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「ヤバい不動産業者」なのか一発でわかる…11回引っ越した男が「失敗しない住宅選び」で欠かさない"神質問"

プレジデントオンライン / 2024年10月8日 18時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ArLawKa AungTun

物件選びで失敗しない方法はあるのか。11回の引っ越しを経験し、現在は10部屋のマンションオーナーである医師のこうさんは「物件情報サイトで探すよりも、町の不動産屋さんに行ったほうが情報は得られやすい。その際、いい物件に出会える『神質問』がある」という――。

※本稿は、こう『ひとり暮らし大全』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■違法な「おとり広告」に要注意

不動産業界についてあまり悪くは言いたくありませんが、業界のルールに精通していなければ、トラップではないかと感じるようなことが多々あるのが現実です。公益社団法人「首都圏不動産公正取引協議会」も公正な表示を求めて、違反例などを紹介しています。

たとえば次のような場合は「おとり広告」と考えられます。

① 契約済み、または入居済みで取り引きできなくなっているのに、新規に情報公開し、10カ月以上継続して広告
② 入居済みとなったあと、長いもので9カ月以上、短いもので1カ月以上継続して広告

おとり広告とは、販売・賃貸する意思がない物件や、販売・賃貸できない物件について広告を出すことです。

それを見て連絡や来店をしてくるお客さんに他の物件を紹介するための“客寄せ”です。

■「駐輪場あり」なのに利用料の明記がない

「物件名が非表示になっている」、「一社のみの扱いになっている」場合などもおとり広告の可能性が高いといえます。一般の人がすぐに見抜くのは難しいかもしれません。客を騙(だま)そうとしていることなんてないだろうといった考え方……性善説は通用しない世界だというふうに考えておいたほうがいいでしょう。

首都圏不動産公正取引協議会は次のような広告も違反例として挙げています。

・保証会社の利用が必要である旨や保証料が不記載
・「敷金なし」「ペット可」と広告していながら、ペットを飼育する場合は敷金1カ月になる
・「駐輪場あり」としていながら、利用料が必要なことには触れていない
・「鍵(かぎ)交換費用」、「24時間サポート費用」「ルームクリーニング費用」、「室内抗菌費用」、「エアコン清掃費用」などを求めるにもかかわらず、広告には不記載

部屋探しをしているなかで、こうしたケースのどれかに当てはまった場合には、良心的な不動産会社ではないと考えるようにするのがいいはずです。

■物件サイトよりも「町の不動産屋さん」がいい理由

部屋探しをする際、インターネットを活用するのか、足を使って不動産会社に行くのか?

どちらがいいかと悩まれる人も少なくないかもしれません。私としては、引っ越しをしようと考えている町に実際に行ってみて、駅前にある不動産屋に行くことを勧めたいところです。

先にも書いたように大抵の物件は複数の不動産会社が扱っているうえ、インターネットにはおとり広告も交じっています。不動産会社に連絡して来店を促されて行ってみると、「あの物件は先ほど決まってしまったのですが、あの物件以上におススメの物件があります」などと言われるケースもよくあります。

だとすれば最初から、現地の不動産屋に行ってみたほうが早いといえます。多くの物件は、複数の不動産会社が扱っているものですが、大手不動産会社が扱っていて、インターネットに出ているような物件は、地元の不動産屋も扱っている可能性が高いといえます。

そのうえ、大手不動産会社が扱っていない物件を、地元の不動産屋が単独で扱っているケースも少なくありません。長くその地で営業していれば、地元の大家さんとの付き合いが生まれ、信頼されている場合も多いからです。

ネットの評判などから住みたい町の目安をつけて、Googleマップのストリートビューで町の雰囲気を掴(つか)むこともできますが、やはり実際にその町に行ってみてこそ感じられる部分はあるものです。足を運んでみて、ますますその町が気に入ることもあれば、「この町は期待外れというか、むしろ住みたくない!」と感じるケースもあるでしょう。そういうことを考えても、直接、足を運ぶのがいいわけです。

■即決せずに「見積もり」を出してもらう

町の不動産屋に行ってみて、契約しようかと思える物件を見つけたとしても、その場で即決はしないで他の不動産屋にも行ってみることをおススメします。

他にいい物件があるかもしれないからですが、それだけではありません。その物件を他の不動産屋も扱っていて、契約内容などが違っているケースもあるからです。

他の不動産屋でも、同じ物件を扱っているのがわかった場合は、「相見積もり」を依頼する方法もあります。

相見積もりとは、同じ物件の見積もりを複数の会社に出してもらうことです。同じ物件であっても「家賃や礼金などの設定が違う場合」、「交渉次第で家賃や礼金などを変えられる場合」があります。

業者間で競争原理が働くのは当然のことであり、貸主(大家)との関係性次第では、不動産会社の側から家賃や礼金の変更を提案できることもあるからです。

見積もりが欲しい場合、その場で頼んでもいいのですが、電話でも大丈夫です。

■「AD付き物件」とは?

「ネットでこの部屋を見たんですが、見積もりをメールかFAXで送ってください」と言えば対応してもらえます。対応してもらえなければ、その不動産会社は親切ではないと判断して利用をやめればいいだけです。

インターネットに出ているひとつの物件について、複数の不動産会社に同じ依頼をすれば相見積もりになります。そこで複数の会社が見積もりを出してくれたなら、おとり広告ではないとも判断できます。

賃貸物件のなかには特定の不動産会社が管理までを担当している「自社管理物件」もあります。数軒の不動産会社を回ってみて、ひとつの不動産会社にしか情報が出ていない物件があったとしたなら、自社管理物件の可能性が高いといえます。

自社管理物件では管理費などを不動産会社の側で取れるので、他の物件よりも優先して勧めてくることが多くなります。

「AD付き物件」というものもあります。AD付き物件で成約できた場合は、貸主側から不動産会社に対して「広告費」(業務委託報酬)として家賃1カ月分や2カ月分などが払われます(前者がAD1、後者がAD2)。そのためやはり優先して勧めてくるようになりがちです。

家具のない生活空間
写真=iStock.com/maruco
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maruco

■「自社管理物件はありますか?」は神質問

AD付き物件かどうかは、客側でもわかります。

「マイソク」と呼ばれる物件情報(不動産屋で常に提示される紙資料)の右下あたりにAD1、AD2(あるいはAD100、AD200)などと記載されているからです。インセンティブがある物件からまとめていきたいというのは当然の心理です。AD付き物件だから、というだけで問題を感じることはありませんが、そういう物件もあるのだということは頭に入れておいてもいいかもしれません。

部屋を探している側が好んでAD付き物件を求める理由はあまりありませんが、自社管理物件には、交渉や相談がしやすい、入居後の不安が減らせる、というメリットがあります。

「自社管理物件はありますか?」と聞けば、教えてくれるはずであり、これはある意味“神質問”だともいえます。

当たり前のように「ないですね」などと返してきたとしたなら、少々問題だからです。自社管理物件が多いのは、それだけ大家さんに信頼されているということ。

自社管理物件がないというのは、その逆だとみなせるからです。

実店舗の不動産屋に行く際には「路面店を選ぶのがいい」ともよく言われます。路面店とは、1階にあり、道路に面している店舗のことです。

大抵の駅前には、店の前に物件情報を貼りだしている年季の入った不動産屋があるものなので、そういうところを選ぶのがいいということです。

■不動産屋を調べるなら「免許の更新回数」を見るべし

信用できるかどうかの判断が難しいのは空中店です。

ビルの5階などに入っている店舗のことです。そのビルで営業を始めてまだ間もない場合もあるので、1年後、数年後にも営業を続けているとは限りません。一概にいえることではないので、決めつけるような書き方をすれば怒られることにもなるのでしょう。

しかし、一般論としてそういうイメージをもたれているのは確かです。

また、大手不動産会社の看板を掲げていても、フランチャイズ加盟しているだけで、組織としては完全に別会社だというパターンもよくあります。ネットワークなどでつながってはいても、看板はあくまで看板です。

その場合、請求書や領収書などは元の会社の名義で出されます。町の不動産屋でも大手不動産会社の店舗でも、店舗内には必ず、客の目につく場所に宅地建物取引業者票が掲示されています。

この上部には「―知事(○)第△△△号」もしくは「国土交通大臣(○)第△△△号」というように免許番号が書かれています。

事業所が一つの都道府県に収まっている場合は知事免許で、事業所が複数の都道府県にまたがっている場合は国土交通大臣名義の免許になります。

宅地建物取引業者票のなかでカッコ内にある○の部分に入るのが免許の更新回数です。1996年までは3年に一度の更新が義務付けられていましたが、それ以降は5年に一度の更新になりました。

■“その町の事情通”でもある

(1)なら5年未満
(2)なら5年以上10年未満
(3)なら10年以上15年未満
(4)なら15年以上20年未満
(5)なら20年以上25年未満

とわかります。

ただし、最初は一つの都道府県内で営業していた不動産会社が他県での営業を始めたことにより知事免許から国土交通大臣免許に替わった場合はカッコ内に入る数字が1に戻ります。国土交通大臣免許(1)になっていたからといって営業年数が短いとは限らないわけです。

空中店は信頼できないということではまったくありませんが、更新回数が1回の空中店が1年後にはその場所からなくなっているケースはそれほど珍しくはありません。

多くのチェーン店をもつ大手不動産会社はそれだけ信頼できますが、個人的には、その土地で長く商売を続けている店舗をやはりおススメします。

ひとつの土地で長くやっていられるのはおかしな商売をしていない証(あか)しといえます。

“その町の事情通”でもあるはずなので、「ここはいい町なんだけど、あの界隈(かいわい)は危険」というように、地元ならではの情報を教えてくれることもあります。

ひとり暮らしでは治安面も大切なポイントです。その点で慎重になりたいなら、こうした不動産屋で話をよく聞くか、近くの交番に行ってみて「この町に引っ越そうかと思ってるんですが、治安面はどうでしょうか?」と尋ねてみるのもいいのではないかと思います。

東京の風景
写真=iStock.com/kokoroyuki
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kokoroyuki

■内見時にここだけは見るべき「共用部分」のリスト

実際にどんな部屋なのかを見に行くのが「内見」です。

内見というと、部屋の中に意識がいきがちになるものです。しかし、失敗しない部屋選びのためには“敷地内がどうか”というところから目を配っておくのがいいと思います。

マンションの規模にもよりますが、駐車場や駐輪場、ごみ置き場、エントランスホールなど、多かれ少なかれ共有部分があるものです。

共有部分にこそ住民のマナーが表れます。

ルールを守らないようなタイプの人たちが住んでいるようなら、やはり快適な生活は送れないので注意して見ておきたいところです。

以下が、主な注意点です。

・敷地内に無断駐車がないか
・「無断駐車禁止」と書かれたコーンが並んでいないか
・ごみ置き場が乱れていないか、分別されていないごみや粗大ごみなどがないか
・駐輪場の自転車はきちんと整列されているか
・いかにも盗難されてきたような自転車が放置されていないか
・エントランスに防犯カメラがあるか
・エントランスに「騒音注意」「マナーを守りましょう!」などといった貼り紙がないか

■「廊下に私物が置いてある」は管理体制も怪しい

・宅配ボックスがあるか。ボックスの数が部屋数に対応しているか
・集合ポストの周りにチラシが散乱していないか
・チラシを捨てるためのごみ箱が設置されているか
・エレベーターに防犯カメラはあるか
・エレベーターの壁に落書きはないか
・廊下に私物が放置されていないか
・廊下などですれ違った住民がいたとすれば、違和感はなかったか

ごみ置き場などはとくに住民のマナーが表れやすい部分です。

こう『ひとり暮らし大全』(KADOKAWA)
こう『ひとり暮らし大全』(KADOKAWA)

ひとり暮らしの人が多いマンションでは、収集日を無視したごみや分別されていないごみが出されていることがよくあります。管理会社が入っていても、比較的長いあいだマナー違反のごみなどが放置されているケースも少なくないので、よく見ておきたい部分です。

廊下などの共有スペースに通行のさまたげになるような私物が放置されていたとすれば、消防法に違反していることにもなります。

住民のマナーが悪いだけでなく管理体制に問題があります。消防機器などの点検も怠っている可能性も考えられます。廊下に出されているのが古新聞や古雑誌くらいのものでも、見過ごすべきではありません。

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こう 医師/賃貸オーナー
大学医学部を卒業後、勤務医として働きながら、賃貸オーナーとして活動中。首都圏に10部屋のマンションを所有。2021年賃貸不動産経営管理士試験合格。 11回の引越しで数々の失敗を経験し、世の中に部屋の選び方や作り方の情報が少ないことに気づく。入居者の役に立つことを目指し、2022年2月からX(Twitter)で「最高のお部屋」をテーマに発信を続けている。Xのフォロワー数は13万人。

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(医師/賃貸オーナー こう)

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