これをやらないと50歳にして動きがヨボヨボになってしまう…何歳になっても「キビキビした人」の口癖
プレジデントオンライン / 2024年10月20日 15時15分
※本稿は、内藤誼人『考えすぎて動けない自分が、「すぐやる人」に変わる本』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
■いくつになっても「私は若い」という意識を持つべき理由
40歳になろうが、50歳になろうが、「私も老けたなぁ」などと思ってはいけません。なぜかというと、「老けた」と思っていると本当にどんどん老け込んでしまい、バイタリティも萎んでしまうからです。
自分が年をとったと思っていると、それが無意識に行動に影響を及ぼす「プライミング効果」を引き起こし、キビキビと動けなくなってしまうことも実験で確認されています。
ニューヨーク大学のジョン・バルグは、30名の大学生を半分に分け、実験群には「お年寄り」について考えさせ、コントロール群にはどうでもいいことを考えてもらいました。
そして、参加者が実験室を出てから約10メートルを歩くスピードをこっそりと測定してみると、次のグラフのような結果になったのです。
お年寄りについて考えていると、無意識のうちにそれが私たちの行動に影響します。
物憂そうに、ゆっくりした動きになってしまうのです。
というわけで、自分が老けたなどと思わず、「私はまだ若い」という意識を持つようにしたほうがいいですね。
そのほうが足を高く上げて、腕を大きく振り、颯爽とした歩き方になります。
当然、すべての行動もスピードアップするに違いありません。
■頑張っている人を見ると自分も同じように頑張れる
「Aさんって、人の2倍も3倍も働くよなあ」
「Bさんって、仕事の鬼だよな」
「Cさんって、なんであんなに朝からエネルギーが出せるんだ?」
どんな職場にも、1人くらいはバリバリ働く頑張り屋さんがいるのではないでしょうか。そういう人の仕事ぶりを、しばらく観察してみましょう。
頑張っている人の姿を見ると、私たちもその人と同じように頑張り屋さんになれます。これを心理学では「モデリング効果」と呼んでいます。
モデリングとは「モデル」(見本)という単語に由来する言葉です。
私たちは、他の人の行動を見ていると、知らないうちにその人物と同じような行動をとれるようになるのです。
面白い実験をひとつご紹介しましょう。
米国ロチェスター大学のロン・フリードマンは、44名の大学生を対象に、こんな実験を行っています。
学生が実験室に行くと、先に来ている参加者がまさに実験を受けるところでした。フリードマンは、学生に「もうすぐあなたの番ですので、部屋の後ろのイスに座って見ていてください」と告げます。
ただし、先に来ている参加者は、実はサクラ。
実験では、ニンテンドーの「バーチャル・ボーイ」というゲームをプレイしてもらい、その後で感想を告げることになっていたのですが、サクラはあるときには「つまらなくて退屈」とネガティブな感想を述べている姿を見せ、別の人のときには、「面白くて、楽しい」とポジティブな感想を述べている姿を見せました。
■行動的になりたいときは、ダラダラしている人を見ない
サクラが実験室から出ていってから、本物の参加者の番です。やはり同じように「バーチャル・ボーイ」を10分間プレイし、それから感想を述べるのですが、サクラが面白いと言っている姿を見たグループほど面白さを感じ、サクラがつまらないといっていたときには本物の参加者もつまらないと答えることがわかりました。
私たちは、自分が目にするモデルの影響を受けますので、バリバリ仕事をしたいのなら、バリバリ働いている人を見ればいいのです。
一言も愚痴や不満などを口にせず、ニコニコしながら働いている人をしばらく眺めていると、「さて、私もやろうかな」という気持ちになってきます。自然にそういう気持ちが生まれるのです。
行動的になりたいときは、ダラダラしている人が自分の視界に入ったら、すぐに目をそらしましょう。そういう人を見ていると、自分もだらけてしまいますから。
私たちが見たほうがいいのは、颯爽と歩いて、キビキビと行動している人。そういう人にだけ目を向けるようにすると、自分も楽しく仕事に取り組めます。
■メンタル力は余計なことを考えるだけで奪われる
私たちのメンタル力は、有限です。したがって、いろいろと余計なところに気を遣っていると、肝心なときにメンタル力を使えなくなってしまいます。
たとえば、メンタル力が100あるとして、その100を全部仕事に向ければ、バリバリ仕事がこなせるはずなのに、イヤな相手のことを考えて20を使い、週末にやらなければいけないことなどを考えて30を使ってしまったとすると、残りの50しか仕事に向けられません。
メンタル力は有限なのですから、余計なところに使わないようにするのがポイントです。
本書のタイトルには「考えすぎて動けない」という言葉が入っていますが、余計なことを考えていると、みるみるメンタル力が減ってしまいますので、行動しようという意欲が落ちてしまうのも当然といえるでしょう。メンタル力は使えば使うほど落ちてしまうことは、実験でも確認されています。
■心配や不安もできるだけ考えないほうがいい
カリフォルニア大学バークレー校のクレイトン・クリッチャーは、2人1組のペアを作ってもらい(ただし相手は実験協力者のサクラ)、細工のしてあるコイントスにより、参加者は必ずインタビューを受ける側、サクラのほうはインタビューをする側に割り振りました。
さて、インタビューを始める前に、参加者の半数には、余計なメンタル力を使わせるために「自分の性的な指向については相手に教えず、うまく質問をはぐらかして隠すようにしてほしい」とお願いしておきました。残りの半数には、そういう指示を出さず、自由に答えてもらいました。
インタビューが終わったところで、たくさんのブロックが積まれた形の図形を見て、ブロックが全部でいくつあるのかを答えるという作業をしてもらいました(子どもが遊ぶパターンブロックのようなものです)。この作業もやはりメンタル力を使います。
その結果、インタビューのときに隠しごとをするように仕向けられ、余計なメンタル力を使ったグループは、この作業での正答率は47.6%になってしまいました。
余計なメンタル力を使わなかった半数の参加者の正答率は57.8%でしたから、かなりの下落だといえます。
仕事のやる気が出ないのは、余計なことを考えてメンタル力を使い果たしてしまっているからかもしれません。
心配や不安などもやはりメンタル力をどんどん奪いますので、できるだけ考えないようにしたほうがいいでしょう。
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心理学者
慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。立正大学客員教授。有限会社アンギルド代表。社会心理学の知見をベースに、心理学の応用に力を注ぎ、ビジネスを中心とした実践的なアドバイスに定評がある。『心理学BEST100』(総合法令出版)、『人も自分も操れる!暗示大全』(すばる舎)、『気にしない習慣』(明日香出版社)、『人に好かれる最強の心理学』(青春出版社)など、著書多数。
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(心理学者 内藤 誼人 イラストレーション=神林美生)
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