「患者の8割が3カ月間で5kg減量」…1分でできる「ヨボヨボ肝臓を20代当時に戻す」肝臓外科医のダイエット法
プレジデントオンライン / 2024年10月25日 17時15分
※本稿は、尾形哲『専門医が教える 1分で肝臓から脂肪が落ちる食べ方決定版』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■内臓脂肪や皮下脂肪よりも先に落とせる“肝臓の脂肪”
40歳をすぎると、食べる量は変わっていないのに太る、食事制限をしてもなかなか痩せないと悩む方が増えてきます。二の腕やぽっこりしたお腹を見ては、蓄えられていく脂肪を疎ましく思う人もいるでしょう。
一口に脂肪と呼ばれますが、蓄えられる部位によって名称や特徴が異なります。二の腕のように皮膚の下にたまる脂肪が「皮下脂肪」、ぽっこりお腹は内臓の間や内臓そのものに付着する「内臓脂肪」です。本来は皮下脂肪と内臓脂肪に優先的に脂肪が蓄えられますが、ここだけで対処しきれなくなると増えるのが「肝臓脂肪」です。
肝臓脂肪は肝細胞の1つひとつにためられていきます。背脂入りのラーメンスープのような白い粒が細胞の中にあるようなものです。
過剰に蓄積されると「脂肪肝」になり、肝臓の炎症や肝硬変、肝臓がんに進行するリスクが高まります。だから、“肝臓に脂肪をためすぎてはいけない”のです。
ただ救いがあるのは、肝臓の脂肪は内臓脂肪や皮下脂肪よりも先に落とすことができます。“いちばん落としやすいのが肝臓の脂肪”なのです。
■体重の7%を減らせば脂肪肝から脱却できる
肝臓は食事でとった栄養の代謝、有害物質の解毒という働きを一手に担っています。代えがきかない重要な臓器であり、健康な肝臓であれば3分の2を切除しても元の大きさに戻ることができる驚異の再生力を誇ります。
肝臓は若さを維持できる臓器でもあります。私は脳死肝移植の手術で、80代の人の肝臓を50代の患者さんに移植したことがあります。健康な肝臓ならば、その後40年間にわたって働き続ける可能性が見込まれるからです。年齢を問わず、元気な肝臓を維持できるポテンシャルの高い臓器というわけです。体形は20代に戻れなくても、肝臓は20代に戻れるのです。
“再生力”も“若返り力”も備える肝臓なので、たとえ脂肪がたまっても、きちんと対策をとることで余計な脂肪を落とすことができます。しかも、薬ではなく、食事で脂肪肝は治せるのです。
ポイントは、食べ方を変えて“体重を減らすこと。今の体重の約7%を減少させると、脂肪肝が改善することが示されています(※)。現在の体重が60kgの人なら、60(kg)×7(%)=4.2(kg)を減らせば、脂肪肝は改善します。
※Promrat K., et al.(2010). Randomized controlled trial testing the effects of weight loss on nonalcoholic steatohepatitis. Hepatology. 51(1):121-9.
■3カ月で5kg減を成功させた「1分」でできる食べ方
何をしても痩せないことがそもそもの悩みなのに、どうやって体重の7%を減量すればいいのでしょうか。その答えが、私が担当する佐久市立国保浅間総合病院のスマート外来の患者の8割が3カ月で5kg減を実現している“食べ方”にあります。
食べ方ポイントは大きく3つあります。
ポイント1 満足感を維持しながら“ゆる主食”を楽しむ
脂肪肝のおもな原因は糖質の“とりすぎ”です。糖質が過剰になることでエネルギーとして使われなかった糖が、中性脂肪になって肝臓の細胞に蓄えられていきます。とはいえ、問題なのは糖質の“とりすぎ”であって、ゼロにする必要はありません。
1食の糖質量は20〜40g。1日のトータルは130gを上限にしましょう。
主食であれば、1食当たりのご飯の目安量は70g。茶碗1杯でご飯150gなので、茶碗の半分ほどになります。この量を守れば、摂取する糖質量が25g程度になり、おかずを十分にとっても糖質量が増えすぎません。主食は“ゆるく食べる”のが長く続けるコツです。
その代わりに肉や魚、野菜のおかずをしっかり食べること。糖質は三大栄養素のうち消化吸収にかかる時間がもっとも少なく、腹持ちがよくありません。一方で、肉や魚などに含まれるタンパク質や脂質は腹持ちのよい栄養素です。野菜に含まれる食物繊維は消化吸収されずに、他の栄養素の消化吸収も遅らせるため、さらに腹持ちのよさに貢献します。
ただし、同じ糖質とはいえ飲料に含まれる糖質は吸収スピードが早く、肝臓に与えるダメージが大きいです。野菜ジュースや、乳酸飲料、スポーツドリンクなどの清涼飲料水などの甘い飲み物は避けましょう。
ポイント2 手間は最小限に野菜を増やす
主食を減らすと同時に、そのぶん食物繊維が豊富な野菜を増やしてください。食物繊維の摂取が減ると便秘を起こして、減量の妨げになりやすいからです。
野菜を洗ったり、切ったり、下ゆでしたりする手間はできるだけ省いてかまいません。がんばりすぎるのは禁物。
スーパーやコンビニに行けば、炒め物用やサラダ用といったメニューごとのほか、野菜の種類別など、さまざまなカット野菜が販売されています。また、ほうれん草やブロッコリー、オクラなどの冷凍野菜も豊富です。必要なぶんだけ使えて食品ロスの心配もありません。冷凍庫にストックしておきましょう。
包丁を使わずに食べられるミニトマトやレタスも、手間がかからない“お助け野菜”です。
ポイント3 コスパ&タイパが抜群の高たんぱく食品を活用
肝臓から脂肪を落とすには筋肉量を増やすことも重要で、筋肉の材料になるタンパク質の摂取は欠かせません。
残念ながら、タンパク質は体内に蓄えておけないため、こまめにとる必要があります。1日3回の食事でタンパク質を毎食20〜30gとるのが理想です。
そこで、開けたらそのまま食べられる“高タンパク食品”を常備することをおすすめします。
下に紹介する7つの高タンパク食品は、特売日にまとめ買いすればコスパがよく、熱湯を沸かして3分待たなくてはいけないカップ麺よりもずっとてっとり早く食べられる、最強のタイパ食品です。
■“主食をゆるく食べる”お助けテク
基本的な食べ方の方針がおわかりいただけたでしょうか。
とはいえ忙しい毎日を送っているのに、減量のためにやることを増やすのは現実的ではありません。日常のなかで少しでもラクをしながら、“肝臓をいたわる習慣”を身につけていくこと。これが、継続のカギです。
生活のなかに取り入れて、無理なく取り組んでみようと思える時間の目安は1分! そこで、「目分量で主食の量を量る」「盛り付けを工夫する」「アレンジを楽しむ」など、1分以内にできる“主食をゆるく食べる”お助けテクを紹介していきましょう。
ここで紹介するものは、実際にスマート外来の患者さまがたが実践し、減量に成功した方法です。
■握りずし2〜3個分を目安にご飯を食べる
1食のご飯の量は70g。慣れるまではきちんと計量することをおすすめしますが、握りずし1個分のサイズでご飯の量は25g程度です。握りずし3個分でご飯75gになります。目分量で加減して、70gのご飯の量を換算できれば、外食時でも、食べてよいご飯の量を守れます。
■丼ものは具をたっぷりにしてご飯はあえて見せない
丼ものでご飯が少ないと、見た目がさびしい印象になりがちです。そんなときは、ご飯を盛り付けたら、上から具をたっぷりかけて、ご飯を見せないようにするとよいでしょう。具をしっかり食べられるので、満足度もアップ。浅めの器を選ぶのも1つの手。深い器にほんの少しのご飯ではさびしいですが、浅めの器ならこんもり盛れます。“映える”盛り付けにすれば、食事を楽しみやすいです。
■低糖質麺はローテーションで飽きずに楽しむ
「糖質量は控えたいけれど、麺料理を食べたい!」という人に向けて、昨今、さまざまな低糖質の麺が販売されています。糖質量を控えられるこんにゃく麺だけでなく、大豆やえんどう豆などを原料にした麺はタンパク質もプラスできます。原料によって味や食感に特徴があるので、いくつか試しながらお好みのものを見つけられると食事の幅が広がります。
小さな1分を毎日積み重ねて達成感を味わいながら、肝臓をいたわって暮らしましょう。こうすることで、肝臓はみるみる若返ります。
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肝臓外科医
長野県佐久市立国保浅間総合病院外科部長、同院「スマート外来」担当医。医学博士。一般社団法人日本NASH研究所代表理事。1995年神戸大学医学部医学科卒業、 2003年医学部大学院博士課程修了。パリ、ソウルの病院で多くの肝移植手術を経験したのち、2009年から日本赤十字社医療センター肝胆膵・移植外科で生体肝移植チーフを務める。さらに東京女子医科大学消化器病センター勤務を経て、2016年より長野県に移住。2017年スタートの「スマート外来」は肥満解消と脂肪肝・糖尿病改善のための専門外来。著書に『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす食事術』、『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす7日間実践レシピ』『肝臓から脂肪を落とす お酒と甘いものを一生楽しめる飲み方、食べ方』(いずれもKADOKAWA)などがある。
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(肝臓外科医 尾形 哲)
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