机に飲みかけのペットボトルがある人は仕事ができない…心理学者が断言「整理整頓をバカにする人はバカ」
プレジデントオンライン / 2024年10月22日 15時15分
※本稿は、内藤誼人『考えすぎて動けない自分が、「すぐやる人」に変わる本』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
■佐藤可士和の仕事場が美しく整理されているワケ
私たちの心は、自分が置かれた環境の影響を受けます。
サウナに行って汗を流すと、心の中もサッパリしてくるでしょう。
そういう状態を最近では「ととのう」と表現するらしいのですが、身の回りをきれいにして、きれいに整った環境に身を置くようにすると、サウナに入らずとも「心が整ってくる」ものです。
米国カンザス大学のマーク・ランダウによると、IDカードを机の上の決まった場所にきちんと置き、水のペットボトルもいつも決まった場所に置くなど、整った物理環境を整えると、心が整ってくるとのこと。
目の前の仕事に集中でき、余計な悩みや心配事を考えなくなるのです。
机の上がごちゃごちゃしていて、資料が乱雑に積み上がっているような状況ですと、おそらくは仕事に関係のないことばかりが頭の中に浮かんでくるでしょう。
物理的な環境の秩序が保たれていないと、心理的な秩序も保てなくなるのです。
クリエイティブ・ディレクターの佐藤可士和さんの仕事場は、とても美しく整理されているそうです。整理されているというより、余計なものが一切置かれていないのだそう。
そういう状態だからこそ、目の前の仕事に集中できるのではないでしょうか。
「雑念ばかりが頭に浮かんでしまう……」という悩みを持つ人はけっこう多いのではないかと思いますが、その原因は、ごちゃごちゃした環境にいるからかもしれません。
■たかが整理整頓とバカにしてはいけない
机の上には余計なものは一切置いてはいけません。いらない資料やコピーなどは片っ端からゴミ箱に捨ててしまいましょう。いつでもスッキリさせておくのが大切です。
自分の家や部屋もそうです。飲みかけのペットボトルやら、脱ぎ散らかした服などが部屋にあふれていたら、心の中も混乱しやすくなり、ネガティブ思考に苛まれる可能性が高くなってしまいます。
仕事の本を読んだり、英語の参考書を読んだりするのもいいですが、片づけコンサルタントの近藤麻理恵さん(こんまりさん)の本もオススメですよ。掃除や整理整頓がうまくできるようになると、心理的にも落ち着いていられるようになります。
たかが整理整頓と馬鹿にしてはいけません。
身の回りはいつでもスッキリさせておきましょう。余計なものを置かないようにするだけで、心も晴れやかになります。
■ポジティブ・ネガティブ両方の視点で計画を立てる
よくある自己啓発系の本を読むと、「ポジティブなことだけを頭に思い浮かべるといいですよ」といったアドバイスが載っています。
ポジティブなことを考えることは、自分の気分を盛り上げるためにも必要ですが、「ポジティブ思考だけ」ではいけません。
自分の目標を達成するときに障害になるようなこと、都合の悪いことなどもあわせて考えなければならないのです。ポジティブ思考だけでなく、ネガティブ思考でも考えることが大切です。
心理学では、ポジティブなこととネガティブなことをあわせて考えるようにするテクニックのことを「メンタル・コントラスティング」と呼んでいます。
ネガティブなことも含めるのがポイントです。
ドイツにあるハンブルク大学のアンドレアス・カッペスは、心理学の講座を履修している学生に、最終試験について考えてもらいました。
あるグループにはポジティブなこと(良い成績をとれる、両親が喜ぶなど)だけを考えてもらいます。
一方で、別のグループには障害になりそうなこと(テレビを見てしまう、友人からの誘いなど)もあわせて考えてもらい、さらにその障害をどうすれば克服できるのかも考えてもらいました(図書館で勉強する、スマホの電源を切ってしまうなど)。
■ネガティブな結果には事前の対処法が必須
その結果、ポジティブ思考だけでなく、目標達成の障害になりそうなことも考えてもらった学生のほうが、最終試験で良い点数をとれることがわかりました。
ポジティブなことだけを考えるのは、単なる夢想と変わりません。
現実には、さまざまな障害や妨害があるものであり、そういうこともきちんとあわせて考えておかなければならないのです。
ネガティブな結果も予想し、あらかじめ対処法を決めておく必要があります。
想定される障害と、その対処法をあらかじめ決めておかないと、いざというときに困ったことになってしまいます。
さすがにすべての障害を考えつくすことは難しいと思うのですが、可能性としてありそうなことは、すべて対処法を考えておきましょう。
想定外のことが起きたときにパニックにならないように、ポジティブなことだけでなく、ネガティブな可能性についても考えておくことが大切なのです。
■人に親切にすると自分のエネルギーも高まる
スーパーやコンビニで買い物をするとき、レジの横に募金箱が置かれていることに気づいたとしましょう。
こんなときには、ぜひ募金をしてみてください。ほんの少しでもかまいません。買い物のときにお釣りをもらうことがあれば、その中からいくらかを募金してみましょう。
募金をすれば、支援してもらえる人も嬉しいでしょうし、自分自身も元気になれるからです。
フィンランドにあるヘルシンキ大学のフランク・マルテラは、オンラインで募集した335名(平均37歳)に、「この2週間以内で、どれくらいチャリティに寄付をしましたか?」と聞く一方で、バイタリティ(「私は元気いっぱい」「私はやる気に満ちあふれている」など)
の質問にも答えてもらいました。
その結果、寄付をする人ほど、バイタリティを感じていることがわかったのです。
親切な心とバイタリティには、非常に強い関係性があります。
他の人に良い行いをすることは、幸せを感じるコツでもあるのですが、バイタリティまで高めてくれるのです。
もし困っている人がいたら、「どうしました?」と声をかけましょう。
親切にすると、相手からは「ありがとう」と感謝してもらえますし、感謝の言葉を聞くのは、非常に気持ちのよいものです。
そういう幸せな気分が、私たちのバイタリティを高めてくれるのでしょう。
■困っている人を見つけたら、親切にするチャンス
毎日、楽しそうに仕事をして、キビキビと働いている人は、「親切である」という共通の特徴を持っています。そういう人は、あまりしゃべったことのない人にでも、困っていると見れば気軽に声をかけて、援助を惜しみません。
逆に、だれに対しても不親切な人というのは、いつでもやる気のない顔をしていて、ダラダラと仕事をするものです。
困っている人を見つけたら、親切にするチャンス。
親切にすれば、自分自身のバイタリティを高めることができるのですから、そのチャンスをムダにしてはいけません。他の人が声をかけるよりも先に、自分が援助の手を差し伸べるようにしましょう。
「助けたほうがいいのかな? どうしようかな?」などと考えてまごまごせずに、ぜひ自分が真っ先に声をかけるようにしてみてください。
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心理学者
慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。立正大学客員教授。有限会社アンギルド代表。社会心理学の知見をベースに、心理学の応用に力を注ぎ、ビジネスを中心とした実践的なアドバイスに定評がある。『心理学BEST100』(総合法令出版)、『人も自分も操れる!暗示大全』(すばる舎)、『気にしない習慣』(明日香出版社)、『人に好かれる最強の心理学』(青春出版社)など、著書多数。
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(心理学者 内藤 誼人 イラストレーション=神林美生)
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