99%の営業マンはこれができていない…一流が必ず会話の冒頭に付ける"相手への声かけフレーズ"
プレジデントオンライン / 2024年10月21日 15時15分
※本稿は、松橋良紀『うまく「雑談できる人」と「できない人」の習慣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
■99%の営業が使う「お客様」「奥様」は絶対NG
できない人は「お客様は」と言う。
自己啓発の代表的な本と言えば、デール・カーネギーの名著の『人を動かす』でしょう。この本の中で、「人に好かれる六原則」のひとつとして「名前を覚える」と書かれています。
「名前は当人にとって、最も快い、大切な響きを持つことばであることを忘れない」
メルマガが一般的になってから20年以上経ちます。
メールの件名や本文の冒頭に「○○様」を自動的に差し込まれていると、不特定で送られてくるメールと違って、ついつい開いて見てしまいます。デール・カーネギーの人に好かれる原則を活用していると言えます。
営業時代に、研修トレーナーとして、数百人の営業に同行をしていました。様々な営業スタイルを客観的にみることができて、コミュニケーション心理学を研究する上で貴重な体験ができました。
その中でも印象に残っているのは、ある営業のAさんに同行したときです。
Aさんは、社内でも人の懐に入るのがとてもうまい人で、安定した成績を出していました。同行すると、どんなに年配の方でも、名前で呼びかけていることに驚きました。75歳の女性にも「さん付け」です。
99%の営業は、「お客様」「奥様」、あるいは「奥さん」と呼んでいましたし、70代以上のお客様相手だと、20代30代の営業は、「おばあちゃん」と呼ぶ人も多かったです。ところがAさんは、どんなに年配の方でも、○○さんと呼びかけていました。相手に対してのリスペクトを感じました。
■50人と名刺交換した相手に自分の名前を呼ばれた瞬間
お名前を呼ぶことにまつわる、強烈なエピソードがあります。
あるパーティーに参加したときに、さわかみ投信株式会社の創業者、澤上篤人氏がゲストで参加されていました。
澤上氏の前には、名刺交換を求める人の大行列ができました。おそらく50人以上の方と名刺を交換されたのではないかなと思います。もちろん私も名刺交換をさせていただきました。
パーティーが始まって1時間くらい経ち、澤上氏があちらこちらに挨拶をしている姿が目に入りました。そろそろお帰りのようです。
澤上氏は、私と目が合うなり、「あ! 松橋さん、今日はありがとうございました! お先に失礼します」
「えっ? はい、あ、あ、あ、ありがとうございました……!」
感動して、焦りに焦りまくった返事しかできませんでした(「50人と名刺交換して、私の名前をなぜ覚えているんだろう!⁇」)。
あれほど有名な方が、50人以上と名刺交換をして、投資なんて無縁そうな私の名前なんぞを覚えているなんて、「この人は神か!」と思いました(笑)
これほど自分の名前を呼ばれてうれしかったのも、人生で初めてでした。
お名前を呼ぶことのパワーを思い知った瞬間でした。
■会話の中に何度も何度も名前を差し込むは一石二鳥の技
お名前を呼ぶことは、「あなたを認識していて、尊重している」という意思表示です。
人間関係を築く上で、相手の名前で呼びかけることは、とても大事です。
さらに、何度もお名前で呼びかけるうちに、相手の名前を自然に覚えられる効果もあります。
あなたは人の名前を覚えるのが得意でしょうか?
もし苦手なら、会話の中に何度も何度もお名前を差し込みましょう。
親近感を感じてもらえて、さらに相手の名前もしっかり覚えられるという、一石二鳥の技です。
■「自己紹介の準備をしない」は大損失
できない人はアドリブで自己紹介をする。
人生で自己紹介をする機会は、どれくらいだと思いますか?
何かしらの集まりに参加したら、自己紹介をする機会があります。
先日、オンラインセミナーに参加したときには、数人のグループに何度も分かれて自己紹介をする機会があり、わずか30分で4回の自己紹介をしました。
「そういえば、生涯でどれくらい自己紹介をするんだろう?」
と、疑問に思って考えてみました。講師をされている方なら自己紹介をする機会は、一生のうちで千回は超えるでしょう。少ない方でも数百回はするのではないかと思います。
なのに、自己紹介の内容をアドリブでやっていたり、大した準備をしていないのは、とても効率が悪く、もったいないことだと思います。
「佐藤商事の鈴木と申します」
このように、会社名とお名前だけ紹介する方は多いです。これだけだと印象に残らず、まるで「私を覚えないでください」と言っているのと同じです。
■印象に残る自己紹介をする3つのポイント
印象に残る自己紹介をするために、次の3つのポイントを盛り込んでみてください。
①何で覚えてほしいかを伝える
「聴き方を教えるセミナーを主催している、一般社団法人日本聴き方協会の代表理事、松橋良紀と申します」
このように、何で覚えてもらいたいのか明確に伝えましょう。
「事務をしています」「営業をしています」「セミナー講師をしています」だけだと、印象には残りません。何をやっているのかひと目でわからない社名の場合は、特に丁寧に業務内容を紹介する必要があります。
②名前の解説をしよう
「松橋と申します。松の木の松に、ブリッジの橋で松橋です。
英語でパインブリッジです。
松橋はありそうであまりない名字ですが、それでも松崎とか高橋と間違えられます。松崎さんって呼ばれて、そのうち「しげるさんだっけ」と呼ばれ始めて、もはや原型をとどめない人になったこともあります。マツハシですのでお間違えなく」
このように、どんな漢字を使うのかと、英語に言い換えるとどうなるか、ユーモアを入れて伝えると、覚えてもらえやすいです。
■聴きやすいスピードは、10秒なら50文字、30秒なら150文字
③エピソードを加える
「今は30冊で50万部の著者をやっていますが、43歳でクビ宣言されて独立した当初は、時給900円引っ越し屋のバイトで食いつないでいました。年下にどなられてばかりで、精神的にもきつかったです」
このトークをよく使うのですが、こんなことがありました。「松橋さん、10年ぶりにお会いできましたが、池袋のセミナーにゲスト講師でこられてお話されましたよね。あのときの引っ越しのバイトから著者になった話に、とても力づけられました。感謝しています!」
10年も前に話したことが、これだけ心に残っていると言っていただいて、とても感動しました。
エピソードには人の心を動かす力があります。
特に苦労話と、そこから這い上がったエピソードは、共感を生み出して感情を揺さぶります。説明だけではなく、そんなエピソードを交えた自己紹介も用意しておきましょう。
ちなみに聴きやすいスピードは、10秒なら50文字、30秒なら150文字、1分間で300文字、3分なら900文字です。それぞれの時間で台本をつくっておきましょう。
一生のうち、何百回、何千回と使えることを考えるとやらないのは大損です。
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コミュニケーション心理トレーナー
1964年生まれ。青森市出身。20代で営業マンを経験するが、強度の人見知りで人間関係が大の苦手なため、まったく売れず……。ところが30歳のとき、カウンセラー養成学校で心理学を学んだことで人生が激変。支店長となり社内研修講師として全営業所の全社員の営業研修を担当すると、1年で会社の売り上げが140%アップ。2007年にコミュニケーションが苦手な人、困っている営業パーソンのための協会を設立。著書はこれまでに30冊、累計40万部。『話し方で「成功する人」と「失敗する人」の習慣』(明日香出版社)、『「売れる営業」がやっていること 「売れない営業」がやらかしていること』(大和書房)、『何を話せばいいのかわからない人のための雑談のルール』(中経の文庫)など著書多数。
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(コミュニケーション心理トレーナー 松橋 良紀)
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