「天才だから」ではない…1日1時間の勉強で、東大に合格した高校生が机に向かう30分前に必ずやっていたこと
プレジデントオンライン / 2024年11月8日 18時15分
■重視すべきは「時間」ではなく「効率」
「あんた、勉強しなくていいの? 勉強しなさい!」
そんな風にお子さんを叱る親御さんは多いと思います。例えばテスト前だというのに子供が勉強せずに遊んでいたら、「勉強しなさい」と言いたくなることでしょう。
でも、「勉強をしている」というのにも、いろんなグラデーションがあります。だらだらと問題を解いて、他のことを考えて時間が経つのを待ちながら勉強していても「勉強をしている」ということになってしまいますし、全く逆にすごく集中して、普段解く問題の量の3〜4倍も解ける時もあるでしょう。
同じ時間勉強していたとしても、効率が悪ければ、元も子もないわけです。「勉強しなさい!」と叱る親御さんはいても、「効率よく勉強しなさい!」と叱る親御さんは少ないのではないでしょうか? でも、ただ「勉強しなさい!」と叱っているだけでは、あまり意味がないのです。
意外な話かもしれませんが、東大生の中には、毎日1時間の勉強だけで東大に合格する人がいます。授業の時間を除いて、自分の勉強時間は1時間と決めていて、平日も休日も、たった1時間の勉強時間だけで合格した、という人がいます。
それを聞いて「うわあ、すごい人がいるんだな、天才だな」と思う人もいると思いかもしれませんが、実はこれには裏話があります。そういう人は、「1時間の勉強効率をいかに上げるかということ」を徹底的に考えて勉強を構築しているんです。
■「制限時間付き」で子供が本気になる
「今から1時間勉強するとして、その1時間の間に、何を終わらせようか? どこまで勉強しようか? 何を目標にして勉強しようか?」ということを、20~30分程度しっかりと考えて、その上で集中して決めた目標を終わらせていく勉強をしているのです。
そういう人は、毎日だらだら6時間勉強している人よりも、圧倒的に勉強効率が良いです。ゴールが決まっておらず、ただ漫然と勉強に時間をかけている人よりも、「絶対に1時間以内で自分の勉強を完結させてやる」と決めている人の方が、成績は上がっていくのです。
「最小の努力で、最大の結果を求めよう」と考える、つまりは「コストパフォーマンスの良い勉強」を意識していくことで、成績が上がっていく場合があるのです。
例えば、僕らは「なかなか勉強のやる気が出ないお子さん」に勉強を教えたり、「親が何度言っても勉強に身が入らない生徒」を指導することもあります。そういう時には、「制限時間付きの勉強」をおすすめしています。
ズバリ、「1時間しか勉強しちゃいけないとして、どんな勉強をするか、一緒に考えてみよう」と言うのです。
「3時間も4時間も勉強しなきゃならない」と考えるとうんざりしてしまいますが、逆に「1時間で絶対に集中して、やるべき勉強を終わらせよう」と考えるのも、なかなか難しいことです。子供は、普段やっている宿題や、やらなきゃならない復習などを1時間以内に詰め込むとすると、どうすればいいのか、と言うことを本気で考えることになります。
■宿題を「ゲーム」にしてみる
そうすると、普段なかなか考えていなかった、「どの勉強にどれくらいの時間を使うのか」ということを考えるきっかけになります。
例えば宿題を解く人は多いと思いますが、その宿題がどれくらいの時間で終わるものなのか、どれくらい時間をかけて終わらせたいものなのか、考えながら勉強している人は少ないのではないでしょうか。
「とにかく問題を解いて、なんとか終わらせよう」と、目標とする時間もなく、ただ漫然と終わらせようとして、「全然終わらないなぁ」「面倒くさいなぁ」と考えてしまいがちです。
でも、「絶対にこの宿題を20分以内で終わらせるぞ!」と考えると、ゲーム感覚で解くことができて、意外と集中してできるものです。勉強に制限時間が加わるだけで、勉強の効率がすごく高くなるのです。
そして、その制限時間の勉強をした上で、「ゴール」を設定しておきましょう。例えば「1時間勉強した上で、ここの部分からテストを出すからね」と言ったり、「復習し終わったら、ノートから問題を出すからね」と指導したりするのです。
問題集を解いている時であれば、その問題集についているまとめテストを出題してみたり、同じ問題を解いてもらったりするのです。こうすることで、勉強した上でどういう状態になっていなければならないかがわかりやすくなり、子供は集中しやすくなるのです。
■「制限時間」と「ゴール」が圧倒的な集中を生む
制限時間とゴールが明確に存在する時、人間はだらだら勉強するよりも圧倒的に集中することができます。
例えば、「英単語100個の勉強をしよう」と思ったときに、だらだら勉強をしていると、ただ単語を眺めて終わりになってしまいます。でも、「30分でこの英単語を覚えよう」と考えて、終わった後にできているかどうかテストもしてみようと考えると、一気に集中力が上がります。
人間、「とりあえず勉強しよう」と考えて勉強する時の集中力と、「これ、あと20分後にテストするからね」と言われた時の集中力とを比べると、圧倒的に後者の方が集中することができるわけです。
そしてその集中力を使えば、1時間だらだら勉強するよりも20分集中して勉強した時の方が効率的になる場合もあるのです。
ちなみにこの勉強を応用して、大学受験生にはこういうワークシート(図表1)を渡します。「目的」をしっかりと明確にして、その目的を達成できるかどうかを最初に書いておくワークシートになります。
この「何ができればクリア?」と書かれている欄には、「1〜100の暗記テストで80点を取る」とか「練習問題を解いて正解できるようになる」とか、そういう明確に「できた」「できなかった」が分かれるポイントをゴールに設定してもらいます。
■「机の前に座ってだらだら勉強」は最悪
必要なのは、目的を持った上でその目的を達成できたのかどうかを考えていくことです。後から振り返って、1時間で達成させる目的が1時間で終わっているならなんの問題もありません。
最悪なのは、そんなことも考えず、1時間で達成させるべきことを2時間掛けて「いやあ勉強したなぁ」なんて思っている時です。
本来1時間で終わらせることができることを、2時間も3時間もかけて、「今日はこんなに勉強したんだから、きっと今度のテストではいい点が取れるはずだ」と考えている状況は、「勉強している感」だけが積み上がっていくだけで終わってしまいます。それはただの「苦行」であり、なんの意味もない時間です。
「制限時間と目的を決めて、その時間内に目的を達成するための努力をする」。本来勉強というのは、こういうものであるべきです。
決して、ただ机の前に座っていれば勝手に成績が上がるというものでもないですし、1時間勉強している人よりも3時間勉強している人の方が偉いということもありません。
勉強は時間が全てではないということです。何時間も勉強しようとする場合、勉強時間に気を取られて肝心の成績や勉強効率が疎かになってしまう場合があります。
■「効率の良い勉強」を促せば成績が伸びる
特に、親御さんが「長い時間勉強することが良い」という価値観であると、子供は「長い時間机の前に座ること」だけが得意になってしまって、肝心の「成績を上げるための努力」が苦手になっていってしまいます。
そうすると、子供にとって勉強が「親から命令されたときにやる、ただ苦痛に耐える作業」になってしまいます。「1時間ただ黙って座っていなさい」と言われているのとそう大差ありません。これでは成績も上がりませんし、勉強に対するイメージも最悪な状態になってしまいます。そうであってはならないのです。
大事なのは、ただ「勉強しなさい」と言うのではなく、「効率よく勉強しなさい」と言うことです。
制限時間を作って「1時間で、どれくらい勉強をするのか」「この宿題はどれくらいの時間で終わらせるのか」と言うことを一緒に考えてあげる。その上で、「その時間内で、何が達成できればゴールなのか」を考えて、そのためのテストを出してあげる。
そういう指導が行われている家庭の子は、必ず成績が伸びていきます。ぜひ、参考にしてみてください。
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2020年6月、西岡壱誠が代表として株式会社カルペ・ディエムを設立。西岡を中心に、貧困家庭で週3日バイトしながら合格した東大生や地方公立高校で東大模試1位になった東大生など、多くの「逆転合格」をした現役東大生が集い、日々教育業界の革新のために活動している。漫画『ドラゴン桜2』(講談社)の編集、TBSドラマ日曜劇場『ドラゴン桜』の監修などを務めるほか、東大生300人以上を調査し、多くの画期的な勉強法を創出した。そのほか「リアルドラゴン桜プロジェクト」と題した教育プログラムを中心に、全国20校以上でワークショップや講演会を実施。年間1000人以上の学生に勉強法を教えている。
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現役東大生 カルペ・ディエム代表
1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すものの、2年連続で不合格に。二浪中に開発した独自の勉強術を駆使して東大合格を果たす。2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教え、教師に指導法のコンサルティングを行っている。日曜劇場「ドラゴン桜」の監修や漫画「ドラゴン桜2」の編集も担当。著書はシリーズ45万部となる『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大算数』(いずれも東洋経済新報社)ほか多数。
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(東大生集団 東大カルペ・ディエム、現役東大生 カルペ・ディエム代表 西岡 壱誠)
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