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書類にメモを書き込んではいけない…いつもデスクが綺麗な人が心がける書類の「捨てる・残す」のシンプルな基準

プレジデントオンライン / 2024年10月8日 17時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PeopleImages

捨てるに捨てきれない書類はどのように整理すればいいのか。コクヨコーポレートコミュニケーション室長の下地寛也さんは「我が家では4人の娘の洋服がいっこうに片付かないことが長年の課題だったが、ある方法でキレイに整理できるようになった。これは書類整理にも応用できる」という――。

※本稿は、下地寛也『「しやすい」の作りかた』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

■口うるさく言っても片づかない「子どもの洋服」

6人家族の我が家の場合、何と言っても困るのが増え続ける「洋服」である。それほどオシャレにこだわる娘たちではないが、それでも中学、高校と進むにつれてサイズが大きく、量も多くなっていく。

しかも少し年の離れた四女がいるために、お姉ちゃんたちが着られなくなった服でも“オサガリ”のために取っておく習慣がある。

子供たちに「片づけなさい」と口うるさく言っても片づかない。洋服ダンスの上には積みっぱなしの服が増えていく一方で、リビングにはつねに誰かの服が置きっぱなし。「整理しにくい」「片づきにくい」状態がずっと続いていた。

毎日それを片づける親の立場からすれば、深刻な問題だ。そこで、夫婦で解決策を話し合うことにした。その結果見えてきたのは、2つの問題点だった。

問題1 洋服(もの)の量が収納(ハコ)の容量と比べて多く、スペースに余裕がないこと
問題2 どんどん増えていく洋服(もの)に対して、捨てる基準がないこと

■「とりあえず戻す用」の収納ボックスを買ったが…

まずひとつ目の問題。子供たちに「片づけなさい」と言ってはいたものの、そもそも収納する洋服(もの)の量がタンスや収納ボックス(ハコ)の容量より多いのではないかということに気がついた。「ものの量」>「ハコの容量」なのだから、片づくはずがない。

ギューギュー押し込めば入れられなくもないだろう。ところが、それでは「取り出しにくい」し、ましてや「整理しにくい」。少なくとも整理するためのバッファー(余分)スペースがない状態である。余裕がないと入れるのが億劫(おっくう)になり、よく使う服ほどタンスの上に置きっぱなしになる。どんどん積み上がる。片づけるのが面倒になる。この悪循環が続いていたのだ。

そこで妻と相談して、引き出しが5つある「収納ボックス」を2つ購入した。するとどうだろう。洋服がリビングに置きっぱなしになることはピタッとなくなった。どの引き出しを誰が使うかだけを決めて、「とりあえず引き出しに戻す」というルールを作るだけで、ものが「片づけやすい」のだとみんなが実感した。

自分の収納場所さえ明確ならば、中身はそれほどキレイに整理しなくても、探すのには困らない。必要なのはバッファーのスペースを維持することだったのだ。

■我が家が決めた「1軍、2軍、3軍」とは?

ところが、1年もすると再び洋服ダンスの上に物が置かれ始め、リビングも散らかりだした。1年もたつと、それなりに服を買うし、知人からオサガリの服ももらってくる。

それに比べて捨てる服は多くない。5着買えば、5着捨てなければ当然総量は増えていくが、そう簡単には捨てられない。そこでものの増殖問題を何とかしなければならなくなった。「捨てる基準」をどう作るべきか?

とは言え、よくある「いる、いらない」「使える、使えない」で分ける方法では、またすぐに散らかり始めることは想像がつく。世の中の多くの人たちがその方法を実践して、すぐにリバウンドしているからだ。

無理なく、自然に「捨てやすい」基準を考えないといけない。そこで注目したのが、洋服の「ジャンル」だった。

通常、棚の中は洋服のジャンル別に分けられている。確かに探しやすいというメリットはあるが、ほとんど着ないセーターとよく着るセーターが同じ棚に入ってゴチャゴチャになる。

こうなると洋服ダンスのあちこちに「捨てる候補」の服が分散してしまうため、「捨てる服」が明確にならない。

そこで、シャツやセーター、スカート、コートなどを洋服ダンスの中で「1軍、2軍、3軍」に分けてみたのだ。それぞれのすみ分けはこうだ。

1軍 気に入っていていつも着る服
2軍 気に入ってはいないが、たまに着る服
3軍 ほぼ着ないけれど、捨てるには「モッタイナイ」と思う服

■「段ボール箱行き」をわざわざ作る理由

もちろん3軍にも入らない服は、捨てるか寄付するか、リサイクルショップに持っていくなどする。

1軍は、洋服ダンスの一番取りやすい場所に。

2軍は、洋服ダンスのそれ以外の場所に。

3軍は、段ボール箱に入れる。

段ボール箱に入れた時点で、どうせ捨てるのだから意味がないのではないか、と思われた人もいるかもしれない。しかし、そうではない。この3軍を作ることこそが、ポイントになった。

何事も捨ててしまうのは勇気がいる。パソコンのデスクトップにあるファイルを「ごみ箱」に入れても、完全に削除したことにはならない。だからこそ気軽にごみ箱に移動させられる。ここに入れたのはほとんど必要ないものだが、たまに救出するものがある。

3軍の段ボール箱はパソコンの「ごみ箱」と同じだ。一旦そこに格納しておき、半年や1年着ることがなければ、メルカリに出すかリサイクルショップに持っていけばいいのだ。補足しておくと、女性は男性よりも、普段着以外に「結婚式」や「フォーマルな場」で着る服が多くある。そういったイベント用の服は別扱いで保管しておくといいだろう。

■「モッタイナイ」をなくせば整理しやすい環境ができる

こうして「即捨て」「モッタイナイ」のプレッシャーから解放された娘たちは、勢いよく3軍の段ボール箱に服を投げ込むようになった。

その結果、我が家の服が溢れる問題は解決。洋服ダンスには適度なバッファーのスペースを維持しながら、つねに「整理しやすい」環境を作ることができた。

洋服は「ジャンルごとに分ける」という常識を疑い、「1軍、2軍、3軍」という別の発想で分けることで、「整理しやすく、片づけやすい」という目的を達成したわけだ。

さまざまな服がしまわれたワードローブ
写真=iStock.com/Giselleflissak
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Giselleflissak

ひとつだけ注意点があるとすると、リバウンドをしないためには親が責任をもって、洋服の「2軍、3軍行き会議」を子供としたほうがよいということだ。子供はすべて1軍に残したがる。我が家では、半年に一度の衣替えの時期に勇気をもって、「最近、この服あまり着ていないんじゃない?」と聞くようにしている。

■「デスクに山積みの書類」はどうすればいい?

「仕事場のデスクが片づかない」という悩みを抱えている人は多い。じつはこれも、先ほど説明した「服の片づけ」とほぼ同じやり方で解決できる。

散らかっている人の机には、書類や資料がうずたかく積まれていて、下手をすると書類が雪山のようになっていて雪崩(なだれ)が起きるのではないかと心配になる。机上面のほとんどが物置と化しており、作業スペースがちんまりとあるだけだ。

デジタル化が進むとおのずとペーパーレス化も進み、机の上がスッキリするのではないかと20年前は思ったが、まだまだ紙の便利さは無くしがたい。

「コクヨさんはほとんどペーパーレス化されているんですか?」と聞かれることもあるが、たしかに減っては来ているが、当分の間ゼロにはならないだろう。

私はかつて研究部門にいたときに、デスクの机上面がどのように使われているのかを調べたことがある。

標準的なデスクサイズは幅120~140センチ、奥行70センチ程度。パソコンはデスク中央に置かれていて、その前にA4用紙を置くスペース(幅80センチ程度。ここがワークスペース)があり、これを見ながらキーボードを叩(たた)くというスタイルが多い。

パソコンの左右はものを置くスペース。左手で取ることの多い電話は左側に、右手で書く書類、メモなどは右側に置く人が多かった。

■「フロー書類」と「ストック書類」に分ける

以前の調査では、ひとり当たりの紙を積み上げると、なんと4メートルほどになった。新型コロナウイルスの感染拡大による「在宅ワーク」が増えて、書類のデジタル化が随分と進んだと思うが、それでも2~3メートルはあるのではないかと思う。

書類やメモが乱雑に置かれたデスク
写真=iStock.com/SilviaJansen
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/SilviaJansen

会議ではまだまだ書類が配られるし、提出書類も紙のものが多い。そういった書類(もの)を「机上面」と「引き出し」と「収納庫」というハコに分けて入れている。ちなみに机の引き出しには、一段目は「文房具」、二段目は「私物」が入っていることが多く、「書類」の収納として有効なのは三段目だけだ。

さてこういった、デスクの上の書類はどう分ければ「整理しやすい」になるのだろうか。

書類は「フロー書類」と「ストック書類」の2つに分けられる。「フロー書類」とは、日々の仕事で使って「不用になったら捨てる書類」。たとえば、会議資料や提案書などである。「ストック書類」とは、経理の帳票や営業上の契約書類などの「めったに見ないが長期保管している書類」だ。

「ストック書類」については電子ファイリングなどのしくみが浸透しつつあるが、契約書など当面はバインダーに綴じておくことも多いだろう。これらは、保管期間が定められていたり、取引先とのトラブルを避けるために保管したりするので、個人の判断で勝手に捨てるわけにはいかない。

そのため、日常的な会議資料や連絡資料などの「フロー書類」をどのように分けるかが、机の上を片づけやすくする最大のポイントになるわけだ。

■こうすれば書類の9割は「捨てやすい」

日々手元に舞い込んでくる「フロー書類」は、どうすれば上手に片づけることができるのか。

結論から言うと、これらの書類を整理するには「捨てられるものを分ける」から「残すものを分ける」への思考の転換が必要になる。

誰かから渡された書類の中から、「捨てられるもの」を探してはいけない。「残すもの」だけを厳選して分けるべきだ。そうすれば、渡された書類の9割はすぐに捨てられる。

まず、フロー書類を3つに分ける。

1、使う
2、使わない
3、使うかわからない

一般的に、手元の書類は「使う」か「使わない」かで分けようとすることが多い。しかし、「もしかしたら使うかも」「あとあと必要になるかも」という書類ほど捨てにくいものだ。

だからこそ、この段階では3つ目の「使うかわからない」を残しておく。賢明な読者の方なら、もうお気づきだろう。前項の服の片づけでお伝えした「3軍」にあたるものが、ここで言う「使うかわからない」だ。

■書類に直接メモを書きこまない

ひとつ目の「使う」は、私の場合は「1週間以内」にその書類を見ながら上司への報告メールを打ったり、自分の仕事の参考資料とするものをさす。「使う」というより「すぐ使う」に近いだろう。「すぐ」が1週間なのか、ひと月なのかは、人それぞれ仕事の内容にもよる。自分なりのルールを決めておけばいいだろう。

「使う」を少なくするコツをひとつ伝授しよう。それは会議や打合せで配られた書類に直接メモを書かないことだ。配布された書類は電子データで再びもらえばいいが、そこで自分が書いたメモを無くすと困るかもしれないという心理が働く。

できるだけノートかパソコンでメモを取るようにして書類には書かないようにする。どうしても書類にメモを書いてしまった場合は、その部分だけスマホで写真を撮っておく。そうすると「使う」という選択をしなくて済む書類が増えるだろう。

2つ目の「使わない」書類は説明不要だろう。これはもちろん即シュレッダーかごみ箱行きにしてほしい。

問題は3つ目の「使うかわからない」書類だ。私は、これを入れるために「一時保管場所」という名の大きめの箱を用意しておき、特に整理することもなく放り込むようにしている。

■迷ったら「一時保管場所」に放り込めばいい

このときのポイントは、書類の目立つところに「日付」を書いておくことだ。ここには、パソコンのデスクトップ上にある「ごみ箱」と同じような感覚で入れる。「たぶんいらないけれど、まだ削除はしない」といったところだ。これなら、まだ捨てるわけではないので、迷いなく書類を入れられる。

下地寛也『「しやすい」の作りかた』(サンマーク出版)
下地寛也『「しやすい」の作りかた』(サンマーク出版)

この「一時保管場所」には2カ月ほど入れておく。すると、底のほうには「もう捨ててもいい」書類が溜まっていく。そうなれば迷わずシュレッダー行きだ。この「一時」が2カ月なのか、半年なのかも人それぞれだろう。

仮に、その中に入れた書類のどれかが急に必要になったとする。その場合は、渡されたであろう日を手帳などで確認してから、「一時保管場所」の中から探すといい。あらかじめ書類の目立つところに日付さえ書いておけば、上から順に新しい日付になっている箱の中を探すのはそんなに大変ではないだろう。

服を片づけるときの「3軍」、書類を片づけるときの「使うかわからない」に入るものは、いずれも「将来もしかしたら使うかもしれない」という心理によって“すぐには”捨てられないことがほとんどだ。

それなら、まず「一時保管場所」に放り込んでおき、捨てる前の助走レーンを作る。そしてあらかじめ定めた期限が来たら、いよいよ捨てるのだ。これなら不安な気持ちを持つことなく捨てやすくなるだろう。

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下地 寛也(しもじ・かんや)
コクヨワークスタイルコンサルタント、エスケイブレイン代表
1969 年神戸市生まれ。1992年文房具・オフィス家具メーカーのコクヨに入社。顧客向け研修サービス、働き方改革コンサルティングサービスの企画など数多くのプロジェクトマネジメント業務に従事。現在はコーポレートコミュニケーション室の室長としてコクヨグループのブランド戦略や組織風土改革の推進に取り組んでいる。同時に新しい働き方を模索して複業ワーカー(エスケイブレイン代表)としてのビジネススキルに関するセミナーや講演、YouTube 動画配信などの活動も積極的に行っている。著書に『考える人のメモの技術』(ダイヤモンド社)、『プレゼンの語彙力』(KADOKAWA)、『一発OK が出る資料 簡単につくるコツ』(三笠書房)などがある。

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(コクヨワークスタイルコンサルタント、エスケイブレイン代表 下地 寛也)

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