"絶対に謝らないタイプ"への腹立たしさがみるみる消える…笑って解決できる「もしかしてこの人は」構文
プレジデントオンライン / 2024年9月24日 10時15分
■怒りは隠しても相手に伝わっている
「ごめんなさい」を伝えてくれた相手とうまくいかないときは、次のような失敗をよくやっています。ぜひ、自己チェックしてみてください。
① 怒っていないふりをする
相手が「ごめんなさい」を言ってきたときに、ものすごく腹が立ったり、イライラしたりしているのに、怒っていないふりをしていませんか。
隠したつもりの怒りやイライラは、おそらく相手に伝わっています。
それにもかかわらず、「全然、怒ってないから」「大丈夫だから」「平気」といった態度を示してしまうと、相手はそれ以上なにも言えなくなってしまいます。
怒っていないふりをすることは、相手にとっては「この人は、謝るチャンスすらくれない」という恐怖のメッセージになってしまうのです。
これでは、対話とは真逆のコミュニケーションになってしまいます。
怒りやイライラが強すぎて話す気にもなれないときは、最低限の承認のひと言を返して、気持ちが落ちつくのを待ちましょう。ほかにも、「『今は』話したくないから、そっとしておいてほしい」と時間を限定して壁をつくる方法もあります。
■相手の「ごめんなさい」をまずは受けとる
② そっちも不快にさせてやる!
相手との関係には、次の図表のような4つのステージがあります(図表1)。
もちろん、目指したいのは、①「自分も相手も満足」の方向です。
ですが、「ごめんなさい」を言われ慣れていない人が目指してしまうのが、④「自分も相手も不満足」の方向です。
つまり、「あなたのせいで、私は不快になった。だから、同じように、あなたも不快にさせてやる!」というわけです。
あなたに「ごめんなさい」を言ってきたということは、相手は①の方向を目指そうとしてくれています。謝り方は、かなり下手かもしれませんが……。
こちらも、イライラしたり、傷ついたりしても、相手が大切な存在なら、最終的には①の方向に進んでいきたいはずです。
そのためには、前述のように、まず相手の「ごめんなさい」を受けとることが必要なのです。
■無視の破壊力は使わないように
③ 完全に無視する
相手にいちばんダメージを与える強烈な方法が「無視」です。
コミュニケーションにおいて「無視」は、「非難」「侮辱」と同じレベルの破壊力を持っています。
近年のチームビルディングやリーダー育成の経験から、「無視」は積極的に相手との関係を壊す行為であるということがわかってきています。
相手は「コップ理論」(相手のコップに少しずつ水をそそぐ様子をイメージしながら「ごめんなさい」を重ねていく方法)を知らないので、根気よく「ごめんなさい」を言うよりも「面倒だし、もういいや」と関係修復をあきらめることを選ぶでしょう。
関係が切れてもいい相手であれば、そういう手もありますが、あなたにとって大切な人であれば、あきらめられては困ります。
とはいえ、無視したくなるのは、怒りが強すぎるからだと思います。
ここでも①と同じように、怒りが少し落ちつくまでは「うん」「はい」「わかった」など本当に最低限のひと言でいいので返して、時間を稼ぎましょう。
どんなときも無視だけは避けたいものです。
■謝り下手な相手を追いつめてはいけない
④ 過去や未来にからめて責める
「あなたって、いつもそうだよね」
「どうせまた、同じことを繰り返すんでしょ」
といった感じで過去のことを蒸しかえしたり、まだ起きていない未来のことを決めつけたりして相手を追いつめると、相手の「でも」「だって」「しょうがなかった」がどんどんエスカレートしていって、収拾がつかなくなります。
最初はなかなか難しいですが、過去も未来も否定せずに、相手のフルストーリーを聞くことは、自分を助けることにもつながるのです。
「今、謝ってくれている」という事実に目を向け、そして、「未来」「これから」のことを大切にしてみてください。
■絶対に謝らない人への対処法
自分にとって、そこまで大切な人ではないけれど、日常的にやりとりがある人。
たとえば、ほかの部署の上司や同僚、たまに会う知り合い、近所の人、なにかの会合でいっしょになる人などが、それにあたるでしょうか。
そんな人が絶対に謝らないタイプだったら、なかなかのストレスです。
可能であれば、少しずつ接触回数を減らしていって、遠い関係になっていくのがおすすめですが、難しい場合もありますよね。
本稿の最後にお伝えするのは、そんな変則的なパターンです。
謝らない相手にイラッとしたとき、私は次の2つのことを考えます。
① 相手の事情を「勝手に」想像する
絶対に謝らない人の本当の事情は、こちらにはわかりようがないので、想像するしかありません。どんなことを想像するかは自由です。
「昔から、プライドの高い人なのかも」
「ランチを食べそこねて、おなかが空いているのかも」
「今日、上司に怒られて、虫の居所が悪いのかも」
そんなふうに、相手のことを「勝手に」想像して、ストーリーをつくります。
相手に伝えるわけではないので、せっかくなら、こちらの溜飲(りゅういん)が下がるような笑えるストーリーがおすすめです。
■誰もが今の精一杯を生きている
たとえば、次のような感じです。
「もしかして、この人は、さっきまで歯医者で虫歯の治療を受けていて、麻酔がまだ効いているのかも。だから、『ごめんなさい』の『ご』がうまく発音できなくて、『おめんなさい』になっちゃうから、言えないんだ……(笑)」
こんなふうに、自分のなかでクスッと笑えると、それが事実であるかどうかにかかわらず、イライラは一気におさまります。なるべく、笑えて、楽しいイメージをふくらませられるように練習してみてください。
この方法は、ほかにも「駅でぶつかってきた人」「列に割りこんできた人」「感じの悪い店員さん」などに出くわしたときにも効くので、ぜひお試しください。
② 「それが相手の今の精一杯」と考える
もう1つ、絶対に謝らないという選択をしている相手を見て、「それが相手の今の精一杯なんだ」とも考えます。
相手には相手の「ごめんなさい」のタイミングがあり、今は、そのタイミングではなかったのでしょう。もしかすると、永遠にその機会は来ないかもしれませんが、そうなったとしても、それが相手の精一杯です。
どんなに感じが悪い人も、イラッとする人も、あの人も、この人も、そして、あなた自身も、これまでにいろいろな事情があり、それらを抱えて精一杯生きています。
「だれもが今の精一杯を生きているんだ」と考えられると、相手に対してちょっとやさしくなれたり、相手のことを許しやすくなったりして、こちらの気持ちがラクになります。そんなおだやかな日々を、あなたも望んでいるのではないでしょうか。
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否定しない専門家/コーチ
2 万人以上を指導したコーチ。リーダー育成家。ナンバーツーエグゼクティブ・コーチ。一般社団法人国際コーチ連盟日本支部(当時)創設者。1973年、東京都生まれ。バンダイ、NTTコミュニケーションズなどに勤務後、エグゼクティブ・コーチングの草分け的存在であるアンソニー・クルカス氏との出会いを契機に、プロコーチを目指して海外修行に出る。帰国後、2010年にコーチとして独立。これまでに大手企業などで2万人以上のリーダーに指導してきた。否定しないコミュニケーション術をまとめた『否定しない習慣』(フォレスト出版)が14万部を超えるベストセラーになる。このほか『できる上司は会話が9割』『優れたリーダーは、なぜ「傾聴力」を磨くのか?』『できるリーダーになれる人は、どっち?』(いずれも三笠書房)、『いまを抜け出す「すごい問いかけ」』(青春出版社)など著書多数。
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(否定しない専門家/コーチ 林 健太郎)
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