1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

白米なのに「瘦せ成分」がたっぷり含まれている…ダイエットには「おにぎり」が最強である科学的理由

プレジデントオンライン / 2024年10月18日 18時15分

玄米は生活習慣病を抑制する(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/sakai000

「ご飯を食べると太る」と考える人は多い。白米を食べながら健康を維持する方法はあるのか。米・食味鑑定士の芦垣裕さんの書籍『米ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)より、「ダイエットに効くご飯の食べ方」をお届けする――。

■玄米は生活習慣病を抑制する

健康のために食べるお米と言えば「玄米」と思われる方は多いと思います。

また、お米に雑穀を混ぜる雑穀ごはんも人気があります。

玄米はビタミンやミネラルや食物繊維が豊富で、雑穀を混ぜると抗酸化作用があるポリフェノールなども含まれるようになります。

栄養価もあり、生活習慣病などの抑制効果もあると言われています。

■「高アミロース米」は血糖値の上昇を抑える

ただ、健康に良いお米は、何も玄米や雑穀米だけではありません。最近では身体に良い、様々な機能性を持ったお米が続々と誕生してきています。

例えば、血糖値の上昇を抑えることが期待されるお米があります。血糖値といえば、糖尿病との関係が密接です。

糖尿病の食事療法米として今注目されているのは、「高アミロース米」という品種で、アミロースの含有率が27%以上のお米です。

アミロースはデンプンの一種で、多いと粘りが少なくなります。よって、高アミロース米を炊くとインディカ米のようにパラパラとしてカレーやチャーハンなどに向くお米になります。

その品種には、「雪の穂」「夢十色」「越のかおり」などがあり、「難消化でんぷん」とも言われるレジスタントスターチを多く含んでおり、これによって糖の吸収が抑えられることが期待されています。

■ビタミンB1が4倍、抗酸化作用を持つビタミンEが5倍

また、玄米は身体に良いとわかっていつつも、なかなか食べにくいという方には、糠を取り除いた「胚芽米」もおすすめです。

胚芽米は、お米の芽が出てくる部分である胚芽を8割以上残したお米で、白米との比較でビタミンB1が4倍、抗酸化作用を持つビタミンEが5倍、食物繊維が3倍含まれるといわれます。

さらに、血圧を下げたり、ストレスを緩和したりする効果があるといわれる「GABA」も含まれています。

発芽米には「GABA」も含まれている
写真=iStock.com/bonchan
発芽米には「GABA」も含まれている(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/bonchan

■さらに高度にした「金芽米」

さらに、胚芽米をさらに高度にした「金芽米」というお米も注目されています。

金芽米とは、特別な精米方法により、3割以上のお米の金芽を残すとともに、すべての亜糊粉層(あこふんそう)を残したお米のことです。

金芽とは、胚芽から舌触りの良くない「幼芽」や「幼根」を取り除いた胚芽の基底部のことで「胚盤」ともいいます。金芽には、ビタミンB1やビタミンEが豊富に含まれています。

亜糊粉層とは、通常の白米になる部分と糠の間にあるミクロン単位の非常に薄い層で、お米のうま味の素となるオリゴ糖類や食物繊維などを多く含んでいます。

また、この「金芽米」への精米に向く品種として「きんのめぐみ」が開発されています。

■昔のお米を食べていた日本人は今より体力があった

健康のために、日本人が昔食べていたお米にも注目すると良いのではないかと考えています。

江戸時代以前に日本人が食べていたお米は、精米技術も悪く、ほとんどが白米ではなかったと言われています。

しかし、そのようなお米を食べていた頃は、今のような生活習慣病もほとんどなく、体力もあったのではないかと言われているのです。

織田信長が本能寺の変で襲撃された時、豊臣秀吉の大軍勢は6日で約200kmの道のりを引き返す、世にいう「中国大返し」を行いました。これができた背景には、その当時食べていたお米にも理由があるのではないかと言われています。

その当時には、お米を中心とした食生活があり、お米からも良いタンパク質や健康に良い成分を摂取していたのだろうと考えられます。

当時のお米は精米方法だけでなく、品種も違っていたでしょうから、健康志向に応えるなら、当時の品種というのも見直される必要があるのではないかと思います。

お米は主食であるがゆえ、ちょっとした成分の違いが人々の健康に影響を与え、ひいては国力にも影響してくるので、健康的なお米が増えてくることを願っています。

昔のお米を食べていた日本人は今より体力があった
写真=iStock.com/ithinksky
昔のお米を食べていた日本人は今より体力があった(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/ithinksky

■ジャポニカ米の生産量は世界全体の約30%

他の食品では低いと言われる食料自給率も、お米については100%となっています。

その結果、国内に流通しているお米は国産がほとんどですが、外国産のお米も外食産業などで使われている場合があります。

日本国内では滅多に見ることはありませんが、世界中で色々な品種が生産されています。

世界のお米の品種を大別すると、日本のお米が属するジャポニカ米、タイ米に代表されるインディカ米、アジアの熱帯地域や中南米などのごく一部で栽培されているジャバニカ米の3つに分類されます。

このうち、私たち日本人に最も身近なジャポニカ米の生産量は、世界のお米生産全体の約30%で、インディカ米が約70%を占めています。

■日本のお米は少数派

ちなみに、世界で一番お米を作っている国は中国です。なお、2位はインドで、日本は10位です。消費量の1位も中国で、2位はインド、日本は9位です。

これらのことからもわかるように、世界の中で見てみると、日本のお米は少数派に属するのです。

日本では、お米は白飯でおかずと一緒に食べることが多く、ご飯の甘味やうま味を感じながら、お魚やお肉といった他の食べ物にも合わせやすいものが求められます。逆に、強烈な香りや味がするものはあまりありません。

■比較的硬いお米が使われている

では、海外のお米はどうでしょう。中国では、お米を肉や魚介を一緒に調理しても形が崩れないよう、比較的硬いお米が使われています。これは、日本のチャーハンで使われるお米とも少し違うお米です。

スペインでは、お米料理といえばパエリアなどが有名ですが、煮込みながらスパイスで味をつけて食べるので、煮崩れしない長粒の硬いお米が使われています。

パエリアには煮崩れしない長粒の硬いお米が使われている
写真=iStock.com/svariophoto
パエリアには煮崩れしない長粒の硬いお米が使われている(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/svariophoto

イタリアでは、お米といえばリゾットが有名ですが、大きめの粒のご飯を柔らかくした後に、バターで絡めてから煮るので、煮崩れしない中粒の硬いお米が使われています。

ベトナムやタイ、ミャンマーなどでは、ナシゴレンやガパオライスのように、白米を蒸したり煮たりして柔らかくした後におかずと一緒に食べたりすることが多く、長粒の硬いお米が使われています。

以上のように、お米と一口に言っても、それぞれの国には色々なお米文化があり、それぞれの地域の食文化に適したお米が根付いています。

■「日本米の良さ」はまだまだ知られていない

日本人は、「日本のお米が一番美味しい」と思っていますが、世界では日本米の良さを理解している人はまだまだ少ないのが現状です。日本のお米を海外に輸出していくのであれば、人気の高いお寿司などの食文化と一緒に伝えていくことも重要でしょう。

また、栄養価の高いお米や、特定の料理に合うお米なども、海外に販売できる可能性があります。このようなことも鑑みて、これからの日本の米づくりを考え直さなければなりません。

一方で、日本国内では今、世界中のお米の料理が食べられる環境にあります。その中では、日本も世界のお米の美味しさと食文化を知ることができます。「お米は白飯だけでなく、色々な食べ方があるのだ」ということを頭の中に入れて、海外に発信することも必要になってくるでしょう。

以上のようなことが、これからの世界に向けてのお米戦略として重要ではないでしょうか。

■「お米を食べると太る」は間違い

「お米を食べると太る」と言う人がいますが、私は間違っていると思っています。

お米は食べすぎると太る可能性がありますが、お米の良さはパンのように塩やバターなどの味付けをする材料を使わなくていいことです。

米を炊く際に加えるものは水だけです。これだけでも、主食としてのカロリーが違います。

お米は炊飯しても粒状なので、消化に時間がかかり、腹持ちが良くて間食をしなくて済みます。また、良く噛むために満腹感が得られ、食後の血糖値の急激な上昇を抑えられます。

糖質制限ダイエットをされている人もいますが、きちんと栄養を摂取しないとダイエットも失敗に終わります。

■ご飯を食べるのは「寝る2時間前まで」

糖質を制限するのではなく、お肉や食物繊維を多く含んでいる野菜などと一緒に食べていれば、糖質の吸収も抑えられます。その点でも、お米は他の食材と合わせやすい点が有効に働いてきます。

ただし、当然ですが食べすぎれば太るので注意が必要です。

温かいご飯だとつい食が進んでしまい、食べすぎてしまいます。ご飯を食べる前に、食物繊維などの多い野菜類を食べてから、ゆっくりご飯をよく噛んで食べましょう。

夜遅くに食べるのも良くありません。夜遅くに食べた分のエネルギーが消費されないと脂肪として蓄積され、太る原因になります。寝る2時間前までには食べるようにしてほしいです。

ダイエットには「おにぎり」が向いている
写真=iStock.com/petesphotography
ダイエットには「おにぎり」が向いている(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/petesphotography

■ダイエットには「おにぎり」が向いている

ちなみに、同じご飯でも冷や飯にした方がダイエットには向いています。

冷めたご飯には、レジスタントスターチ(軟消化性でんぷん)が多く含まれ、このレジスタントスターチは大腸まで届き食物繊維と同じ働きをすると言われます。

そのため、「ハイパー食物繊維」「痩せ成分」とも言われ、ダイエット効果が注目されています。

冷や飯で食べるものは、おにぎりが代表的でしょう。おにぎりは具材も豊富にアレンジできて飽きにくく、食べた量も個数という形で管理しやすいので、摂取カロリーを計算しやすくてダイエットには向いているでしょう。

■「食物繊維の量は米の6倍」玄米がオススメ

また、玄米は特にダイエットに向いています。食物繊維の量は白米の6倍、ビタミンB1も5倍あり、白米以上によく噛んでゆっくり食べるので満腹感も得られます。血糖値の上昇も抑えられので、ダイエットには向きます。

芦垣裕『米ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)
芦垣裕『米ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)

玄米が食べにくければ、特殊な精米で作られる金芽米がより白米に近く、食物繊維も多いためおすすめでしょう。

「金のいぶき」という品種は、この金芽米専用のお米で、宮城県が自信を持って発売したお米です。

食生活の洋風化で肥えることが多くなりましたが、まだ和食が中心だった1975年(昭和50年)以前の食生活に戻し、自然にお米中心の生活をしているだけでダイエットになるのではないでしょうか。

お米中心の生活に戻すことで、健康的な生活を取り戻すことができるようになると思います。

----------

芦垣 裕(あしがき・ひろし)
米・食味鑑定士、初音屋代表取締役
横浜で3代続く米屋の店主。水田環境鑑定士・調理炊飯鑑定士・おこめアドバイザー。取り扱うお米は、田んぼの自然環境までを自ら確認し、気に入ったお米のみ。米・食味分析鑑定コンクール国際大会の審査員を20年以上務めている。そのほか、お米日本一コンテストin静岡の全国大会、天栄米コンクール(福島県)、栃木県産米食味鑑定コンクール、飛騨の美味しいお米食味コンクールなど、多数のお米コンクールの審査員を務める。また、ふるさと納税のポータルサイト「ふるさとチョイス」のお米特集をはじめ、フジテレビ「LiveNewsイット!」など、メディアでもお米に関するコメントを行い、お米の素晴らしさを伝えている。著書に『米ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)がある。

----------

(米・食味鑑定士、初音屋代表取締役 芦垣 裕)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください