「学校に行きたくない」と言う子供に「なんで?」と聞くのはNG…モジモジするわが子に親がかけるべき言葉
プレジデントオンライン / 2024年11月13日 16時15分
※本稿は、矢部裕貴『学校に行けない子どもの気持ちと向き合う本 その子にあったオリジナルの未来を見つけよう』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■「なんで?」と聞いても子どもは具体的に話せない
子どもが行き渋りになると、大人は理由を知りたいので、「なんで?」「どうして?」と最初に理由を聞いてしまいがちです。
でも、実際のところ、子どもは自分でもわかっていないケースが多くて「なんか嫌だから」「なんか怖いから」と言いがちなんですが、そこにあるのは理由ではなくて、ただただ嫌、怖いという印象だけだったりします。
親がわかっておきたいのは、子どもは具体的に話せないということです。
小さい子ほど語彙力はなく、今自分に起こっている問題を言語化することができません。
親は何かしら納得したいので、そして理由がわかれば解決できるかもしれないと思って、原因追及とばかり問い詰めがちですが、うまく説明することができない子どもにしてみれば、尋問されているような気持ちになります。
そして、ちゃんと説明できない自分、親を困らせてしまう自分をダメだと思ってしまい、自分を責めてしまうことすらあります。
だから、ここでも大事なことは「理由」ではなく、「子どもの気持ち」を聞くこと。これが信頼をつくっていく聞き方です。
■「理由」ではなく「気持ち」に寄り添ってあげる
子どもの答えが「なんか嫌なの」だったら、「そうか、嫌なんだ。校門のところから嫌なの?」と、嫌という気持ちに共感し、寄り添ってあげる。
すると段階的に、「どうして嫌な気持ちになったのかな?」と聞けるようになるので、「そんなことがあったから嫌な気持ちになったんだね」と受け取ってあげる。
理由が何なのかというのは正直どうでもよくて、大事なのは、子どもが言った気持ちや思いをちゃんと受け取ってあげるということ。
そうすると、子どもはわかってもらえたんだとなって本音を言おうという気持ちになってきます。
親子の信頼関係が築けるからですね。
これを子どもが行き渋りだした初期の頃にやって、続けていくと、子どもはお母さん・お父さんはわかってくれるとなって、相談してくれるようにもなってきます。
■子どもがウソをつくようになるのは信頼関係がないから
親が話を聞こうとすると、特に小学生の子はとっさにウソをつくことがあります。本当のことを言ったら親にどう思われるか怖いからです。
親を怒らせたり、傷つけてしまうかもしれないし、自分が傷つくかもしれない。だから、親が納得するであろう、誰も傷つかない答えを口にする。それがウソになってしまいます。
あと、理由がたくさんありすぎて本当にわからないという場合もあるかもしれません。問題がいろいろあって、これもそれも全部関係しているときは、説明が面倒くさいので適当なウソで誤魔化す、とか。
そうやってウソをついたときに、それが通ってしまったら――親が見逃してしまったり、そのまま受け容れてしまったりすると、ずっとウソをつき続けるんじゃないでしょうか、という問いもよくいただきますが、信頼関係があれば子どもはウソをつきません。
信頼関係がないから、ウソをつかなきゃいけない状況になっている。
そういうコミュニケーションになってしまっているからです。
この場合は、まず親がご機嫌になることから始めるのがベストです。ウソをついてしまう状況に陥っている子どもと真正面から向き合ってコミュニケーションをとろうと必死になるより、今の状態を脱することが大事だからです。
■思春期の子どもとの向き合い方
ウソに関して言うと、思春期になると、またややこしくなってきます。自我が芽生えているので「わかってほしくない」というのが入ってくるからです。俺(私)のことをあんたにわかられてたまるかよ、と。
でも、自然なことですが、親はわかっちゃうんですよね、生まれたときからその子を見てきているんですから。そして、ズバッと見抜いてしまう。それがまた図星だったりするので、子どもは腹が立ってきて本当のことを言わなくなってウソをつくというケースもあります。
こんなときに、どんな気持ちなのかと聞いても子どもは言いません。だから、お母さんやお父さんがウソだと気がついても言わないであげてください。あえて、思春期の時期は泳がせておく。それもまた大切なことです。
もし質問するとしたら「何かあったの?」「しんどいの?」という感じで聞いてあげるといいですね。
■まずは「どうすれば〜」と声をかけてみる
「学校に行きたくない」と言う子どもに、その理由はわからなくても、できる質問があります。
子どもの「気持ち」を聞き、共感できたことが大前提ですが、子どもの「できる選択肢を増やす」という聞き方です。
それは「どうすれば~」と方法や手段を聞いてあげること。最初は学校という枠にはまらなくてもいいかもしれません。
「どうすれば、しんどくなくなるかな?」
この質問に、子どもが「人と会わなければしんどくない」と答えたとします。そこで「人と会わない」という選択肢を一度採用します。
でも、そのしんどいというステージを超えると、子どもは人とつながりたいと思ってきます。孤独を感じてしまうので。
「なんだか寂しくなってきちゃった」
「どうすれば、寂しくなくなるかな?」
「誰かに会ってみたい」
「じゃあ、誰と会うと楽しくなるかな?」
という展開が生まれてきますよね。これが、できる選択肢を増やしていく、ということです。
そして、徐々に学校に近づけていく。ポイントは、感情と結びつけることです。
「どうすれば、学校が安心の場になるかな?」
「どうすれば、学校で楽しく過ごせるかな?」
学校に行かせたいという親御さんの気持ちはわかりますが、いきなり「どうすれば学校に行けるかな?」はNGですよ。学校に行くことに対してピリピリしている子どもからしたら、学校に行くことが前提になっている誘導尋問のように受け取れるからです。
大事なのは子どもの気持ちなので、子どもが学校という場で気持ちが安らぐとか、元気になれる場面があるかどうか。
その答えが出やすい、つまり、できる選択肢が増えるような聞き方をしてあげることです。
■子どもの気持ちが見えてくると選択肢が広がる
実際にあった例で、「どうすれば学校で心地よくいられるかな?」と不登校の子に聞いたお母さんがいらっしゃいました。
答えは「保健室だったらリラックスできる」。
「保健室の先生が好きなの?」
「うん、なんか安心できる」
そこで初めて、お母さんは保健室登校を提案しました。子どもの気持ちがわかったからですね。「図書館」「校長室」という子もいるかもしれません。選択肢はいろいろです。
「どうすれば学校で楽しい時間を過ごせそうかな?」
「体育の時間は楽しい」と体育の時間だけ行っている子もいます。
最近の学校は部分登校が許されていることが多いので、給食時間や部活だけ行ったり、好きな教科のときだけ時々行くという子もいます。これも選択肢がたくさんありますよね。
そういう「どうすれば〜」の質問をしていくと、保健室以外は安心の場じゃないんだな、教室に何か原因があるのかな、と不登校の理由がなんとなく見えてきませんか。
でもそれは、親が自分の安心のためにわかっていればいいことです。子どもをさらに追及するのはやめましょう。
「理由」ではなく、「気持ち」が全てです。人間は気持ちで生きているんですから。
質問をしたときに、子どもから回答がすぐに出てこなくても焦らないでください。脳は質問に対して答えを探しにいくという機能があるので、回答がすぐ出なかったとしても、その問いに対して子どもはずっと答えを探しにいき続けます。
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親子問題専門の心理カウンセラー、お母さんの学校 校長
静岡県出身。滋賀県東近江市在住。15000人以上の親子のカウンセリングをする中で、悩みは才能に変わることを発見。子育てに悩んでいたお母さんが、才能を伸ばすお母さんへ変化していくことが話題の「お母さん心理学」を開発。「一人で悩むお母さんを0にする」をモットーに、お母さん向けのオンラインコミュニティ「お母さんの学校」を運営。 2024年に主催したオンラインイベント「不登校フェス」には1万人以上が参加した。
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(親子問題専門の心理カウンセラー、お母さんの学校 校長 矢部 裕貴)
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