"他人の評価"を気にするとムダな時間と労力がかかる…「すぐ行動できる人」に生まれ変わるたった1つの方法
プレジデントオンライン / 2024年10月18日 15時15分
※本稿は、内藤誼人『考えすぎて動けない自分が、「すぐやる人」に変わる本』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
■完ぺき主義の人ほど、取り組むのが遅くなる
優柔不断で、なかなか行動を起こせない人には、ある共通点があります。
それは、「完ぺき主義」であること。
米国メリーランド州にある、カトーバ大学のシェイラ・ブラウンロウは、96名の大学生に「完ぺき主義」を測定する心理テストを受けてもらい、レポート・課題・試験の準備に取り組むのが早いのかどうかも教えてもらいました。
すると、完ぺき主義の得点が高い人ほど、取り組むのが遅かったのです。
というわけで、フットワークの軽い人になりたいのであれば、完ぺきにやろうとせず、少しくらいはいいかげんであったほうがよいわけです。
「まぁ、80点くらいとれればいいか」という感じで、気軽に取り組んでしまったほうがいいのです。そのほうが、すぐに行動を起こすことができます。何しろ、余計なプレッシャーを感じずにすみますから。
仕事に取り組むときも、目標のハードルを下げておいたほうがさっさとスタートできます。
私が本を執筆するときの姿勢がまさにこんな感じで、「絶対に売れる本を書かなければ」などということは微塵も考えません。
あまり意気込みすぎると、いつまで経っても執筆のスタートが切れなくなってしまいますので、「まぁ、それなりに売れてくれれば御の字だな」と気軽に考えて、書けそうなところから書いていきます。
■満点狙いではなく「60点主義」でいこう
講演会に呼ばれて人前で話すときも、「参加者全員に感動してもらえなければ失敗だ」などとはつゆほども思いません。「講演会にムリヤリ参加させられた人もいるだろうから、10人中2、3人に喜んでもらえれば十分かな」と考えて話すようにしています。大学の講義でも、全員に好かれようなどという不可能な目標は、最初から立てたりしません。
何事もそうだと思うのですが、完ぺきにやろうとしても、できるわけがないのです。
80点主義、いや60点主義くらいでいたほうが、行動は起こしやすくなります。
満点をとろうとすると、余計な緊張や不安を抱え込むことになり、いつまでも行動できないままになってしまいます。
自分が努力することによって100点をとれるのであれば頑張ることにも意味があるかもしれませんが、物事がうまくいくかどうかは「運の要素」もかなりありますよね。頑張っても頑張っても、100点はとれないということは往々にしてあります。
どれほど完ぺきな企画書を作成できたとしても、お客さまやクライアントがその企画書を採用してくれるかどうかはわかりません。
自分では100点の出来栄えの企画書だと思っても、相手も100点をつけてくれるかというと、そういうわけにはいかないのです。
あまり完ぺきにやろうとせず、「ほどほどにやれればいい」と考えることが、行動しやすくするコツです。
■他人の評価はいくら考えてもわからない
他人からの評価を気にしすぎてしまうことはありませんか?
「相手はどう思うだろうか?」と考えすぎてしまうと、行動できなくなってしまいますから、人の評価はあまり気にしないほうがいいですよ。私たちは超能力者ではないのですから、相手の考えなどわかるわけがないのです。
企画書を作るときでも、「お客さまはどんな風に感じるだろうか?」と相手の評価を考えすぎると、いつまでも企画書の作成に取りかかれなくなってしまいます。
相手がどのような評価をしてくれるのかは、まさしく「神のみぞ知る」ことですので、いくら考えてもどうせわかりません。そのようなところにムダな力を注がないようにしましょう。
自分自身の判断で、「これでいい」と思えれば、それでいいのです。
米国ラバーン大学のグォック・ブイは、72名の大学生に、「私立大学と、公立大学の教育のそれぞれの長所と短所を論ぜよ」というレポート課題を出しました。論文は15日以内に提出しなければなりません。
課題を伝える際、あるグループの人には、「みなさんの書いたものは、後日、高校生の前で読み上げてもらうことになっています」と伝えました。他人に見られて評価されますよ、と伝えたわけです。
すると、このグループでは課題の提出までに平均15.83日かかりました。
期日は15日以内でしたので、締切りを守れなかった人も多く出たわけです。
■考えても時間と労力のムダづかい、行動もできなくなる
「高校生に披露してもらう」ということを伝えなかったグループでは、提出の平均日数は9.92日でした。
他人に評価されないのであれば、学生はスムーズにレポート課題を終わらせることができたのです。
他人の評価は、自分ではどうにもできないことなのですから、最初から考えないことです。考えても時間と労力のムダづかいでしかありません。
他人からの評価を気にすると、行動もできなくなります。
評価に怯えてビクビクしなければならなくなり、気軽に行動するわけにはいかないと感じてしまうからです。
人間関係でもそうで、相手に好かれたいという気持ちが強すぎると、自然な会話ができなくなります。
相手からの評価を気にしすぎると、自分から話題を切り出すこともできなくなるのです。
「おかしな人だと思われるんじゃないか」などといちいち不安に感じていたら、会話ができるわけがありません。
その点、相手にどう思われようが自分はちっともかまわないという人は、自然体で会話ができます。その結果として、あまり嫌われることもありません。
隠しごともせず、オープンな態度で会話ができるので、そういうところが相手に好印象を与えるのでしょう。
私たちは、どうしても他人からの評価を気にしてしまうものですが、気にしないほうが、かえって良い結果になることも多いのです。
■見切り発車でいこう
行動を起こすときには、あまりガッチリと目標などを立てず、見切り発車でまったく問題ありません。
なぜかというと、私たちはしっかりと目標を立てようとすると、目標を立てたところで満足してしまい、肝心の行動をとらなくなってしまうことがあるからです。
たとえば、資格試験のための勉強をすることになったとしましょうか。
このとき、完ぺきなスケジュールを立てようとすると、かえって悪い結果になります。
「ようし、最高の目標達成プログラムができたな」という気分になると、そこで安心してしまうのか、「まあ、今日は疲れたし、実際の勉強は明日からのスタートでいいか」ということになりがちなのです。
そんなことに時間を使うくらいなら、勉強をしようと決めたその日のうちから基礎的な用語を暗記してみるとか、入門書を読み始めたほうがずっと有益です。
大切なのは、実際の行動をすることですからね。
■目標を「立てること」で満足してはならない
シカゴ大学のアイレット・フィッシュバックは、スポーツジムに通っている103名を対象に、トレーニングを始める前に、半分の人には、「あなたの目標は?」といった質問をたくさんしてみました。目標に意識を向けさせるためです。
残りの半数には、そのトレーニングを「いつから始めましたか?」という質問をしました。
それから、すべての人に「今日はどれくらいトレーニングするつもりですか?」と見込みの時間も聞いてみました。
そして、彼らがトレーニングを終えて帰ろうとしているところでもう一度声をかけ、「今日はどれくらいトレーニングをしましたか?」と実際のトレーニング時間を聞いてみました。
その結果、目標について聞かなかったグループでは、予定が38.25分、実際は43.09分と、予定より長くトレーニングを行なっていました。
しかし、トレーニングをする前に自分の目標について考えさせたグループでは、予定では46.59分、実際には33.93分と、実際のトレーニング時間が減ってしまっています。
目標を立てるのは基本的にはいいことです。目標を立てるとやる気が出ますから。
けれども、目標を立てることだけで満足してしまい、行動できなくなることもあるということは覚えておいたほうがいいでしょう。
行動しなくなるくらいなら、少々見切り発車でスタートしてしまったほうが、かえって良い効果を生むこともあります。
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心理学者
慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。立正大学客員教授。有限会社アンギルド代表。社会心理学の知見をベースに、心理学の応用に力を注ぎ、ビジネスを中心とした実践的なアドバイスに定評がある。『心理学BEST100』(総合法令出版)、『人も自分も操れる!暗示大全』(すばる舎)、『気にしない習慣』(明日香出版社)、『人に好かれる最強の心理学』(青春出版社)など、著書多数。
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(心理学者 内藤 誼人 イラストレーション=神林美生)
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