「人それぞれだから」は絶対言ってはいけない…雑談を一瞬で凍らせるNGワードvs.5文字の盛り上げフレーズ
プレジデントオンライン / 2024年10月27日 15時15分
※本稿は、松橋良紀『うまく「雑談できる人」と「できない人」の習慣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
■ただ話を聞くだけでは、相手にとってつまらない
できない人は相手にあわせた話題にする。
「目上の人や年上の人とは、何を話したらいいか、さっぱりわからなくていつも困ります。どうしたらいいですか?」
こんな質問をいただくことがあります。
若い世代にとって、目上との付き合い方はいろいろと神経を使うことでしょう。
通常のアドバイスであれば、「しっかり傾聴スキルを使って話を聞いてください」となります。
ですが、私の実体験で言えば、それは相手にとってつまらないことが多いです。
交流会などで20代の人と名刺交換をすると、当然ながら私の専門分野の話や著書の話題になったりします。
「心理学ですか! 興味あります!」と言われても、交流会という場で、相手のレベルも聞きつつ、それに合わせて専門分野の話をするのはおっくうなものです。
「コミュニケーションが苦手だという方は多いんですが、スキルを学ぶことと、ビリーフの解除が大事なんですよ。というのも、親との関係で作ってしまったビリーフが土台になっていて、うまくいかないんですよね……」
などと、仕事で何度も話しているコンテンツを、雑談の場で披露しても、雑談にはふさわしくありません。相手の専門分野を熱心に聞いて人間関係を築くセオリーは、年配相手の場合は微妙です。
それよりも、年配としては、しっかり聞いてくれるよりも、若い人から刺激をいただきたい人も多いです。
■サラリーマンの月給を稼ぐ大学生の考え方に触れる喜び
ある飲み会で隣の席に座った20歳の方と話していたら、大学生だけどSNSでの動画の制作代行をしているというのです。なぜその仕事を始めたかを聞くと、視聴回数が100万を超える動画をつくったのがきっかけで、動画コンサルをスタート。
大学生ながら、毎月サラリーマンの月給くらいを稼いでいるとのこと。
動画づくりがとても楽しいらしく、スマホ片手にいろんなコツを教えてくれました。
私の世代では考えられない考え方やコツなども教えてくれました。
さらにプライベートの過ごし方も、私くらいの世代とはまるで違うようでした。
違う文化に触れられた喜びはとても大きかったです。
目上や年上と話をするときには、若者世代で流行していることや、最新のトレンドや、若者世代の文化に関することを話したほうが喜ばれるということです。
SNSで情報の共有化がされるようになったとはいえ、年齢が上になればなるほど、若い世代との情報の断絶は大きいです。
そもそも年配者と若者では、使うSNSが違うことも多く、年配はどうしても若者のトレンドにはうとい状態になりやすいです。ですから、若者世代のトレンドの話などは、とても興味深く聞いてくれます。
気兼ねなく、自分が熱中している話をしていきましょう。
■自分の話をしすぎたら、悩みを相談してみる
若者が熱中していること、得意なこと、詳しいことは、きっと年配の方たちにとって、とても新鮮なことだと思います。そういった話を熱心にすることで、目上の人にとっても楽しい雑談タイムになるのです。
自分の話ばかりしすぎたなと思ったら、悩み相談を入れていくといいです。
「そうはいっても、人間関係って難しいですよね。先日こんなことがあって……」
そうやって悩みを差し込んでいくと、目上の人からさまざまなアドバイスがもらえます。
目上の人相手なら、傾聴するだけでなく、トレンドを教えてあげるくらいの気持ちで接して、悩み相談もしていくと、深い関係を築けます。
■雑談の楽しみを一瞬で壊してしまう言葉
できない人は「人それぞれだから」と言う。
「やっぱり本を読むならビジネス書だね」
「いやいや、人生の幅を広げるなら小説に限るよ」
雑談で盛り上がっているときに、こんなふうに水を差す人がいませんか?
「まあ、人それぞれだから、とやかく言うのは違うんじゃない?」
ビジネス書を推す人も、小説を推す人も、人それぞれの好みや考え方があることは十分承知のはず。それを踏まえた上で雑談を楽しんでいるわけです。
それを一瞬で壊してしまう言葉が、「人それぞれ」です。
抽象度の高い概念を持ち出したら、雑談は続きません。
「お仕事は何をされているんですか?」
「はい、会社員です」
こちらも同様です。
「あまり話したくないのだな」と思われて雑談が盛り上がりません。
「課長、こんなときにどうしたらいいでしょう?」
「うーん、その時のケースによるね」
こんなことしか言わない上司も同様です。
聞いても当てにならないと思われて、相談されなくなります。
以上のように抽象度の高い話にしてしまうと、雑談は盛り上がりません。
雑談をうまくできる人は、具体的なエピソードや、事例を大事にします。
また、あいまいで抽象的なことを言われたら、具体化していく質問をすることで、話の取っ掛かりをつくり、話を広げていくこともできます。
■あいまいな回答には、質問で情報を深堀りしていく
聞き手「お仕事は何をされているんですか?」
話し手「はい、会社員です」
聞き手「会社員をされているんですね。具体的にはどんな?」
話し手「ええと、経理の仕事を」
聞き手「誠実な感じがまさに経理の方という感じですね! 一生食いっぱぐれがなさそうですね」
話し手「いえいえ、そんなことはないですよ~。というのは……」
こんなふうに、あいまいな回答には、
「具体的には?」「と言いますと?」「たとえば?」
などの深堀りの質問が必須です。
深堀りをしていくことで、情報が具体化されると、自然に次々と質問したいことも増えていきます。
「相手のことを知れば知るほど好きになる」という状態を、「熟知性の法則」と呼びます。逆に考えると、相手のことを知らないから無関心になるわけです。
人気者に、人と関わるのが嫌いという人はいません。
「人気」という漢字は、人の気を集めることを言います。他人を好きにならないけど、自分を好きになってくれというのは無理な話です。
人に対して好奇心があり、他人に興味を持ち、いろいろと相手のことを理解する努力をする人は、自分から人に好意を持ちやすいです。ですから他人からも好意が返ってきます。
とにかく具体的な話を引き出していきましょう。
自然に相手に対してどんどん好意を持てるようになるでしょう。
そして人気も集まっていくでしょう。
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コミュニケーション心理トレーナー
1964年生まれ。青森市出身。20代で営業マンを経験するが、強度の人見知りで人間関係が大の苦手なため、まったく売れず……。ところが30歳のとき、カウンセラー養成学校で心理学を学んだことで人生が激変。支店長となり社内研修講師として全営業所の全社員の営業研修を担当すると、1年で会社の売り上げが140%アップ。2007年にコミュニケーションが苦手な人、困っている営業パーソンのための協会を設立。著書はこれまでに30冊、累計40万部。『話し方で「成功する人」と「失敗する人」の習慣』(明日香出版社)、『「売れる営業」がやっていること 「売れない営業」がやらかしていること』(大和書房)、『何を話せばいいのかわからない人のための雑談のルール』(中経の文庫)など著書多数。
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(コミュニケーション心理トレーナー 松橋 良紀)
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