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生で食べると体のサビを防ぎ、「肉とごはん」の代謝がアップ…スーパーで売っている「白い最強食材」の名前

プレジデントオンライン / 2024年10月10日 16時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Itsanan Sampuntarat

栄養が偏らない食生活を送るためには、何が必要なのか。医師・作家の鎌田實さんは「僕はたまごをお勧めしたい。たまごには『ビタミンCと食物繊維』を除くすべての栄養素が詰まっており、スーパーパワー食品だ」という――。

※本稿は、鎌田實『長生きたまご』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

■ビタミンDは「きのこ類、魚類」、そして卵黄

中高年にとって、筋肉は快活に動ける体を保つための資産です。同じ理由で、僕は歯と骨も大事な資産だと思っています。歯はしっかり食べていくために、骨は筋肉の基礎として大事ですよね。

具体的には、歯は、定期的に歯科にかかり、食べられる口を保っていくのが大事ですし、骨は、骨粗しょう症など加齢によって起こる病気を防いでいきたいと思っています。食事では、歯や骨の健康に欠かせないビタミンやミネラルを十分に摂るよう心がけています。

まず注意して摂りたいビタミンの筆頭にあげるのはビタミンDです。というのも、ビタミンDは、現代の生活で不足しがちな栄養素であるのに、豊富に含まれる食品は限られていて、摂りにくいからです。

手軽にビタミンDが食べられるのはたまご(卵黄)のほか、「きのこ類」「魚類」に限られます。

また、ビタミンDは、紫外線を浴びることで皮膚でも生成されるのですが、年齢とともに皮膚上で生成できる能力は低下し、屋外で活動する機会も減ると、さらに生産量は減るので、中高年になったらより多くのビタミンDを食事から摂る必要があるのです。

■「低カルシウム血症」を招き、歯を失うリスクも

ビタミンDが不足すると、腸でのカルシウムの吸収が減り、腎臓でもカルシウム再吸収が低下するので、カルシウム不足から「低カルシウム血症」を招きます。すると骨の軟化(骨軟化症)や骨粗しょう症のリスクが高まります。

歯科学の情報を見ると、口腔内で歯を支えている骨の軟化が起こると、歯周病につながり、歯を失うリスクが高まることもあるうえ、ビタミンD不足は歯のカルシウム吸収や石灰化にも影響するとされています。

つまり歯にも、骨にも大事、それがビタミンDなのです。

また、精神医学の分野では抑うつなど精神症状とビタミンD不足の関連が指摘されているため、ヨーロッパの国々では日照時間が短いシーズンには予防的にビタミンDのサプリメントを利用する人が多いようです。

日本でも日照時間が減少する秋以降にうつ傾向の人が多くなる地域があるという調査結果もあります。都市で、日当たりが悪いところで生活している人の場合なども、ビタミンDに注目する必要があるように思います。

■たんぱく質、糖質、脂質を栄養に変えるビタミンB群

一方、ビタミンDは摂りすぎると高カルシウム血症を起こし、血管の壁や腎臓、心筋、肺などにカルシウムが沈着してしまい、腎機能障害や嘔吐、食欲不振、神経の興奮などの症状が現れる場合もあります。

ただし、「日本人の食事摂取基準(2020)」が示すビタミンDの摂取目安量が1日あたり8.5μg(18歳以上の男女)であるのに対して、統計的にはすべての世代でビタミンD摂取量は不足していることがわかっています(2019年「国民健康・栄養調査」年齢層別のビタミンD摂取量より)。つまり、一般的な食生活をしている分には、過剰摂取を心配することはないでしょう。

たまご1個あたりのビタミンDは約2μg(マイクログラム)ですから、2個食べたら1日の目安量の半分が摂れますね。

もう1つ、たまごに豊富な栄養素で、僕らの健康に重要なものがビタミンB群。

ビタミンB群とは、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの8種類の水溶性ビタミンの総称です。

その主なはたらきは、僕らが食事で摂ったエネルギー産生栄養素(たんぱく質、糖質、脂質)の代謝をスムーズにする「補酵素」という、いわば縁の下の力持ち的な役割です。ビタミンB群が不足していると、肉もごはんも期待どおりの栄養にならないので、大事ですね。

■たまごはスーパーパワー食品

B群のビタミンはいずれも水溶性ですから、摂りすぎの心配はないものの、一度にたくさん摂っても尿で排出されてしまいます。毎日しっかり摂っていきたいものです。

全8種のうち、たまごにはビタミンB2、ビタミンB12、パントテン酸、葉酸、ビオチンの5種が豊富です。

これまで紹介した以外にも、たまごを食べることで摂れる主な栄養素として、ビタミンK、リン、鉄などがあげられます。それぞれのはたらきは図表1の「たまごにはこんなビタミン・ミネラルも!」で簡単に説明しています。たまごにはビタミン、ミネラルも豊富と言えるのがわかります。

【図表1】たまごにはこんなビタミン・ミネラルも!
出所=『長生きたまご』

積極的に摂りたい栄養素のうち、たまごで摂れないのは「ビタミンCと食物繊維だけ」と逆に覚えておくと、献立作りで便利かもしれません。たまごはスーパーパワー食品と呼んでいいでしょう。

そもそもたまごは「まるごと生命」ですね。小さな生命が殻のなかで成長し、自ら捕食し、生命を維持できるようになるまで育つために、十分な栄養が備わっているもの。栄養のかたまりです。しかも手軽に買え、食べられるのですから、毎日の食事で、ぜひおいしく召し上がれ!

■「生・ゆで・焼き」ベストな食べ方は?

たまごの栄養素には、熱に弱い性質のもの、油に溶けやすいものなど、それぞれ特徴が。

POINT:生でこそ摂れる栄養素がある

消化の良さという点では、半熟卵や温泉卵などやや火を通した食べ方がベストですから総合的に栄養の吸収もよいと考えられます。

しかし、生で食べると熱に弱いビタミンB群を損なわずに摂れる利点があります。ビタミンB群は主に黄身に含まれるので、黄身だけは生、白身だけ電子レンジで半熟以上に加熱、というのもお勧めです。

ただし、胃腸が弱っているときは、生食を避けましょう。一方、しっかり火を通した固ゆでたまごは食あたりの心配無用です。

POINT:熱を加えると吸収率がアップする栄養素も

一方、油に溶けやすい性質をもつビタミン(A、D、E)などは、油を使って調理すると吸収率がアップ。スクランブルエッグや目玉焼き、たまご炒めなどはビタミンA、D、Eが効率よく摂れます。

たまご由来の栄養をまるごといただくために、体調と相談しながら、どれと限らずいろいろな調理法で食べていきましょう。

目玉焼きを調理
写真=iStock.com/GMVozd
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/GMVozd

■鮮度がよいたまごは「指」でつまめる

たまごはスーパーでとくに冷蔵されずに販売されていることも多いもの。

しかし一般的な冷蔵庫にはたまご収納ケースがついています。

鎌田實『長生きたまご』(サンマーク出版)
鎌田實『長生きたまご』(サンマーク出版)

POINT:たまごは他の生鮮食料品と比べて長持ちします

卵白に含まれる殺菌力をもつ酵素「リゾチーム」と卵黄膜などが、構造的にたまごを守っています。流通の過程で、必ずしも冷蔵されていないこともあります。たまごの鮮度は、割って確かめます。鮮度が良ければ卵黄がこんもり盛り上がり、指でつまめます。

POINT:冷蔵庫では「とがっているほうを下」で保存

サルモネラ菌汚染を防ぐには、安定的に10度以下での保存が推奨。家庭の冷蔵庫では殻のとがっているほうを下、丸いほうを上に。理由は2つ。①とがっているほうが殻に強度があって割れにくいから。②丸いほうには空気の入った気室があり、たまごが古くなり卵黄が浮かんできたときに、黄身が直接殻に触れにくいから。

冷凍できますが、期限内で食べる際はしっかり加熱して。ゆでたまごは4日以内に食べ切ります。

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鎌田 實(かまた・みのる)
医師・作家
1948年東京生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、長野県茅野市の諏訪中央病院医師として、患者の心のケアまで含めた地域一体型の医療に携わり、長野県を健康長寿県に導いた。1988年に同病院院長に、2005年から名誉院長に就任。また1991年からチェルノブイリ事故被災者の救援活動を開始し、2004年からはイラクへの医療支援も開始。4つの小児病院へ毎月400万円分の薬を送り続けている。著書に『がんばらない』『あきらめない』『なげださない』『だまされない』ほか多数。

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(医師・作家 鎌田 實)

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