芽まで食べると「がん予防成分」がたっぷり摂れる…冷凍コーナーでも買える「長生きする最強野菜」の名前
プレジデントオンライン / 2024年9月20日 8時15分
※本稿は、佐藤典宏『がんにも勝てる長生きスープ』(主婦と生活社)の一部を再編集したものです。
■がんの予防に役立つ食材がわかってきた
私は患者さんに新しい情報をお伝えできるように、また、ブログやユーチューブで役立つ情報を発信するために、世界じゅうで発表される最新のがんに関する研究をほぼ毎日、インターネットでチェックしています。
世界では、がんに関するいろいろな研究が行われていて、特に近年では、食事とがんに関する研究が盛んです。そのため、がんの予防に役立つ食材が複数わかってきました。
例えば、次のようなものです。
・抗炎症作用のある「脂ののった魚」
・血管新生阻害作用のある「大豆」や「にんにく」
・抗腫瘍作用のある「ヌルヌルの海藻類」
■がんのリスクが低下する「10種の食材」
がんを一気に消してくれる夢のような食材はありませんが、がんに対して、さまざまな角度から効果を発揮する食材があるのです。
それらの食材をバランスよく毎日の献立に取り入れると、がんのリスクが低下することは間違いありません。
次のページから、抗がん作用が認められた10種の厳選食材を紹介していきますので、ぜひ、意識して食生活に取り入れてみてください。
■がんの死亡リスクを16%下げる「アブラナ科の野菜」
キャベツや芽キャベツといったアブラナ科の野菜には、植物が有害なものから身を守るために作り出すファイトケミカルが豊富に含まれます。
その一種であるスルフォラファンには強力な抗酸化作用があり、がんの増殖や転移を抑える働きがあります。
9万人の日本人を対象とした研究で、アブラナ科の野菜を最も多く食べたグループの男性は、最も少ないグループより、がんの死亡リスクが16%低く、全疾患の死亡率も男性で14%、女性で11%低下しました。
一年じゅうスーパーに並んでいて安価で調理もしやすいキャベツは最も身近な抗がん食材だと言えます。
■強い抗酸化作用を持つ「ブロッコリー」
ブロッコリーは強い抗酸化作用を持つアブラナ科の野菜。特にブロッコリーの芽であるブロッコリースプラウトは、100gあたり1000~2000mgという断トツのスルフォラファンを含んでおり、最強の抗がん野菜として注目を集めています。
タバコを吸わない男性を対象とした研究では、アブラナ科野菜の摂取量が多い人ほど肺がんになりにくいという結果や、閉経前の女性はアブラナ科の摂取量が多いほど乳がんになりにくいという報告もあります。
スーパーで売っている小房にわかれた冷凍ブロッコリーを常備しておくのもおすすめです。
■抗腫瘍効果を持つ「玉ねぎ」
玉ねぎをはじめとしたアリウム属の野菜は、抗がん作用抜群。ファイトケミカルの一種で、強力な抗酸化作用を持つケルセチンが豊富で、がんのほか、動脈硬化の予防、血糖値やコレステロール値の低下が期待できます。
また、ケルセチンを与えたマウスを使った膵臓がんの実験では、がん細胞の増殖が抑えられました。
さらに別の実験では、玉ねぎのオニオンA(ONA)という成分が卵巣がんに対して抗腫瘍効果を示したりと、いろいろなタイプのがんに効果が認められています。
■胃がんの死亡リスクを34%低下させる「にんにく」
アリウム属の野菜を代表するにんにくには、抗酸化作用と抗炎症作用のある成分が豊富。中国の比較試験では、にんにくのサプリメントで胃がんによる死亡リスクが34%低下し、大腸がんとにんにくの複数の研究をまとめた分析でも、にんにくを多く摂取する人は大腸がんのリスクが25%減っていました。
胃がんや大腸がんなど消化管のがんに特に有効のようです。
アメリカ国立がん研究所が「がん予防に効果のある食品」として発表した食品群のトップに位置する最強の抗がん食材。少しずつでもぜひ日々の食事に取り入れてください。
■卵巣がんの死亡リスクを50%低下させた「大豆」
大豆に含まれるイソフラボンには、女性の骨を丈夫にするなどの健康効果に加え、がん予防の効果もあります。
がん細胞は、血管を作り出す血管新生という働きを活性化させて成長しますが、イソフラボンの一種であるゲニステインは、血管新生を邪魔します。
大豆とがんの死亡リスクに関する複数の研究を解析した論文では、胃がん、大腸がん、卵巣がんの死亡リスクが50%前後低下しました。
みそや納豆などの発酵大豆食品は、善玉菌が豊富で、腸内環境を整えて免疫力を高める働きもありますので、がん予防のためにも健康長寿のためにもおすすめです。
■がんの発症率を34%低下させた「きのこ」
きのこ類に含まれるβグルカンという食物繊維は、免疫力を高める働きがあり、がんなどさまざまな病気の予防に効果的です。
きのこの摂取量とがんの発症率についての複数の研究で、最もきのこを多く食べていたグループはリスクが34%低下していました。
きのこを食べるほどがんのリスクが下がり、特に胃がんや乳がんの予防に効果的です。
なお、きのこ類の特定の成分を含むサプリメントが「がんに効く」という証拠はないため、きのこそのものを食べましょう。
■膵臓がんリスクが30%減少した「オメガ3脂肪酸」
さば、いわしなどの脂ののった魚には、身体にいい脂質であるオメガ3脂肪酸が豊富です。
オメガ3脂肪酸は、体内の炎症を抑える働きがあり、がんや脂質異常症などの生活習慣病のリスク低下に効果的。
魚の摂取とがんの関係についての研究では、オメガ3脂肪酸の摂取量が最も多い人は、最も少ない人に比べて乳がんのリスクが14%減少、肺がんが21%減少、膵臓がんでは30%減少したという結果も。
オメガ3脂肪酸は青魚を中心に、まぐろのトロなど、脂ののった魚に多く含まれています。
さばやいわし、カラフトマスの缶詰にも多いので、手軽に摂取可能です。
■抗がん剤の効果を高める「フコイダン」
昆布やわかめ、めかぶなど、ぬめりのある海藻類に含まれるフコイダン。
コレステロールや血圧を下げるのに加え、がん細胞が増えるのを抑える抗腫瘍効果や、がんの成長に関わる血管新生を阻害。
さらにがんと戦う免疫細胞の活性を高め、がんに伴う疲労感を軽くして抗がん剤治療で起こる筋肉の萎縮を改善する働きもあります。
抗がん剤など治療薬の効果を高める作用も認められています。
実際に人における研究でもフコイダンの摂取で、がんと戦うナチュラルキラー細胞の活性が上昇する傾向が見られました。
■肝臓がんのリスクを37%下げる「トマト」
トマトに含まれるカロテノイドの一種、リコピンには強力な抗酸化作用があり、老化防止やコレステロール低下に働きかけて生活習慣病を予防します。
海外の研究では血液中のリコピン濃度が高い人は、脳卒中のリスクが50%以上低下したとのこと。
さらにリコピンは、がん細胞の増殖抑制、がん細胞の増殖に必要なコレステロールの低下、血管新生の阻害に働きかけるなど、強力ながん予防効果を備えています。
中国人を対象とした集団研究では、最も多くトマトを摂取するグループは最も少ないグループに比べて肝臓がんのリスクが37%も低くなりました。
■肺がんリスクが42%下がった「にんじん」
がんに効くイメージの強い、にんじん。
βカロテンを多く含むにんじんは実際にさまざまながんのリスクを減らす作用が認められています。
にんじんと肺がんの関係を調べた複数の研究を解析した結果、にんじんを最も多く食べるグループは、最も少ないグループに比べて肺がんのリスクが42%も低下しました。
ただし、別の研究でカロテンと大腸がんのリスクは関係が認められておらず、詳しいことがはっきりわかっているわけではありません。
なお、ジュースにすると大事な食物繊維が取り除かれるため、調理して食べたほうが効果的です。
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がん専門医、医学博士、帝京大学福岡医療技術学部教授
福岡県生まれ。九州大学医学部卒。2001年から米国ジョンズ・ホプキンズ大学医学部に留学し、多くの研究論文を発表。1000例以上の外科手術を経験し、日本外科学会専門医・指導医、がん治療認定医の資格を取得。がんに関する情報を提供するため、YouTube「がん情報チャンネル・外科医 佐藤のりひろ」を開設、登録者12万人(2023年10月時点)。2023年4月、がん患者さんの悩みや質問に個別に答える「がん相談サロン」をスタート。著書に『がんにも勝てる長生きスープ』(主婦と生活社)、『手術件数1000超 専門医が教える がんが治る人 治らない人』(あさ出版)、『専門医が教える最強のがん克服大全 エビデンスに基づく新しい対処法64』(KADOKAWA)などがある。
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(がん専門医、医学博士、帝京大学福岡医療技術学部教授 佐藤 典宏)
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