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独身女性は最低でも563万円は稼ぐべき…「幸せなおひとりさま」と「行き遅れた中年女性」の分岐点

プレジデントオンライン / 2024年9月27日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Farknot_Architect

結婚を選ばず、一人で生活する「おひとりさま」が増えている。20年以上にわたり女性限定の仕事塾を続けてきた社員教育コンサルタントの朝倉千恵子さんは「人生を謳歌できている独身女性は、お金にも心にも余裕があるほんの一握りの人だ。自分の人生の責任を自分で取る覚悟を持たなければ、本当に幸せな人生を手にいれることはできない」という――。

■急激に増えている「おひとりさま」女性

「結婚できないんじゃなくて、しないんです」――。多様性が尊重され、個人の生き方も無限の選択肢がある今、「未婚」を選択する女性が急激に増えています。

国立社会保障・人口問題研究所の統計によると、50歳時の未婚女性の割合は2000年には5.82%でしたが、それから20年後の2020年には17.81%まで跳ね上がっています。

【図表】男女別 未婚率の推移
国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2022)」より編集部作成

未婚率は今後も上昇していくことが見込まれています。今は、死別や離別も含めるとおよそ50歳の時点で、30%の女性が独身です。

■「50歳で独身」のイメージは変わってきた

「50歳、独身女性」と聞くと、あなたはどのような印象を抱きますか? 世代によってもかなり感じ方に差があるはずです。20代、30代の方であれば「そんなの普通」と思われるかもしれません。しかし50代、60代の方々の中には“特殊な例”だと感じる人もいるでしょう。

ちなみに、いまから約60年前の1960年の調査では女性の未婚率はわずか1.88%。「一生結婚をしない」女性というのは、100人に1~2人しかいない珍しいケースだったのです。

さらに離婚も珍しくなくなり「一度は結婚したけれど、やはり一人で生きていきたい」と考える女性も大勢います。私も30代のころに離婚をしてそれ以来、一人暮らしをしています。

さまざまな生き方が認められる社会の中で、「おひとりさま」「ソロ◯◯」といった流行語も生まれ、独身でいることにネガティブなイメージはもはやありません。メディアでは優雅に自由に独身ライフを楽しむキラキラした女性が紹介されることもあり、「おひとりさま」に憧れる女性もいるほどです。

■人生を謳歌できる独身女性はほんの一握り

私の知人にも素敵な「おひとりさま」がいます。50歳を超えてなお、周囲の人が振り返るほどの美貌を保ち、所作も言葉づかいも美しく、気品が目に見えるような美しい女性です。ご家族・兄弟ともとても仲が良く、パートナーとも円満で、同性の友人にも慕われています。

さらに若い頃から資産運用をしており、老後の心配は皆無。むしろ「生きているうちにお金を使い切りたい」と、これまで以上に趣味や自己投資に励んでいます。まさに人生を謳歌するおひとりさまの典型です。

しかし、気をつけなければいけないことがあります。確かに彼女の優雅なシングルライフは友人の私が見ていても憧れるようなものです。とはいえ、おひとりさま女性がみんな、彼女のような豊かで充実した人生が送れているわけではない、ということです。

私は20年前から「女性の自立を応援したい」との思いで、女性限定の仕事塾を続けてきました。直接指導した女性は約4000人。それ以外にも10万人近い女性と出会ってきました。

その経験も踏まえて断言しますが、「おひとりさま」として人生を謳歌できているのは、独身女性のうちの1%にも満たないはずです。残りの99%は、これからかなり努力をしなければ、人生の後半戦に苦戦を強いられることでしょう。

■「行き遅れた中年女性」になるリスク

お金もなく、自分の身なりに気を使ったり友達と遊んだりする余裕もない独身女性。その姿は周囲から見れば、「人生を謳歌するおひとりさま」というよりは「行き遅れた中年女性」にしか見えないかもしれません。

どのような選択をするかはもちろん本人次第ですが、女性の貧困問題も取り沙汰される今、このままでは将来的に生活基盤が弱いまま路頭に迷ってしまう女性が大量に出るのではないか、という危機感を私は抱いています。

未婚を貫くことや離婚することを考えている女性と話をしていると「結婚すると面倒くさいから」「夫や夫の家族に気を使いたくないから」など、逃避策として独身を選択しようとしている人が少くないことに気がつきます。

結婚する/しない、子どもを産む/産まないなど、人生におけるあらゆる選択に決まった正解はありません。「Aという道を選べば幸せになり、Bという道を選べば不幸になる」わけではなく、「自分が選んだ道を正解にする」という覚悟と努力が必要なのです。

■既婚でも独身でも幸せになるかは自分次第

どんな選択をするのも自由です。しかし「自分で選んだ道である」という自覚を持ち、自分の人生の責任を取る覚悟を持たなければ、本当に幸せな人生を手にいれることはできないでしょう。

考えてみれば当然のことです。結婚している男女が円満な家庭を維持するためには双方の努力や忍耐が必要なように、独身女性がシングルライフを謳歌するためにはそれなりの努力が必要であってしかるべきです。

今は独身女性にとって生きやすい時代です。結婚していないことや子どもがいないことに後ろ指を指されることも減り、一人で飲食店に入っても、旅行に行っても歓迎してもらえます。

しかし、だからといって「独身でいれば、人生を謳歌できるわけではない」という事実は、あえて強調したいと思います。これは昔、結婚するのが当たり前だった時代でも「結婚すれば幸せになれるわけではなかった」というのと同じことです。

人や社会に依存するのではなく、自分の人生の操縦桿を自分で持つと決意することから「おひとりさま道」ははじまります。

■最低でも「男性の平均年収」は稼ぐべき

「おひとりさま」を楽しむためには、絶対に外せないポイントがあります。それは自分で稼ぐ力を身につけることです。

世の中お金が全てとは言いませんが、ある程度の金銭的な余裕がなければやりたいこともできません。経済的な豊かさは自立した人生を歩むための必須条件です。

未婚であれば、パートナーの収入も、子どもに支えてもらう将来もありません。いい年して親のお金を当てにするのも恥ずかしい話です。生活に困らないだけでなく、趣味や旅行を楽しんだり、学びや美容などに自己投資したりもしたいでしょう。そうなると、やはり最低でも「男性と同じくらい稼げる」レベルは目指すべきです。

そこで1つの基準として「563万円は稼げるようになろう」と私は女性たちに伝えています。これは、令和4年時点での男性の平均年収(国税庁調査)です。男女の賃金格差の問題は根強く、同じ調査で女性の平均年収は313万7000円。男性の約56%しかありません。

【図表】男女別 平均年収(2022年)
国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」より編集部作成

つまり、女性が563万円以上稼ごうと思うと「人並み」ではいけないのです。人並み以上に稼げてはじめて自立の一歩目を踏めるということは、ぜひ知っておいてほしい現実です。

■「一人でも生きていける」という勘違い

女性の自立を語る上で、私は経済的な自立だけではなく、精神的な自立も重視しています。どれだけ年収が高くても、心が幼く依存心が強い女性は、周囲から疎んぜられますし、何よりも本人がいつまでも自分の人生に満足することができません。

「この人と一緒じゃないと生きていけない!」などパートナーに依存しきるようなタイプは分かりやすいですが、それ以外にも、うまくいかないことを人や社会のせいにする他責思考も依存心から生まれます。

そしてもう1つ。本稿のテーマで強調したいのが「私は一人でも生きていける! 何でも自分でできる!」と思い込んでいるタイプの人です。

本当に自立できている人は、人に頼ることを知っています。周囲の人と相互の信頼関係を築くことができているかは重要なポイントです。

ところが男性から「鞄を持とうか?」と言われて「いいって! 自分で持つ!」と邪険に扱ったり、収入が高いことを鼻にかけて「私の稼ぎだけで十分生きていけるから!」とわざわざアピールしたりする人もいます。

■自立している人は相手に感謝できる

「自分一人でやれる」ということを誇示しようとする姿勢は、自信の無さの裏返しです。本当に賢く自立した女性は、性別にかかわらず相手を立てることを知っています。

精神的な自立ができているかどうかは、本人も自分を客観視できていないこともありますし、数値化できるようなものでもありません。あえて基準を申し上げるとすると、「ムキになるかどうか」だと私は考えています。

自立をしている人は、心に余裕があるからこそ小さなことでいちいち腹を立てませんし、むしろ相手に感謝することができます。一方で心にゆとりがないと些細なことが気になってイライラしてしまいがちです。

イライラする根本的な原因は「思い通りにしたい」という自分の心です。しかし当然ですが、世の中に自分の思い通り操れることなんてほとんどありません。唯一コントロールできるのは自分の心だけです。自分自身の心のコントロールがしっかりできるようになると、イライラは激減します。

朝日を浴びながら伸びをする女性のシルエット
写真=iStock.com/lzf
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/lzf

■50代、60代の「かまってちゃん」はイタいだけ

気に入らないことがあったときに、むくれたり、拗ねたり、不機嫌であることをわざわざ顔に出してアピールする人がいます。これは本人が意識しているかどうかは別として、相手を意のままに操ろうとする心の表れだと私は捉えています。

小さな女の子ならまだしも、50代、60代になってもその戦法をとる方がいます。しかしそれは究極の「かまってちゃん」であり、周囲から見れば“イタい”だけ。自立した大人は自分の喜怒哀楽もしっかりとコントロールして、相手に気を使わせるようなことはしません。

周囲から見ても魅力的であり、本人も自分の人生に心から満足しているような「おひとりさま」女性にはお財布にも心にも、しっかりとしたゆとりがあります。

■45歳から「おひとりさま」の二極化が加速する

本稿の序盤に、「人生を謳歌するおひとりさま」か「行き遅れた中年女性」という対比を出しましたが、45歳を超えてくると、この二極化が一気に加速します。

外見的な美しさも、周囲の人との人間関係も、仕事も、これまでの積み重ねに複利の力が働き、努力を重ねてきた人はより良い方向に、一方で面倒くさいことを排除し楽に逃げてきた人はどんどん悪い方向に加速的に進みます。これは、結婚している/していないにかかわらず全ての人に言えることです。

さらに「老い」は必ずやってきます。体型も、肌も、髪も、何もしなくても艶やかで輝いていた20代のころとは違い、ここからは努力してはじめてようやく現状維持。本人がもともと持っている資質やお顔の造形以上に、日々の生活習慣や努力の積み重ねが外見にも如実に表れるようになります。

年齢を重ねるにつれますます美しく輝く人もいれば、美しかった昔の面影はすっかり消えてしまう人もいます。

おひとりさま人生を楽しむ、と決めたなら仕事もプライベートもとことん努力をしましょう。「これまであまり意識してこなかった」という人も大丈夫です。何事も気づいたときからがスタートです。仮にこれまでどれだけ自堕落な生活を送っていたとしても、過去を悔いたところで意味はありません。残された人生のうち、今日が一番若い日なのです。

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朝倉 千恵子(あさくら・ちえこ)
新規開拓社長/「トップセールスレディ育成塾」主宰
1962年大阪生まれ。小学校教師、税理士事務所、証券ファイナンス会社などの勤務を経て、人材育成の企業に営業職として入社。営業未経験ながら、礼儀礼節を徹底した営業スタイルを確立し、3年で売上NO1、トップセールス賞を受賞。その後、自身の営業ノウハウを広く伝えるべく独立。2004年6月、株式会社新規開拓設立、同代表取締役に就任。女性の真の自立支援、社会的地位の向上を目指した、「トップセールスレディ育成塾」を主宰。開講から20年経ち、卒業生は延べ3800名を超える。これまでに著作は41冊(累計約48万部)刊行され、近著に『運を整える。』(内外出版社)がある。

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(新規開拓社長/「トップセールスレディ育成塾」主宰 朝倉 千恵子)

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