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「いつがご希望でしょうか」と相手に尋ねてはいけない…デキる人が「メールでのアポ取り」でやっていること

プレジデントオンライン / 2024年10月10日 8時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Pra-chid

ビジネスメールではどんなことに気をつければいいのか。日本ビジネスメール協会代表理事の平野友朗さんは「『打ち合わせは、いつがご希望でしょうか』といった、相手に決定を委ねるメールは避けたほうがいい。こうした言い回しは一見気を遣っているように見えるが、相手に無駄な手間をかけさせる」という――。

※本稿は、平野友朗『ずるいメール術』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

■「相手にすべて任せる」は配慮ではない

若手社員ほど難しい「メールにおける配慮」

「打ち合わせは、いつがご希望でしょうか」
「どのようにしたらよろしいでしょうか」

あなたはこのような言い回しを「相手への配慮」だと思って、メールを送ったことはありますか。

「メールにおける配慮」を、相手の言い分を聞き入れることだと思っている人が多いようです。

相手の希望や要望を聞いて、それを受け入れることが配慮なのだとすれば、こちらの希望や要望を伝えることは配慮に欠けるということになります。

果たして、本当にそうなのでしょうか。

そのメール「後出しじゃんけん」では?

前述したような相手に決定を委ねる言葉は、一見、気を遣っているように見えますが、実は相手に無駄な手間をかけさせる可能性があります。

それはいったいなぜなのか。

下のやりとり例を見て、あなたがメールを受けとった側だったらどうするか、考えてみてください。

相手 打ち合わせは、いつがご希望でしょうか
あなた 来週の月・水・金だったら都合がいいですよ
相手 すみません、その日は都合が悪いんです

私がこうしたメールを受けとったら「それなら、先に候補日を出してくれればよかったのに」と、相手の配慮のなさに、少し残念な気持ちになりながら「では、再来週の火・金はいかがですか」と返信をすると思います。

皆さんは、どうでしょうか。

相手にネガティブな感情を抱いてしまったのではないでしょうか。

このように、相手に決定を委ねるメールは、一概に「配慮できている」とは言えないのです。

■「メールの主導権を握る」と相手にもメリットがある

メールの主導権は、誰でも握れる

ずるい人は、メールの主導権を自分で握ります。

相手に任せるのではなく、こちらの都合を伝えた上で、選んでもらうようにするのです。

メールの主導権を握ると言われると偉そうに聞こえて、真似しにくいと思われるかもしれませんが、相手にも次の2つのメリットがあります。

1.情報を全て出してから考えられる
2.無駄な思考をカットできるので効率がいい

それに、選択肢を提示するのは、そんなに難しいことではありません。

「私は、来週だと火曜日と木曜日が終日空いています。○○さんのご都合は、いかがですか」
「定価は100万円ですが、ご予算に収まりそうでしょうか」

こうすることで、両者の希望や条件をすり合わせた、お互いに納得ができる着地点を見出すことができます。

一方的に自分の条件を押しつけているわけではないので、無礼や生意気といったネガティブな感情は抱かれません。

判断材料を提供しよう

「何か食べに行きませんか?」と丸投げされるよりも「和食か中華を食べに行きませんか?」と誘われた方が、予算や場所、食事のジャンルなどを考える必要がないので、気軽にOKできませんか。

これは、相手からあなたへの思いやりです。

このように、自ら相手に働きかけるときは、相手に全て任せるのではなく、自分で場をコントロールする意識を持ちましょう。

まずは自分から、相手が判断するための材料を提供するのです。

POINT
1.相手の都合を聞きすぎない
2.希望や要望、条件は事前に伝える
3.相手に判断材料を提供する

■忙しい人にメールを送るなら「朝の時間帯」がベスト

メールチェックは千差万別

あなたはいつ、仕事のメールをチェックしていますか。

・通勤途中に、スマートフォンなどでメールをチェックして、あらかたの処理を終える
・会社に着いたら真っ先にパソコンを開いて、メールをチェックする
・午前中は重要な業務にあてて、メールは昼過ぎにチェックする
・出社したらメールをチェックして、外出から戻ったらチェックして、退社前にチェックするといったように、タイミングを決めている
・パソコンを使っての仕事が多いので、手が空いたらメールをチェックする

あなたがいつメールをチェックしようと自由であるのと同じように、相手がいつメールをチェックするのかをあなたがコントロールすることはできません。

そのためずるい人は、相手に合わせてメールを活用します。

相手の行動パターンを想定して、相手がメールの処理をしやすいタイミングを狙っているのです。

朝のメールは効果的

私の仕事は、研修に登壇したり、企業のコンサルティングを行ったりと、多岐にわたります。オフィスでパソコンに向かっている時間は長いですが、外出や出張もあります。

私は毎日メールをチェックしていますが、たまに、朝から外出していて、夜には懇親会があり、終日、メールをチェックできない日があります。そうなると、次にメールをチェックできるのは翌日の朝です。

私のような働き方をしている人にメールを送るなら、朝の時間帯がベストです。

オフィスでスマートフォンを操作するビジネスウーマンの手
写真=iStock.com/Poike
朝にメールを送れば、見てもらえる、返事をもらえる可能性が高い(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/Poike

その時間にメールを送れば、見てもらえる、返事をもらえる可能性が高いからです。

社内で相手の姿が見えれば、何をやっているか分かります。メールを見ていない様子なら「すぐに見てほしい」と声をかけてもいいし、返信の猶予があるなら24時間を上限に待つ、といった判断も簡単にできます。

■相手から嫌がられる「メールのタイミング」

忙しいタイミングは「ここ」

では、社外の人にメールを送る場合、相手が忙しいタイミングはいつでしょうか。

一般的には、次のようなタイミングは忙しい人が多いです。

◎週明け
金曜日の夕方から土日に届いたメールがたまっている

◎週の終わり
「今週が期限」のような依頼メールがたくさん届く

◎月初
月末で締めた処理や月初の連絡などでメールがたくさん届く

◎月末
月末の処理に関するメールがたくさん届く

これはあくまでも想像の世界で、業種や職種によって忙しいタイミングは変わります。

ただ、仕事をする中で周囲を観察して、これまでの返信をよく見れば、忙しいタイミングは分かるものです。

絶対NG! メールを送ってはいけないタイミング

終業時間ギリギリのメールは、極力やめておきましょう。

終業時間が18時の相手に、金曜日の17時頃にメールを送ったならば、相手は当日のうちに対応することは難しいでしょう。

そうすると、相手は仕事をやり残したまま、週末を迎えることになります。

あなたは仕事が手から離れて、晴れ晴れとしても、相手にとってはそうではありません。

ずるい人は、こういった時間も意識して、メールを送っています。

POINT
1.相手のタイミングを考慮してメールを送る
2.週明け、週の終わり、月初、月末の送信は配慮する
3.終業間際にメールを送らない

■「月に1回のメール」が仕事のチャンスにつながる

メールに隠されたもう1つの目的

メールを送る目的は人それぞれです。

相談メールならば「アドバイスをもらいたい」と思って送ります。依頼メールならば「相手に対応をしてもらう」のがゴールです。

報告や連絡、お知らせなどのメールは、返信が必要なかったとしても、相手にしっかりと受け止めてもらいたいという目的があります。

ずるい人は、そうした目的以外にも、プラスアルファの思いを込めてメールを送っています。

メールの切れ目が縁の切れ目

ずるい人は、月に1回メールを送り続けることで「いつか一緒に仕事がしたい」と思った人との関係が続くことを知っています。

なぜそんな送り方をするのかというと、数年後の未来を見据えているからです。

メールが届けば、そのたびに「あ! ○○さんだ」と相手に思い出してもらえます。

メールの本文に近況報告や、ちょっとした提案があれば、さらに記憶に残りやすいかもしれません。興味を持って返事をしてくれる人もいるでしょう。

メールの返事がなくても、開封されなくても、ガッカリすることはありません。

送信者名を見た時点で「○○さんか、今回は返信(開封)しなくていいや」と、存在は認識してもらえているからです。

■メルマガ形式の「情報提供」なら相手の邪魔にならない

「どちら様でしたっけ?」と言われないように

接触が数年間ない相手のことを、あなたは覚えていられますか。

平野友朗『ずるいメール術』(PHP研究所)
平野友朗『ずるいメール術』(PHP研究所)

仮に覚えていられたとしても、何か困ったことがあったときに、2、3年接触がなかった相手の名刺を引っ張り出して、わざわざ連絡をしようとは思わないでしょう。

また、久々に連絡しても相手が覚えてくれていなかったら、ガッカリしますよね。

「なんで今さら連絡してきたんですか?」なんて言われたら、さらに悲しい思いをします。

そんな思いをしないためにも、ずるい人は、ずっと連絡をし続けることで、相手とのつながりを保っているのです。

◎こんな内容を定期的に送ってみよう!
・業界の動向、トピックス
・お客さまに役立ちそうなノウハウ
・普段の仕事で使えそうなチェックリストや点検項目
・最近勉強していること、学んでいること
・会社の情報、ちょっとしたセールス案内
・それ以外に感じたこと、考えたこと
定期接触に向いていること

関係を途切れさせないための連絡は、月に1回くらいがちょうどいいでしょう。売り込みにならない程度の情報提供なら、相手の邪魔にはなりません。

年賀状や年賀メールのように年に1回だと、さすがに忘れられてしまう可能性があります。

月1回くらいの頻度で送るメールは、メルマガに近いイメージかもしれません。

ただ、メルマガというと、ちょっと重たく感じるかもしれないので、ここでは名刺交換した相手への定期連絡くらいだと思ってください。

これを続けていると「可能性はゼロだ!」と半分諦めていた相手と、数年後に仕事ができるようになることもあるので面白いですよ。

POINT
1.つながるべき人には、継続してコンタクトをとる
2.返事がなくても全く気にしない
3.相手が連絡しやすい環境を作ってあげる

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平野 友朗(ひらの・ともあき)
日本ビジネスメール協会代表理事、アイ・コミュニケーション代表
実践塾シェアクラブ主宰。ビジネスメールスキルの標準化を目指し、日本初のビジネスメール教育事業を立ち上げる。2013年、一般社団法人日本ビジネスメール協会を設立。認定講師を養成し、ビジネスメールの教育者を日本全国に送り出している。さらに「ビジネスメール実務検定試験」を立ち上げ、ビジネスメール教育の普及に尽力している。著書に『仕事が速い人はどんなメールを書いているのか』(文響社)、『なぜかうまくいく人の頭のいい時間割』(三笠書房)、『イラッとされないビジネスメール 正解 不正解』(サンクチュアリ出版)などがある。

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(日本ビジネスメール協会代表理事、アイ・コミュニケーション代表 平野 友朗)

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