1日1杯だけでも肝臓がんのリスクを劇的に下げる…がん専門医が教える「晩酌の最後にオススメ」の飲み物
プレジデントオンライン / 2024年9月27日 8時15分
※本稿は、佐藤典宏『がんにも勝てる長生きスープ』(主婦と生活社)の一部を再編集したものです。
■21時半以降に食べると「乳がんリスク1.5倍、前立腺がんリスク2.2倍」
最近の研究で、「夕食の時間が遅い人は、がんのリスクが高まる」という結果が報告されました。
がんのリスクには、何をどの順番で食べるかに加えて「いつ食べるか」という食事のタイミングも深く関わっています。
この結果は、フランスの4万人以上を対象とした研究によるもので、1日の最後の食事を21時半以降に食べる人は、女性の乳がんリスクが1.5倍、男性の前立腺がんリスクが2.2倍高くなっていました。
遅い時間に夕食を食べたことで、睡眠や覚醒、体温や血圧、ホルモン分泌など、体の活動を約24時間周期で調節しているサーカディアンリズム(体内時計)が乱れ、ホルモンの分泌量が変化し、ホルモンと関係の強いホルモン依存性がんのリスクが高まったと考えられます。
■夕食後2~3時間以内に就寝すると大腸がんリスクが2.5倍に
また中国の研究では、夕食から2~3時間以内に就寝する人は、4時間以上経ってから就寝する人に比べて大腸がんのリスクが2.5倍高くなっていました。
同様に、夕食後すぐに就寝する人は、乳がんや前立腺がんのリスクが高くなるという報告もあります。
つまり、食べてすぐ寝る人はさまざまな種類のがんになりやすいのです。
■夜間に食事をする人はがん再発率が36%高い
さらに「夜間に食事をするとがんの再発リスクを高める」という報告もあります。
アメリカの早期乳がん患者を対象とした食事調査で、夕食後から翌日の朝食までの夜間の絶食時間が13時間未満の女性は、13時間以上の女性と比べて、再発率が36%、死亡率が21%高かったことが報告されています。
夜間の絶食時間が短い人は、長い人に比べて血糖値が高い傾向にあります。
血糖値が高い状態が続くとがんが進行することがわかっていますので、がん患者さんにとって夜間の絶食時間を長く保つことはとても重要なことなのです。
3食の時間はできるだけ規則正しくし、夕食は可能な限り早い時間に食べるようにしてください。
食べてから寝るまでは最低でも3時間は空け、夜食は避けること。
もし夕食が遅くなった場合は、夜間の絶食時間を確保するために、翌日の朝食は少し遅めの時間に食べるなどの工夫をするのもひとつの手だと思います。
■朝食を抜くと寿命が短くなる
1日の始まりである朝は、エネルギーや栄養をもっとも必要とする時間帯。
健康を維持する上で朝食は欠かせません。そのため、朝食を抜くと体重が増加しやすくなり、肥満のリスクを高め、さらに高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病につながり、心臓や血管の病気にかかりやすくなることが報告されています。
こういった病気のリスクが増えるために、朝食抜きの人は寿命が短くなるということもわかっています。
■朝食抜きの人はがんによる死亡リスクが52%上昇
さらに朝食は、がんのリスクとも深く関係しています。
アメリカの7000人を対象とした研究では、朝食を毎日食べる人に比べて、朝食抜きの人はがんによる死亡リスクが52%上昇し、すべての死因による死亡リスクはなんと69%も上昇していました。
日本人を対象とした研究でも、朝食抜きのグループでは、がんを含めたすべての死因による死亡リスクが、男性で43%、女性で34%増加し、特に循環器系の病気で死亡するリスクが高くなっていました。
■胆道がんのリスクが5.4倍
朝食を抜くとどんながんになりやすいのでしょうか。朝食と消化系がんの発症率を調べた中国の大規模な観察研究では、朝食抜きのグループでは食道がんのリスクが2.7倍、大腸がんのリスクが2.3倍、肝臓がんのリスクが2.4倍、胆道がんのリスクが5.4倍高くなっていました。
さらに週に1~2回朝食を食べるグループでは、胃がんのリスクが3.5倍、肝臓がんのリスクが3.4倍になっていました。
朝食をまったく食べない、あるいはときどき食べる人は消化器系のがんのリスクが高くなるということです。
朝食は、がんのリスクを減らすためにもできるだけ毎日食べることをおすすめします。ただし、添加物の入った菓子パンと砂糖入りの缶コーヒーといった組み合わせは食べすぎるとがんリスクを高める恐れがあるため、注意してください。
■「超加工食品」はがんのリスクを高める
「超加工食品」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
加工食品は、味や見た目をよくする、あるいは長期間常温で保存できるようにたくさんの添加物や保存料を加えた食品のこと。
そのなかでも加工の度合いが最も高いランクに入るのが、超加工食品です。
コンビニやファーストフードで売っている、菓子パン、カップ麺、袋入りスナック、砂糖を使った甘いデザート類、清涼飲料水、加工肉を使ったハンバーガーなどがそれに当たります。
超加工食品には、糖分や塩分、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸などの身体に悪い油、防腐剤、色素発色剤など非常に多くの添加物が入っていて、日常的に食べ続けると、心臓や血管の病気、肥満や脂質異常症、高血圧、糖尿病などの生活習慣病や内臓脂肪の増加によってがんのリスクが高まります。
■S状結腸や直腸のがんリスクが70%も高くなる
フランスの10万人を対象とした研究では、超加工食品を最も多く食べるグループでは、最も少ないグループに比べて、がんの発症リスクが20%以上高くなっていました。
また、どんながんになりやすいかについても、世界中でさまざまな研究が行われています。3つの大規模な観察研究をまとめた解析では、大腸がんの発症リスクが30%上昇し、特に肛門に近いS状結腸や直腸のがんリスクが70%も高くなっていました。
大腸がんは食べ物によってリスクが左右される代表的ながんで、とくに注意が必要といえます。
■「砂糖入り飲料」でがん発症リスクが18%上昇
超加工食品の中でも、がんリスクを高める危険因子として特に注意したいのが、ジュースやソーダなど砂糖入りの飲料です。
フランスの研究では、砂糖入り飲料を1日わずか100ml多く摂取するだけでがんの発症リスクが18%上昇したという報告も。
いまのところ日本人を対象とした超加工食品の研究データはありませんが、日本にもコンビニが普及して超加工食品の消費量が年々増えていることから、がんのリスクが高まることが予測されています。
できるだけ生の食材を調理すること、コンビニに行く回数をできるだけ減らすことをおすすめします。
■食後のお酒をコーヒーに置き換える
お酒は多くのがんに関係していて、飲酒量が増えるにしたがって、さまざまながんのリスクが増えるのはまぎれもない事実です。
お酒を飲む量をなるべく控えて、飲むにしても休肝日を設けることが大事ですが、そうは言っても、お酒好きの人にはなかなか難しいのも事実。
そこで、提案したいのは、例えば食後のお酒を1杯、コーヒーに置き換える方法です。
食事中に飲んでいたビールや焼酎の水割りやハイボールを惰性で食後にも飲むのではなく、お酒をやめてコーヒーにするのです。
■コーヒーを1日5杯以上飲むと肝臓がんのリスクが4分の1に低下
というのも、以前から、コーヒーに含まれるポリフェノールは生活習慣病やがんを防ぐと言われていましたが、最近でもコーヒーによるがん予防効果については、国内外の多くの研究から明らかになっているからです。
過去に報告された40の研究を解析したところ、最も多くコーヒーを飲む人は、最も少なく飲む人に比べ、すべてのがんのリスクが減少していました。
なかでも、コーヒーの摂取によって、前立腺がん、子宮体がん、口腔がん、皮膚がんなどのリスクが低下することが確認されています。
日本でもおよそ9万人を対象に、コーヒー摂取と肝臓がんの発生率との関係について調べた大規模な研究があります。
この研究によると、コーヒーをほとんど毎日飲む人は、ほとんど飲まない人と比べ、肝臓がんのリスクが約半分に減少し、さらに1日5杯以上飲む人は、肝臓がんのリスクが4分の1にまで低下していました。
■デカフェでも問題ない
お酒好きには要注意な肝臓がんのリスクがコーヒーで下がるというのは、なんだか帳消しみたいで“置き換え”をやってみたくなりませんでしょうか?
コーヒーを夜に飲むと眠れなくなるから苦手という人もいるかもしれませんが、ご安心を。
カフェイン抜き(デカフェ)でも同様の効果があるとのことなので、気になる人はカフェイン抜きをどうぞ。
また、インスタントコーヒーでも効果は変わらないというデータがありますが、市販のコーヒー飲料には砂糖をはじめ糖分がたくさん入っているものがありますので、注意してください。
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がん専門医、医学博士、帝京大学福岡医療技術学部教授
福岡県生まれ。九州大学医学部卒。2001年から米国ジョンズ・ホプキンズ大学医学部に留学し、多くの研究論文を発表。1000例以上の外科手術を経験し、日本外科学会専門医・指導医、がん治療認定医の資格を取得。がんに関する情報を提供するため、YouTube「がん情報チャンネル・外科医 佐藤のりひろ」を開設、登録者12万人(2023年10月時点)。2023年4月、がん患者さんの悩みや質問に個別に答える「がん相談サロン」をスタート。著書に『がんにも勝てる長生きスープ』(主婦と生活社)、『手術件数1000超 専門医が教える がんが治る人 治らない人』(あさ出版)、『専門医が教える最強のがん克服大全 エビデンスに基づく新しい対処法64』(KADOKAWA)などがある。
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(がん専門医、医学博士、帝京大学福岡医療技術学部教授 佐藤 典宏)
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