「投票したい政治家も、政党もない」と絶望している人たちへ…ひろゆき「ダメな政治家から自分を守る方法」
プレジデントオンライン / 2024年10月27日 7時15分
※本稿は、ひろゆき『日本人でいるリスク』(マガジンハウス)の一部を再編集したものです。
■「国民が政治家を選ぶ」のは当たり前ではなかった
民主主義が根づいた先進諸国では、選挙で国民が政治家を選ぶのが当たり前になっています。しかし、昔はそうではありませんでした。
たとえばヨーロッパでは、長きにわたって大衆は「偉い人に従っていれば幸せだ」というスタンスでおり、その偉い人とは宗教的指導者でした。宗教と政治が分かれたのは、ここ100年くらいのことなのです。また、中国では今でも、中国共産党による一党独裁政権が続いています。
今後はさらに独裁色を強めていくとみられ、台湾をも支配下に置こうと圧力をかけるようになってきています。僕は諸外国の反発があるため、実行に踏み切らないとみていますが、中国が台湾への軍事侵攻をする「台湾有事」のリスクが高まっていると警鐘を鳴らす専門家もいます。
こうした流れを踏まえると、民主主義というのはどこまでちゃんと機能しうるのかという疑問も生まれます。もちろん、現在の中国が正しいなどと言うつもりはありませんが、もしかしたら、「個人がものを判断できる」というのは誤解で、その誤解に基づいて「民主主義が正しい」とみんなが思い込んでいるだけではないでしょうか。
日本人にとっても、自分たちで判断していく民主主義より、「殿を支えるのが私たちの使命だ」と従っていた頃の状態のほうが、実は人間として心地よかったかもしれません。
■インターネットの普及で民主主義は劣化した
そもそも、先進国に民主主義国家が多い理由の一つは、間違ったことをやっていられる余裕があるからです。間違うことができない国は、独裁政治で効率よく運営していくしかありません。
つまり、民主主義というのは、「もしできたらいいよね」という理想ではあったとしても、国の運営という面からすると大きな問題を抱えているとも考えられます。
民主主義の問題点が明らかになっていく過程においては、インターネットの普及は大きな意味を持ちました。民主主義の進んだ国ほど、インターネット産業が早くから興っています。こうした便利な情報網ができることで、民主主義の劣化が早まったと僕は考えています。
昭和の時代の学生運動は、学生同士の噂話や学生新聞などによって情報が広まりました。それには一定の時間が必要だったし、ある種の抑制が利いたわけです。しかし、ネット上で瞬時に多くの人に情報がわたることで、集団化が簡単に起きるようになりました。しかも、そこには深く考えない人がたくさん集まっているから、暴走も簡単に起きてしまいます。
人々がさまざまな情報を手にできることは、たしかに大切なことではありますが、民主主義を劣化させる一因であることは否定できません。
■国民が劣化しているから、政治も劣化する
さらに民主主義が進めば、「みんなで決めた政治家と政党がやることは正しい」というところに行き着きます。その結果、政治が機能しなくなって国が没落していく。僕たちは今、先進国のそうしたリスクを目の当たりにしている気がします。
実際に、日本では、10年以上政権をとり続けている自民党のやりたい放題が続いています。たとえば、亡くなった安倍晋三元首相の国葬決定に関して。僕個人は国葬に対して、暗殺された元首相を静かに送り出すぐらいはしてもいいと考えている「消極的賛成派」でしたが、あの決め方にはまったく賛同できません。
国葬を内閣だけで決めるのは法的に正しい判断だったのかについて、きちんと検証すべきだし、今後のために国葬に関する法的整備を進めるべきでしょう。そうしたことができるのが、正しい民主主義だと思っています。しかし、現実的にはそうなっていません。
これは、自民党だけの責任ではありません。民主主義というものに対して、国民一人ひとりの意識が劣化していることこそ大問題なのです。国葬に反対してデモに参加していた人たちは、その多くが便乗して騒ぎたいだけ。騒ぐだけ騒いだらスッキリしておしまいです。これで政権をにぎる政党を動かせるはずがありません。
■タレント議員にハックされる日本政治
毎回選挙に出馬するタレント議員も、相変わらず減ることはありません。しかし、彼らがいったい、何をどこまでわかっているのか。
僕は以前、あるテレビ番組で、自民党から衆議院選挙に出馬した元タレントに会う機会がありました。「政治家として、これを実現させたいというものはあったのですか」という質問をしてみたところ、「来ましたね」と明らかな警戒モード。
「地域のためだったり、みんなのためだったり、社会の一員として働いていきたいという気持ちがあったので挑戦させてもらっています」と言う彼女に、「具体的に政治家じゃないとできないことはあったのですか」と突っ込んでみても、まったく期待した回答は得られないままでした。
なんでも、タレント時代にロケであちこち行ったことから、「日本が大好きで、日本がよくなったらいいなと思った」そうです。
「いろいろありますね」
「たとえばでいいですが、具体的にお願いします」
「自給自足を目指したらいいのでは」
それではと、彼女が言う自給自足について聞いても、食糧自給率がどういう指標なのかも理解していない様子でした。このように、今や日本の選挙は、大政党が擁立するまったく政治をわかっていない人たちや、汚いことをやって有名になり票を得ようとする人たちにハックされてしまっているのです。
その結果、本気で日本の未来を考えている人たちにとって、選挙に行ってみたところで票を投じたい政治家も政党もない、という事態が起きています。
■白票を投じても意味がない
こうした現実に対抗するため、「白票を投じるという形で意思表示をしよう」という動きがありますが、僕は反対です。
選挙で白票や無効票を投じると、計算上、多数派に投票したのと同じ結果になります。たとえば、ある選挙で、A候補に5票、B候補に3票、白票が6票入っていたとします。一番多いのは「白票=誰にも投票したくない」ですが、結果はA候補が当選します。白票は選挙の結果に影響を及ぼさないため、多数派への信任と同じ意味を持つのです。
それどころか、これまで選挙に行かなかった若者が白票を投じれば、「若者が選挙に来てくれても勝った。だから、このまま進もう」と自民党は解釈するはずです。つまり、かえって悪い方向に行ってしまいます。
しかしながら、どれほど嘆いてみても、今の日本の有様は国民の多数派が選んだ結果なのです。これは、誰が首相になっても変わりません。
■「まともな自治体に移住する」という意思表示
そうしたなかでもできる自己防衛策として、まともな首長がいる自治体で暮らすというのはあるでしょう。
都道府県や市町村といった自治体では、知事や市長など首長の権限が強く、独自の政策を立てることが可能です。たとえば、少子化対策について、高齢者が多い日本では後回しにされがちです。選挙で票を得るために、高齢者向きの政策を進めざるを得ないからです。
一方で、自治体なら違ったことができます。少子化対策を打ち出すことで、子育て世代を他の地域から呼び込むことができるからです。実際に、兵庫県明石市は独自の子育て政策が好評で、近くに住んでいる子育て世帯が引っ越してきて人口が増加しています。それを見た近くの自治体は、明石市に住民を持って行かれないように、自分たちなりに魅力的な政策をつくっていくことになるでしょう。
こうして、自治体発信で、国政に頼らずに日本が少しでもいい国になっていく方法はあると思います。子育て政策に限らず、自治体レベルでどんなことをやっているかを積極的に調べ、どんどん移動していけばいいのです。
ろくでもない地域からは離脱していく。そうした「離脱する権利」を行使することで自らを守り、選挙とは違う形で意思表示することはできると思います。
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2ちゃんねる創設者
東京都北区赤羽出身。1999年、インターネットの匿名掲示板「2 ちゃんねる」を開設。2015年に英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。YouTubeチャンネルの登録者数は155万人。著書に『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』(プレジデント社)、『なまけもの時間術』(学研プラス)などがある。
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(2ちゃんねる創設者 ひろゆき)
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