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どうにもやる気が起きないルーティンワークを一瞬で終わらせる…心理学者「ゲーム感覚で働く絶大な効果」

プレジデントオンライン / 2024年10月21日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/coffeekai

ルーティンワークにやる気がでないとき、どう取り組めばいいか。心理学者の内藤誼人さんは「締切りや納期があるから、人は頑張れる。どうにもやる気が出ないなら、自分で勝手に制限時間を決めて『タイムアタック』をしてみるといい。たっぷり1カ月はかかりそうな仕事でも、『2週間で何とかならないか?』とゲーム感覚で考えると、仕事が面白くなる。さらに苦しさを乗り越えて自信も高められて一石四鳥くらいのメリットがある」という――。

※本稿は、内藤誼人『考えすぎて動けない自分が、「すぐやる人」に変わる本』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

■「自分のため」という理由では本気になれない

昔の人は、とても貧乏でした。戦争に負け、焼け跡から這い上がらなければなりませんでしたので、ほとんどの日本人が貧乏だったのです。

昔の子どもたちは、自分の両親が必死になって働いている姿を間近で見て育ったためか、「いつかは自分がお金持ちになって、親に恩返しをしてあげるのだ」と考えたものでした。

昔のアスリートや格闘家や芸能人は「親にラクをさせてあげるのだ」とか「お母さんを大きな家に住まわせてあげたい」と考えて必死に頑張りましたから、どんな苦しさにも耐えることができたのです。

家族のために頑張るというのは、まことに良いアイデア。

「自分のため」という理由ではそんなに本気になれない人でも、家族のためならば違います。

イリノイ大学のエヴァ・ポメランツは、アメリカの中学1年生と2年生374名と、中国の中学1、2年生の451名に、「自分が大きくなったら、どれくらい親の面倒を見ないといけないと思うか?」と質問しました。

また、それぞれの生徒の学業成績も教えてもらいました。

すると、中国の子どもほど、やはり儒教の影響なのでしょうか、「親の面倒を見るつもりだ」という回答が多かったのです。ここまでは予想がつきます。

■辛い仕事のときに頭の中にイメージするべき姿

面白いのはここからで、アメリカの子どもであろうが、中国の子どもであろうが、「親の面倒を見るつもりがある」と答えた子どもほど、何と学業成績も高くなる傾向がありました。親のために頑張ろうという子どもほど、勉強熱心だったのです。

「親なんて、どうでもいいよ。自分がお金持ちになりたいんだ」という考えでは、そんなに勉強も頑張れません。

親の喜ぶ顔を見たいと思えばこそ、メラメラとやる気の炎は燃え盛るのです。

「親のためだと考えてもやる気が出ない」というのであれば、自分の子どものことを考えるのはどうでしょう。

愛する子どものためだと思えば、たとえ残業が少しくらいきつかろうが、いくらでも働いてやるぞという意欲が湧いてきて、仕事のモチベーションは高まるのではないでしょうか。

人間は、自分のためではなく、家族のためだと考えたほうがやる気が出てくるものです。

辛い仕事をしなければならないときには、家族の笑った顔を頭の中でイメージしてみてください。信じられないほどにやる気が満ちてくるのがわかると思いますよ。

■「恥ずかしい」という気持ちをエネルギーに変える

「恥ずかしい」という気持ちも、やる気を引き出すのに効果的です。

「みんなに馬鹿にされるのが恥ずかしい」と思う気持ちも、本を読んだり勉強をしたりするための燃料になります。

私自身の話をしますと、私は中学2年生まで、家で勉強したことがありませんでした。勉強時間は完全にゼロ。小学生のときから一度も宿題をやったことがありません。勉強が大嫌いだったのです。

ありがたいことに、私の両親はどちらも中卒で勉強が大嫌いな親でしたから、息子の私にも「勉強しろ」と強要しませんでした。

ところが中学2年生のあるとき、「このままだと高校にも行けないな。高校に行けないとカッコ悪いし、恥ずかしいな」と何となく思ったのです。

私はとても見栄っ張りな人間でしたので、おバカさんだと思われるのは許せないと思い、いきなり勉強をするようになったのです。

ネガティブな感情も原動力になる
出所=『考えすぎて動けない自分が、「すぐやる人」に変わる本』

「恥ずかしい」という気持ちは、意欲に変えてしまいましょう。

何となくダイエットをしようと思っても痩せられませんが、「デブだと人に笑われるぞ」と思えば、どんなに苦しい運動にも耐えられます。

「後輩に笑われるぞ」と思えば、仕事への取り組み方も変わってくるでしょう。恥ずかしい思いをするのは、だれでもイヤでしょうから。

■「恥ずかしさ」は決してネガティブ感情ではない

米国ロチェスター大学のリチャード・ライアンは、「恥ずかしさ」が意欲をもたらすことを109名のアルコール依存症の外来患者(平均30.5歳)の調査で明らかにしています。

ライアンの調査では、「アルコール依存症というレッテルを貼られるのは、とても恥ずかしい」と感じる人ほど、治療に積極的に参加し、途中でドロップアウトすることも少なかったのです。

恥ずかしさは、決してネガティブな感情ではありません。

「みんなにおバカさんだと思われようが、私はまったく気にならない」という人は、おそらく苦手な勉強をする気持ちにはならないでしょう。わざわざイヤな勉強をする必要を感じないからです。

「恥ずかしい」という気持ちがあるのなら、その気持ちを大切にしましょう。

「恥ずかしい」という気持ちは、うまく使えば、自分を変えるのにとてつもなく素晴らしいエネルギーを生み出してくれます。

■「2日で終わらせる」と決めるのは一石四鳥

締切りや納期があるから、人は頑張れます。

もし締切りも何もなく、「どれだけ時間をかけてもいいよ」と言われていたら、そんな仕事はだれもやらないでしょう。そのまま放っておくはずです。

というわけで、どうにもやる気が出ないというのであれば、自分で勝手に制限時間を決めてみるといいですね。タイムアタックをしてみるわけです。

本当は3週間後までに片づければいいという仕事でも、「2日で終わらせる」と自分なりに決めてしまいましょう。全力で頑張れば何とかなるかもしれない、くらいの非常に高いハードルを設定するのがポイントです。

タイムアタックをするとやる気も出ますし、それを達成できたときには清々しい爽快感が得られます。

タイムアタックでやる気を引き出す
出所=『考えすぎて動けない自分が、「すぐやる人」に変わる本』

また、苦しさを乗り越えることができたということで、自信も高めることができるかもしれません。一石二鳥どころか、一石三鳥、一石四鳥くらいのメリットがあるのです。

■緊張状態が自然に生まれるので、作業の能率も上がる

米国アラバマ大学のパトリシア・バレットは、最初に数が与えられ(75など)、スピーカーから「3」といった数字が流れたら、頭の中でどんどん足し算をしていくという作業をやらせてみました。

やさしいバージョンでは5秒間隔、難しいバージョンでは2秒間隔で数字が伝えられました。

この作業をしてもらうときの心拍数や血圧を測定してみると、2秒間隔での暗算をしなければならないときに、どちらも高まることがわかりました。

タイムアタックをしなければならないと、私たちは緊張します。心拍数や血圧が上がるのはそのためです。

そういう緊張状態が自然に生まれるので、作業の能率も上がるのです。

締切りがないと、私たちの心はひどくのんびりしてしまい、だらけてしまいます。

ですので、自分の行動には、どんどん締切りを設けたほうがいいわけです。いい緊張感が生まれますから。

カレンダーと目覚まし時計、背景にビジネスウーマン
写真=iStock.com/Doucefleur
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Doucefleur

たっぷり1カ月はかかりそうな仕事でも、「2週間で何とかならないか?」と考えてみてください。そうやってタイムアタックをしたほうが、仕事は面白くなります。

普段の業務にすっかり慣れてしまい、ルーティン作業で面白くないと感じている人もいるでしょう。そういう人にも、タイムアタックは効果的です。

いつものようにやるのではなく、時間を短縮するゲームなのだと思いながら取り組んでみてください。普段の仕事でもタイムアタックをしてみると、意外に楽しめるものです。

■仕事は、難しいほどやりがいがある

慣れた仕事を淡々とこなすだけでは、面白くありません。すでにクリアしたゲームをやるようなもので、ちっとも気分が盛り上がらないのです。

仕事というものは、難しいほどやりがいがあるのです。

南ミシシッピ大学のリー・ユーバンクスは、課題の難しさがやる気と緊張を生み出すことを実験で確認しています。

実験の参加者は、コンピュータの画面に現れる一連のアルファベットの文字列(Y、G、O、Mなど)を暗記します。

4秒が経過すると、いったん画面が真っ黒になり(1秒間)、それからアルファベットが出ます(Oなど)。

そのアルファベットが先ほど覚えた文字列の中に入っていれば、「イエス」のボタンを、入っていなければ「ノー」のボタンを押すのです。

なお、文字列の記憶は、条件によって1文字のこともあれば、4文字、7文字、10文字、13文字もありました。

覚えるべき文字数が多くなればなるほど、正解するのも厳しくなります。

そのときの血圧と心拍数を調べたところ、4秒間で覚えなければならない文字が増えれば増えるほど、血圧と心拍数も高まることがわかりました。

血圧と心拍数が上がるということは、それだけ身体が活性化しているということです。

■「もっと厳しい仕事をください」と上司にお願いする

課題が難しくなると、私たちの身体は「燃えてくる」ともいえます。やさしいことをしていても、そういう状態にはなりません。

内藤誼人『考えすぎて動けない自分が、「すぐやる人」に変わる本』(明日香出版社)
内藤誼人『考えすぎて動けない自分が、「すぐやる人」に変わる本』(明日香出版社)

自分が取り組んでいる仕事があまりにやさしすぎると思うのであれば、「もっと厳しい仕事をください」と上司にお願いしてみるのはどうでしょうか。

自分のほうからノルマを上げてほしいという人はめったにおりませんし、上司も喜んで難しい仕事を任せてくれるはずです。やる気も感じられるので、人事考課もよくなるかもしれません。

もちろん、自分で勝手に仕事を難しくしてしまってもいいのです。先ほど紹介したように、自分なりの目標タイムを決めてタイムアタックをするのもいいですね。

私自身は、自分を追い込むのが性格的に好きなこともあって、原稿を書くときには厳しい日数を設定するようにしています。

以前は1冊の本を執筆するのにまるまる3カ月はかかりましたが、20年くらいタイムアタックをしつづけた結果、今では2週間で1冊の本を書くことができるようになりました。

やさしい仕事ではなかなか本気になるのも難しいので、自分の能力ではこなしきれないような、困難な仕事にどんどんチャレンジしてみることです。

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内藤 誼人(ないとう・よしひと)
心理学者
慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。立正大学客員教授。有限会社アンギルド代表。社会心理学の知見をベースに、心理学の応用に力を注ぎ、ビジネスを中心とした実践的なアドバイスに定評がある。『心理学BEST100』(総合法令出版)、『人も自分も操れる!暗示大全』(すばる舎)、『気にしない習慣』(明日香出版社)、『人に好かれる最強の心理学』(青春出版社)など、著書多数。

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(心理学者 内藤 誼人 イラストレーション=神林美生)

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