「投資で大儲けした」と言って勧誘してくる人は本当に稼いでいるのか…一発で確認できる"必殺の質問"
プレジデントオンライン / 2024年11月10日 8時15分
■稼いでいます、をアピールする裏には?
「今日1日で、FXで10万円儲けました!」と、取引画面や通帳をアップしての投稿。
「スイートルームで、パーティーです!」と、キラキラな写真をアップしての投稿。
などなど、ブログやSNSなどで、稼いでいることや充実した生活振りをアピールする投稿をよく見かけませんか?
それらの投稿では、ブランド品をさりげなく映り込ませるテクニックを駆使していたり、露骨に札束の写真でインパクトを出していたりと、いろいろ工夫して、やたらとアピールしていますよね。
それらは単なる自慢・自己満足であることも多いのですが、中には、投資の勧誘の入り口であることも珍しくはありません。
■自称、稼いでいる人の勧誘テクニック
ただ、それら一般公開向けの投稿では、具体的な投資案件には触れていません。
その代わり、友人申請やグループ加入、メッセージやコメントをしやすい雰囲気を醸し出し、コンタクトの間口を広くしています。
そして、興味を持ってコンタクトを取ってきた人に対し、メッセージやグループでのやり取りを重ねて信頼させ、具体的な投資案件を勧誘するという流れなのです。
その勧誘テクニック自体は、一つの手法であり、とくに問題はないかと思います。問題があるとすれば、「本当に、稼いでいるのか?」です。
もし、本当は稼いでいないのであれば、それは明らかに虚偽の情報による勧誘であり、大問題です。しかし、本当に稼いでいるのであれば、それは相当魅力的な投資案件である可能性を秘めています。
いずれにせよ、「本当に、稼いでいるのか?」を知るためには、コンタクトを取らなければいけないわけです。
■コンタクトを取った理由は、興味本位と下心
実は私自身、いろいろとあやしい投資案件に首を突っ込んでいた時期があり、そのときには、まさに今回のような「(自称)稼いでいる人」と会って、直接やり取りしたこともありました。
もっとも、自ら稼いでいることをアピールしている人、そして、それをエサに投資の勧誘をしてくる人など、普通に考えれば明らかにあやしく、また、反社会的な匂いがするケースも少なくなく、少し怖い感じもします。
にもかかわらず、私が積極的に会っていた理由は、以下の2つ。
1つは、単なる興味本位、すなわち投資マニアとしての野次馬根性で、ただただ「本当に、稼いでいるのか?」を確かめたかったため。カッコよく言い換えれば、私自身、お金の専門家であるFPとして、真実を知りたかったから。
もう1つは、(多分、ウソだろうなと思いつつも)もしかしたら本当に稼いでいるのでは、という密かな期待。もし本当に稼いでいるのなら、その投資案件で私も大儲けできるのでは、という下心があったことは否定しません。
ただ、突然画面に出てくるダイレクト広告のような投稿は、素性がまったく分からなかったり、日本語がおかしかったりと、明らかにあやしいものが多く、それらはスルーしました。
しかし幸い、FPという仕事柄もあって、「知り合いの知り合い」レベルでは、「稼いでいることを方々でアピールしていて、いろんな人と会いたがっている」人は少なからずいて、彼らを紹介してもらい、複数の人とお会いしたのでした。
そして、彼らに共通する、様々なことを知ったのでした。
■お金よりも、自由をアピール
彼らが指定してくる場所は、ホテルラウンジや高級喫茶店など、セレブな空間が多かったです。そして、やたらと場慣れした感じで振る舞う様は、いつもこの場所で会っているのだろうな、と思わずにはおられませんでした。
まず、彼らはいきなり投資の話ではなく、世間話で、場の空気をほぐします。
その内容は、「先月も、ハワイへ行ってきた」「週に2~3回は、ダイビングを楽しんでいる」など、自由に楽しく、人生を謳歌しているといったものがほとんどでした。
そして、これに私は、「なるほど、上手いな」と感じるのでした。
というのは、我々が欲しいのは「お金そのもの」よりも、そのお金で得られる「自由」なのですから。
そして、まさに目の前にいる人が、その自由を体現しているとなれば、これはグッと興味を引きつけられるわけです。また、そのような体験談は聞いていても楽しいですし、さらに言えば、いきなり露骨にお金の話をしないことも、警戒感を薄れさせる効果もあるでしょう。
なので、これは理にかなっているなと、大いに感心したことを覚えています。
■十分に場があたたまってから、勧誘が始まる
とは言え、そのような体験談がいつまでも続くわけではありません。
十分に場があたたまってきた頃を見計らってか、「私が自由に楽しく過ごしているのは、実は、これのおかげです」と、彼らはおもむろに勧誘案件を切り出してくるのでした。
その案件は、海外ファンド積立や海外不動産投資などの投資案件、とくに海外モノが多かったですが、中にはFX自動売買システムのような情報商材や、さらにはマルチ商法紛いのビジネス案件も少なくなかったと記憶しております。
もっとも、それらはいずれも、ハッキリ言って、あやしいものばかりでしたが。
そして、彼らは一通り、資料を使って案件の説明をするものの、力を入れてアピールしてくるのは、「私はこれで稼いでいる」ことでした。ここで、最初に散々話してきた「自由に楽しく人生を謳歌している(≒稼いでいる)」体験談が、サブリミナル効果の如く効いてくるという算段なのでしょう。
■いよいよ、「稼いでいる」を、よりアピールしてくる
そして、この段階まで話が進めば、彼らは稼いでいることを、よりアピールしてきます。
ただ、「週2~3日労働でも、十分やっていけますよ」「ほぼ毎週末、ゴルフに行っています」などと、その悠々自適ぶりをアピールしながらも、具体的な金額は言わずに、「けっこう稼いでいる」をほのめかす人がほとんどでした。
しかし、こちらが「一般サラリーマンの年収の2倍くらいですか?」などと、その稼ぎに興味を示すと、中には、「まぁ、それ以上かな」などと、しっかり答えてくれる人もいました。
さらに、「じゃぁ、月70万~80万円くらいですか?」といった質問に、「いや、100万円くらいはあるかな」や「年収は1本(1000万円)を軽く超えたよ」など、数字で答えてくれる人も、少なからずいたのでした。
そう、私が求めていたのは、悠々自適ぶりをアピールして、稼いでいることを「匂わせる」のではなく、ハッキリと数字で「示してくれる」ことだったのです。日常の場では、(稼いでいたとしても)そこまでハッキリ言う人など、ほとんどいないですからね。
ですので、数字をもって、ハッキリと「稼いでいる」ことを聞き出せたことには、大いに満足したのでした。
ただ、重要なのは、本当にそれだけ稼いでいるのか、です。
それを確かめることは、非常に困難なことでしょう。
しかし、私はあらかじめ、そのようにハッキリと「稼いでいる」と言ってくれた人に対して、必殺の質問を用意していたのでした。
■本当に稼いでいるのかを確かめる、必殺の質問とは?
それは、「それだけ稼いでいれば、税金が大変ではないですか?」です。
さすがに、面と向かって「本当に、それだけ稼いでいるのですか?」「では、証拠を見せてください」などとは言えません。しかし、この質問であれば、嫌味(失礼)ではないでしょう。
これまでの会話の流れの中で、ごく自然な質問として、本当に稼いでいるかを探ることができると考えたのでした。そして、本当に稼いでいるのであれば、もちろん、それなりの税金を払っているはずです。
税金計算の詳細は割愛しますが、それが投資による稼ぎであれば、最低でも、その稼ぎの約2割が税金となります(分離課税の配当所得や譲渡所得)。
投資の種類によっては、超過累進課税により、稼ぎの半分程度もの税金がかかってくるケースもありますし(総合課税の不動産所得や雑所得)、事業参加型のビジネス案件であっても、その稼ぎに応じて、やはり多額の税金がかかります(総合課税の事業所得)。
もちろん、諸々の工夫をすることで節税も可能ですが、それでも、それなりに稼いでいれば、相当な税額となることは避けられないでしょう。
■満足する返答は、あったのか?
もし、その人が本当に稼いでいて、なにも後ろめたいことがないのであれば、堂々と、多額の税金を払っていることも言えるはずです。稼いでいることをアピールするような人であれば、税金をしっかり払っていることをアピールすることにも抵抗はないはずだと、私は考えていました。
それまでの調子の良い口調から、私が期待したのは、「ええ、この道路の半分くらいは、私の税金かな?」といったユーモアを交えながらの返答や、願わくば、「昨年の納税額は100万円を超えたけど、頑張って払ったよ」といったズバリ数字での返答でした。
もし、そのような返答があれば、これは本当に稼いでいるなと判断して、彼らの勧めてくる案件も、真剣に検討してみようかなとも思っていました。実際、そのような下心もあって、「(自称)稼いでいる人」たちに会っていたのですから。
しかし残念ながら、私が期待するような返答をくれた人は皆無でした。
■途端に、歯切れが悪くなる
現実には、その「税金が大変ではないですか?」との質問に、彼らは途端に歯切れが悪くなりました。
「いや、まぁね……でも、税理士さんに任せているので、よく分からないなぁ」
「まぁ、それなりに払ってはいると思うけど、税金は難しくて、よく覚えていないなぁ」
などと、それまでのテンポ良い口調は影を潜め、なんともスッキリしない返答ばかりでした。
そのような返答に、私は「それだけ稼いでいる人が、税金に無頓着なのはオカシイな」と思わざるを得ませんでした。
たしかに税金は難しいですが、自身の稼ぎを(それほどアピールできるくらいに)把握しているのなら、ある程度は納税額も分かっているはずですし、また、それだけ稼いでいるのであれば、節税の観点からも、自身の税金に無関心でいられるわけはないですからね。
■考えられるのは、ウソか、脱税か……
そんな返答内容もさることながら、途端に早口になり、身振り手振りも不自然に大きくなる様には、少なからず違和感を覚えました。そして、そんな彼らの態度から、考えられるのは、おそらく、以下のいずれかだと判断しました。
1.本当はそれほど稼いでいない、つまり「稼いでいる」はウソ
2.税金をきちんと計算していない(申告していない、もしくは過少申告)、つまり脱税をしている
いずれにせよ、絶対にダメなことです。
中には、「稼ぎと税金とは、別問題ですよね」という謎の返答でかわされたケースもありましたが、税金に対するそのような意識は、論外ですよね。
もちろん、本当に稼いでいて、税金もしっかり納めている人もいるのでしょうが、少なくとも私は、そういった人には会えませんでした。というか、そのような人は、わざわざ稼いでいることをアピールなどしていないのでしょう。
いずれにせよ、稼いでいることをアピールしてくる人について、本当に稼いでいるかを知りたいときには、この税金を絡めての質問は、一つの方法として、知っておいて損はないかと思います。
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ファイナンシャルプランナー
1977年大阪府大阪狭山市生まれ。大阪市立大学文学部哲学科卒業後、尼崎信用金庫を経て、2001年に藤原ファイナンシャルプランナー事務所開設。現在は、主に資産運用に関する講演・執筆等を精力的にこなす。また、大阪経済法科大学経済学部非常勤講師としてファイナンシャルプランニング講座を担当する。著書に『株、投資信託、FX、仮想通貨… ファイナンシャルプランナーが20年投資を続けてみたらこうなった』(彩図社)など。
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(ファイナンシャルプランナー 藤原 久敏)
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