1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

「とりあえず手を動かす」人ほど仕事がデキない…イーロン・マスクが仕事前に「カレンダー」に記入している内容

プレジデントオンライン / 2024年11月12日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PeopleImages

少しでも効率的に仕事を進めるにはどうしたらいいか。デルタクリエイト代表の佐藤舞さんは「多くのビジネスマンは勤務時間の60%をメール返信、スケジュール設定などの調整タスクに費やしている。イーロン・マスクやビル・ゲイツも実践している『仕事術』を試して、『仕事のための仕事』に振り回されないようにしよう」という──。

※本稿は、佐藤舞『あっという間に人は死ぬから 「時間を食べつくすモンスター」の正体と倒し方』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■生産性をアップさせる10のテクニック

ここでは、生産性をアップする時間術を紹介していきます。

代表的なものとして、AIを使った教育事業を行っているアメリカの企業「フィルタード」が発表している、時間内により多くのタスクを効果的・効率的にこなすテクニックのランキング(※)のトップ10を見てみます。

それぞれのテクニックには、[実用性][難易度][効果]の3つの観点から評価がつけられています。

[効果]とは、そのテクニックがどんなことに対して有効なのかを分類したもので、統制/通知管理/メール管理/環境管理/目標達成/会議/時間管理/ウェルビーイング向上、の8つが挙げられています。

■SNSは1日2回に分けて「5分ずつ」

◆10位 ソーシャルメディアのコントロール
[実用性]65.2
[難易度]3
[効果]通知管理

ソーシャルメディアは時間を奪っていくものの代表格です。仕事中にちょっとSNSをチェックしようとしただけなのに、どんどん次が気になったことはありませんか?

この調査では、カレンダーに1日2回、5分間のソーシャルメディアタイムを設けることを推奨しています。カレンダーに強制されると、「今はどうでもいいや」となります。

◆9位 2分ルール
[実用性]69.6
[難易度]2
[効果]時間管理

2分ルールは、「2分以内でできるタスクは何も考えずに終わらせてしまう」というテクニックです。重めの仕事の前に、小さなタスクをたくさんこなすことによって助走がつき、重めの仕事に取り掛かりやすくなります。

◆8位 健康的な食事
[実用性]69.6
[難易度]3
[効果]ウェルビーイング向上

時間がないからといって、毎日カップラーメンしか食べない生活を送っていたら、頭が働きません。なるべく未加工の食品で、タンパク質、ビタミンや食物繊維、脂肪、炭水化物をバランスよく摂取しましょう。

■タスクを可視化し、こまめに休憩する

◆7位 TODOリスト
[実用性]69.6
[難易度]2
[効果]目標達成

TODOリストは、やることをすべて紙に書き出したり、カレンダーに組み込む基本のテクニックです。

会議を終え、メールを処理している間に急ぎの依頼が舞い込み、部下に指示を出しているうちにまた会議……その過程で数えきれないほどのタスクをこなします。

未消化のタスクをどこかに記録して後で行動に移せるようにしましょう。

◆6位 短い休憩
[実用性]78.2
[難易度]2
[効果]ウェルビーイング向上

長時間続けて作業するより、短い休憩を挟んだ方が集中力と生産性が上がります。少なくとも1時間に1回程度の休憩をとり、15分程度の散歩やストレッチなどをするとスッキリします。

◆5位 デバイスのコントロール
[実用性]82.6
[難易度]3
[効果]通知管理

調査によると、私たちは1日に150.221回もスマホをチェックしています。そして、サザンメイン大学の研究によると、スマホに触れなくても、スマホが視界に入っているだけで、学力テストの成績が低下するそうです。気が散るデバイスをデスクから取り除いてみてください。

◆4位 動く
[実用性]82.6
[難易度]3
[効果]ウェルビーイング向上

デスクワークが多い仕事の場合、意識的に動くようにしましょう。血流が良くなると創造的な思考が掻き立てられます。スタンディングデスクなどを使用するのもよいでしょう。

習慣化するのにおすすめの方法は、すでに習慣になっていることと組み合わせることです。例えば私は、歯磨きをしながらスクワットをしたり、髪をドライヤーで乾かしながらステッパーを踏んだりしています。

習慣化したいことを、日常の行動導線に組み込めないだろうかと考えてみてください。

■ポジティブに「ノー」と言う

◆3位 ノーと言う
[実用性]91.3
[難易度]2
[効果]ウェルビーイング向上

仕事を抱えがちな人は、頼まれた仕事についついYESと言ってしまいます。

断る時に意識してほしいのは、「今忙しいから」「時間がなくて」という消極的な理由ではなく、「自分は今このプロジェクトを優先したいから」や「今ダイエット中だから飲み会は行かない」というように、自分の価値観に基づいた積極的な理由を提示して断るということです。

契約を勧めるビジネスマンと断る顧客
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu
◆2位 優先順位をつける
[実用性]97.5
[難易度]3
[効果]時間管理

今日のタスクを書き出してやるべき優先順位をつけましょう。やるべきタスクを消化している間は、メールや電話、急な来客など、順番待ちの先頭に飛び込んでくるタスクに気を取られないようにしましょう。

近年では、チャットボットなどが一般化していますので、対応を自動化できるところは自動化したり、「メール返信は午後から」と決めてしまうのもおすすめです。

■マスク氏やゲイツ氏も活用している時間管理術

◆1位 タイムボクシング
[実用性]100
[難易度]3
[効果]時間管理

1日のタスクを書き出すだけでなく、時間割を作りましょう。

世界一マルチタスクな男と言われる、テスラやスペースXのイーロン・マスク氏も、毎日の習慣としてタイムボクシングを取り入れています。また、マイクロソフトの共同創業者のビル・ゲイツ氏も使っているようです。

何のタスクにいつとりかかるのかを決めていないと、都度都度、「次は何をやろう?」という迷いが生じます。運動や食事、買い物などのプライベートなタスクも含めて1日の時間割を作り、その時間割どおりに行動するのがタイムボクシングです。

私は社会人2年目から、店舗の管理の仕事をするようになりました。経理・総務・人事など、バックオフィスのなんでも屋さんで、やることが多すぎる上に忘れっぽいので、自然とエクセルでタイムボクシングをしていました(当時は、タイムボクシングという言葉さえ知りませんでした)。

■実際の「作業時間」を考えるきっかけに

これを始めてから、自分が予想した時間の見積もりが甘いことに気づきました。資料作成は3時間あれば足りるかなと思ったものの、実際は倍かかり、翌日に持ち越したりします。時間割を作ることで、自分の時間感覚と実際の作業時間のズレを修正していくことができました。

参考までに、現在、筆者が実際に使っているものを掲載します(図表1)。

【図表1】筆者のタイムボクシング
出所=『あっという間に人は死ぬから』(KADOKAWA)

1日のスケジュールの時間割を作成し、自分が使いやすいようにアレンジしたものです。まず左の欄外に、活動時間を書きます。次にその右側に、「時間が決まっているタスク」を書きます。さらにその右側に、「そのタスクの詳細についてのメモ」を必要であれば記載します。

この日は、朝から密着取材が入っていたので、取材で話すことのメモを書いています。そして一番右側には、「時間は決まっていないその日のTODOリスト」を書きます。「タクシーで移動する」「おやつを食べる」などの細かい予定も書いています。

ノートに直接書いてもいいですが、予定は変わるので、私は付箋に書いたものを貼り付けて、予定が変更されたら付箋の位置を貼り替えて管理しています。

週の予定や月の予定、年間の予定などの管理は、グーグルカレンダーで行っていますが、1日の細かな予定は、このようにタイムボクシングで行っています。これは前日に作ることが多いです。

ちなみにノートはコクヨのソフトリングノート(方眼タイプ)を使っていて、1枚ごとに切り取れるように切り込みが入っているので、1枚千切って持ち歩いています。グーグルカレンダーでも手帳でも、お好みのものを使ってみてください

■手を動かす前に「思考」の時間を作ろう

特に上位3つ(①タイムボクシング ②優先順位をつける ③ノーと言う)は、私自身もその効果の大きさを実感しています。

佐藤舞『あっという間に人は死ぬから 「時間を食べつくすモンスター」の正体と倒し方』(KADOKAWA)
佐藤舞『あっという間に人は死ぬから 「時間を食べつくすモンスター」の正体と倒し方』(KADOKAWA)

チームのプロジェクト管理ツールを提供しているアサナ社の調査によると、ナレッジワーカーの時間の60%がメールへの返信、プロジェクトの調整、ミーティングのスケジュール設定などの調整タスクに当てられているようです。これらは「仕事のための仕事」といえるでしょう。こなせばこなすほど仕事が捗った気がしますが、あくまでも「仕事のための仕事」です。

あなたが本当にすべき重要な仕事は、より抽象的で複雑で深い思考力と集中力を要します。それにはストレスがかかるので、「とりあえずデスク下のごみ捨て」をしたり、メールやチャットの返信などをして、「何かが捗った気になりたい」のです。

筆者の場合、自分の会社の社長業、メディア出演などのインフルエンサー業、作家業など、やることが多岐に渡っており、何も考えずにこなしていたら消耗してしまいます。「手を動かす前に考える時間」を設けることが思考の整理につながり、何をするべきかを明確にしてくれるのです。

参考文献
※ How Timeboxing Works and Why It Will Make You More Productive, Marc Zao-Sanders/2018年

----------

佐藤 舞(さとう・まい)
デルタクリエイト代表・桜花学園大学客員教授
デルタクリエイト代表。数学アレルギーから学生時代より文系の道に進むが、国立福島大学経済経営学類に入学後、統計学と出会い数学アレルギーを克服する。在学中、野村総合研究所主催の「マーケティング分析コンテスト」入賞。卒業後、一般企業に就職。その後、26歳で独立、データ分析・統計解析事業を始める。データの活用を通して意思決定コストを削減し、組織力をあげることを得意とする。総務省からの依頼でもセミナーを開催し、参加者の満足度の高さから依頼のリピート率が100%になっている(2022年2月時点)。YouTubeチャンネル「謎解き統計学|サトマイ」を運営。チャンネル登録者数は約39.7万人(2024年9月時点)。統計学やマーケティングリサーチを元にした時事ネタの解説が人気を博している。2024年2月20日より桜花学園大学客員教授に就任。

----------

(デルタクリエイト代表・桜花学園大学客員教授 佐藤 舞)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください