免疫の手伝いをするDHA、EPAを摂る
飯沼一茂『倍速老化』(サンマーク出版)
飯沼一茂『倍速老化』(サンマーク出版)

脳を活性化することで有名なDHA、血栓予防効果で有名なEPAですが、じつはこれらは制御免疫の仕事の手伝いもしています。たとえば傷ついた細胞を取り除くべく、攻撃免疫が破壊していたとしましょう。このときには炎症性サイトカインが出ています。破壊が終わると制御免疫が「攻撃やめ」の合図を出すわけですが、このときDHAとEPAも、その手伝いをしているのです。

DHAとEPAは「抗炎症性脂質メディエーター」という物質をつくり出し、この物質には一度起こった攻撃反応にブレーキをかけて正常な状態に戻す作用があります。こうして過剰な攻撃が起こらないよう抑えているわけです。

それだけでなくDHAとEPAは、じつは細胞を修復させるときの材料集めもしてくれているのです。本当に頼もしい存在ですね。DHAとEPAは、マグロ、サンマ、サバ、イワシなどの青魚に豊富に含まれているので、ぜひ積極的に摂るようにしましょう。

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飯沼 一茂(いいぬま・かずしげ)
医学博士
純真学園大学客員教授。日本機能性免疫力研究所代表。1948年生まれ。1971年立教大学卒業後、ダイナボットRI研究所(現:アボットジャパン)入社。1987年大阪大学医学部老年病医学講座にて医学博士取得。1995年、米国アボットラボラトリーズ・リサーチフェロー。2008年よりアボットジャパン上級顧問。2010年より国立国際医療研究センター・肝炎免疫研究センター客員研究員。2012年から純真学園大学客員教授。著書に『それでは実際、なにをやれば免疫力があがるの? 一生健康で病気にならない簡単習慣』『免疫アップの最強セットリスト ~自分で選ぶ健康寿命の延ばし方~』(ともにワニブックス)がある。

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(医学博士 飯沼 一茂)

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