1日1回、かけるだけで腸内の善玉菌がどんどん増える…砂糖より効果的な「プレーンヨーグルト」を甘くする液体
プレジデントオンライン / 2024年9月22日 8時15分
※本稿は、佐藤典宏『がんにも勝てる長生きスープ』(主婦と生活社)の一部を再編集したものです。
■血糖値を下げる「食べる順番」
がんリスクを下げるために欠かせない食事のポイントがあります。
それが、食べる順番です。
「血糖値が高くなるとがんが進行するリスクが高まるため、お米やパンなどの主食は控えめに」とよくお話しているのですが、食後の血糖値の上昇は、何から食べるかによっても大きく変わってきます。
食べる順番の理想は、
①汁物や副菜の野菜
②肉や魚のおかず
③ご飯やパンなどの主食
です。
■「スープファースト」でがんを遠ざける
食物繊維が豊富な野菜を先に食べて、糖質を多く含む主食を最後に食べるということです。
野菜を先に食べるベジファーストは、ダイエットや糖尿病予防に有効な食事法なので、ご存じの人も多いと思います。
野菜に多く含まれる食物繊維は、腸で糖の吸収を遅らせて食後の急激な血糖値の上昇を防いでくれます。
そこで、サラダや野菜の副菜があれば、それから食べてももちろん有効なのですが、野菜はスープやみそ汁の具しかないという場合は、ぜひスープを一番先に食べる「スープファースト」を実践してみてください。
ポイントは、食物繊維をとるためにスープの具材を食べること。汁にも栄養が多く含まれているのでぜひ飲んでいただきたいですが、それはご飯と一緒でも構いません。
また、スープファーストは血糖値を上げにくくしてくれるだけではありません。
具材を先に食べることで、噛んだときの刺激が満腹中枢に働き、満腹感をもたらして主食の食べすぎの予防にもなるので、ダブルで血糖値の上昇を抑えることにつながるのです。
がんを遠ざけるスープファースト生活。ぜひ実践してください。
■「野菜たっぷりのみそ汁」でがんの進行を遅らせる
私の患者さんで、膵臓がんの手術後に局所再発したにもかかわらず、食事などのセルフケアだけでがんが進行しないまま数年間、元気に過ごしている女性がいます。
聞くと、抗がん食材を使った野菜たっぷりの具だくさんみそ汁を毎朝のルーティンにしていました。
みそ汁は、具材の栄養に加え、大豆を発酵させたみその健康効果も同時に得ることができる非常におすすめのスープです。
■胃がんの死亡リスクが3割低下
みそなどの大豆食品に含まれるイソフラボンには、強力な血管新生阻害作用があります。
血管新生とは血管を作り出す機能のことで、がんはこの機能を活用して成長するため、阻害することでがん予防につながるのです。
日本人を対象にした大規模な調査でも、みそ汁の摂取が多くなるほど、乳がんになりにくいといった結果や、大豆食品やみそ汁を多く食べている人は胃がんになった場合の死亡リスクが3割低下していたという報告もあります。
■大腸がん患者の腸内には歯周病菌が多い
また、みそなどの発酵食品は腸内環境を改善してくれますが、腸内環境とがんは深い関わりがあります。
がん患者さんの腸内細菌は全体的に種類が減っていたり、特定の悪玉菌が増えていることがわかっています。
例えば、大腸がんの患者さんの腸内には歯周病の原因菌であるフソバクテリウム・ヌクレアタムが多くみられ、この菌が多い患者さんは抗がん剤が効きにくく、生存率が低下するという報告もあります。
■塩分のとりすぎは胃がんリスクを高める
つまり、みそで腸内環境を整えれば、がんの予防だけでなく、がんの治療効果が高まる可能性があるということなのです。
ただ、みそ汁の唯一のデメリットは塩分量。塩分のとりすぎは胃がんのリスクを高めることは多くの研究から明らかです。
薄いみそ汁はおいしく感じないのも事実。どうしてもスープよりは塩分が濃くなりがちです。そのため、みそ汁だけにかたよらず、スープとバランスよく作っていただければと思います。
■フルーツを週1回食べると胃がん発生率が30%下がる
フルーツをたくさん食べる人は、がんになりにくいことをご存じでしょうか?
日本人を対象とした研究では、フルーツをほとんど食べない人に比べて、週に1回以上食べる人は胃がんの発生率がおよそ30%低いという結果が報告されています。
フルーツに含まれる、ビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素は、がんリスクの低下に欠かせません。
なかでも抗酸化作用や抗炎症作用を持つポリフェノールは、がんの予防や治療をサポートする効果も期待されています。
■アサイーのポリフェノールはブルーベリーの約18倍
現在、特定のフルーツとがんリスクの明らかな関係は証明されていませんが、動物実験などで効果が報告されているものもあるので、おすすめのものを5つ紹介します。
まずは、アサイー。
アントシアニンなどのポリフェノールが豊富で、抗酸化作用、抗炎症作用、血管新生阻害作用が確認されており、がんの抑制に効果的。
アサイーのポリフェノールはココアの約4.5倍、ブルーベリーの約18倍にもなります。
鉄分、食物繊維、カルシウム、ビタミンCもとることができるスーパーフードです。
■りんごの成分はがん細胞を死滅に導く
続いてブラックベリーやブルーベリーもアントシアニンが多く、高い抗酸化作用を誇ります。
特にブラックベリーはナチュラルキラー細胞という免疫細胞を活性化し、大腸がんの発症や進行を抑える可能性が指摘されています。
ブルーベリーも高い抗酸化作用と抗炎症作用があり、乳がんのリスクを下げるという報告も。
さらに、りんごもポリフェノールが豊富で、その中のフロレチンという成分は、がん細胞が増えるのを抑えて死滅に導く作用などがあり、注目されています。
■1日にりんご2分の1個程度でOK
最後は、みかんなどの柑橘系のフルーツ。
がんを抑制する抗酸化成分のビタミンCやカロテノイドが豊富で、乳がんのリスク低下も期待できます。
フルーツの摂取量の目安は、1日約100g、りんごなら2分の1個分程度です。
気をつけたいのは、フルーツジュース。フルーツ本来の果糖だけでなく、シロップや果糖ブドウ糖液糖など高い濃度の加糖が添加されている場合があるため、高血糖を招いてがんのリスクを高める恐れがあります。
フルーツをとるならジュースではなく、生のものがおすすめです。
■週3回以上ナッツを食べるとがん死亡リスクが40%低下
デザートの次はおやつ。せっかく食べるなら、がんに効果的なものを選びたいという人におすすめのおやつを3つ紹介します。
まずは、ナッツ。
食物繊維、ビタミン、ミネラルに加え、天然のポリフェノールであるエラグ酸、オメガ3脂肪酸のαリノレン酸などの抗酸化成分が豊富。
がんを予防する効果が多くの研究で報告されています。
ナッツをよく食べる地中海食の効果を調査した比較試験では、週3回以上にぎりこぶし程度の量のナッツを食べる人は、がんによる死亡リスクが40%低下し、大腸がんや乳がんの患者さんを対象とした研究でもがんの再発を減らす、または生存期間を延長する効果がわかっています。
■脂質が多いため食べすぎに注意
おすすめの種類は、木になっているナッツ。
ピスタチオやくるみをはじめ、アーモンド、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、マカダミアナッツなどがあります。
ただし脂質が多くカロリーオーバーを招きやすいため、食べすぎには注意が必要。
■腸内環境の乱れはがんを含むさまざまな病気の原因
次は、ヨーグルト。乳酸菌やビフィズス菌など、善玉菌を多く含む発酵食品で、腸内環境の改善が期待できます。
最近の研究で、腸内環境の乱れはがんを含むさまざまな病気の原因になることがわかってきました。
がん患者さんの腸内細菌は、健康な人に比べて細菌の多様性が減っていることも研究で明らかになっています。
腸内環境を整えるには、乳酸菌などの善玉菌と、そのエサとなる食物繊維などの両方をとる必要があります。
食べる際は、砂糖の入っていないプレーンヨーグルトに善玉菌のエサとなるオリゴ糖をかけると効果的です。
■カカオ豆はがん予防効果が期待できる
3つめは、ハイカカオチョコレート。
チョコレートの原料であるカカオ豆には、抗酸化作用や抗炎症作用のあるポリフェノールが豊富で、がん予防のほか、動脈硬化、高血圧、脳卒中などの病気を予防する効果が期待できます。
おすすめは、無糖でカカオの配合が高いブラックチョコレートで、血糖値の低下も期待できます。
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がん専門医、医学博士、帝京大学福岡医療技術学部教授
福岡県生まれ。九州大学医学部卒。2001年から米国ジョンズ・ホプキンズ大学医学部に留学し、多くの研究論文を発表。1000例以上の外科手術を経験し、日本外科学会専門医・指導医、がん治療認定医の資格を取得。がんに関する情報を提供するため、YouTube「がん情報チャンネル・外科医 佐藤のりひろ」を開設、登録者12万人(2023年10月時点)。2023年4月、がん患者さんの悩みや質問に個別に答える「がん相談サロン」をスタート。著書に『がんにも勝てる長生きスープ』(主婦と生活社)、『手術件数1000超 専門医が教える がんが治る人 治らない人』(あさ出版)、『専門医が教える最強のがん克服大全 エビデンスに基づく新しい対処法64』(KADOKAWA)などがある。
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(がん専門医、医学博士、帝京大学福岡医療技術学部教授 佐藤 典宏)
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