"Nice to meet you."に"Me too."と返してはいけない…日本人が誤って使っている日常英語フレーズ5選
プレジデントオンライン / 2024年11月6日 16時15分
※本稿は、Mystery Parrot『ネイティブの真意がわかる 日本人が誤解する英語 juiceは「ジュース」じゃない⁈』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■Nice to meet you.に「Me too.」と答えるのは間違い
日本語では「お目にかかれて嬉しいです」と言われたら、「私もです」と返しますが、英語でNice to meet you.と言われたら、Me too.ではなくYou too.と答えるのが一般的。
同じくIt was great talking to you.(お話しできて楽しかった)にもYou too.と返します。
さて、なぜでしょうか。
Nice to meet you.に対して面倒がらずにきちんと返事すると、And it's nice to meet you, too.(同じくあなたにお目にかかれて嬉しいです)となります。
It was great talking to you.に対する返事も、And it was great talking to you, too.(同じくあなたとお話しできて楽しかったです)に。
これは面倒なのでネイティブはYou too.またはAnd you.と省略。Me too.と言ってしまうと「自分みたいな人間に会えたら私だって嬉しいわ」と言っているように聞こえかねないので避けましょう。
いつも混乱してしまうという方は「同じく」を意味するLikewise.またはSame here.と返すといいかと。
It's nice to finally meet you in person.
ようやく実際にお会いできて嬉しいです
You too! I've heard so much about you.
あなたにもです。お噂はかねがね伺っています
It's good connecting with you.
(あなたと)接点が持ててよかったです
Likewise./Same here.
こちらこそ
ちなみにI love you.(愛してる)の返しもYou too.で、うっかりMe too.と返したら、後々までからかわれてしまいそうなので気をつけて。
■shitは、「クソ」ではなく「理不尽で面倒」
shitは《クソ》という意味のswear word(罵り言葉)ですが、コアイメージは日本語の《クソ》と同じで「いまいましい」「うざったい」「アホらしい」。
例えばI have to do this shit.のshitはつまりthingで「コイツをやらなきゃならない」ですが、「理不尽で面倒なこと」という感覚の表現。
Don't give me shit.は直訳すると「クソをよこすな」ですが、「いまいましいこと」は大体「耳が痛いこと」なので「批判的なことを言わないで」という意味。
また、日本人が悩む「仕方ない」の表現によく使われるShit happens.も「クソいまいましいことは起きるもの」で「しょうがない、気にするな」という意味です。
日本語でも「クソかわいい」とか「クソ強い」といった具合に程度が著しいことを表すポジティブな強調表現として《クソ》を使ったりもしますが、shitも同じ。
例えばShe's the shit.は「彼女こそサイコー」と最大限にイカしてることをインパクトを込めて表した褒め言葉なのです。
I'm too old for this shit.
こんなバカげたことをするには年を取りすぎてる
She won't take shit from anyone.
彼女は誰からの批判も受けつけない
It's okay. Look. Shit happens.
大丈夫。いい、嫌なことも起きるものよ
He's such a piece of shit.
本当にどうしようもないヤツね
■shit+動物を組み合わせた熟語例
shitと動物を組み合わせた熟語は多く、それぞれ微妙にニュアンスが異なります。
例えば〈雄牛+クソ〉であるbullshitと〈馬+クソ〉のhorseshitはどちらも《嘘》ですが、前者は「あからさまな嘘」「真っ赤な嘘」という響きなのに対し、後者は「ウンザリするような嘘」とやや感情が入ると感じる人も。That's a load of horseshit.で「それは完全な嘘っぱち」という意味に。
また〈猿+クソ〉のapeshitと〈コウモリ+クソ〉のbatshitはどちらも《気が狂った》なのですが、前者は「キレて発狂した」(例:He went apeshit.)と瞬間的な状態を表すのに対し、後者は「頭がどうかしている」(例:She's batshit crazy.)と、ある人や集団の持続的な性質を表すのに使用します。
〈犬+クソ〉のdogshitで《最低品質》。例えば「Xのサーチ機能は最低」はX's search function is dogshit.と言えます。
また〈ニワトリ+クソ〉のchickenshitは《臆病者》で、「彼女は陰口は叩くけど、面と向かっては言えない小心者」はShe talks behind your back, but is too chickenshit to say it to your face.と言えます。
■Good for you.はマウント返しとして使える
Good for you.は直訳すると《あなたにはよい》で、「よかったね」「すごーい」「おめでとう!」と、相手が何か褒められるようなことをしたり、ラッキーだったりしたときに返せるポジティブな万能フレーズなのですが、同時にやっかみ、皮肉、無関心といったネガティブな感情の表現にも使われます。
というのもこのフレーズ、マウントを取られたときの返しとしてたまらなく便利だからです。
例えば「このあいだのTOEIC、990点だったよ」と言われたら「そうなんですか、すごいですね」と明らかにオトナな応答をして受け流すしかありません。これ以外の反応はすべてみっともないからです。
このときのために存在しているのがGood for you.で、マウントを取られたとき、英語話者は少し冷ややかにこのフレーズを口にします。
すると、相手はそのクールな声音にやんわりした悪意を感じて決まり悪くなりますが、こちらは節度あるまともな対応をしただけなので、受け流すしかないのです。
Um, I kinda graduated from Keio.
一応、慶應出てて
My boyfriend got me a 2-carat Harry Winston ring.
彼、ハリー・ウィンストンの2カラットの指輪を買ってくれたの
My house? It's on the 45th floor of a tower, five minutes from Ginza.
家? 銀座から5分のタワマンの45階
ちなみにある程度、熱量のあるGood for you‼ は、ちゃんと「わあ、すごい‼」と響きますので、あくまでも声音や態度が重要ということです。
■お葬式に「My bad.」はNG
My bad.は「自分の落ち度」を意味するスラングで、「ごめん」「すまない」と和訳されます。
きちんとした英語ではIt's my fault.となりますが、スーダン出身のNBA選手マヌート・ボルはこれが出てこず、代わりにMy bad.を連発。それがチームメートに広がったのがMy bad.の発祥だとか。
My bad.は90年代以降よく聞かれるようになったフレーズのようで、同時期に放映され始めたアメリカのアニメ『ザ・シンプソンズ』のお父さん・ホーマーもよく口にします。
I'm sorry.には真摯さがありますが、My bad.はややすっとぼけた響きで、ストレスなしに口にできる感じです。
I'm sorry.は「ごめん」の他に「(この度のことは)お気の毒です」と同情の意を表すのにも使えますが、My bad.にはそのような意味はないので、たとえばお葬式の場でI'm sorry.の代わりにMy bad.と言ってしまうと、故人の死因を作ったのかと思われギョッとされてしまいます。
That was completely my bad.
さっきのは完全に私が悪かったわ
Someone told him that I had a ton of work done.(work = 整形手術の隠語)
どいつかが私が何度も整形してるって彼にバラしたらしい
Was that a secret? My bad.
秘密だったの? ごめん
■ビジネスシーンで間違いがちな英語フレーズ
「ご配慮ありがとうございました」という感謝を表すのに、Thank you for your consideration.という文を使ってはいないでしょうか。
considerationには《他人の気持ちに配慮する》という意味があるので、そう思ってしまっても不思議ではなく、割に有名な英語学習サイトなどでも「お気遣いに感謝します」という意味で紹介されたりしているのですが、これは実は誤りです。
considerationにはもう一つ《注意深く検討する》という意味があるため、Thank you for your consideration.は通常「ご検討のほどよろしくお願いします」という依頼文として使われます。
具体的には、履歴書に添えるカバーレターとか取引先への提案など、相手にこれから検討を依頼する文面の結びに使われる定型フレーズと覚えて下さい。
ですので「お気遣いありがとうございます」といった感謝の念を表現したいときは、名詞considerationではなく、形容詞considerateを使って、Thank you for being considerate.とか、That's so considerate of you. Thanks.などといった言い方をすることで、「ご検討よろしくお願いします」という定型フレーズと差別化することをおすすめします。
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私共の技術が御社の抱える問題への解決策となると信じております。どうぞよろしくご検討下さい
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エンタメ翻訳家
アメリカ在住。英検®1級、国連英検特A級、EPT®英語発音テスト100点(満点)取得。幼少期より日米間を往復。アメリカの現地高校を卒業後、国際基督教大学にて学士号、アイビーリーグ校 University of Pennsylvaniaにて修士号取得。大手商事会社のNY現地法人で勤務の後、米大手会計事務所NY本社にて日本・アジア向けイントラネットコンテンツ作成。その後、ミステリーからロマンスまで様々なジャンルの文芸作品、マンガ、国民的人気アニメ、ベストセラービデオゲーム等の翻訳に専念。翻訳業の傍ら、英会話の「こわい」や「不安」を取り除き「楽しい」や「自信」に変えていくことを理念に、オンライン講師としても活躍。ライティング指導、ビジネスシーンや学会でのプレゼン、外資系企業や大学、MBA出願の際の面接対策に定評がある。
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(エンタメ翻訳家 Mystery Parrot)
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