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30万円で買ったチワワは「不治の病」にかかっていた…飼い主たちを絶望させる「ペット遺伝病」蔓延のヤバい理由

プレジデントオンライン / 2024年9月30日 16時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/O_Lypa

ペットブームが続くなかで、犬や猫の遺伝性疾患が問題になっている。朝日新聞の太田匡彦記者は「ブームになった犬種や猫種ほど遺伝性疾患になるリスクは高まる。一部の大手ペットショップチェーンは十分な対策を行っているが、中小規模の事業者は管理に手が回らず疾患リスクの高い個体を販売してしまっている」という――。(第2回)

※本稿は、太田匡彦『猫を救うのは誰か』(朝日文庫)の一部を再編集したものです。

■ペットビジネスが犬猫に与えた恐ろしい影響

ここで改めて、犬猫の遺伝性疾患について触れておきたい。その原因が、ペットビジネスのあり方と切っても切れない関係にあるからだ。

2004年にマサチューセッツ工科大学を中心とするチームによって犬のゲノム配列が解読されて20年が経ち、犬の遺伝性疾患についての研究は大きく進んでいる。これまでに原因遺伝子が一つに特定され、検査方法が確立された遺伝性疾患は、犬では約300ある(24年4月時点、ONLINE MENDELIAN INHERITANCE IN ANIMALS調べ)。

原因遺伝子を持っていても見かけは健康で発症しない「キャリア」同士の繁殖を行うと、4分の1の確率で病気を発症する可能性のある犬(アフェクテッド)が生まれる。つまり、繁殖業者が注意をすれば原因遺伝子を受け継ぐ犬を減らせる環境は整ったはずなのに、あまりそうはなっていない。

その背景として、遺伝性疾患に詳しい新庄動物病院(奈良県葛城市)の今本成樹院長は、繁殖業者が抱える問題を指摘する。ミニチュアダックスフントのなかでも白い毛が交じった「ダップル」という種類が一時期はやり、高値で取り引きされていた事例をひき、こう話す。

「ダップルという毛色になるには、マール遺伝子を受け継がなければいけない。だがマール遺伝子を持った犬同士の交配では、死産や小眼球症、難聴になる個体が確認されている。ブリーダーは、はやりの毛色を追求するばかりではなく、まずは健康を求めてほしい」

■「人気犬種」が遺伝性疾患につながる

こうした状況について鹿児島大学共同獣医学部の大和修教授(獣医臨床遺伝学)は、人気5犬種(プードル、チワワ、ダックスフント、ポメラニアン、柴犬)だけで新規の血統書登録の6割以上(18年、ジャパンケネルクラブ調べ)を占めている現実に言及し、こう話す。

牧草地で走るプードル
写真=iStock.com/Krisztian Juhasz
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Krisztian Juhasz

「ある特定の犬種がマスメディアの報道で爆発的に流行し、短期間で可能な限り多くの個体を生産する努力が払われる。そんな土壌が遺伝性疾患を顕在化させ、新たに作りだす要因になっていると推測される」

犬や猫の遺伝性疾患がいかに罪深いものか、ある柴犬たちの事例にここで言及しなければならない。

2019年の冬から春にかけて、3匹の柴犬が次々と息を引き取った。17年9月生まれのきょうだい犬で、それぞれの飼い主に「さくら」「もみじ」「大福」と名付けられていた。

3匹の飼い主に面識はなく、全く別の場所で飼われていたが、最初の春を迎えたころ、3匹とも頭が小刻みに震えたり、少しの段差でもつまずいたりするようになった。一般的な血液検査などでは原因がわからず、MRI検査までしてやっと病名が判明した。柴犬で多く見られる遺伝性疾患「GM1ガングリオシドーシス」だった。

■「成長を楽しみにしていたのに悔しい」

生後半年ごろに発症する病気で、最初は歩き方に違和感が出る。次第に歩くのが困難になり、四肢がつっぱったようになって寝たきりに。多くが1歳半ごろには死んでしまう、致死性の不治の病。一方で人が意図的に交配の組み合わせを決めて繁殖する販売用の犬猫の場合、単一の原因遺伝子が特定されていて、検査方法が確立している遺伝性疾患であれば「予防」が可能だ。

血統書から、3匹は愛知県豊橋市の業者が繁殖した犬だとわかった。

19年1月、この繁殖業者を取材した。JR豊橋駅から車で30分ほど走った、住宅と畑が点在するなかに、その業者の犬舎はあった。平屋のプレハブ小屋に、柴犬ばかり数十匹が飼われていた。

40年以上にわたり繁殖業を営んできたという男性は「(遺伝性疾患の原因となる遺伝子を持っていると)わかっていれば交配に使わないが、そんなことは知らなかった。いい子が取れると、自分は自信を持ってかけた」と話した。3匹は、同じ母犬から生まれた別の3匹とあわせ、知人の繁殖業者を介して出荷したという。

さくらの飼い主だった中村江里佳さんがブログで病状を公表したことがきっかけで3匹の飼い主は知り合い、連絡を取り合った。中村さんは「大きくなったらドッグランで思いっきり走らせてあげようなどと想像し、成長を楽しみにしていた。悔しい」と言い、もみじの飼い主だった三原朋子さんは「家族として迎えた子が1歳半くらいまでしか生きられないと知った時は、たとえようもないほど悲しかった」と振り返る。

■遺伝子検査を積極的に進めていたのだが…

3匹を仕入れ、販売したのはペットショップチェーン大手のAHBだった。皮肉にも、同社は他チェーンに先駆けて繁殖に使われる親犬猫の遺伝子検査を積極的に進めていた。

繁殖業者が検査する際の料金を補助。原因遺伝子を持つ親を割り出し、遺伝性疾患が出ない組み合わせで交配するよう指導していた。川口雅章社長は言う。「親の検査が思うように進まないなかで、不幸な事態が起きた。本当に申し訳ない気持ちになった。流通・小売業者としての責任を果たすには、子犬・子猫を調べるしかないという結論に至った」

同社は、親の検査のために数億円規模の支出を続けて「(20年度時点で)ほぼすべての親の検査を終えた」(川口氏)一方で、19年3月、販売するすべての子犬・子猫の遺伝子検査を始めた。

診療所で犬の患者を診察する獣医師
写真=iStock.com/Krisztian Juhasz
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Krisztian Juhasz

犬は14疾患、猫は3疾患について検査。原因遺伝子を持っていても発症はしない子犬・子猫(キャリア)は、不妊・去勢手術を推奨したうえで原則として販売する。一方で発症の可能性がある子犬・子猫(アフェクテッド)が見つかった場合には販売せず、繁殖業者に返品することにした。

■「すべては人によるセレクションの結果だ」

なぜ、犬種や猫種に特有の遺伝性疾患が存在するのか。探っていくと、子犬や子猫を買い求める消費者の側にも問題があることが見えてくる。犬種や猫種に特有の遺伝性疾患が発生する背景には、人がそれぞれの犬種・猫種をインブリード(近親交配)しながら固定化してきた歴史がある。

たとえば犬の「変性性脊髄症(DM)」は、ウェルシュ・コーギーの約8割が原因遺伝子を持っていることで知られているが、その保有率は低いものの100以上の犬種で見られる。こうした多犬種に見られる疾患は、オオカミから犬に家畜化された初期のころに遺伝子の変異が起き、多くの犬種に受け継がれたと考えられる。

一方で柴犬以外では報告事例がほとんどない「GM1ガングリオシドーシス」は、柴犬という犬種を作った後に遺伝子変異が起きている。「すべては人によるセレクションの結果だ」と大和教授は言う。

「歴史」のなかに限った話ではない。現在進行形で、消費者の嗜好(しこう)が影響を与えもする。

前出の筒井敏彦・日本獣医生命科学大学名誉教授は、この数年で明らかに減らせている疾患があると指摘する一方で、「特定の犬種、猫種のブームが起きると、業者がその品種の数を増やすことに集中し、健康な子犬・子猫を繁殖するという原則から外れていく心配がある。無理に(発症はしないが原因遺伝子を持つ)キャリアの犬猫を繁殖に使うようなリスクも高まる」と話す。

■販売されているチワワの1~2%に発症リスクがある

犬では、プードルやチワワ、ダックスフントなど特定の犬種に人気が集中する状況が続いている。そのなかで、たとえばチワワでは最近になって、「神経セロイドリポフスチン症(NCL)」の発症事例が散見されるようになっているという。

ソファに横たわっている薄茶色のチワワ
写真=iStock.com/iiievgeniy
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/iiievgeniy

NCLは運動障害や視覚障害などの脳機能障害を起こして死ぬ疾患で、有効な治療法はない。これまではボーダーコリーで発症する事例が多かったが、繁殖業者側の対策が進み、ほとんどみられなくなっていた。

「チワワではキャリア率が1~2%になっていて、注視している。チワワの販売頭数でこの確率だと、原因遺伝子を持つチワワはかなりの頭数にのぼる。ブームで数多く繁殖することで、遺伝性疾患が顕在化しやすくなる事例の一つといえるだろう」(大和教授)

別の犬種・猫種の組み合わせから生まれたいわゆる「雑種」であれば、それぞれに特有の原因遺伝子を受け継いで発症するリスクは減るとされるが、予期せぬ遺伝性疾患が出たり、組み合わせによってはかえって深刻な結果を招いたりすることもある。

■遺伝リスクの高い「ハーフ種」も生み出されている

最近では様々な犬種・猫種をわざと掛け合わせ、一代限りの雑種を繁殖して「ハーフ」や「ミックス」と呼び、ペットショップなどが販売する事例も増えている。組み合わせによっては純血種よりも高値が付き、人気を集める。

だがたとえば、短足が人気のマンチカンと折れ耳が人気のスコティッシュフォールドの組み合わせについて、元日本大学教授の津曲(つまがり)茂久氏(獣医繁殖学)は「一番望ましくない交配だ」と断じる。マンチカンも軟骨無形成症という骨形成に問題が出る遺伝性疾患を持っており、骨軟骨異形成症を抱えるスコティッシュフォールドと組み合わせることで、より深刻な骨の病気を起こすリスクがあるという。

「繁殖業者や飼い主は、見た目のかわいさだけで犬猫を選択しないことが重要だ」(津曲氏)

津曲氏によると、英国や米国では、繁殖業者をたばねる血統登録団体が中心となり、親の遺伝子検査の結果をデータベース化するなどして対策を進めている。特に英国では犬について、疾患によっては、検査法が確立してから2~4年で12~86%、8~10年では約90%も原因遺伝子の保有率(変異率)が減っていて、「ブリーダーと飼い主の意識の高さがうかがえる」と話す。

■「かわいいペット」への需要が病気の根源に

解決策はやはり親の遺伝子検査ということになるわけだが、津曲氏は「日本では、減らせるはずのものがなかなか減らない。業者の意識も問題だが、買う側のニーズが最大のネックになっているのでは」と指摘する。

プールの浮き輪で遊ぶチワワとポメラニアン
写真=iStock.com/travelism
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繁殖業者は結局、「高く売れる犬猫」を「なるべく多く」繁殖しようという誘惑には、勝てないものなのだ。

大和教授もこう話す。「ブームを作り出す消費者の意識が、遺伝性疾患が増える根源となっている。消費者は自分の嗜好が市場を作りだし、犬猫の値を決めている自覚を持ってほしい。消費者が知識を持ってくれたら、事態は改善されていくはずだ」

一部のペットショップチェーンが子犬・子猫の生体管理に力を入れる一方、全体で見れば、ペットショップで犬や猫を買ったら病気にかかっていた――といったペットに関するトラブルはあとを絶たない。犬の推計飼育数が減っているとペット業界関係者が危惧するなかにもかかわらず、たとえば国民生活センターに寄せられる相談件数は高止まりしている。

「先天的な形成異常である頭部頸椎(けいつい)接合部奇形(CJA)と診断しました。水頭症、頭蓋骨形成不全、環椎軸椎(かんついじくつい)不安定症(AAI)などを併発していますが、治療のすべがない」

大学付属動物病院でそう獣医師から告げられ、東京都三鷹市に住む会社員の女性(35)は頭が真っ白になったという。2014年5月、大手ペットショップチェーンの店舗に何度も足を運んだ末、約30万円で購入した雌のチワワ。自宅に迎えてから、重大な先天性疾患が明らかになったのだ。

■ペットに関するトラブルは年間1千件を超える

2歳になっても、1日のほとんどをケージのなかで過ごさせるしかない。12時間おきに薬を飲ませる必要もある。治療費の負担は重い。ペットショップとの話し合いで「犬を返却していただき、購入額を返金します」と提案されたが断った。女性はこう話す。

「お金がほしいわけじゃない。病気の犬を繁殖させたり、売ったりしている業者がいることが許せない。犬にも命があるのに、そのことを軽く見られているのが悔しく、悲しい」

国民生活センターには15年度だけで、ペット店などで購入した動物に関する相談が前年度比5%増の1308件寄せられていた(16年5月15日集計)。その大部分が「買ったら病気にかかっていた」などペットの健康にまつわる内容だったという。

「年1千超という相談件数は、各種相談のなかで目立って多い。状況が改善されないまま、相談件数が高止まりしているのは問題だ。トラブルが減らないため、購入時に病気の有無や保障内容についてよく確認するよう呼びかけている」(国民生活センター相談情報部)

■愛猫を「鍋や皿のように扱った」ペットショップ

トラブルが訴訟に発展するケースもある。埼玉県本庄市の会社経営者の男性(61)は2014年12月、愛知県に本社を置き全国展開するペットショップチェーンを相手に、購入した猫に先天性疾患があったとして、治療費や慰謝料の支払いを求める訴訟を起こした。

近所のホームセンター内の店舗で、男性が雄のロシアンブルーを購入したのは14年7月。埼玉県川口市にある動物病院の院長名で出された「健康診断書」も一緒に受け取った。診断書は「耳(耳道内)」「心臓(聴診)」など13項目中12項目について「異常なし」とし、「陰睾(いんこう)」は「未確認」となっていた。

ところが「ぽんず」と名付けたその猫を購入した当日、近所の動物病院に連れて行くと「胸の中央部分が陥没している。獣医師であれば気付かないはずがない」と診断され、検査をして漏斗胸(ろうときよう)であることがわかった。漏斗胸は多くの場合が先天性。重症化すれば呼吸障害を起こす。

ペットショップの店長からは、「同じようなのでいいですよね。取り換えます」と言われた。男性は納得がいかず、チェーンの経営者に謝罪を求めると、役員から電話で「裁判してもらって構いません」と告げられた。男性はこう話す。

「家族として迎えた子を、この会社は、まるで鍋や皿のように考えている。経営者は謝罪もしない。そういう姿勢を直してほしいと思った」

■獣医の関わり方が形式的なものになっている

大阪府堺市に住む公務員の男性(44)の場合、同市のペットショップで購入した雌のパピヨンに、先天性の心臓病である動脈管開存症(PDA)が見つかった。特徴的な心雑音が発生するので、聴診だけでほぼ診断がつくとされる病気だ。

ペットショップ経営者は犬の販売価格など約10万円を返金し、「(提携している)動物病院が健康だというので販売した」と話した。男性がペット店から渡された同市の動物病院発行の「健康診断証明書」には確かに、「先天性疾患の有無」という項目も含め、すべてが正常であるとしていた。

男性は12年5月、動物病院を相手に手術費分など約50万円の賠償を求めて提訴した。「家族になった以上、何があっても一生面倒を見るのが当然。先天性疾患だからといって、見捨てることはできない。獣医師には誠実な対応をしてほしかった」と振り返る。

一審は勝訴したものの二審で逆転敗訴となり、最高裁に上告したが棄却された。判決では「ショップから依頼された獣医師が、子犬の心臓を注意深く聴診すべき注意義務を負うとはいえない」と告げられた。

動物関係の法律に詳しい細川敦史弁護士は言う。

「生体販売の現場において獣医師の関わり方が形式的なものになっている。13年9月に施行された改正動物愛護法で、獣医師の果たすべき役割はより重くなった。消費者保護のためにも、獣医師にはより高度な職業倫理が求められていいと考える」

診察台の上で聴診器でゴールデンレトリーバーを検査する女性獣医
写真=iStock.com/gorodenkoff
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/gorodenkoff

■「先天性疾患が多くて当然」という呆れた主張

そもそも、ペットショップなどで販売される犬猫に健康トラブルが減らないのはなぜなのか。前出の経営者の男性が訴えたペットショップチェーン側の弁護士は、準備書面で次のように主張していた。

▽被告には胸骨陥没という認識はなかった
▽健康診断において、獣医師から本件猫に異常はないと診断されており、獣医師でも見逃す場合がある先天性疾患を、被告従業員が判断するのは難しい
▽ペットショップではペットをゲージ内で飼育保管しており、ゲージ内での運動量に限りがあるため、被告従業員らが本件猫の呼吸促迫や喘鳴(ぜいめい)に気付かなかったとしても不思議ではない(原文ママ)
▽犬猫といった愛玩動物(特にペットショップで販売される犬猫種)は、人間の好み(都合)に合わせて小型化したり新種をつくるために交配合を繰り返し、また、突然変異種を純血種とするなど、人の手によって血統が維持・左右されていることから、人間によって出生が左右される血統種愛玩動物の宿命として、雑種よりも、先天性疾患を持つ個体が必然的に発生しやすい
▽ペット購入時にはわからなくても、先天性疾患に起因して購入後に個体が死んでしまったり、重篤な先天性疾患が見つかったりすることも希(まれ)ではない

つまり、ペットショップのショーケースのなかにいては確実な健康管理ができず、またそもそもペットショップで販売される犬猫には先天性疾患が多くて当たり前である、という趣旨の主張をしているのだ。

■まじめに健康管理を行っている会社はごく一部

前出の犬の遺伝病などを専門とする新庄動物病院の今本成樹院長はこう話す。

「健康な子犬や子猫を作るのがプロの仕事のはずなのに、現実には、見た目のかわいさだけを考えて先天性疾患のリスクが高まるような繁殖が行われている。大量に販売する現場では、簡単な健康チェックしかなされず、疾患を抱えた子がすり抜けてくる。そして、病気の子はあまり動かないので、ショップの店頭では『おとなしい子です』などという売り文句で積極的に販売される。消費者としては、様々な疾患が見つけやすくなる生後3カ月から半年くらいの子犬や子猫を買うことが、自己防衛につながるでしょう」

太田匡彦『猫を救うのは誰か』(朝日文庫)
太田匡彦『猫を救うのは誰か』(朝日文庫)

まじめに生体の健康管理を行っている会社は少なからずある。

ただ当然ながら、多くの獣医師を社員として雇用したり、いったんすべての子犬や子猫を1カ所に集めてから流通させたり、また繁殖業者に直接指導をして遺伝性疾患の発生を抑制したり、といった取り組みには、相応のコストがかかる。

そこまでのことができるペットショップチェーンは大手でも一部であり、またそもそも中小規模のペットショップになると、実態はなおさらずさんになりがちだ。販売する犬や猫の健康トラブルを起こすような業者が一定程度を占めているというのが、残念ながら、現実なのだ。

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太田 匡彦(おおた・まさひこ)
朝日新聞記者
同業他社を経て2001年朝日新聞社に入社。東京経済部で流通業界などの取材を担当した後、AERA編集部在籍中の08年に犬の殺処分問題の取材を始めた。専門記者として特別報道部に所属し、21年から文化部。著書に『犬を殺すのは誰か ペット流通の闇』(朝日文庫)、『「奴隷」になった犬、そして猫』(朝日新聞出版)、共著に『動物のいのちを考える』(朔北社)など。

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(朝日新聞記者 太田 匡彦)

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