「キリがいいところまで」問題を解くと逆に成績が下がる…「もっと勉強したい」とスイッチが入るシンプルな方法
プレジデントオンライン / 2024年10月6日 8時15分
※本稿は、こーずぶろぐ『マジカル勉強脳 1日ブッ通しで机に向かえる超絶スタディハック』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■「もっと勉強したい…」と思ってしまう心理現象
人間は、完了できたことよりも、達成できなかったことや途中で終わっていることのほうが、記憶に残っているという性質があります。「読みかけの小説の続きが気になって頭から離れない」といった経験、ありますよね。
これを「ツァイガルニク効果」と言います。広告やテレビ番組でよく使われる「続きはWebで!」「結果はCMの後で!」なんていう煽り文句も、ツァイガルニク効果を利用したものです。
これを活用することで、脳は「勉強したくなる」状態にどんどん近づきます。たとえば、1単元が10ページのテキストがあるとしたら、1時間でまとめて1単元終わらせようという計画を立てる人が多いのではないでしょうか。
ツァイガルニク効果を活用する場合は、完全に時間ベースでコントロールします。1時間その単元を勉強すると決めて、その1時間のうちに8ページしか終わらなかったら、そこで勉強を中断するのです。
おそらくこのときとても収まりの悪い、ソワソワする状況になると思います。そのソワソワが、次に勉強に取り掛かるためのモチベーションになるのです。
このテクニックを活用するには、3つコツがあるので順番に紹介します。
■「ツァイガルニク効果」を活用するコツ3つ
1つ目は、どこかで勉強を中断したら、なるべく早めに再開することです。
ツァイガルニク効果は、どちらかといえば短期間に効果を発揮するもの。中断から再開までにあまりにも時間が空いてしまうと、「どこまでやったか」が思い出せなくなり、効率が低下してしまいます。
2つ目は、中断した箇所に簡単なメモを入れておくことです。1つ目の内容にも関連しますが、やはり少し時間を空ける分、「前回やっていた内容を思い出す」という工程が発生します。
ここにかかる労力を最小限に抑え、次回スムーズに再開できる準備をしておくと良いでしょう。ただし、それほど丁寧に対応する必要はなく、次のようにざっくり記録しておけば十分です。
・どこまで進めたか、記号や付箋などでわかりやすく記録する
・中断する前に勉強していた内容を簡潔にまとめておく
・次回やるべきことを、ToDoリストに書いておく
そして3つ目、勉強する内容すべてでツァイガルニク効果を活用しようと思わないことです。
ツァイガルニク効果が生じている状況は言い換えれば、「未完了のタスクが山積みになっている状況」。「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」と気になることを増やしているのと同じです。
だからあまりやりすぎると、かえって集中力やモチベーションが低下してしまいます。ツァイガルニク効果を使うのはせいぜい、1日に1~2科目程度にとどめておくことをおすすめします。
■「作業興奮」を引き起こすスイッチを決めておく
人間には、作業興奮というシステムが備わっています。とある作業を始めると、心理的な興奮ややる気が生じるようにできているのです。
この興奮のきっかけとなるのが、指先や視覚から受ける刺激です。その刺激が脳に達すると、「側坐核」という部分がアセチルコリンという物質を多く分泌し、集中力を高めてくれます。
めちゃくちゃやる気が出なかったけれど、いざ始めてみれば何時間も集中して作業できてしまった、という経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
これも、作業興奮が関わっていると考えられるでしょう。
勉強においても、この作業興奮が活用できます。特に、机に向かうモチベーションが低いときは大いに貢献してくれます。
ここでは作業興奮を引き起こすためのトリガーを、いくつか紹介しておきます。
・テキストを開いてみる
・ペンを持ってToDoリストを振り返ってみる
・スマホを机の引き出しの中にしまってみる
・パソコンで開いていたブラウザを閉じてみる
コツは、やる気がなくてもやれそうな、とても小さな作業を設定すること。スマホやパソコンの例のように、だらけてしまう習慣を断ち切るような作業は特におすすめです。
体の動作は作業興奮を引き起こすきっかけになりやすいので、意識して組み込んでみてください。
■選択肢を減らして脳を疲れさせない
かのスティーブ・ジョブズは、毎日黒のタートルネックを着ていました。これは、毎日の服装に悩むことなく、その時間とエネルギーを他の重要な決定に集中させることができるという考え方に基づいています。
これは、勉強にも活かせると私は考えています。
着るもの/食べるもの/飲むもの/行く場所/使う道具/今日やること……、こうしたものをある程度パターン化し、選ぶことにかかるエネルギーを少なくすれば、勉強に充てられるエネルギーが増えるでしょう。
選択が脳の負担になるということは、科学的にも証明されています。コロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授の研究によると、「選択肢の数が多いほど、一度の選択で脳が消耗するエネルギーは多くなる」そうです。
この実験では、あるスーパーマーケットでジャムの試食を、ある日は24種類、またある日は6種類だけ用意し、どちらの購買率が高いのかを調査しています。
その結果、24種類用意した日の購買率はわずか3%でしたが、6種類だけ用意したときに訪れた客の購買率は実に30%に上りました。
あれこれ選べたほうがよさそうなものなのに、不思議ですよね。ですが、結果的に多すぎる選択肢は、かえって人々の選択や行動の意欲を削ぐということが読み取れます。
■集中力を高める「前頭葉」の鍛え方
前頭葉は、人間の大脳の3分の1を占める部位で、感情や思考をコントロールする役割を担っています。また、視覚や聴覚などを通じて得られる様々な情報から、「どのように行動すべきか」を判断する役割もあります。
そして、人間の集中力を司っているのもこの前頭葉。つまり、選択を繰り返す行動は、前頭葉を疲れさせ集中力を削っていくことと同義です。
一方で、この前頭葉は鍛えられると言われています。
トレーニングとしては、「無意識に行っていることに気付き、それをやめること」が効果的。
普段は惰性(無意識)で行っていることに気付き、それを「これじゃダメだ!」と意識すると、前頭葉が鍛えられてより集中しやすくなるのです。
たとえば次のようなことを積極的にやってみてください。
・つい、猫背になったり片足重心で立ったりしてしまう
・つい、ダラダラとスマホを触ってしまう
・つい、同じ腕で荷物を持ってしまう
こうした無意識レベルでの行動は、いざ「やめよう」と思うと、かなり集中力を使います。「気付く」という工程で前頭葉が刺激され、さらにその行動を「やめようとする」ことも刺激になります。
このような小さな意識の変化の積み重ねが、前頭葉を鍛え、集中力を高めることにつながります。
日常的な選択を減らして前頭葉の無駄なエネルギー消耗を抑えつつ、新しい刺激を与えて意識的に行動を変化させる。この両輪の訓練によって、集中力を鍛えましょう。
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1997年生まれ。現役薬剤師。大学在学中より、勉強を頑張っていきたい人と共に高め合いながら成長したいと考え、YouTubeチャンネルを開設。2024年5月現在、登録者数6.85万人を突破。在職中にもかかわらず、平日・休日問わずストイックに勉強する姿が、モチベーションにつながると好感を得ている。勉強に目覚めたのは高校生のとき。入学時より推薦枠をとるため、計画的に勉強し、成績は常に学年上位をキープ。大学在学~就職後も薬剤師国家試験やファイナンシャルプランナーなどに合格、狙った資格は確実に取得している。
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(勉強系YouTuber こーずぶろぐ)
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