「スマホの見すぎで首がバキバキ」な人はお腹側に原因がある…首を揉んでも「コリ」が解消されない本当の理由
プレジデントオンライン / 2024年10月9日 18時15分
※本稿は、きまたりょう『世界一わかりやすい 筋肉のつながり図鑑セルフケア編』(KADOKAWA)の一部を再編集、一部を書きおろししたものです。
■「前面」と「背面」の身体バランスを整えると疲れが軽減する
前回の記事では、セルフケア以前に重要な「筋肉のつながり」に関するお話をいたしました。
猫背やスマホ首の方は、つい「肩や背中だけ」をほぐしてしまったり、ストレッチをしてみたり、1カ所に集中したアプローチをしがちです。
しかし身体中は筋膜でつながっていますので、身体の背面側に異常があるということは、前面も身体が凝っている、疲労がたまっているという場合も多々あります。
前面と背面と両方の身体バランスを整えることが重要なのです。
今回は、身体の前面にある「前のつながり」の筋肉にアプローチするケアと、身体の背面にある「後ろのつながり」の筋肉にアプローチする2つの効果的なケアを、解剖学的な知見からご紹介します。
1つ目は、前のつながりの一部である「腹直筋(ふくちょくきん)」へのアプローチです。
腹直筋は、身体の真ん中で肋骨と恥骨をつなげています。上体を起こす動作や、仰向けで脚を上げた時に腰を反りすぎないようにブレーキをかけています。
例えば腹筋のトレーニングでは、上部は上体を起こす時、下部は主に脚を上げる、ひざを寄せる時などに使われています。
■腹直筋がゆるむと、呼吸も深くなる
腹直筋は「前のつながり」以外にも様々な筋肉につながります。
「運動のつながり」として大胸筋から腹直筋を通り、反対側の内転筋につながり、そして腹斜筋や腹横筋の筋膜が腹直筋を包み込みます。
つまり固まってしまうと、それらのつながりを使う動きに影響が出る可能性があるのです。
腹直筋をゆるめるには本やヨガブロックなどの上に置いたボールに腹直筋を押し当てます。肋骨、みぞおち付近は避けて、程よい圧でリリースしていきます。
腹直筋がゆるむことでお腹が広がりやすくなり、呼吸の深さなどにも良い影響があります。下部は慣れてきたらやさしく行いましょう。
図表4のように、腹直筋を伸ばすにはうつ伏せで上体を起こし、胸から恥骨を離すようにします。コツは骨盤を引きずるように上体を前に引きながら反ることです。
腰が詰まる場合は「後ろのつながり」をゆるめた後に行うか、バランスボールの上で行うことで腰がリラックスして伸ばせます。
■背面は「脊柱起立筋」をケアしよう
次に、後ろのつながりである「脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)」へのセルフケアです。
首の付け根から仙骨に向かって脊柱起立筋という筋肉があります。
この筋肉は主に背骨に沿って縦に走る筋肉群の総称で、全体としては上半身を反る働きをします。
全てが筋膜的につながっているので、上を向く動作は首だけが動けばいいわけではなく、最低でも胸周辺の筋肉の動きが必要です。
脊柱起立筋は身体が丸まりすぎないように姿勢を保つ役割があります。
丸まった姿勢でのデスクワークはこの筋肉が常に引っ張られ、負担がかかります。ただし極端に良い姿勢を意識しすぎて胸を張ってアゴを引いた状態も筋肉にとって負担になりやすいです。程よい姿勢を探しましょう。
■脊柱起立筋を伸ばすのにおすすめなヨガポーズ
脊柱起立筋をゆるめるには2つのボールをまとめたものを用意します。ボールは袋に入れたりテープでまとめたりすると使いやすいです。
ボールが背骨の両脇に当たるように置き、仰向けに寝て体重をかけてリリースします。縦長の筋肉なので少しずつ位置をずらして硬い場所を探しましょう。
脊柱起立筋を伸ばすにはヨガポーズがおすすめです。
背中が硬い人はイラストのポーズまでは難しいですが、腰を手で支えて、ひざを曲げてあげると似たポーズをとることができます。
首の背面に対しての強度が高いので、慣れてない方はチャイルドポーズを長めにするのがおすすめです。
「前のつながり」を長くするのは重要ですが、常に後ろとのバランスを考えなくてはなりません。
前面が柔らかくても、背中や腰が固まっている場合は反り腰などになりやすい可能性があります。その場合は特に腰やお尻などをゆるめる必要があります。
「前後のバランス」を考えたセルフケアを意識していきましょう。
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アメリカ・コロラド州にあるDr Ida Rolf Instituteで731時間の解剖学、生理学、機能解剖学、実習のトレーニングを受講。加えて大手ストレッチ専門店での4年間の経験、その他約400時間以上のセミナー・ワークショップなどで技術と知識を深める。Instagram(@ryo_kimata)にて「筋肉のつながり」イラストを定期的に投稿しており、そのわかりやすさからセラピストやトレーナーを中心に支持を集めている。初著書の『世界一わかりやすい 筋肉のつながり図鑑』は7万部突破。
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(ストレッチトレーナー、米国 Dr Ida Rolf Institute 認定ロルファー きまた りょう)
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