大掃除で必ずチェックしてほしい…「ビニール傘だけではない」お金が貯まらない家に必ずあるもの
プレジデントオンライン / 2024年11月19日 11時15分
■家にあるものを見れば、消費の癖がわかる
2024年も残るところひと月あまり。不用品の処分や大掃除が気になり始めるが、億劫なこれらの作業にこそ、お金持ちへの道が隠れている。
家にあるモノとは、お金が姿を変えたもの。その人のお金の使い方を表していると言っていい。モノの片付けをするうちに、徐々に自分の消費の癖がわかってくるはずだ。特に、こんなものが多い場合は要注意だという例を挙げてみよう。
1 使い捨てビニール傘とティッシュペーパーの在庫
この二つが多い家は、お金の使い方に難ありと言っていい。使い捨てのビニール傘をちょくちょく買ってしまう人は、消費に計画性がないことを示している。
今やビニール傘と言っても500円以上するものだ。折り畳み傘を持っていけば節約できるのに、その手間を惜しんで「荷物になるから雨が降ったら買えばいい」と考える。その数百円を払うことがムダではないか、とは思わないタイプだ。
また、その場しのぎで買った使い捨て傘だから、どこかで無くしても気にしない。これでは払ったお金もかわいそうというものだ。
お金持ち思考の持ち主なら、決してそんなことはしない。自分のお金を払う以上、価値のあるものを選び、手に入れたものは大事に使う。簡単に捨てていいとは考えないだろう。
■ティッシュ、洗剤、ボディソープの在庫が多い人は要注意
逆に、節約を気にするあまりに安値にこだわるのにも問題がある。収納庫を開けたら、ぎっしりティッシュペーパーのストックが詰まっている家はその典型だ。必ず使用するものだからセール時に買っておくのはオトクのように思えるが、そうとも言い切れない。
「安いから」とみると、必要以上に買ってしまっているタイプが多いからだ。ティッシュでも洗剤でもボディソープでも、特売を見ると在庫があっても買ってしまう。おまけに在庫があればあるほど安心して、使う量は節約しない。
たくさん買って、たくさん使う。浪費と気づかずに、浪費している状態なのだ。オーバーストックになりがちな家は、食品でも使い切れない大袋を買っている。
きちんとお金を残すには、適量を買い、必要量以上にストックを持たないほうが正しい。大掃除でたっぷり在庫が残っていると気づいたら、日用品の年末セールに遭遇してもじっと我慢したほうがいい。
■「未使用品」は衝動買いの証
2 タグが付いたままの服や箱から出していない食器
欲しくて買ったはずなのに、なぜか腕を通していない服や、箱にしまったまま使われない食器がたくさんある。そんな家も、お金の使い方を見直した方がいい。
衝動買いしがちなタイプなのかもしれないし、周囲に勧められるまま勢いで買ってしまったのかも。あるいは、あと3000円買うと送料無料だからとネットショッピングの数合わせで買った、さほど必要でなかったモノだったのか。
いずれにしろ、使わないのに買ったモノが多いということは、ムダな消費をしてしまった回数もそれだけ多いことになる。値札が付いたままなら、その金額を足し算してみることだ。不用品に使った金額が可視化され、愕然とするのではないか。教訓とするためにも、なぜこれを買ったのか、買ったのになぜ使わないのか、改めて考えたい。
1年使わなかったものは、この先も出番は来ないだろう。未使用品なら早めにフリマに出したりリサイクルショップに持ち込んだり、少しでもお金に換えられるうちに換えてすっきりしよう。
■先延ばしにいいことは一つもない
3 昨年も捨てようと考えたモノ
片づけているうちに、「これ、去年も処分しようと思ったやつだ」というモノが出てくるものだ。捨てられなかった理由はいろいろだろう。高かったから、まだ使えるから、捨てるのに手間がかかるから。言い訳はどんどん浮かんでくる。
いずれにしろ、一度これは捨ててもいいと考えたのに処分しなかったのは、行動を先延ばしにしたいだけだ。早く処分したほうがいいとわかっていても腰が重い。
このように先延ばし思考が強いタイプは、掃除以外もそうしがちだ。解約したほうがトクだとわかっているのにサブスク契約をだらだら続けていたり、早くスタートしたほうがいいのに貯蓄や投資の積立に踏み切れなかったり。そのうち面倒くさくなって、また来年でいいやと投げ出してしまう。
お金を増やすには、時間を味方につけることが大事だ。迷っている間にムダな支出は増え、貯められるはずだったお金は減ってしまう。もう必要ないとわかっているものは、速やかに処分することだ。ついでに、不要な契約も今年中にすっぱり切ってしまおう。
■大掃除がきっかけでお金が貯まるようになる
前に挙げた3つのものが溜まっている家は、その代わりにお金が消えていく家だ。
「なぜ買ったのか」「なぜ使わないのか」「なぜ処分できないのか」を真剣に考えることで、ムダな消費が徐々に減って、家もすっきり片付き始めるはずだ。家じゅうがすっきりすると、お金への意識も変化してくる。自然に支出が減って、お金が貯まり始める。その理由を挙げてみよう。
・二重買いやムダ買いが減る
不要な洋服を処分した後のクローゼットは、服の数が減って見通しが良くなっているはずだ。ぎっしり詰まっていた頃は、中にどんな服があるかわからずに、すでに持っているものと似たような服を買ってしまうことも多かった。
パッと見て、自分の持っているものが把握できれば、そうした無駄買いを減らすことができる。家の中にモノが多いほど管理が難しくなるもの。結果的に必要でないものまでうっかり買ってしまう。把握できる量や数にとどめておけば、本当に必要なものが分かり、それだけ買うようになるので、おのずとムダな支出は減る。収納スペースは八分目、をなるべくキープしよう。
■なぜものを減らすべきなのか
・モノを買うことに慎重になる
所有品の整理・片づけをすることが、自分のお金の使い方を振り返るきっかけになるとは先に書いた通り。どんな時にどんな理由で買ってしまうのか、いわば自分の買い癖や弱点が分かってくれば、同じ失敗を繰り返さないように慎重になる。衝動買いは減り、買うべきか買わないほうがいいか、じっくり検討してから判断するようになる。大幅にモノが減れば、そのスッキリを維持したくなり、モノを増やそうとしなくなる効果も期待できる。
どんなものでも一度保有したモノを手放すのは惜しい、もったいないと思うのが人間のさがだ。だからこそ捨てることは悩ましい。おまけにゴミの日やら分別やらと手間と時間がかかる。すっきり片付いた家を見るたびに、その大変さを思い出すとさらに買わなくて済むだろう。
・価値のあるモノを買うようになる
お金への意識が高まると、新しくモノを買う時の基準も変わってくる。使い捨ての商品ではなく、長く使い続けられる高品質のモノや、使わなくなってリサイクルショップに持ち込んでも価値が落ちにくいモノ、将来資産になるようなブランドを選ぶようになってくる。お金持ちが購入する基準は、その金額を出すだけの価値が伴っているか、その価値は今後どの程度下がるのか等、今だけでなく先のことまでじっくり考えるもの。ハイブランド品や高級品でなくても、中古市場で一定の金額になるものを選べば、払ったお金の一部は取り戻せる。いわば、モノで貯蓄している状態だ。その視点を持てば、使い捨てではないモノの買い方が身につくようになる。
■片付いた家は「お金が貯まる家」
・時間が効率よく使えるようになる
家が片付いて見通しが良くなると、探し物で余計な時間を浪費しなくて済む。ロボット掃除機を使っているとしても、床の片づけで右往左往する必要はない。早く片づけなくてはとイライラすることもなくなり、気持ちに余裕も生まれる。片付けに割く時間が減れば、収入を生み出す時間に振り向けることもできる。時は金なりとよく言ったもので、雑事に時間を使わなくて済むようになれば、家事も仕事もはかどるというわけだ。それに、片付いた家は快適でリラックスできる。物事に前向きに取り組める余裕を与えてくれるだろう。
どんなお金持ちでも資産には限りがある。ましてや私たちが手にする収入は有限だ。買うべきもの、買わなくていいものをきっちり判断できる人が、確実にお金を残していける人だ。お金の使い道にはいろいろあるが、自分のために使うなら、その消費が幸福感を与えてくれるかを大事にしたい。
大掃除とは、自分が大事にしてきたものを再認識できる機会でもある。片付けの最中に、自分が好きだったもの、見ると楽しい思い出が蘇るもの、ワクワクできるものを手にするだろう。そういうモノに使うお金はムダ金とは呼ばない。大切なものに使うと、不思議に気持ちが満たされるものだ。逆にたとえ安価でも中途半端なものを買ってばかりいると満足できず、中途半端な消費を繰り返してしまうだろう。
自分に幸福感を与えてくれるモノに使うお金を守るためにも、そうではない消費は減らしていこう。そのための、よきレッスンとなるのが大掃除だと考えれば、今年はきっとやる気が出てくるに違いない。
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消費経済ジャーナリスト
『レタスクラブ』『ESSE』など生活情報誌の編集者として20年以上、節約・マネー記事を担当。「貯め上手な人」「貯められない人」の家計とライフスタイルを取材・分析してきた経験から、「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。著書に『定年後でもちゃっかり増えるお金術』『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない 』(以上、講談社)ほか。
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(消費経済ジャーナリスト 松崎 のり子)
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