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「会社に行きたくない」と感じたら要注意…真面目な人ほど心を病む「ストレス以上、うつ病未満」の重大リスク

プレジデントオンライン / 2024年11月20日 18時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazuma seki

「会社に行きたくない」と思うのはどういう感情なのか。心理カウンセラーの中島輝さんは「私は、ストレス以上、うつ病未満の状態を『うつ感情』と言っている。完璧主義者ほど陥りやすく、じわじわと心を蝕むので注意が必要だ」という。元日本マイクロソフト執行役員の澤円さんとの対談をお届けする――。

※本稿は、マイナビ健康経営のYouTubeチャンネル「Bring.」の動画「ストレス以上、うつ病未満――。誰もが抱く「うつ感情」の正体と、そこから回復するための簡単メソッド」を抜粋し、再編集したものです。

■ストレス以上、うつ病未満の「うつ感情」

【澤円】中島さんは、ご著書『自己肯定感が高まる うつ感情のトリセツ』(きずな出版)で、「うつ感情」という概念を提示されています。うつ感情とはどのようなものなのでしょうか。また、うつ感情に悩む人から相談を受けることは増えていますか?

【中島輝】確実に増えています。わたしが提示した「うつ感情」とは、端的にいうと、「ストレス以上、うつ病未満」の状態を指します。専門医からうつ病と診断されるほどではないものの、通常以上にストレスを溜め込んでしまっていますから、心身ともに大きなダメージを受けている状態です。

うつ病となると、朝起きられない状態がずっと続くようなこともあります。でも、うつ感情の状態では、「なんだか、今日は会社に行きたくないな」と思っても、なんとか乗り越えられてしまうのです。でも、また何日かすると同じようにメンタルダウンしてしまい、そのようなことを繰り返す傾向があります。

■変化を求められ、無意識にストレスを溜め込んでいる

【澤円】うつ感情を訴える人が増えている背景には、どのようなものがあるとお考えですか?

【中島輝】その人が置かれている状況もありさまざまかと思いますが、コロナ禍の影響は大きいと見ています。コロナ禍により、社会は大きく変化しました。例えば、リモートワークが普及するなど、働き方も変わりましたよね? かつてのあたりまえがあたりまえではなくなり、働き方に限らず、さまざまなものごとのやり方に大きな変化が生じたのです。

人間は、変化を嫌う生き物です。しかし、時代が大きく変わるなかで否が応でも変化と柔軟性を求められ、自分では気づかないうちにたくさんのストレスを溜め込んでしまった人が多いのだと思います。

中島輝さん
写真=石塚雅人
中島輝さん - 写真=石塚雅人

■完璧主義者ほど要注意

【澤円】特に注意が必要なのはどのような人ですか? うつ感情に陥りやすい傾向がある人の特徴があれば教えてください。

【中島輝】完璧を求め過ぎてしまったり、真面目過ぎたりする傾向がある人ですね。そういった人は、ストレスによって心身にダメージを負っても、「自分はまだ大丈夫だ」「まわりに迷惑はかけられない」と、適切に自分を労ることができないのです。

【澤円】つまり、「〜し過ぎ」に注意ということでしょうか?

【中島輝】まさに、「~し過ぎ」の人は要注意ですね。頑張り過ぎ、気遣いをし過ぎ、考え過ぎ、正しさを求め過ぎ……。そのような完璧主義の傾向がある人は、あらゆることを「0か100か」で考えます。真面目でストイックであるがゆえに、自分自身を自ら追い詰めてしまうのでしょう。

そうしてうつ感情に陥ると、仕事のパフォーマンスが大きく低下するのはもちろんのこと、人生自体の喜びも減ってしまいます。ストレスに苛まれる時間が増えるわけですから、相対的に喜びを感じられる時間が減ってしまうのです。

■15個中9個以上当てはまると要注意

自分がそのような状態になっていないか気になった人もいるでしょうから、ここでチェックシートを紹介しておきます。以下の15の質問に対して、「ここ2週間ほど続けて自分にあてはまる」と思うものにチェックを入れてください。

●うつ感情チェックシート
□寝つけない日が続いている
□夜中に目を覚ましてしまう
□朝すっきりと目覚められない
□以前より食欲が落ちている
□食事をしても「美味しい」と感じられない
□疲労がなかなか取れない
□1日が「なんとなく」終わってしまう
□便秘や下痢の症状がよく見られる
□病名がはっきりしないまま、肩こりや腰痛が続いている
□突然イライラしたり落ち込んだりすることが増えた
□集中力が以前より続かない
□頻繁に判断ミスをしてしまう
□すぐに他人と比べてしまう
□モチベーションが持続しない
□漠然とした焦燥感を感じる
チェックの数
・5個以下:健康
・6〜8個:少し心配
・9〜12個:かなり心配
・13個以上:専門医の判断が必要

チェックが5個以下の人は問題ありません。心が健康な状態を保てています。チェックが6〜8個の人は「少し心配」で、9〜12個の人は「かなり心配」というレベルです。チェックが6~12に該当する人は、うつ感情を疑ってもいいかもしれませんし、数が多ければ多いほど、そのような感情を実感していると思います。

13個以上の人は、なるべく早めに専門医を受診してください。放置すると最終的には希死念慮が強くなり、最悪の事態に至ることも考えられます。

■やりたくないことを実行することのメリット、デメリットを書き出す

【澤円】先のチェックシートで、「少し心配」「かなり心配」だった人はどうすればいいでしょうか。「朝から憂鬱だな」「会社に行きたくないな」といった気持ちは、程度の差こそあれ誰もが感じることですよね。うつ感情から回復する方法を教えてください。

【中島輝】「会社に行きたくない」「あの人に会うのが嫌だな」といった気持ちは、誰もが抱くものです。そこで必要となるのは、「客観視」です。感情は目に見えないものですから、やりたくないと思ったことをやることのメリットとデメリットを紙に書き出すなどして、可視化するのです。

「会社に行きたくない」と思ったなら、「会社に行くと、どのようなメリットがある?」「行かないと、どのようなデメリットがある?」と考えましょう。すると、「ここで会社に行かないということを選択したとして、自分の大切な人生は本当にそれでいいのだろうか?」といった具合に、「行きたくない」という感情から距離を置いて冷静に考えることができます。感情を感情で考えると堂々巡りをするだけですが、感情を思考で乗り越えるのです。

【澤円】「社会人なんだから、会社に行ってあたりまえだ」というように、義務感から行動を起こすのではなく、自分にとってのメリットを見出すことで、自ら「会社に行こう」と思えるようになるということですね。

澤円さん
写真=石塚雅人
澤円さん - 写真=石塚雅人

■「ご褒美をもらうためのプロセス」に上書きする

【中島輝】そうですね。また、うつ感情を軽減するには、「if-thenプランニング」というメソッドも有効です。これは、「もしXが起きたら、Yをする」というように、あらかじめ行動を決めておくというメソッドです。

例えば、「『会社に行きたくない』と思ったときにきちんと会社に行けたら、帰りに大好きなスイーツを買う」と決めておくなど、ご褒美を用意しておくというわけです。そうすれば、思考はそのご褒美にフォーカスしますから、「会社に行きたくない」という感情をスムーズに乗り越えることができるでしょう。

【澤円】「〜したくない」という感情を「ご褒美をもらうためのプロセス」にする。つまり、感情の意味づけを変えるのですね。

■「ま、いっか」は魔法の言葉

【澤円】ところで、中島さんのご著書には、必ずといっていいほど「ま、いっか」という言葉が出てきます。この言葉には、「自分は自分」「このままでいいんだ」と気持ちが緩むような軽やかさを感じます。うつ感情の予防にもよさそうですね。

【中島輝】どこかで「区切りをつける」ことは、ストレスのマネジメントにおいてとても重要です。この「ま、いっか」は、区切りをつけるためのマジックワードなのです。

ストレスを感じたとき、その事実そのものを消すことはできません。でも、その事実に区切りをつけることはできますよね? 「今日は嫌なことばかりが続くな」「ストレスを感じちゃったな」と思った際、「でも、ま、いっか」と口に出したり思ったりしてみましょう。

要するに、その言葉をトリガーにして、ストレスを感じた事実と自分を切り離してあげてほしいのです。すると、「ここからはストレスを感じていない自分だ」と思え、気持ちがポジティブな方向に向かっていくはずです。

【澤円】先に、「自分を労る」ともおっしゃっていましたが、自分に優しく接するような姿勢が大事ということでしょうか。

【中島輝】他人には優しくできても、自分には厳しいという人は意外なほど多いものです。でも、他の誰でもない自分自身こそが、自分の理解者であり、共感者であり、応援してくれる存在なのです。そのように自分自身を捉えて、自分を優しく労ることを考えてほしいと思います。

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中島 輝(なかしま・てる)
心理カウンセラー
自己肯定感アカデミー代表、トリエ代表。困難な家庭状況による複数の疾患に悩まされるなか、独学で学んだセラピー、カウンセリング、コーチングを10年以上実践し続ける。「奇跡の心理カウンセラー」と呼ばれメディア出演オファーも殺到。著書に『何があっても「大丈夫。」と思えるようになる自己肯定感の教科書』『書くだけで人生が変わる自己肯定感ノート』『自己肯定感diary 運命を変える日記』(すべてSBクリエイティブ)、『1分自己肯定感 一瞬でメンタルが強くなる33のメソッド』(マガジンハウス)、『習慣化は自己肯定感が10割』(学研プラス)などがある。

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澤 円(さわ・まどか)
圓窓 代表取締役
1969年生まれ、千葉県出身。株式会社圓窓代表取締役。立教大学経済学部卒業後、生命保険会社のIT子会社を経て、1997年にマイクロソフト(現・日本マイクロソフト)に入社。情報コンサルタント、プリセールスSE、競合対策専門営業チームマネージャー、クラウドプラットフォーム営業本部長などを歴任し、2011年にマイクロソフトテクノロジーセンター長に就任。業務執行役員を経て、2020年に退社。2006年には、世界中のマイクロソフト社員のなかで卓越した社員にのみビル・ゲイツ氏が授与する「Chairman's Award」を受賞した。現在は、自身の法人の代表を務めながら、琉球大学客員教授、武蔵野大学専任教員の他にも、スタートアップ企業の顧問やNPOのメンター、またはセミナー・講演活動を行うなど幅広く活躍中。2020年3月より、日立製作所の「Lumada Innovation Evangelist」としての活動も開始。主な著書に『メタ思考』(大和書房)、『「やめる」という選択』(日経BP)、『「疑う」からはじめる。』(アスコム)、『個人力』(プレジデント社)、『メタ思考 「頭のいい人」の思考法を身につける』(大和書房)などがある。

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(心理カウンセラー 中島 輝、圓窓 代表取締役 澤 円 構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム) 文=清家茂樹)

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