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コンビニの口臭グッズはその場しのぎにすぎない…歯科医師「口臭を根本的に解決する朝の歯磨き前の習慣」

プレジデントオンライン / 2024年10月18日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Toru Kimura

自分では気づけない口臭を予防する方法は何か。日本歯科大学付属病院臨床准教授で歯科医師の多保学さんは「コンビニなどには、タブレットやガムといった、口臭を抑えるためのさまざまなグッズが販売されているが、こうしたグッズはその場しのぎでしかない。歯周病にかかっていない健康な人の場合は、専用の清掃器具を使って舌苔を取れば口臭はある程度消えるだろう」という――。

※本稿は、多保学『0歳から100歳までの これからの「歯の教科書」』(イースト・プレス)の一部を再編集したものです。

■口臭の9割はこの2つを取り除くと防げる

日本歯科医師会が2016年に10〜70代の男女1万人を対象に行った意識調査によれば、自分の口臭が気になった経験があると答えた人は全体の約80%に上ります。多くの人が気にしている口臭ですが、なぜ発生するのでしょうか?

実は、口臭の原因の9割以上は口の中にあります。口臭の元になっているのは、口の中から発生する硫黄化合物の揮発性ガスです。

代表的なものは硫化水素(卵の腐ったような臭い)、メチルメルカプタン(魚や野菜の腐ったような臭い)、ジメチルサルファイド(生ゴミのような臭い)の3つで、そのうち硫化水素とメチルメルカプタンが約90%を占めると言われています。

そして、硫黄化合物のガスが発生する主要な原因となっているのが、歯周病と「舌苔」と言われる舌の苔です。歯周病については日本人の成人の8割が患っているか予備軍と言われるだけに、口臭の主たる原因である可能性は高いと言えます。

舌苔は、舌の上に付着した白い苔(こけ)状のもので、口の中の粘膜がはがれたものや細菌などの塊です。健康な人でも舌苔はつきますが、その量が多ければ多いほど口臭は強くなります。口臭の多くは、歯周病を治療すること、そして舌苔を取り除くことによって防ぐことができます。

■ダイエットや糖質制限も口臭の原因に

また、ダイエットも口臭の原因になり得ます。その理由は、食事を抜くと唾液の分泌量が減少するためです。唾液には自浄作用があり、食べカスや細菌など、口の中の汚れを洗い流す力があります。

それに加えて、唾液には抗菌作用もあるため、口の中が多くの唾液で潤っているだけでも、口臭をある程度予防できます。咀嚼により固形物の食べ物を食べると、刺激により唾液の分泌量が増えます。

さらには食べ物と舌が接触するため、舌苔がはがれて口臭を抑えることができます。逆に食事を抜くと、唾液の分泌量が低下します。そうすると、舌苔が付着しやすく、細菌が繁殖しやすくなるため、口臭が目立つようになります。

朝起きた時に口が乾燥していて自分の口臭が気になることはありませんか? まさにこれが典型的な例です。最近話題の糖質制限ダイエットにも注意が必要です。

過度な糖質制限を行うと、体内の糖質が不足するため、代わりに脂肪を代謝してエネルギーを作りますが、その際に肝臓でケトン体という物質が作られます。

ケトン体が血液中に入って体内を巡ることによって、「ケトン臭」という独特の甘酸っぱい臭いが、体臭や口臭となって出てくる場合があります。

食事制限の他に、口臭につながる唾液の分泌量を低下させる要因としては、薬の副作用やストレスなどがあります。

テストや面接の前など、緊張して口の中がカラカラに乾いた状態の時は、やはり口臭が生じやすくなります。このような場合は、緊張などのストレスが解消されれば、口臭もなくなります。

■4種類の口臭と予防方法

口臭ケアグッズをいくら使っても、口臭の根本的な原因は取り除けません!

口臭は自分ではなかなか気づきにくいものです。その理由は、自分で口から不快な臭いを発していたとしても、その臭いにずっとさらされていると慣れてしまい、その臭いを感じなくなってしまうためです。これを「順応反応」と言います。

うがい薬を使用している女性
写真=iStock.com/years
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/years

タバコを吸っている人が、自分のタバコの臭いに気づかないのと同じです。自分の口臭に気づくためには、歯科医院や口臭外来で口臭測定器で測定したり、市販の口臭チェッカーを利用したりする方法などがあります。

口臭は4つに分類することができ、予防するための方法はそれぞれ異なります。

①生理的口臭……起床時や空腹時、緊張時など、口の中が乾いているために起こる口臭です。しっかり食事をとることで唾液量が増え、お口の中が潤い細菌が流されることと、歯磨きなどの口腔ケアをすることで対処できます。
②病的口臭……歯周病や胃炎など病気によって起こる口臭です。この場合は、基本的に病気を治すことが必要です。歯科医院では主に歯周病の治療を行うことで歯周病由来の口臭は劇的に改善されます。
③外因的口臭……ニンニクなどの臭いのする食べ物を食べたり、タバコなどの嗜好品をたしなんだりすることによって生じる口臭です。食べ物が原因の場合は、時間がたてば解消します。
④心因的口臭……実際には口臭がないのに、口臭があると思い込んでいる人のケースです。この場合は、口臭がないことを他の人が指摘してあげる必要があります。いわゆる心の病気に近い状態です。客観的に口臭測定検査などのデータを用いて口臭がないことなどを患者さんに伝えていきます。

■口臭グッズはその場しのぎ、舌磨きで舌苔を除去する

コンビニなどには、タブレットやガムなど、口臭を抑えるためのさまざまなグッズが販売されています。しかし、こうしたグッズはその場しのぎのもので、根本的な原因除去にはなりません。

ミントやハーブなどの香りで口臭を隠し、清涼感を与えることで口臭が消えた錯覚を起こさせているだけに過ぎません。

多保学『0歳から100歳までの これからの「歯の教科書」』(イースト・プレス)
多保学『0歳から100歳までの これからの「歯の教科書」』(イースト・プレス)

特に、②病的口臭の場合は、病気を治療しない限り口臭をなくすことはできません。病的口臭の原因の多くは歯周病です。したがって、口臭を根本的になくしたいのであれば、まず歯周病を治療することです。

歯周病にかかっていない健康な人の場合は、舌苔を取れば口臭はある程度消えるはずです。舌ケアの基本は舌磨きです。舌磨きでは、専用の清掃器具を使います。舌の表面はやわらかい粘膜なので、鋭利なもので強くこすると舌を傷つけます。

清掃器具には舌用のブラシとヘラの2種類があります。器具自体は100〜200円程度ですので、実際に試してみて、どちらが良いか選ぶと良いでしょう。私のおすすめは舌用ブラシです(図表1)。

【図表1】舌用ブラシ
出所=『0歳から100歳までの これからの「歯の教科書」』(イースト・プレス)

あまり舌の粘膜を傷つけることはありません。いずれもない場合は歯ブラシを使っても構いません。最後にタオルなどで拭ってあげるだけでもだいぶ効果の違いを実感できるでしょう。

舌磨きは、毎日朝食後の歯磨き前に行うのが最も効果的です。鏡を見ながら舌を口の外に出し、舌苔を奥から手前にかき出します。ある程度取れると臭いが落ち着き、口臭を予防できます。

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多保 学(たぼ・まなぶ)
歯科医師、日本歯科大学付属病院臨床准教授
医療法人社団幸誠会 たぼ歯科医院 理事長、日本歯周病学会指導医、歯科博士。埼玉県浦和駅徒歩1分圏内に3店舗の歯科医院を経営し、スタッフは100名。日本歯科大学附属病院で教鞭をとり、国内外の学会での講演多数。予防と再生医療の知識・技術セミナーを毎月開催し、講師を務める。日本で数少ない日本歯周病学会指導医として歯周病専門医の育成に尽力。日本の8割が歯周病に罹患している事実を知り歯周病専門医資格を取得。「歯周病で歯を失い、物を噛めない」と訴える悩みを解決したく、米国ロマリンダ大学大学院へ留学。帰国後、2015年に生まれ育った浦和にて日本歯周病学会認定研修施設でもある「たぼ歯科医院」を開業。2022年「さいたま・こども矯正歯科」を開院。子どもが通いたくなる環境づくりと最新機器を導入し、0歳からの予防に力を入れる。著作は歯周病・インプラントについて20編以上。DVD4本。

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(歯科医師、日本歯科大学付属病院臨床准教授 多保 学)

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