土日に来たメールに「即レス」すると結果的に嫌われる…ワガママな相手に賢い人がやっている「スマートな返し」
プレジデントオンライン / 2024年10月11日 8時15分
※本稿は、平野友朗『ずるいメール術』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
■「遅い時間や休日にも働く=できる社会人」はウソ
絶対にしてはいけない「時間外労働」
若手社員の方に多い悩みの1つに「休日や終業時間後でも、メールが気になってしまう」というものがあります。
中には、見るだけでなく返信までしてしまう人もいるようです。
読者の皆さんの中にも、そういった方がいらっしゃるのではないでしょうか。
これを続けていると、あなたが確実に損をします。絶対にやめましょう。
誤った社会人像を持っていませんか?
例えば、終業時間後に届いたメールにすぐ返信をしたことで、仕事が滞りなく進んだとします。
相手は、あなたに感謝してくれることでしょう。
しかしこれが何回か続くと、相手はそのスピード感に慣れていきます。
「○○さんは、夜遅くに送ったメールもすぐに返事をしてくれる」
「○○さんは、土日もメールを見ている人だ」
こうした前提で、昼夜休日問わず、メールが送られてくるようになります。感謝の気持ちも、次第に薄れていくことでしょう。
「休日でも対応してくれてありがとう!」
↓
「こっちは急いでるんだから、早くしてよ!」
「何で今回は対応してくれないの?」
ずるい人は、残業や休日出勤を除いて、業務時間外はメールの処理を一切しません。特別対応による自分への負担を想定しているからです。
「遅い時間や休日にも働く=できる社会人」ではないことを、しっかりと覚えておいてください。
休日のメール対応にも、ルールを作る
仮に休日にメールを見てしまったとしても、返信は次の勤務時間まで先送りしましょう。
ずるい人は、休日出勤中のメール処理について、次のような明確なルールを持っています。
ルール①
社内の人からのメールで急を要する内容なら、休日の勤務時間中に通常通り返信する
ルール②
社外の人からのメールなら、次の勤務時間中に返信する
こうした、しっかりとしたルールを自分の中で決めておけば「休日もメールが気になる」といった悩みはなくなるでしょう。
■「時間外の返信」は下書きに保存→送信は後回し
本当は教えたくない、メールの処理方法
しかしときには、勤務時間外でも、社外の人からのメールを処理した方がいい場合もあります。
それは、次の出勤日にメールを処理する時間がないことが、事前に分かっているときです。
ただし、その場合でも、送信は次の出勤日にしましょう。返事を書けるときに書いておき、書いたメールを下書きに入れて保存。送信は後に回すのです。
そうすれば、未来の自分の首を絞めることなく、効率よくメールを処理できます。
うっかりさんにおすすめ! 予約送信機能
前述したような、返事を下書きに入れておいて、後で送ろうと思っているときや、特定の時間にメールを送りたいときには、予約送信をしましょう。
GmailやOutlookなどのメールアプリには、「8:30」「8:45」など、好きな時間に設定しておけば、指定した時間に送信される機能があります。
送信するのを忘れてしまう心配がある人におすすめです。
1.夜間、土日の対応は過度な期待を生む
2.休日出勤中のメール処理にもルールを作り、極力働かない!
3.勤務時間外にメールを見たら予約送信する
■「メールの悩み事」を書き出してみよう
メールを書く手が止まっていませんか?
メールを使っていれば、どうしたらいいか分からなくて困るとき、悩むとき、いろいろとあるでしょう。
その都度、メールを書く手を止めて、インターネットで検索したり、人に聞いたり、考えたりしていませんか。
以下のリストは、私がよく聞くメールの悩み事をまとめたものです。
あなたにも当てはまるものがあるでしょうか。
①あいさつは適切か
②相手の名前に間違いがないか
③宛先(アドレス)が間違っていないか
④嫌な気持ちにさせないか
⑤誤字や脱字がないか
⑥この内容で伝わるだろうか
⑦この人はCCに入れるべきだろうか
⑧失礼にならないか
⑨添付ファイルが大きすぎないか
⑩添付ファイルが届くだろうか
⑪なんて書いたらいいのだろうか
⑫メールで伝えていい内容か
■「正解のない答え」に悩み続けるのは時間のムダ
メールの悩み事は3種類に分けられる
メールの悩みをよく見ると、全て同じ種類ではないことに気づくと思います。実は、大きく以下の3種類に分けられるのです。
A:正解がある悩み
B:正解がない悩み
C:正解が時と場合によって異なる悩み
先ほどのリストに書かれていた12個の悩み事も、この3種類に分けて考えることができます。
A:正解がある悩み
→②③⑤⑨⑩
B:正解がない悩み
→④⑥⑧⑪
C:正解が時と場合によって異なる悩み
→①⑦⑫
それではこれから、この3種類それぞれの解決策を見ていきましょう。
A:正解がある悩み
当たり前ですが、誤字や脱字、メールアドレスや添付ファイルの容量の上限などには、絶対的な正解が存在します。そしてこれらは基本的に、自分で少し工夫をすれば解決できます。
例えば、過去に届いたメールからメールアドレスをコピーすれば、アドレスを間違えることはないでしょう。
初めて送るメールがちゃんと届くか不安ならば、まずは実際に送ってみましょう。
メールアドレスが間違っている場合や、添付ファイルの容量が大きすぎる場合は、エラーになって送れないだけです。
悩むくらいなら、エラーになってから次を考えても遅くはありません。
B・C:正解がない/時と場合によって異なる悩み
一方で「内容や感じ方」など、正解が相手に左右される場合も存在します。相手が「それをよし」とすれば正解だし、そうでなければ不正解です。メールを送るまで、答えが分からないケースです。
こんな正解のない答えに悩み続けていても、あなたが疲れるだけですし、時間がもったいないです。そのため、悩む前に行動して、自分で答えを見つけにいくしかないのです。
正直、このケースの解決法は、経験を積むしかありません。数をこなすうちに、勘所がつかめてきます。最初は修行だと思って、少し頑張ってみてください。
意味のあることに時間をかける
「①が正解か……やっぱり②が正解か」といった堂々巡りは、「悩む」という行為です。これは物事が何も進展していないので、時間の無駄と言えるでしょう。
「~だから、①が正解だ」というように、自分の頭で理論立てて結論を出すことは、「考える」という行為です。これは次の行動に移ることができるので、意味のある時間だと言えるでしょう。
ずるい人は、何に時間を使えばいいのかを知っているのです。
1.悩みの種類を知る
2.無駄に悩まず、考えることに時間を使う
3.判断力を上げるには、経験あるのみ
■「相手の期限を決めるのは失礼」は誤解
多くの人がしている誤解
「相手の期限を、こちらが決めるのは失礼だ」と考える人がいますが、それは誤解です。
「○○までに対応してください」といった締め切りを明記することで、滞りなく仕事を進めることができます。
しかし中には、期限を切って相手から反発されたことがある人や、逆に、期限を切られて気分を害したことがある人もいるようです。
期限を上手に決めるには、ちょっとしたコツがいるのです。
ずるい人は、期限を切ることに明確な基準を持っています。そして「どうして、その日なんですか」と理由を問われても、相手が納得できる説明を用意しています。
期限を切るべき、正しい基準
①その仕事に対して、妥当な日数を確保できているか
15~30分程度でできる作業を依頼するときは、3~5日後くらいに締め切りの日を設定するのが適切でしょう。
相手は「配慮してもらっている」と感じてくれるはずです。
②急な依頼ではなかったか
自分の依頼が遅くなったことを棚に上げて「今日中に対応をお願いします」と伝えるのは失礼です。
相手の都合に一切配慮できていません。
③締め切りの理由が明確か
営業のアポイントメントを求めるメールで「会っていただけるかどうか、○月×日までにお返事ください」のように、期限を切られたら、これも失礼だと感じるでしょう。
しかしそこに理由があれば、検討の余地はあるかもしれません。
東京から福岡への出張が決まり、福岡のお客さまに「出張で福岡に行くので、挨拶に伺えればと思っています。こちらの都合で恐縮ですが、面談が可能でしたら6月17日までにご返信ください」と書くならば、受け入れてもらえるのではないでしょうか。
■「正確な仕事をする人」という印象を与えるテクニック
ほぼ100%のビジネスパーソンが毎日メールを見ている
期限をむやみやたらに切る必要はありません。
例えば「YES」「NO」で答える、候補日の中から希望を選んで返事をする、5分程度で終わる作業を依頼する、といったメールは、読んだら間を空けずに対応してもらえるでしょう。
そのため、締め切りを設ける必要はありません。
また、私たち一般社団法人日本ビジネスメール協会が、1,498人のビジネスパーソンを対象に行った「ビジネスメール実態調査2024」の結果によると、98.87%の人が、1日に1回はメールを確認していることが分かりました。
つまり、ほぼ100%の人が毎日メールを見ていることになります。
そのため、翌日までに返事がもらえればいいメールならば、締め切りを書く必要はありません。
「スケジュールに細かい人」という印象が武器になる
期日を過ぎても反応がない場合は、すぐに確認メールを送りましょう。
そうするだけで「スケジュールに細かい人」「正確な仕事をする人」という印象を、相手に与えることができます。
「この人と約束した締め切りは守らなくてはいけない」という印象を相手に与えることは、仕事の武器になる!
POINT
1.相手に配慮した期限を設定する
2.期限を切った背景や理由を説明する
3.期限を過ぎたら速やかに催促をする
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日本ビジネスメール協会代表理事、アイ・コミュニケーション代表
実践塾シェアクラブ主宰。ビジネスメールスキルの標準化を目指し、日本初のビジネスメール教育事業を立ち上げる。2013年、一般社団法人日本ビジネスメール協会を設立。認定講師を養成し、ビジネスメールの教育者を日本全国に送り出している。さらに「ビジネスメール実務検定試験」を立ち上げ、ビジネスメール教育の普及に尽力している。著書に『仕事が速い人はどんなメールを書いているのか』(文響社)、『なぜかうまくいく人の頭のいい時間割』(三笠書房)、『イラッとされないビジネスメール 正解 不正解』(サンクチュアリ出版)などがある。
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(日本ビジネスメール協会代表理事、アイ・コミュニケーション代表 平野 友朗)
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