これを口にすると「話がおもしろくない人」認定される…絶対避けたい「凡庸フレーズ」の実例
プレジデントオンライン / 2024年10月26日 15時15分
※本稿は、松橋良紀『うまく「雑談できる人」と「できない人」の習慣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
■伝えるべき主張を3つに絞ると、スッキリと伝わりやすい話になる
できない人はだらだら前置き症候群になる。
「○○はどうだった?」
こんな質問をすると、ひとつひとつの出来事を順を追って、ていねいに報告をしてくれる人がいます。
実は会社員時代の私もそうでした。
「話が長い」と何度注意されても、報告が長くなってしまいます。
できるだけ要約して話しているつもりなのに、なぜか前置きが長くなってしまう。
本題に行き着くまで時間がかかる。
ようやく本題に入ったと思ったら、周辺情報を細かく説明したりする。
「あれ、どっちだったかな?」などと迷走しはじめる。
すると、目の前の人がいらつきはじめる。
するとますます、「ていねいに話さないと!」と焦った気持ちに拍車がかかります。
そんな悩みをもつ人のために、ポイントを押さえた話し方をするためのコツをいくつか紹介しましょう。
まずは、話をする上での着地点を明確にすることです。どんな反応を取りたいのか、目的を明確にします。
そして、伝えるべき主張を3つに絞ります。
ポイントを3つに絞ったら、それぞれの根拠を用意します。
突然質問されたときも、この順番に沿って話してみてください。そうすると、スッキリと伝わりやすい話ができるようになるでしょう。
■「だらだら前置き症候群」の背景にある家庭環境
なぜこんなふうになってしまうのでしょう?
こういった状態になってしまうのを私は、「だらだら前置き症候群」と名付けました。
「だらだら前置き症候群」の原因の多くは、幼少期にあります。
私の心理療法養成講座の受講生の方が、教えてくれました。
「私は前置きが長いと言われます。
『要するに何なんだ? ポイントを話せ』と夫によく言われるんです。
その理由ですが、この講座では自分の過去を見つめる機会が多いので気づいたことがあります。うちの母は説教がとても長かったんです。
ちょっとした言い間違いをしたり、何か省いて話すと誤解されてよけい怒られる。
そんなことがひんぱんにありました。
ですからとにかく、何か報告をするときには、揚げ足を取られないように、ミスをしないようにと、ビクビクしながら念入りに話をするのが習慣になってしまったのかもと思います。40年前のことですが、今も影響しているんだなあと今、気づきました」
しっかり説明をしないと、親や兄や姉から怒られてしまう環境だった。
そんな環境で過ごした方は、話が長くなるのも当然ですね。
■自分の不安はどんな体験からきているかを紙に書き出す
特に親が、過干渉で不安気質の高い場合、子どもも不安気質が高くなります。「ミスしないように、間違わないように、そして怒られないように」と、ていねいすぎるほどに話が長くなってしまうのです。
そういった人は、ミスは少ないのでしっかりしていると周りから評価されます。そのイメージを守ろうとして、ますますミスを怖れるようになったりもします。
自分の不安はどんな体験からきているのか?
特に幼少期での親との関係を見ていくのをおすすめします。
セルフカウンセリングするとしたら、「自分を止めているものはなんだろう?」と質問をしてみましょう。
出てくる言葉をどんどん紙に書き出していくことで、気づきが得られるかもしれません。
ただし、自分でなかなか見ることが難しい方がほとんどですから、このあたりの深い部分は、心理カウンセラーに引き出してもらうのがおすすめです。
■キャッチコピーが秀逸だと話を聞きたくなる
できない人は凡庸フレーズを使う。
話をしていて、惹きつける話をする人と、つまらない話をする人の違いは何だと思いますか?
私はキャッチコピー力の違いだと思います。
話を聞いていて、「あ、おもしろそうだな」「詳しく知りたいな」と思うのは、キャッチコピーが秀逸だからこそです。私が30冊を超える書籍を出版し続けられているのも、私のキャッチコピー力のおかげだと思っています。
例えばこのページのタイトルは、「うまく雑談できる人はキャッチコピーを意識し、できない人は凡庸フレーズを使う」となっています。
もし、「うまく雑談できる人は相手の興味を惹きつけることを意識し、できない人は興味を惹きつけない」だとしたらどうでしょう?
「まあ、そりゃそうでしょ」で終わってしまいます。
では、どうしたらよくなるかといえば、まずは凡庸フレーズを知ることです。
・人間誰しも、未来を切り開く、可能性の扉を開く、人と人をつなぐ、夢を叶える、自分を活かす
・自分を大切に、風のような爽快感、山のような安定感、海のような大きさ、世界の平和のために
・ものの見方を変えると人生が変わる、感謝が大事、健康が一番、可能性は無限、人を笑顔にしよう
・あきめなければ夢は叶う、何事も経験、前向きに考えよう、地道に、コツコツと、凡事徹底、愚直に
・幸せ、ハッピー、元気、成功、貢献
これらのフレーズや単語は封印して、一生使わないと決めていただきたいくらいです。
といっても、私がSNSで友人の投稿やコメントに反応するときには、「感謝です」「祈ってます」「楽しみにしています」と、凡庸フレーズで社交性を発揮しているのは見逃してください(笑)。
■聞いていて「え?」と思わせるようにフックを作る
話していておもしろい人たちは何が違うのでしょうか?
ポイントは「え? 何それ?」という引っ掛かりをつくることです。
フックといいますが、素通りできないフレーズや言葉を使ってフックを作るように意識します。いくつか紹介しましょう。
①新しそうに見せる
新しそうに見えるような表現をします。最新、新製品、新型、新方式などの単語と組み合わるといいです。たとえば、「今までにはなかった」と言われたら、私はすぐに飛びついてしまいます。
②常識の逆をつく
一般的に言われていることの逆のことを言いましょう。すると意外性とインパクトを与えることができます。
「一期一会は大事にするな」「英語は絶対勉強するな!」「沈黙営業術」など、一般常識の逆をついたフレーズは、その理由を知りたいという感情を動かします。
常に、「このフレーズは凡庸でないだろうか」と考えて、話したり書いたりしていくと、あなたの人生は大きく変わります。
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コミュニケーション心理トレーナー
1964年生まれ。青森市出身。20代で営業マンを経験するが、強度の人見知りで人間関係が大の苦手なため、まったく売れず……。ところが30歳のとき、カウンセラー養成学校で心理学を学んだことで人生が激変。支店長となり社内研修講師として全営業所の全社員の営業研修を担当すると、1年で会社の売り上げが140%アップ。2007年にコミュニケーションが苦手な人、困っている営業パーソンのための協会を設立。著書はこれまでに30冊、累計40万部。『話し方で「成功する人」と「失敗する人」の習慣』(明日香出版社)、『「売れる営業」がやっていること 「売れない営業」がやらかしていること』(大和書房)、『何を話せばいいのかわからない人のための雑談のルール』(中経の文庫)など著書多数。
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(コミュニケーション心理トレーナー 松橋 良紀)
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