「10倍に成長する超有望銘柄」が一目でわかる…四季報の達人が「企業情報の『役員』の名前」を必ず見る理由
プレジデントオンライン / 2024年10月29日 18時15分
※本稿は、渡部清二『そろそろ投資をはじめたい。』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
■優良銘柄は「8つのステップ」で見極める
いよいよ本稿では、銘柄を分析する視点を身につけていただきます。といっても、すべてを丸暗記していただく必要はありません。8つのステップに分けてお伝えしていますし、下記にまとめていますので参考にしてください。
① 定性評価――企業の強みを見極める
②健全性――財務の状況を見極める
③ 継続性――企業が今後も存続できるか?
④業界の売上高と利益規模――正しい物差しを手に入れる
⑤企業の売上高と利益規模――成長性と稼ぐ力
⑥ 配当利回り――株主還元か成長か
⑦チャート――株価の動きを把握する
⑧ バリュエーション――「割安」の罠に騙(だま)されてはいけない
これらの情報は四季報を見ることで把握できます。四季報でなくても確認できる情報もありますが、情報の網羅性においては四季報が優れていますので、本稿では四季報をベースに説明をしていきます。
■「企業の自己紹介」を見逃さない
①定性評価 企業の強みを見極める
まずは企業の自己紹介を見る
あなたが今、就職活動や転職活動をしているとしたら、企業のどんなところを見ますか? 年収や企業の所在地、転勤の有無など、さまざまな確認するべきことがあると思います。
おそらくほぼすべての人が見る情報があります。それは、「何をやっている企業か」でしょう。
企業の事業内容や特色を判断することを「定性評価」といいます。当たり前のように思えるかもしれませんが、実はこの定性評価はバカにできません。そもそも何をやっている企業なのか、今どういう状況を迎えているのか。これらはいわば、「企業の自己紹介」ともいえる内容です。
さて、この定性評価ですが、四季報を見ると簡単に把握することができます。定性評価のために見るべきポイントは、次のA、B、Dブロックです。
■証券コードは業種ごとに見ると覚えやすい
Aブロックで一番目立つ表記が「証券コード」と「企業名」です。
証券コードとは、証券コード協議会が日本の上場株式や上場証券などに設定する識別コードのことをいいます。番号は原則、業種別に決まっています。1300番台【水産・農林】から始まり、1500番台【鉱業】、1600番台【鉱業(石油/ガス開発)】、1700~1900番台【建設】など、「重いイメージ」の業種が並んでいます。
2000番台【食品】、3000番台【小売業】【繊維製品】など、日頃の生活でも社名を目にしやすい企業が登場します。その後は、4000番台【化学・薬品】、5000番台【資源・素材】、6000番台【機械・電機】、7000番台【自動車・輸送機】、8000番台【金融・商業】、9000番台【運輸・通信・放送・ソフトウェア】となっています。
ただし2024年1月から証券コードに英文字が入るようになりました。それまでは、1301極洋の次に1332ニッスイと【水産・農林】の同業種の企業が並んでいたのですが、現在の四季報では、極洋の次に130AVeritas In Silicoという【医薬品】が入っていますので、これからは証券コードの考え方が大きく変わる可能性があります。
また、【上場】の欄には株式市場に上場した年月が記載されています。
■「世界首位」「業界首位」「シェア○割」に注目
例えば、『そろそろ投資をはじめたい。』(サンマーク出版)の169ページで中小型成長株を選んだ方に注目していただきたいのは、上場から5年以内かどうかです。
上場の目的はより多くの人に企業の株を買ってもらい、資金を集めることです。上場して間もないということは、上場によって得た資金で売上高や利益を伸ばす目的があるのです。
人間と同じように、企業もどんどん成長していきます。やがて成長のスピードは緩やかになり、成熟していくところも人間と同じです。成熟から成長へと再び新しいビジネスに挑戦するためには資金が必要であり、「上場から5年以内」とはその成長へのステップアップの兆しを見る上で適しているのです。
企業の強みを手っ取り早く理解するなら、【特色】欄に注目しましょう。
「世界首位」「業界首位」「シェア○割」「独自技術」などのポジティブワードは見逃せません。ここは第2章の「独占を見つける」とも近い考え方ですね。
さらに、【海外】欄には、連結海外売上比率もしくは、地域別売上高の日本以外での売上比率が記載されています。
第2章でもお伝えした通り、先進国の当たり前を新興国でも広めることができると売上高は増加します。別の言い方をすると、市場のグローバル化が売上高を増加させるのです。
海外売上比率は「50%」前後が要注目です。なぜなら、50%を超えるタイミングは国内企業がグローバル企業へと転換する時機だからです。それゆえに今後も成長が期待され、その期待感が投資を呼び込み、株価を上げていくのです。
■「記者の目線」で企業を見る
Bブロックには、四季報編集部の記者目線での「コメント」が掲載されています。正式には、「業績予想記事・材料記事欄」といいます。
ここには、二つの【見出し】があります。一つ目は「今期予想」で短期的な話、二つ目は「中長期の展望」で中長期のトピックとなっています。
このコメントに対する評価は直感で構いません。
例えば、「超繁忙」というキーワードが入っていたとします。「仕事がたくさんあって忙しい」というポジティブな捉え方もできますが、「すでに手いっぱいで、これ以上の成長の見込みは期待できない」というネガティブな捉え方もできるからです。参考までに、次のページによく見られるコメントをまとめました。この表は、過去の四季報に掲載されたコメントのイメージ図を再構成したものです。
■オーナー企業かどうかをチェックする
Dブロックに注目すると、その企業の経営体制がわかります。ここは、私が10倍株探しのポイントとして欠かさずチェックしています。ここで見るべきポイントは、「オーナー企業かどうか」です。
オーナー企業とは、創業者もしくはその一族が経営の実権を握っている企業のことです。
■10倍株に成長した7割以上は「オーナー企業」
【役員】欄を見て、そこに記載されている上位2名(会長や社長が多い)の名前が【株主】欄の上位株主にあるかどうかで見分けられます。例えば、ヨシムラ・フード・ホールディングスを見ると、代表取締役CEOである吉村元久氏が、筆頭株主ですのでオーナー企業であることがわかります。
複眼経済塾調べでは、これまでに10倍株になった銘柄の70~80%がオーナー企業です。
オーナー企業は、ワンマン経営に陥るリスクもありますが、大きなメリットもあります。
それは迅速な意思決定です。上場したての企業の場合、創業者の保有比率が50%以上を占めるケースがあります。こうした企業では、事業が軌道に乗っているときはトップダウンで迅速に意思決定が行われます。その結果、他社に先んじて市場を制することができるのです。
ちなみに、創業者の資産管理会社が筆頭株主になるケースもあるため、社長(会長)の名前と株主に記載されている表記が一致しない場合もあることを覚えておきましょう。
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複眼経済塾 代表取締役・塾長
1967年生まれ。1990年筑波大学第三学群基礎工学類変換工学卒業後、野村證券入社。個人投資家向け資産コンサルティングに10年、機関投資家向け日本株セールスに12年携わる。野村證券在籍時より、『会社四季報』を1ページ目から最後のページまで読む「四季報読破」を開始。20年以上の継続中で、2022年秋号の会社四季報をもって、計100冊を完全読破。2013年野村證券退社。2014年四季リサーチ株式会社設立、代表取締役就任。2016年複眼経済観測所設立、2018年複眼経済塾に社名変更。2017年3月には、一般社団法人ヒューマノミクス実行委員会代表理事に就任。テレビ・ラジオなどの投資番組に出演多数。「会社四季報オンライン」でコラム「四季報読破邁進中」を連載。『インベスターZ』の作者、三田紀房氏の公式サイトでは「世界一「四季報」を愛する男」と紹介された。著書に、『会社四季報の達人が教える 誰も知らない超優良企業』(SB新書)、『会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方』(東洋経済新報社)、『「会社四季報」最強のウラ読み術』(フォレスト出版)、『10倍株の転換点を見つける最強の指標ノート』(KADOKAWA)などがある。
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(複眼経済塾 代表取締役・塾長 渡部 清二)
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