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「とても」を「ゾクゾク」に言い換えられるか…ネット記事があふれる時代にバズるタイトル4つの推敲ポイント

プレジデントオンライン / 2024年10月12日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Istockexstock

タイトルを推敲するときのポイントは何か。『超タイトル大全 文章のポイントを短く、わかりやすく伝える「要約力」が身につく』(プレジデント社)を上梓した東香名子さんは「文字のバランスや重複表現に気を配るなど、バズるタイトルには推敲の鉄則がある」という――。

■瞬時に意味がつかめるように作る

タイトルは、一度読んだだけで理解できるように作るのが鉄則です。

内容だけではなく、漢字とひらがななどの文字バランスを整えることも大切になってきます。

たとえば、こんなタイトルだとどうでしょうか。

NG例
一体何故携帯電話店店員は得をするのか

漢字が続いていて読みづらいですよね。一度さっと見ただけでは、内容がつかみづらいのではないでしょうか。2~3回ゆっくり読んでようやく「ああ、そういうことか」とわかります。そうです、ここでの主語は「携帯電話店店員」です。

このように、パッと見て内容がわからなければ、人の心をつかむことはできません。

読みづらさの原因は、漢字が連続していることによります。瞬時に意味がつかめるように、文字のバランスも考えましょう。

■「漢字3:ひらがな7」が理想的

とくに、漢字とひらがなのバランスは重要です。

誰にでも読みやすい理想的な配分は、「漢字3:ひらがな7」であると言われています。

早速、先ほど紹介したタイトルの漢字とひらがなのバランスを取ってみましょう。まず「何故」をひらがなにします。次に「携帯電話店店員」に「の」を入れましょう。

OK例
一体なぜ携帯電話店の店員は得をするのか

これで読みやすくなりましたね。

さらに印象づけるために、カタカナも使ってみましょう。「携帯電話店」を「携帯電話ショップ」に変えてみます。

OK例
一体なぜ携帯電話ショップの店員は得をするのか

さらに読みやすくなりました。漢字・ひらがな・カタカナのバランスを整えることで、一気に読みやすく、かつ印象深いタイトルを作ることができます。

漢字が増えるとより堅く、ひらがなが増えるとよりソフトに、カタカナが増えるとよりポップな印象になります。ターゲットとなる読者に合わせてバランスを考慮するのがいいでしょう。

■「ぜいにく言葉」をダイエット

タイトルは読みやすく、シンプルなものを目指しましょう。

だらだらと続き、何が言いたいのかよくわからないタイトルは、読者にスルーされてしまいます。

たとえば次の例をご覧ください。

NG例
毎日が楽しいと思えるようになる習慣

なんとなくダラダラしている印象がありますね。「楽しいと思える」は、まどろっこしい表現です。シンプルに「楽しくなる」と書くだけで十分伝わります。

OK例
毎日が楽しくなる習慣

このように余分な言葉を取り除き、スリムな表現を目指しましょう。

書かなくても伝わる余分な言葉を、私は「ぜいにく言葉」と呼んでいます。運動しないとお腹周りなどに蓄積する憎き脂肪のようなものです。余分なぜいにく言葉を取り除き、表現のダイエットに励んでください。

伝えたいことをより短い文字数で伝えることができないか、検討してみるのです。不要な形容詞や副詞が含まれていないかどうかも確認しましょう。文字数が減った分、新しい言葉や情報を追加することで、読者へのアピール力が高まります。

人の頭に電球が描かれたパズル
写真=iStock.com/tadamichi
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/tadamichi

参考までに、削ったほうがスッキリ見える言葉を次に紹介します。

・強調の意味を持つ副詞……とても、非常に、きわめて など
・接続詞……一方、なぜなら、でも など
・ぜいにく言葉……~~するようになる(「~~する」に短縮可能)、~~という、~~といった、~~することができる(「~~できる」に短縮可能) など

■比喩や擬態語でパワーアップ!

そのうえで、次のタイトル例をご覧ください。

NG例
とても素晴らしい景色を楽しめる店4選

この場合、どの部分にメスを入れるといいでしょうか。

「とても」があると冗長な印象を受けるので、カットしてもいいでしょう。「とても」は強調の意味を持つ副詞ですが、少し曖昧な印象があり、読者がクリックする決定打にはなりません。思い切って使わないほうが、簡潔に伝わります。

同じような理由から、「非常に」「きわめて」などの言葉もカットを検討しましょう。そうした強調表現よりも、たとえ表現(比喩)や擬音語・擬態語を駆使してみてください。より印象的で、読者の心に訴えかけることができます。

OK例
1 涙が出るほど素晴らしい景色を楽しめる店4選
2 ゾクゾクするほど素晴らしい景色を楽しめる店4選

1は比喩を使い、「涙が出るほど」という表現にしました。

2では「ゾクゾクする」という擬態語を使っています。

単に「とても」という強調表現を使うよりも、より深い表現にパワーアップさせることができるでしょう。

もちろん、内容によっては、形容詞や副詞が適切である場合もあります。より読者にアピールできる表現を追求し、タイトルをブラッシュアップしていきましょう。

■タイトルに重複表現は禁物

ほかにも、重複表現があると字数がムダに浪費されてしまいます。タイトルに字数制限を設けているメディアも多いためです。タイトルに2回以上同じ言葉が出てきてはいけません。必ずチェックしましょう。

たとえば次のようなタイトルです。

NG例
結婚したい人必見! 結婚できる男女の特徴

タイトルの中に、「結婚」の文字が2回出てくることにお気づきでしょうか。これが重複表現です。タイトルに同じ言葉があると、冗長でやや稚拙な印象を与えてしまいます。

「同じ言葉を使えば強調できる」と思う人もいるかもしれませんが、逆効果です。2回出てくる「結婚」のどちらかを別の表現に変えられないか、検討しましょう。

■「結婚したい人」をどう言い換える?

先ほどの例にある「結婚」という言葉を言い換えて、改善してみましょう。

たとえば、「結婚したい人」を「婚活中」という言葉に変えてみるのはどうでしょうか。

NG例
結婚したい人必見! 結婚できる男女の特徴


OK例
婚活中の人必見! 結婚できる男女の特徴

または、「結婚できる男女」を「生涯の伴侶に出会った男女」としてみます。

OK例
結婚したい人必見! 生涯の伴侶に出会った男女の特徴

こんなふうに、同じ意味を持つ言葉でも、表現を変えるだけで一気に魅力的なタイトルとなります。

くり返しになりますが、タイトルの文字数には制約があるため、記事の魅力を効率的に、かつ最大限に伝える必要があります。重複表現があるだけで、大切なメッセージや魅力的な要素が埋もれてしまう恐れが出てくるからです。それらをカットして、新しい言葉・情報を加えましょう。より深いタイトル表現となり、多くの読者にアプローチできるようになります。

良い表現が思いつかないときは「類語辞典」がおすすめです。

開いている本
画像=iStock.com/Alexey Yaremenko
※画像はイメージです - 画像=iStock.com/Alexey Yaremenko

類語辞典とは、同じような意味を持つ言葉をまとめた辞典です。筆者は、オンライン上で使える「Weblio 類語辞典」を愛用しています。検索窓に調べたい言葉を入力すると、さまざまな言い換え表現を一覧で示してくれます。あるいは、ChatGPTも有効です(詳細は次ページを参照)。

タイトルを考えるときは、こうした強力なツールも味方につけましょう。

■対話式AIの類語力に納得

一歩進んだ文章表現をするために、「類語」の活用は必要不可欠です。同じ意味の言葉でも、さまざまな言い方を駆使することで、表現力を深めることができます。

たとえば、「簡単」という言葉を「朝飯前」に言い換えるだけで、気の利いた表現だと読者に印象づけることができます。

前のページで、言い換え表現を見つけたいときは「類語辞典」が有効であると書きました。最近では、ChatGPTなどの生成AIが、類語のアイデアをたくさん出してくれます。これらをうまく活用することで、硬軟織り交ぜた、さまざまなニュアンスを持つ言葉を見つけることができます。

「重要」という言葉を例にとりましょう。

ChatGPTのウェブサイトを開き、「ChatGPTにメッセージを送信する」の部分に「『重要』という言葉の類語を10個出してください」と入力してみます(ChatGPTをはじめとする対話式のAIシステムに指示や質問を入力することを「プロンプト」と言います)。

すると、次のような結果が出てきました(以下に紹介するChatGPTの検索結果は、書籍執筆当時のものになります)。

類語例
大切 重大 必要 本質的 肝要 欠かせない 不可欠 基本的 意義深い 決定的

「どれも納得!」「その手があったか!」と膝を打ったのではないでしょうか。こうした言葉をどうタイトルに生かせるかと思うと、ワクワクしますね。それぞれの言葉が持つ微妙なニュアンスを駆使して、表現の幅を広げていきましょう。

■ChatGPTは強力なパートナー

もう一つ、「流行っている」という言葉の類語も探してみます。

先ほどと同じように、「『流行っている』という言葉の類語を10個出してください」と入力してみましょう。すると、次のように、ポップなカタカナ語を交えた、幅広い表現を提案してくれました。

類語例
人気がある ブーム トレンド ヒットしている 盛り上がっている 流行中 話題沸騰 注目されている 旬 流行真っ只中

これで10通りのタイトルが作成できることになります。

ただ単に「流行っている」という言葉ばかり使うのではなく、色々な類語を意識して使うことで、ライティングの質をグイグイ上昇させることができます。

東香名子『超タイトル大全 文章のポイントを短く、わかりやすく伝える「要約力」が身につく』(プレジデント社)
東香名子『超タイトル大全 文章のポイントを短く、わかりやすく伝える「要約力」が身につく』(プレジデント社)

また、AIを用いることで、自分では思いつかなかった表現やアイデアに出会うことができます。あなたのクリエイティブな世界が広がり、今まで考えつかなかった新しい視点からアプローチできるようになるでしょう。ChatGPTは単なるライティング補助ツールではなく、書いて表現するプロセスに欠かせない、強力なパートナーの一つです。

空いた時間で、気になる言葉やよく使う言葉の類語をChatGPTに聞いてみましょう。たくさん利用して、仲良くなることです。もちろん、類語辞典のほうが使いやすいという方は、そちらを活用してもOKです。

身近なツールを使いこなして、さらに魅力的なタイトルをどんどん生み出していきましょう。

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東 香名子(あずま・かなこ)
コラムニスト
鉄道コラムニスト。メディアコンサルタント。外資系企業、編集プロダクション、女性サイト編集長を経て現在フリー。編集長時代、月間アクセス数を650倍に伸ばす。All About旅行ガイド。メディア出演多数。著書に『超ライティング大全ー「バズる記事」にはこの1冊さえあればいい』ほか。

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(コラムニスト 東 香名子)

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