頭のいい子は「YouTubeの見方」が全然違う…「ダラダラ視聴→頭がフル回転する教材」に様変わりする"親の一言"
プレジデントオンライン / 2024年10月26日 18時15分
※本稿は、菊池洋匡、こしいみほ『マンガで即わかる!学力があと伸びする子の親が大切にしていること』(実務教育出版)の一部を再編集したものです。
■子どもがYouTubeを見てばかりで心配…
「テレビやYouTubeなどの動画を子どもに見せることに罪悪感を感じる」というご相談をよくされます。動画を見てばかりだと、子どもの頭が悪くなるんじゃないか、と心配になりますよね。
確かに、その心配は当たっています。研究によっても、テレビを長時間見ている子は言語や認知機能の発達が悪くなる傾向があると知られています。例えば、ニュージーランドで行われた、1000人もの子どもを26歳まで追跡調査した研究では、小児期(5~11歳)および青年期(13~15歳)において、テレビ視聴は教育成績に悪影響があったことが確認されました。
だからといって、スマホやタブレットが普及し、動画メディアがあふれる現代社会で、それらをすべて制限するのは難しい話です。共働きで両親どちらも忙しい家庭では、そうしたデバイス・メディアが子守りの役割を担っている現実もあります。そこでオススメしたいのが、動画内容について親子で会話をすること。
■動画を「成績アップ」につなげる方法
動画メディアの視聴により成績が低下する理由として考えられるのが、受動的な視聴で子どもの好奇心が低下することです。実際に、5100人の幼児を対象とした調査でも、1日のテレビ視聴時間が長いほど、幼稚園での好奇心の低下につながっていたことが示されました。好奇心が低い子ほど語彙が少なく、学ぶことに興味を示さず、学業成績が悪い傾向があります。こうしたつながりにより、動画メディアの視聴で成績が低下するのではないか、とうかがわれます。
しかし、同研究によると、テレビ視聴中に親とよく会話する子ほど、好奇心のレベルが高かったことも示されました。このことから、内容について考え、他の人と会話するきっかけとして動画を使うと、「好奇心アップ→成績アップ」につなげられるのではないか、と考えられます。視聴中ではなく、事後的な会話だと効果が落ちるかもしれませんが、少なくとも話の内容をまとめたり、感想を言ったりすることは言葉の学習としても効果的なので、ぜひやってみましょう。
■子どもが読書をすると「いいことづくめ」
本の読み聞かせは子どもの地頭を育てる上で効果的です。これにより、語彙力や思考力が高まることがわかっています。また、本を好きになることで、先々自分で読書をすることにもつながるでしょう。子どもが読書をすると、心の健康状態がよくなり、ストレスが軽減され、問題行動を起こしにくくなり、感情のコントロール能力が上がります。ついでに、将来の収入まで上がるそうです。
さらには、親子関係が良好になり、親御さんに自尊心が芽生え、ストレスが軽減されるそうです。親子ともに良いことづくめですね。子育て中の親御さんは悩みもストレスも多く、気分が落ち込むこともあるでしょう。そうした状態を改善するためにも、読み聞かせを活用していくといいですね。
読み聞かせをより効果的にするためにオススメなのが、「双方向の読書」です。ニューヨーク大学の研究では、親子で交代しながら読んだり、お互いに感想を言い合ったりして、お子さんにも能動的にアクションしてもらって読むと、子どものIQがより一層上がることが示されています。お子さんに能動的に頭を使わせるにはどうしたらよいか、を何事においても意識してみてください。
■脳をフル回転させる「読書中の声かけ」
動画でも本でも、お子さんに「どう思う?」のような抽象的な感想の聞き方だと答えられないことがあります。そういう場合は、限定的な質問にしましょう。例えば、「一番好きなシーンは?」「一番好きなキャラクターは?」といった具合です。さらに、「なぜ好きなの?」と掘り下げてあげるといいですね。「この時、ウサギさんはどんな気持ちだったんだろう?」「このあとのお話はどうなると思う?」など、色々聞いてみてあげてください。
なお、読み聞かせでも、動画や本について会話をする場合でも、親御さんが「勉強させよう!」と鼻息荒く臨むと、その雰囲気は子どもに伝わって途端につまらないものになってしまいます。あくまでも、親子の時間を楽しむことを大前提にしてくださいね。楽しい方がお子さんの脳はフル回転しますよ。
■「勉強させよう!」と意気込むのはNG
英会話教室と言えば、人気の習い事ですよね。小さい子に英語を身につけさせるために通わせるご家庭は多いです。会話は、言葉を習得するために効果的な練習の1つです。そう考えると、ご家庭での親子の日常会話も、すべてお子さんの日本語力を育てる機会になっていることがわかると思います。親子の会話が多いほど、子どもの語彙力は豊富に育っていくのです。
私が親子の会話をする上で、最も大事だと考えているのは「楽しいこと」です。楽しい方が続けられますし、子どもの脳もフル回転します。あくまでも、親子の時間を楽しむことを大前提にするようにしてください。ここまでお話してきた読み聞かせでも、動画や本の内容について会話する場合でも同じですが、親御さんが「勉強させよう!」と鼻息荒く臨む雰囲気は子どもに伝わり、途端につまらないものになってしまうのでご注意を。
■親子で会話をする時の「3つのコツ」
親子で会話をする時の3つのコツがあります。
1つめは、子どもの話に関心を向けること。スマホに意識を向けながら、適当に相槌を打ったりするのはNGですよ。
2つめは、子どもの話をなるべく肯定的に受け止めること。生徒たちの中には、「お母さんに何を言っても否定されるから話したくない」と言う子が時々います。ご自身に置き換えて考えてみたら、話をいちいち否定してくる人とは会話をしたくないと思うのではないでしょうか。お子さんの言うことに対して、まずは共感的な返事をするように意識してみてください。
3つめは、質問を投げかけること。「何でだろう?」「あなたはどう思う?」「どんな風に感じた?」などなど、「はい/いいえ」では答えられないオープンクエスチョンを投げかけて、話を掘り下げましょう。
あまり堅苦しく考えて会話がギクシャクしてしまったら、お子さんはつまらなく感じます。「その通り完璧に実践しよう」などと身構えず、気楽にどうぞ。
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中学受験専門塾 伸学会代表
開成中学・高校、慶應義塾大学法学部法律学科卒業。10年間の塾講師歴を経て、2014年に伸学会を自由が丘に開校。現在は目黒校・中野校と合わせて3教室に加え、オンライン指導も展開。現在メルマガ・公式LINEは1万人超、YouTubeは10万人超の登録者がいる。主な著書に『小学生のタイパUP勉強法』『「やる気」を科学的に分析してわかった小学生の子が勉強にハマる方法』『「記憶」を科学的に分析してわかった小学生の子の成績に最短で直結する勉強法』『「しつけ」を科学的に分析してわかった小学生の子の学力を「ほめる・叱る」で伸ばすコツ』(実務教育出版)などがある。
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マンガ家、イラストレーター
埼玉県在住の、小学生2人の母。マンガ家・イラストレーターとして、コミックエッセイや実用系マンガ、挿絵を中心に制作。楽しく・わかりやすく・親しみやすい、「た・わ・し」な表現で支持を得ている。著書に『ころんでもポジティブ』(オーバーラップ)、『不調と痛みが消える!10秒筋膜ほぐし』(主婦の友社)、『マンガでカンタン! SNSマーケティングは7日間でわかります。』(Gakken)がある。
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(中学受験専門塾 伸学会代表 菊池 洋匡、マンガ家、イラストレーター こしいみほ)
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