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医師・和田秀樹が断言「ヨボヨボ脳→ハリのある脳に変える驚くほど身近な食材と栄養素」

プレジデントオンライン / 2024年10月25日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Paul Campbell

後悔なく寿命を使いきるためにはどのような衣食住が必要か。医師の和田秀樹さんは「例えば、食に関しては、お肉を食べると、セロトニンという幸せホルモンの分泌が増え、精神的に安定し、その結果、意欲や思考力も高まる。また、ビタミンCは認知症を抑制して張りのある脳を作り、男性の場合、寿命を6年延ばしてくれる」という――。

※本稿は、和田秀樹『脳と心が一瞬で整うシンプル習慣 60歳から頭はどんどんよくなる!』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

■好きなものを食べ、よく歩くと、脳の基礎体力がつく

高齢になるほど、コレステロールや塩分が気になり、さっぱりしたものや粗食に切り替える方も多いと思います。

けれど、年齢を重ねた方は、いろいろと配慮をするということは前提として、時には食べたいものを満足に食べるほうが、脳にも体にも栄養が行き届き、また、人生の質も上がると思います。

「肉は食べすぎてはいけない」などという説もありますが、お肉を食べてタンパク質やアミノ酸を摂取することは、頭にも体にもよい影響をもたらしますし、加齢とともに低下していく幸せホルモン、「セロトニン」の正常な分泌にもつながり、メンタルも安定しやすくなるでしょう。

そして多くの人にとって、食は人生における重要な楽しみの一つです。その要素を極端に削ってしまうということは、生きる喜びが失われてしまうということ。また、たとえば肉や甘いものなど、何かを「食べたい」と思うということは、今、脳や体が特定の栄養素を欲しているサインだと考えられます。そういった体からのメッセージに応えることは、健やかな人生につながっていくと思います。

幸せな気持ち、わくわくする気持ちによって、脳内に「ドーパミン」という幸せ物質の分泌量が増えます。これが前頭葉の活性化を促し、思考力や意欲が高まるのです。

毎日、体調も顧みずに高カロリーなものを食べるのはもちろん推奨しません。ですが、時には自分の内側からの声に寄り添って好きなものを食べ、脳と心を喜ばせるとともに、人生の満足度を上げることは、とても重要だと思うのです。

たとえば肉を食べるときは、肝臓の代謝機能が弱まる夜には摂りすぎない、あるいはたくさんの野菜といっしょに食べる。そういった工夫をしながら、好きなものを楽しむという姿勢を大切にしていただければと思います。

筋力や免疫力の面から言っても、高齢者のほとんどの方が、食べすぎより食べなさすぎに注意すべきだと思います。ちょっと小太りの人のほうが長生きするというデータもあります。私は高齢者のダイエットなど、とんでもないと思っています。頭にも体にも栄養が行き渡らなくなり、肉体的にも精神的にも老け込んでしまいます。

また私は日頃から皆さんに、外でのお散歩をおすすめしています。

コロナ禍で外出しなくなった高齢の患者さんたちは、皆さん著しく筋力、体力が衰えてしまい、ヨボヨボとしてしまいました。外を歩いて心身を活性化させるのは、人としての生命力の維持に関わることなのです。

体のためにと無理に激しい運動をするのは、活性酸素を過剰に発生させ、細胞の損傷を引き起こす可能性があるのでおすすめしません。ゆったりとした気分でお散歩するのがシニアには最適だと思います。外に出て日の光を浴びることでセロトニンが分泌されますから、心が安定するとともに、頭の回転もよくなっていきます。

■頭をよくする食生活のキーワードはお肉とビタミンC

先にも少し触れましたが、私はシニア世代こそお肉を積極的に食べるべきだと思っています。

その理由としては、まず、お肉を食べることで、セロトニンという幸せホルモンの分泌を増やすことができるからです。セロトニンが正常に分泌されると、人は精神的に安定し、その結果、意欲や思考力も高まっていくのです。幸福度を高める物質ですから、当然、うつ病のリスクも下げてくれます。

セロトニンの原料は、トリプトファンというアミノ酸の一種です。このトリプトファンは、豆や乳製品、肉、魚などのたんぱく質に多く含有されていますので、たんぱく質の塊であるお肉を食べることは、とても理にかなっているのです。

私がこのようにシニア世代に肉を薦めると、「コレステロールが心配だから……」という返答をいただくことも多いのですが、コレステロールが体に悪いというのは誤った認識です。

コレステロールは人間を含めた動物の体を形成する脂質の一つであり、性ホルモンや細胞膜の材料にもなるなど、生命体には必要不可欠のものです。

現在、日本人の平均寿命が世界トップクラスになった理由の一つは、戦後、肉を食べるようになり、コレステロールの摂取量が劇的に増えたことが考えられます。コレステロールをきちんと摂取するようになったことで、強くしなやかな血管の維持が可能になり、脳卒中による死者が激減したのです。

さらに、コレステロール値が低いと免疫細胞の材料が不足するためか、がんになりやすくなるというデータも出ています。

脳と体の若さを保つために、ぜひ「肉食」を意識してみてください。

それから、ビタミンCも頭をよくしてくれます。物質の酸化を防ぐ「抗酸化作用」を持つビタミンCには、肌をきれいにしてくれるというイメージを持っている方も多いと思いますが、皮膚と同じように、脳細胞の酸化も防いでくれるのです。

脳や血管の酸化はアルツハイマー型認知症の原因の一つとされていますが、ビタミンCにはそれを抑制する作用があるのです。

もちろん、ビタミンCは脳や皮膚だけでなく、体にもよい影響をもたらします。新鮮な野菜やフルーツをたっぷり食べている人は、男性で6年、女性で1年寿命が延びるというデータも出ています。

ビタミンCは野菜や果物のほか、緑茶などにも多く含まれます。また、錠剤を活用するのもよいでしょう。意識的に摂取して、張りのある脳を手に入れてください。

緑茶
写真=iStock.com/kazoka30
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazoka30

■脳トレするより、趣味や恋を楽しむほうが前頭葉は喜ぶ

脳を鍛えるというと「脳トレ」が効果的だと一般的には思われていますが、海外の研究で、実は脳トレは認知症予防には効果がないことがわかっています。

しぶしぶ脳トレを行うより、自分が心から楽しめることをするほうが、脳にはプラスの刺激が伝わりますし、認知症の進行を遅らせると私も感じています。

これまでの話にも共通しますが、幸せな気持ちは脳の活力源となります。ですから、脳を活性化させたいと思ったら、日常の中に、いかに自分が楽しめること、気持ちが高まることを増やすかをテーマにしてみてください。

趣味がほしいと思うのなら、失敗を恐れずになんでも挑戦してみたらよいですし、好きなファッションがあるのなら、「もう年だから」などと消極的になるのではなく、思う存分、楽しめばよいのです。

お金もどんどん使ったらよいと思います。自分の楽しみのためにお金を使うことは、脳の働きを活発化させるとともに、ストレスを軽減しますので、認知症やうつ病の防止、免疫力のアップにもつながります。

行きたかった土地に旅行したり、気になっていたお店に行って美味しいものを食べたり。お金を使ってそういった心華やぐ体験を自分にプレゼントすることで、心身が老け込んでいくことを防げますし、生きがいにもつながっていくでしょう。

身を持ち崩さない程度であれば、私は株やギャンブルにトライするのもおすすめしています。脳は、新たなことへの挑戦や想定外の出来事を好みますから、そういった意味では、若返りのためのよい刺激を得ることになるのです。

特に株は、常にアンテナを張って世の中の動きを見たり、売買の適切なタイミングを見極めたりと、頭をフルに回転させながら行うものですから、脳のよき運動になるでしょう。

ただ、あくまで自分がコントロールできる範囲内で楽しむということが大前提です。自分はブレーキが利かなくなってしまいそうだなという自覚のある人は、手を出さないほうが安全でしょう。あらかじめ「ここまでなら損をしても大丈夫」と限界点を決め、老後の資金をなくさないレベルで楽しめる方に限っては、多くのメリットが得られると思います。

和田秀樹『脳と心が一瞬で整うシンプル習慣 60歳から頭はどんどんよくなる!』(飛鳥新社)
和田秀樹『脳と心が一瞬で整うシンプル習慣 60歳から頭はどんどんよくなる!』(飛鳥新社)

そしていくつになっても、恋をすることは脳のエネルギーの源となります。「素敵だな」と思う人がいたら、「自分はもう年だから」「配偶者がいるから」などとその気持ちを抑えつけず、存分にドキドキしてよいのです。

恋愛感情は心に多幸感を生み、脳に快感をもたらす物質を分泌させます。恋をすることで、人は若返るのです。もちろん、相手の都合や気持ちも顧みず強引に迫ったり、つきまとったりするのは論外です。また、家庭崩壊につながるような事態も避けるのがベターでしょう。

けれど、誰かのことをいいなと思う純粋な感情は、ぜひ大切にしてください。そのときめきが、人生に彩りを与えるとともに、脳も気持ちも若返らせてくれます。

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和田 秀樹(わだ・ひでき)
精神科医
1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカ・カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。国際医療福祉大学教授(医療福祉学研究科臨床心理学専攻)。一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。川崎幸病院精神科顧問。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わっている。2022年総合ベストセラーに輝いた『80歳の壁』(幻冬舎新書)をはじめ、『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『老いの品格』(PHP新書)、『老後は要領』(幻冬舎)、『不安に負けない気持ちの整理術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『どうせ死ぬんだから 好きなことだけやって寿命を使いきる』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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(精神科医 和田 秀樹)

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