アベノミクスで日本は復活するか【4】内閣府副大臣 西村康稔氏
プレジデントオンライン / 2013年3月7日 11時45分
12年12月に新首相に就任した安倍晋三氏が、日本経済の再生プランとして提示したのが「アベノミクス」と呼ばれる経済政策だ。日本再生は国民が期待するところだが、アベノミクスで可能なのか、識者に聞いてみた。
【西村康稔】われわれ安倍政権は円高・デフレからの脱却を経済再生の最優先課題に掲げ、その政策を「3本の矢」として示す。
1本目の矢は「大胆な金融緩和」。政府と日銀は13年1月22日に共同声明を発表した。日銀は物価上昇率目標2%を導入、2014年から無期限の金融緩和策を実施。政府も規制緩和・制度改革等で成長強化をはかる。2本目の矢は「機動的な財政政策」。将来性があり生産効率を上げる研究開発や、羽田空港のさらなる国際化など国際競争力につながるもの、急がれる防災対策への財政出動だ。3本目の矢は「民間投資を喚起する成長戦略」。ビジネス・雇用を創出する規制緩和や減税だ。これらで円高・デフレから脱却し、安定的な成長をはかる。その基本設計をマクロの視点から行い、効果を注視するのが「経済財政諮問会議」だ。
今回、政府は「日本経済再生本部」(以下本部)を創設した。全閣僚を入れて情報を1カ所に集め、司令塔となって各会議を一体的に動かしていく。
「経済財政諮問会議」のマクロ政策を受けて成長戦略の具体策を練り、実施を設計し、全省庁あるいは各省庁に指示を出し実行していく。
「産業競争力会議」は本部の下部組織として設置した。規制緩和・研究開発・雇用等の重点課題について活発に議論し、具体的な成長戦略のタマを出すといった役割を担う。タマを本部が受け止め、各省に指示を出し行動する。すぐに決定できないものは、「規制改革会議」にはかり規制改革の方向性を出す、「総合科学技術会議」で研究開発のテーマや方向を議論するなどアクションを即座に起こす。
メンバーのうち8名は企業の経営者で、現場経験、経営力、国際色、新規事業への取り組みを重視して選んでいる。若手の3名、三木谷浩史楽天会長兼社長、新浪剛史ローソン社長、秋山咲恵サキ・コーポレーション社長は、IT、消費、ものづくりからひとりずつ選んだ。3名には尖った発言を期待したい。それを受け止めるのが私の仕事になる。
13年6月ごろには2014年度の予算編成に向けた「骨太の方針」を発表する予定だ。大事なのは財政再建との両立をはかる民間主導の成長戦略とそのスピード感。各省との関係で難しい局面も想定されるが、安倍内閣経済再生本部の司令塔機能として思い切った方向性を出していきたい。
※すべて雑誌掲載当時
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1962年生まれ。東京大学法学部卒業後、通商産業省(現経済産業省)に入省。2012年12月から現職。近著は『繁栄か衰退か 岐路に立つ日本』(プレジデント社刊)。
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(内閣府副大臣 西村 康稔 野崎稚恵=構成 宇佐美雅浩=撮影)
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