世界の非ネイティブエリートは「難しい単語」を使わない…あえて「中学生レベルの単語」を愛用する"賢い理由"
プレジデントオンライン / 2024年12月4日 8時15分
※本稿は、はじ『世界の非ネイティブエリートはたった100語で話している』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
■「簡単な英語=イケてる」がグローバルスタンダード
英語を学びたい! 自由に話せるようになりたい! という人の多くは、「ネイティブと同じぐらいのレベルになりたい」と思っているでしょう。またビジネスで英語を使う人も、「できれば世界のエリートと英語で渡り合えるレベルになりたい」と願っている方が、大多数だと思います。
そういう人たちは、英語の語彙を増やすのに、単語帳で必死に覚えたり、いろんな暗記法を試したりされるかもしれません。間違いではありませんが、難しい言葉をたくさん覚える必要は、ありません。
はっきり言って、中学生レベルの単語を、しっかり覚えるだけで充分。それでエリートと呼ばれる海外のビジネスパーソンと、まったく問題なく仕事できます。
私はいま国内の某企業に勤める会社員で、海外部門を担当しています。ほぼ毎日、英語ネイティブ・非ネイティブの取引先の担当者たちと、オンラインや対面で商談をしています。
もちろん話す言葉は、すべて英語。いわゆる「英語で働いている」日本人ビジネスパーソンのひとりです。そんななか、海外の非ネイティブエリートたちとたくさん仕事をしているうちに、明確に気づきました。
できる人はみんな英単語の語彙量が多いのではなく、シンプルで少ない単語を使いこなし、伝えたいことを伝えるのが上手い。むしろ簡単な単語で、会話を組み立てていくのがグローバルビジネスではスタンダードであり、クールな印象を持たれています。
■「簡単な多義語」を使いこなすのがセンスの見せどころ
簡単な英単語の多くは多義語です。ひとつの単語で、ふたつ以上の意味を持ちます。日本語でも、例えば「もつ」という単語には「所有する」「(使用期限まで)使える」「(我慢して)耐えられる」など、いくつもの意味が含まれていますよね。そのように文章へ組み入れたとき、それぞれ違う意味を表す、一語で複数の使い方ができる単語を多義語と言います。
日本語だと漢字を当てたり、また発音するときに微妙にニュアンスを変えたりするため、多義語の意味を取りやすい面もありますが、英語の単語は基本的に、文字も発音も同じです。
使い分けるのに、最初はちょっと苦労するかもしれませんが、だからこそ面白い。勉強しがいのある特徴ですし、簡単な単語のいくつも重なる意味を適切にさばき、会話の意味につなげていくところが、英会話のセンスの見せどころと言えます。
この応用力が、非ネイティブのエリートはとても高いのです。難しい英単語をたくさん覚えるよりも(基本は学習していますが)、簡単な多義語を上手く会話にちりばめることで、コミュニケーションの精度を高めています。
■世界のビジネスにおいてはネイティブの方が少数派
また言葉の持つ複数の意味を理解できるようになれば、多くの難しい単語をたくさん覚える必要はなくなります。英語学習の効率を上げるためにも、できるだけ簡単な単語を使いこなしていきましょう。
非ネイティブのエリートと渡り合うには、中学生レベルの、それも限られた数の単語と組み合わせを学んでおけば、大丈夫!と、非ネイティブエリートと実際に毎日やりとりしている私の立場から、最初に明言しておきたいと思います。
なぜ簡単な英単語を使うことが、グローバルではスタンダードなのか? 答えは単純。伝わりやすいから。世界のビジネスのステージでは、ネイティブの方が少数派です。私の実感だと、第一線のエリートは8割が非ネイティブだと思います。
英語圏以外出身の非ネイティブは、ネイティブに比べて、生まれてから身につける語彙は、どうしても少なくなります。もちろん難しい単語をたくさん覚えることは後天的にもできますが、咄嗟の会話のやりとりのなかで、ネイティブクラスの難しい単語が出てくると一瞬、「意味は何だっけ?」と、詰まる場合があります。
■信頼関係構築のために、あえて「簡単な単語」を使う
友だちとの遊びやパーティーなどではそれでもいいのでしょうけれど、ビジネスのようなハードな場面では、意味が伝わるのに一瞬でも詰まったりすると、困ることがあります。
ビジネスは、スムーズな意思疎通が第一。語彙の豊富さや熟語能力をひけらかしても何のプラスにもなりません。それどころか、言いたいことが伝わらないとなると、信頼関係にも影響します。
そう。大切なのは信頼関係。非ネイティブのエリートたちは、パートナーとの信頼関係の構築のために、英語学習の初めの頃に覚えたような単語を、あえて使っているのです。
わかりやすくてスムーズに伝わる言葉で商談してくれる相手と、ネイティブ並みの難しい単語を多用してくる相手と、どちらが「仕事相手として信用できる」と思えるのか? 問うまでもありませんよね。
■相手へのリスペクトも示せる
海外の有能なビジネスパーソンは、相手から時間をもらっているという意識が、特に強いと感じます。それは自分自身に対しても同じ。時間という貴重な資源を、少しでも無駄遣いさせないことが、ビジネスの質を高めるという意識を持っています。
ネイティブじゃないとスッと入ってこないような難しい単語は、知っていても、なるべく使いません。英語を後から勉強した身に馴染んでいる、子ども並みの平易な単語で意思共有をはかることが、信頼されるために大切なテクニックのひとつなのです。
簡単な単語を話すのは「あなたをパートナーとしてリスペクトしています」という、相手への配慮でもあります。配慮を乗せた会話は言うまでもなく、相手の心を開かせるのに効果的ですよね。配慮をきちんと行き届かせた言葉づかいで、相手との信頼関係を築くことを、非ネイティブのエリートたちは無意識にやっています。
■簡単な単語を会話に使うのは「知性の条件」
日本語の会話でも、たまに難しい言葉を多用する大人がいますが、信頼の条件にはなりません。逆に、ちょっと近寄りがたい感じがします。それより簡単な言葉で、スムーズに言いたいことを伝えてくれる人の方が信用しやすいのは、間違いないでしょう。
他に代用できる表現がどうしてもないなら仕方ありませんが、難しい単語を使うのは、なるべく避けること。信頼し合う関係づくりの第一歩として、非ネイティブのエリート同士の会話では、ごく当たり前になっています。
簡単な単語を会話に使うのは、海外では知性の条件とされているようにも感じます。たくさんの語彙を使いこなすより、学生レベルの言葉を巧みに、手際よく使い分ける方が「頭のいい」「できる」イメージを持たれやすいです。
背伸びしないで、相手に接する。それでOK。知的な印象と信頼感を相手に持ってもらうのは、ぜんぜん難しいことではありません。
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社会人のための英語コーチ
1992年生まれ、愛知県出身。TOEIC355点から国内独学で英語学習に取り組み、TOEIC935点を達成。大手旅行会社で海外セールスとして、全国トップ5のセールスマンになり、新人賞を受賞。現在は製造メーカーでグローバル経営企画に所属し、海外子会社4拠点の経営管理に従事。認定英語コーチ資格を取得し、諦めずに英語を学び続けた経験やグローバルでのビジネス経験をもとに、英語コーチとして活動。英語を身につけたいビジネスパーソンに向けて、オンライン英語コーチングを提供。伸び悩んでいたTOEICスコアが3カ月で600点→830点と230点UPした生徒やビジネス英語を習得して外資系企業への転職を成功させた生徒を多数輩出。指導実績が評価され、大企業の語学研修での英語コーチング実績あり。目標達成に向けたポジティブで的確なコーチングが好評で、顧客満足度は5段階中4.7評価を獲得。社会人からの英語学習と習慣化のコツを発信するXのフォロワー数は1万人を超える。
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(社会人のための英語コーチ はじ)
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