過去のミスを引きずる人は、なぜ引きずるのか…「寝る前の考え事」がスッキリ消えるシンプルな習慣
プレジデントオンライン / 2024年10月26日 9時15分
※本稿は精神科医Tomy『内向的な人の幸福戦略』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。
■目的もなく考え事をするとネガティブになる
こういうとき、人間は思考だけを動かしています。つまりただ漠然と考えている。人間は目的もなく考え事をすると「よしなしごと」を考えるようになります。つまり、考えても仕方のないネガティブなことを考えるようになります。それは考えることが尽きてしまうからです。今アナタが起きてもいないことを考えてしまうのは、まさにこれに当たります。
それを防ぐためには、考えないこと。しかし、人間は考えるのをやめるのは難しい。こういった考えは「自動思考」といって、自動的に起きてしまうものですから、尚更です。ではどうすればいいのか。それは、違うことを考える。違うことを考えれば、今の考えを追い出すことができます。
では何を考えればいいのでしょう。
重要なのは、「出口があるもの」を考えることです。
一番良いのは、今目の前のことに集中する、考える。なぜなら、今やっていることは、それをやめたときに考える必要がなくなる。つまり出口があります。考えがネガティブになるのは、考えても仕方のないことを考えるからです。だから逆に目の前のことについて考える。
■目の前の「今」のことを考えていればいい
たとえば食事をしているのなら、目の前の食事について考える。味わう。食事が終われば考えなくて済むからです。そして食事が終わったら、次のやることに集中する、考える。たとえば洗いものや片付けについて考えて集中する。今は移ろいゆくものですが、幸い目の前にはいつも「今」がある。
今のことを考えていれば、出口はあるし、尽きることはない。
だから未来の起きてもいないことを考える暇もなくなるのです。
もし、目の前にあること以外を考えるのであれば、「出口のあるもの」を考えるようにしてください。たとえば来週の旅行のプランをどうするか考える。これは延々と考え続けるものではありません。
こういった具合に今目の前のこと、あるいは出口のあることを考えていれば、それだけでいっぱいいっぱいになるはずです。漠然と頭をお暇にする余裕はありません。そして、気が付いたら心配性も少しずつ改善されていくはずです。
今目の前のことを考える。もしくは答えの見つかることを考える。そうすればクヨクヨ考える時間はなくなるはず。
■失敗から前に進むにはどうすればいいか
こういう方の特徴として、「悪いことが起きた時点で時間を止めてしまう」という傾向があります。周囲の人にとって、アナタのミスはもう過去のことになっているのですが、当の本人だけずっと起きた直後のままの気持ちでいるんですよね。
一番良い方法は、「アナタの心の時間を進めること」なのです。
そのために必要なのは、「次のステップに進むこと」です。どんな失敗も、原因を探って改善すれば成功につながる。「塞翁が馬」などといいますが、まさにその通りで、失敗と成功は繰り返されるのです。
ミスが起きたことは過去のこととして、それに対して何ができるかを考え実行する。それしかありません。「ミスを引きずる」というのは、アテクシが良く言う「頭がお暇な状態」です。目の前のことに集中せず、頭がお暇になっているから、どうにもならないネガティブなことをクヨクヨ考えてしまうのです。頭がお暇になっている時間はもったいない。過去のミスから何を学ぶか、どう改善するかを進めてみてください。
■「気にしなくてもいいよ」と言われてもやるべきこと
ただ場合によっては周囲から「ミスのことはもういいから」と言ってもらえることがあります。それは一種の優しさなのですが、この優しさに乗っかってしまうとかえって上手くいかないことがあります。そこだけは要注意です。
なぜならば周囲に許されてしまうと、アナタのミスに対する「モヤモヤ」の持って行き場所がなくなってしまうからです。もし周りに「気にしなくてもいいよ」と言われたとしても、ミスに対する分析、対策は自分のためにも進めておくことをオススメします。
こうするとモヤモヤが消えて次の成功につながるだけではなく、自己肯定感も高まります。なぜならば、アナタの評価も高まるからです。反省会をすること自体が問題なのではありません。むしろ反省会は、「過去から何かを学ぼうとする姿勢」の現れでもあるのですから。問題は、反省会の活用方法なのです。
考えてみてください。「過去のミスのことをいつまでも引きずっている」人と、「ミスから何かを学び改善しようとする」人。アナタの周りにこんな人がいたら、後者の人に対して感心しませんか? 両者とも真面目で反省しているのに、行動を変えるだけで周囲に与える印象は真逆になるのです。
ミスの原因を考えて、次につなげる。アナタの心の時間を先に進ませましょう。
■「意見を聞かせて」と言われると困ります
「あなたの意見を聞かせて」
「君はどうしたいの?」といった言葉が苦手。
議論に関して、アテクシは2種類のタイプの人間がいると思っています。一つはデフォルトが「話し役」の人。もう一つは「聞き役」の人です。
議論が始まると「話し役」の人は頭の中に沢山の「自分の意見」が湧いてきて、伝えたくなります。一方「聞き役」の人は誰かが話す内容にうんうんと耳を傾け、理解しようとする。「聞き役」の人が突然意見を求められたとき、頭が上手く切り替えられなくておどおどしてしまうのです。
■仮の「自分の意見」を作ってみる練習
これを解決する方法ですが、意見を求められなくても「自分ならどう考えるか」を考えておくのが一番だと思っています。自分の意見のシュミレーションを普段からしておくということですね。誰かの話を聞くにしても、「自分に話が振られたらこう答えよう」と考えながら聞く。これだけでだいぶ違ってくるはずです。
それでも「自分の意見がよくわからない」という人もいるかもしれません。もともとの性質として、思考を言語化するのが得意な人間と、そうじゃない人間がいます。だから、よくわからなくても特に劣等感を抱く必要はありません。そんな人のために、自分の意見を決める方法についてお伝えしましょう。
ステップ1 仮の「自分の意見」を作る
「自分の意見かどうかはわからないけれど、聞かれたらこういうことにしておこう」という程度でもいいので、「仮の自分の意見」を設定してみてください。たいてい議論というのは、「AかBか」「賛成か反対か」というように二者択一です。自分のスタンスを決めておく。わからなければ、適当でもいいんです。
ステップ2 「自分の意見」の理由を考える
自分のスタンスが決まったら、その理由について考えてみてください。これも何でもいいのです。そうすると「○○なので、××だと思う」という立派な意見が出来上がります。
ステップ3 仮の「自分の意見」を吟味する
仮の自分の意見ができたら、それでいいかよく考えてみてください。自分の意見を作る過程で、「とりあえずこんな意見になったけど、何か違うな」と感じることがあります。
そうしたら、逆の意見を作ってみてください。そしてしっくり来るほうを、自分の意見として採用してください。混乱しそうであれば、仮の「自分の意見」をそのまま採用してください。
この過程を繰り返すことで、だんだんと自分の思考が言語化しやすくなると思います。自分の意見がわからない時は、「まず、こういう意見にしておこう」と出口から決めてしまうのです。
■自分を「傍観者」にしない習慣を
日頃から、目の前にある問題点に関して「自分ならどう考えるだろうか」「どうするだろうか」と考える癖をつけておくことは重要です。この姿勢は、人生に対して「自分を傍観者にしない」という意味でも大変重要です。人生をいかに充実したものにするかは、自分の納得具合で決まります。何も思っていない人が、思い通りの人生なんて歩めるはずがないのです。
「アナタはどう思うの?」と質問に答えるためだけではなく、人生全体を良くするためにも、「自分が何を思うのか」、常に意識するようにしてみてください。
聞かれなくても、「聞かれたらこう答えよう」と意見のシミュレーションをする。
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精神科医
1978年生まれ。名古屋大学医学部卒業。医師免許取得後、名古屋大学精神科医局入局。精神保険指定医、日本精神神経学会専門医。39万フォロワー突破のX(旧・Twitter)が人気。『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)、『内向的な人の幸福戦略』(朝日新聞出版)ほか著書多数。
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(精神科医 Tomy)
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