日本人男性の陰茎サイズは世界平均より「2cm」長い…性欲旺盛な日本人がセックスレスに陥りやすい根本原因
プレジデントオンライン / 2024年11月6日 17時15分
※本稿は、原田純、熊本美加、スドウユイ、(監修)関口由紀『愛されるペニス サイズ神話のウソ・ホント』(径書房)の一部を再編集したものです。
■152人の男性から得られた衝撃的な回答
本書の企画をスタートさせた段階で、私たち径書房編集部はペニスの偏差値を測った男性たちにアンケート調査を実施しました。期間は2020年12月19日~2021年8月24日で、152名からの回答が得られました。ご協力いただいたみなさま、大変ありがとうございました。
これから、そのアンケートの結果を紹介していきますが、これはあくまでもウェブ上でのアンケート調査ですので、研究で使えるようなエビデンスが高いデータではありません。
とはいえ、アンケート結果は、偏差値を測った勇気ある漢たちのリアルな想いを垣間見られる、とても興味深いものです。
回答者の内訳は、かつて公開されていた「ペニス偏差値チェッカー」がSNSで話題になったこともあり、20代が31%、10代が20%で半数を占め、30~50代はそれぞれ約15%、60代以上は4%に留まりました。属性は会社員が43%、学生が32%。あとは自営業・自由業・公務員などでした。
ペニス偏差値チェッカーは、自分で計測したペニスの「長さ」と「太さ」の数値を入力して計算ボタンを押すと、偏差値がすぐに表示されるという仕組みです。算出される偏差値は、全世界の男性のエビデンスに基づいたペニスのサイズの平均と標準偏差をもとに計算された、信頼性の高いものです。
■勃起時の長さは、世界平均より2cmも長い
さてさて、みなさんの偏差値はどうだったのか。今回のアンケートの集計を発表しましょう。
【表1】は「通常時の偏差値(長さ・太さ)を記入してください。」という質問に寄せられた回答です。
【表2】は「勃起時の偏差値(長さ・太さ)を記入してください。」という質問に寄せられた回答です。
ロンドン大学の研究では、世界の平均値をセンチメートルで出しているので、比較するために、編集部が偏差値から逆算して出したセンチのサイズを、表には掲載しました。今回のアンケートで出た平均値は、ロンドン大学の研究で示された平均値より、かなり長くて太いという結果になりました。特に勃起時の長さは、世界平均より2センチも長い! 偏差値の平均値は、プラス13と爆上がり!
■「小ささ」に不安を抱える男性が多い?
まったく驚くべき結果ですが、これは自己申告の影響でしょう。同一人物でも、通常時より勃起時の偏差値が高くなっているのです。計測値が1センチ長いと、勃起時の偏差値は6上がるので、2センチ長くなると、偏差値は12上がることになります。これは、膨張率が高い、つまりしっかりと勃起できていることを示している可能性もないとはいえませんが、かなり怪しい……。日本人男性は、やはり自分のペニスを少しでも大きく見積もりたいのでしょう。
一人ひとりは、たぶん、ちょっとだけ大きくしてみたということなのかもしれませんが、結果、世界の平均値を大幅に凌駕(りょうが)して、2センチも大きくなってしまったのです。
なるほど、ペニスのサイズの平均値を正確に出そうと思うと、容易ではないことがよくわかります。アメリカのカリフォルニア大学の研究論文にも、「通常状態のペニスと勃起したペニスのサイズを測る場合、自己測定によって勃起時のサイズを測ると、精度は驚くほど低くなる」とありました。勃起時のペニスのサイズを男性が自分で正確に測るのは、ことほどさように難しいのでしょう。
個人を特定できないインターネットでの質問でも、多くの男性が、本当のことは言いたくないのか、あるいは事実を直視することを避けてしまうのか。もしかしたらこれは、「自分のペニスは小さいかもしれない」と思って、密かに不安を抱えている男性が多いことの表れかもしれません。
■過大申告のわりに「ペニスの悩み」は71%にも
さらにこのアンケートの結果を見ると、長さだけでなく、太さの偏差値が高いことも気になります。実際の研究では、欧米人と日本人の太さはそれほど差はないといわれているので、やはり、このアンケート結果はかなり怪しいことになります。
まあ、このアンケートは、医学的研究が目的ではありませんし、日本人男性の多くが、自分のペニスがほかの男性や世界の男性と比べてどの程度の大きさなのかを知らない、つまり客観的評価ができないため、世界標準を大きく上回ってしまうことを知らずに、自分のペニスの長さを申告してしまったと考えると、これはこれで、かなり興味深い結果といえるでしょう。
次の質問は、「現在、ペニスについて悩みがありますか?」というもの。
この質問に「はい」と答えた人は、実に71%。
サイズを大きく申告した人は、「ペニスに悩みなどない!」と強気で答えるのかと思ったら、予想外に弱気な回答。長さも太さも世界の男性に引けを取らない、いや、それどころか、世界に誇れるほど大きいと回答したはずなのに、この質問の回答では、ペニスに悩んでいる男性が大多数。悩みのない人のほうが少数派。本書の第1章で紹介したカリフォルニア大学の研究結果では、悩んでいる男性はたったの14%だったのに、です。
■同率2位は「太さがない」「包茎」、1位は…
ペニス偏差値チェッカーを試した方が対象なので、ペニスについて何かしら気になる点がある方が多かった可能性はあります。またウェブアンケートだからこそ本音が出た結果とも考えられます。
それにしても、ペニスについて悩んでいる人が圧倒的多数という結果には、やはり驚かされます。サイズを大きめに回答した人が多かったことと考え合わせると、日本人男性の複雑な胸のうちが透けて見えるようです。
それでは、71%の男性は、いったいペニスの何に悩んでいるのでしょう。悩みがあると答えた男性に、どんなことで悩んでいるのかを複数回答で具体的に聞きました。
※2位は同率
■2位 太さがない……35%
■2位 包茎……35%
■4位 早漏……33%
やはりサイズが一番の悩み。次いで包茎、早漏と続きます。ほかには「必要なときに勃起しない=17%、」「射精に至らない=12%」といった機能的な悩みが出現していました。「色が黒ずんでいる」「陰茎に対して亀頭が小さい」「ペニスの臭いを気にしている」などの回答もありました。
理由はともかく、自分のペニスに自信がもてないという日本人男性は、アメリカ人男性と比べると圧倒的に多いわけです。
■性欲は強いが、セックスに自信がない
次は「自分の性欲は強いと思いますか?」という質問です。「まったくない」から「かなり強い」の5段階評価で回答してもらいました(図表2)。4と5の性欲強め傾向を合わせると76%。草食化傾向が進んでいるといわれている昨今の男性でも、性欲は衰えていないことがわかります。
「月の平均的な射精の回数を記入してください(セックス、オナニー、夢精等を含む)」という質問もしているのですが、若い人が多いからでしょうか、月の平均射精回数は約24回という結果でした。
ここでちょっと、マスターベーションについて、お話ししておきましょう。「マスターベーションをやり過ぎると、頭が悪くなる」という話を耳にすることがありますが、これは完全な誤解です。男性は毎日、エッチな妄想をするのがむしろ正常。ですから、あまり厳格な禁欲を目指す必要はありません。
■前立腺がんの発症リスクが低減される場合も
射精は、前立腺の健康維持に有効だともいわれています。ペニスに刺激があり、射精が近づくと、前立腺の血流が良くなります。射精の瞬間、ペニスや前立腺の血管は収縮と弛緩をくり返すのですが、それもいい運動になっているのです。射精の回数が多いほうが、前立腺がんの発症が少なかったという論文があります。
アメリカのハーバード大学が、米国の男性医療従事者約3万人を調査したところ、1カ月の射精回数が21回以上の男性は、4~7回の男性に比べて前立腺がんを発症する危険性が2割前後、低かったのです(※1)。
※1:Rider, J. R., Wilson, K. M., Sinnott, J. A., Kelly, R. S., Mucci, L. A., & Giovannucci, E. L. (2016). Ejaculation Frequency and Risk of Prostate Cancer: Updated Results with an Additional Decade of Follow-up. European urology, 70(6), 974~982.
脳や筋肉と同じで、体の部位は、使わないでいるとどんどん衰え、さまざまな不調を引き起こします。これを「廃用症候群」といいますが、ペニスも使わなければどんどん衰えます。
無理にする必要はありませんが、勉強や仕事がおろそかになったり、睡眠時間が減ってしまったりしない程度に、マスターベーションをするのは健康に寄与するということです。
ただし、注意してほしいことがあります。マスターベーションをするときは、あまり強くペニスを刺激してはいけません。過剰な刺激が習慣になると、女性の腟内で射精できなくなる恐れがあるからです。これについては『愛されるペニス サイズ神話のウソ・ホント』(径書房)の133ページで詳しくお話ししますので、気になる方は、ぜひお読みください。
■7割近くがセックスに自信がない
さて、アンケートの結果についての話に戻りましょう。
次にした質問は、「セックスで相手を満足させている自信がありますか?」というものでした(図表3)。これについても「まったく自信がない」から「とても自信がある」までの5段階評価で、回答してもらっています。
この問いで、自信があると回答した人は約31%(45人)。
76%の人が「性欲が強め」と回答し、月の射精回数が平均24回である一方で(月5回以下の方は8%)、そこそこの人が約38%。自信がもてずにいる人が約31%。合計すると、69%もの人が、女性とするセックスに不安を抱えていたり、自信がもてずにいたりするようです。
「自信がある」と回答した男性は、比較的ペニス偏差値の高い人が多く、女性から「大きい」「太い」などと褒められた経験のある方が、45人のうち約58%(26人)。このなかには、ペニスの偏差値がさほど高くない人も含まれているので、女性の言葉で自信を与えられている男性もいるようです。
もっとも「太い・長い」と言って男性を喜ばせた女性が、その男性とのセックスで、本当に満足を得ていたかどうかは別問題。残念ながら、女性はセックスのこととなると、本当のことを言わない場合が多いからです。
次に、「『自信がない』と回答した方は、その理由を教えてください」という質問をして、自由記述で回答してもらったところ、回答は、ほぼ以下の4項目に分類できました。
■小さすぎ、太すぎ、中折れ、遅漏…
■勃起や射精に関わる問題……勃起しない。早漏、中折れ、遅漏、射精できない。
■相手の反応の問題……相手が満足しているように見えない。相手がイッたかどうかわからない。
■その他の問題……経験不足。相手がいない。童貞。
このなかでは、やはりサイズに不満があるという回答が最も多く、次いで勃起しない、早漏、遅漏(射精できない)、中折れが同率ぐらいで続き、包茎の悩みも少なくはありませんでした。
これは、「ペニスに悩みがある」と回答している方の悩みとほぼ同じ。自分のペニスに悩みがある人は、セックスのとき、相手を満足させている自信もないということでしょう。ペニスに悩みがないという男性が、セックスで相手を満足させているかは、甚(はなは)だ疑問ではありますが……。
■「週1セックス」で死亡リスクが半減する?
セックスが、パートナー同士の愛情表現だけでなく、健康や幸福度によい効果をもたらすことは、さまざまな研究でわかっています。性欲を司るとされるテストステロンが、仕事の能力とも関連するという報告も少なくありません。まわりを見渡しても、仕事ができる男性ほどセクシュアル・アクティビティが高い印象があります。
セックスは、健康や寿命とどんな関連があるのでしょうか。
2020年に、20歳から59歳までの15269名(男性7765人・女性7504人。平均年齢39.1歳)のアメリカ人を対象に、セックスの頻度と死亡リスクをワシントン大学の研究グループが調査しています(※2)。
※2:Cao, C., Yang, L., Xu, T., et al. (2020). Trends in sexual activity and associations with all-cause and cause-specific mortality among US adults. The Journal of Sexual Medicine, 17, 1903-1913.
約5年の追跡調査で、その間に参加者228人が死亡したのですが、その内訳は、ガンが62人、心臓血管系の病気での死亡は29人でした。それらを分析した結果、セックスの頻度が高い人は、死亡のリスクが低いことが判明。セックスを週1回以上する人は、年1回以下の人と比べると、死亡のリスクが約半分程度だったのです。
マスターベーションについては調査されていませんが、セックスをしている人のほうが、死亡リスクが大幅に下がっていたということです。
もっとも、セックスをたくさんしているから健康なのか、健康だからセックスをたくさんしているのかはわかっていません。それでも研究者らは、セックスと健康との関連について、次の3つが影響しているのではないかと考察しています。
■セックスをすると、幸福を感じる「エンドルフィン」という神経伝達物質が出る。
■パートナーと親密さを共有できる。
■心身を蝕む「孤独感」を和らげる
エンドルフィンは、モルヒネの6.5倍ほどの強い鎮痛効果があるため、「脳内麻薬」とも呼ばれていますが、「気持ちがいい」「幸せだ」という快感や多幸感をもたらし、記憶力を高め、仕事などの効率をアップさせるともいわれています。
パートナーと親密さを共有することは、孤独感を和らげることにつながります。1938年から80年以上、同一家族を三世代にわたり、1300人超の人々を追跡調査してきた「ハーバード成人発達研究」によると、
「孤独感があると痛みに敏感になり、免疫系の働きが制御され、脳機能が低下し、睡眠の質が悪くなり(略)疲労感や苛立ちがさらに増す」とされ、「孤独を感じている人は生産性が低く、離職しやすい」と結論されています。世界各地の55000人を対象にしたオンライン調査では、「最も孤独を感じているのは16~24歳で、40%が『頻繁、または非常に頻繁』に孤独を感じている」そうです(※3)。
※3:ウォールディンガー, R., & シュルツ, M. (2023). 『グッド・ライフ』. 辰巳出版.
■男性も女性も、自慰行為はしたほうがいい
セックスをすれば孤独でなくなるとは言いきれないし、むしろ孤独感が深まってしまう場合すらありますが、それでもやっぱり人間は、群れで仲間と生きる動物。必要とされたり認められたり、スキンシップをともなう受容を与えられると幸福感が得られ、健康寿命が延びることは否定できないでしょう。
当然のことですが、セックスは無理にするものではありません。だけど、だからといって、「セックスができない体になってもいいか?」と問われれば、「それはイヤだ」と答える人が多いのではないでしょうか。
男性も女性も、セックスから遠ざかっていれば性機能は衰えます。実際にするかどうかはともかく、セックスができる体を維持することは、若さや健康を保つうえで極めて重要です。性機能を維持するため、マスターベーションは、それほど日をおかず行うようにしましょう。
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径書房代表
1954年、東京生まれ。編集者。15歳で和光学園高校中退。1980年、長女出産。1989年、径書房に入社。竹田青嗣氏に師事。現在、径書房代表取締役。著書に『ねじれた家 帰りたくない家』(講談社)、岸田秀氏との対談『親の毒 親の呪縛』(大和書房)、『ちつのトリセツ 劣化はとまる』(径書房)『人生最高のセックスは60歳からやってくる』(径書房)がある。
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(径書房代表 原田 純)
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