「人事異動案を作るのは人事部とは限らない」…絶対に異動したい人がアピールすべき"キーパーソン"の名前
プレジデントオンライン / 2024年11月7日 8時15分
第2位:『「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?』(今井むつみ著、日経BP)
第3位:『なぜ、あの人は仕事ができるのか?』(田尻望著、すばる舎)
第4位:『休養学』(片野秀樹著、東洋経済新報社)
第5位:『「考えなくていいこと」リスト』(井上智介著、三笠書房)
第6位:『人事ガチャの秘密』(藤井薫著、中央公論新社)
第7位:『上機嫌のつくりかた』(植西聰著、自由国民社)
第8位:『はかどる技術』(鈴木邦成著、フォレスト出版)
第9位:『「考えすぎて言葉が出ない」がなくなる』(齋藤孝著、サンマーク出版)
第10位:『あなた次第でこの世界は素晴らしい場所になる』(ひすいこたろう著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
第11位:『行動経済学が勝敗を支配する』(今泉拓著、日本実業出版社)
第12位:『私はこうして勉強にハマった』(ビリギャル本人 さやか著、サンクチュアリ出版)
第13位:『やりたいことができる私になる自信貯金』(有川真由美著、PHP研究所)
第14位:『歪んだ幸せを求める人たち』(宮口幸治著、新潮社)
第15位:『「働き手不足1100万人」の衝撃』(古屋星斗/リクルートワークス研究所著、プレジデント社)
第16位:『東大教養学部が教える考える力の鍛え方』(宮澤正憲著、SBクリエイティブ)
第17位:『「数字のセンス」と「地頭力」がいっきに身につく 東大算数』(西岡壱誠著、東洋経済新報社)
第18位:『うまく「雑談できる人」と「できない人」の習慣』(松橋良紀著、明日香出版社)
第19位:『アート脳』(スーザン・マグサメン/アイビー・ロス著、須川綾子訳、PHP研究所)
第20位:『伝え方図鑑』(井手やすたか著、SBクリエイティブ)
※本の要約サービス「flier」の有料会員を対象にした、2024年10月の閲覧数ランキング
■「つい先延ばしにしてしまう」8つの原因
今月の第1位は『後悔しない時間の使い方』でした。
本書には、書名の通り、後悔しない時間の使い方を実現するための教えが詰まっています。もしあなたが、時間の使い方を悔やみがちなタイプなら、本書が心を入れ替えるきっかけになるかもしれません。
特にドキッとさせられるのは、先延ばしについて語ったパート。著者は「今日は人生で常に最も重要な日である。先延ばしとは、その現実を無視して、『明日やればいい』という幻想を抱くことだ」と語りつつ、私たちがつい先延ばしをしてしまう理由を8つにまとめています。
(1)目標が明確ではないから
(2)現状に対する認識が不十分だから
(3)集中力が乏しいから
(4)自己不全感にさいなまれているから
(5)切迫感がないから
(6)効果的なルーティンがないから
(7)注意をそらす要因があるから
(8)やることがいっぱいで身動きがとれないから
あなたの先延ばしの原因になっているものはどれですか? 当てはまるものを特定できたら、先延ばしを減らせるかもしれません。
また、1日1日を大切にするための習慣として、以下の4つが提案されています。
(1)今日に感謝すること
(2)1日の計画を立てること
(3)自分の義務を果たすこと
(4)ゆったりとした時間を過ごすこと
さて、後悔しない時間の使い方を実現するために、あなたはまずどの習慣を取り入れますか。
■「記憶力のいい人=理解力の高い人」ではない
第2位は『「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?』でした。認知科学の権威である今井むつみさんが、「何回説明しても伝わらない」が起こる理由を解き明かす一冊です。
ここでは「何回説明しても伝わらない」を生み出す2つの勘違いを紹介しましょう。
1つ目の勘違いは「記憶力のいい成績優秀者は、理解力がある」。記憶力のいい人が、必ずしも高い理解力を備えているとは限りません。「この人は記憶力がよく、頭のいい人だから、なんでもすぐに理解してくれるだろう」と思い込んでいると、コミュニケーションがうまくいかない可能性があります。
2つ目の勘違いは「記憶違いは、理解が足りなくて起こっている」。私たちは、何かを覚えようとするとき、記憶できる容量を超えると、自分が持っているスキーマ(何かを考える際に裏で働いている基本的な「システム」のこと)を利用して、理解しながら記憶しようとします。その理解の仕方につられて、実際にはなかったものを記憶したと思い込んでしまうことがあるのです。記憶違いは、必ずしも理解不足によって起こるものではありません。
■「言えば伝わる」を実現する「心の理論」と「メタ認知」
では、どうすれば「言えば伝わる」「言われれば理解できる」を実現できるのでしょうか。今井さんによると、「相手の立場で考える」ための「心の理論」と「メタ認知」が重要なキーワードとなります。
心の理論とは、「ある状況に置かれた他者の行動を見て、その考えを推測し、解釈する(推論する)」という心の動きのこと。他人の視点を想像する能力ともいえるでしょう。
メタ認知とは、自分自身の意思決定を客観視することです。自分の考えや行動を客観視する能力とも言い換えられます。
「何回説明しても伝わらない」が起こる理由を丁寧に解説するとともに、「言えば伝わる」「言われれば理解できる」を実現する方法を提案してくれる本書は、読者の知的好奇心を大いに刺激してくれる一冊です。
■成果を出す人は仕事を「仕組み化」している
第3位には『なぜ、あの人は仕事ができるのか?』がランクインしました。キーエンス出身の経営コンサルタントで、『付加価値のつくりかた』や『再現性の塊』などのベストセラーで知られる、田尻望氏による一冊です。
クライアント企業において、月1億円、年間10億円超レベルの利益改善を次々に成し遂げている田尻さんによると、成果を出す人は仕事を「仕組み化」しているそうです。本書では、「仕組み化」=「効率化」+「高付加価値化」と定義した上で、「効率化」と「高付加価値化」を実現する方法を指南しています。
そのうち、仕事を「高付加価値化」する手順としては、営業パーソンを例に挙げ、次のように解説しています。
(1)仕事のスキルを磨く
(2)時間の使い方を改善する
(3)ターゲットを見直す
(4)顧客リスト作成・精査にかける時間を減らす
(5)移動のムダをなくす
「高付加価値化」と言われると難しく感じるかもしれませんが、5つに分けてみると、自分も取り組んでみようと思えるのではないでしょうか。
いつ、どんなときでも成果を上げ続けられる人になりたいなら、本書を通読して「仕組み化」に取り組んでみてください。
■「休養」は3種類7タイプに分類できる
続いて、4位以下から、注目の書籍をご紹介します。第4位は『休養学』でした。
疲れを自覚したとき、あなたはどう対応しますか。おそらく多くの人が「睡眠」と答えるはずです。そんな人はきっと、本書の帯コピー「休むこと=寝ることではありません」に衝撃を受けるでしょう。
本書は、「休養学」を提唱する片野秀樹さんが、休養の大切さと効果的な休み方を教えてくれる一冊。片野さんは「休養」を以下の3種類7タイプに分類しています。
【生理的休養】
・休息タイプ:睡眠など
・運動タイプ:ヨガやストレッチ、ウォーキングなど
・栄養タイプ:栄養をとる、食事量を減らすなど
【心理的休養】
・親交タイプ:友人や恋人との会話など
・娯楽タイプ:趣味活動全般
・造形・創造タイプ:創作活動全般
【社会的休養】
・転換タイプ:引っ越しや旅行など
休息はイメージがつきやすいですが、運動や親交、転換も休養に含まれることに、目からウロコが落ちる人もいるのではないでしょうか。
片野さんによると、7つの休養タイプを複数組み合わせることで、疲労回復効果がアップするそうです。次の休みに試してみませんか。
■「頑張る」を6種類に分けてみる
第5位の『「考えなくていいこと」リスト』にもご注目ください。産業医として1万人以上の人と接してきた井上智介さんが、心を軽くするために「考えなくていいこと」を教えてくれる一冊です。
今日から取り入れたいのは「『もっと頑張らないといけない』とは考えなくていい」。
すべての物事に全力投球していると、すぐに疲れてしまうもの。そのような事態を回避するアイデアとして、井上さんは、以下の6種類の「頑張る」を持っておくことを勧めています。
(1)全力で頑張ろう(100%の力で臨むイメージ)
(2)ちょっと頑張ろう(とりあえずやってみようという程度)
(3)できる範囲で頑張ろう(壁にぶつかったら誰かに助けを求める)
(4)ぼちぼち頑張ろう(期限ぎりぎりまでは放置しておく)
(5)余裕があれば頑張ろう(他にやることがなければ取り組む)
(6)誰かが頑張るだろう(主体的には関わらず、他力本願)
本書を読むと、自分がこれまで頑張りすぎていたことに気づくでしょう。少し肩の力を抜きたいとき、ぜひ手に取ってほしい一冊です。
■異動のキーパーソンは「人事部」ではなく「直属上司」
最後にご紹介したいのが、第6位の『人事ガチャの秘密』です。
キャリアを運命づけるといっても過言ではない「配属・異動・昇進」。あなたはそのからくりを知っていますか。もし「そう言えば、誰がいつ、どのように決めているのだろう?」と思ったのなら、ぜひ本書を読んでみてください。
必ず知っておきたいのは、あなたの異動のキーパーソンは「人事部」ではなく「直属上司」であるということ。
パーソル総合研究所のヒアリング調査(2021)によると、人事部が人事異動案を作る会社は全体のわずか3割にとどまっていました。多くの会社では、課長以上の管理職の人事異動案は人事部が、一般社員層は各部門で作るという分業制になっているそうです。もし異動を強く望んでいたり、逆に今の部署にずっと留まりたいと願っていたりするなら、直属上司へのアピールに注力すべきだと言えるでしょう。
そのほか、ハイパフォーマー、ミドルパフォーマー、ローパフォーマーそれぞれの人事異動について語っているパートも注目です。
著者は、ミドルパフォーマーは部門からも人事部からも目配りされない存在であるとし、ミドルパフォーマーのキャリアについて警鐘を鳴らしています。あなたがミドルパフォーマーにあたるなら、今後のキャリアのために、できるだけ早く目を通すことをおすすめします。
今月も、未来予測から雑談、睡眠まで、幅広いジャンルの本がランクインしました。また、先月第3位だった『うまく「雑談できる人」と「できない人」の習慣』が第18位と、依然として多くの方に読まれています。来月はどのような本が多く読まれるのか、引き続きチェックしてまいります。
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(flier編集部)
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