「日本人の仕事の仕方」と大違い…世界の一流が「長期休暇」を取っても仕事に支障が出ない4つの理由
プレジデントオンライン / 2024年11月27日 15時15分
※本稿は、越川慎司『世界の一流は「休日」に何をしているのか』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
■世界の一流が「長期休暇」を取っても仕事に支障が出ない理由
欧米企業と日本企業の休み方で、大きく異なるのが「長期休暇」の存在です。
日本企業には、ゴールデンウイークやお盆休み、年末年始などがあり、それぞれ約1週間、長ければ10日前後の休みがありますが、欧米企業の場合は、もう少し長い休みを取ることができます。
私が勤めていたマイクロソフト本社は北米のシアトルにありますが、北米の企業では、11月の第4木曜日のサンクスギビング(感謝祭)からクリスマスまでがホリデー期間になっており、一般的なのは12月の第2週までの2週間の休みですが、ホリデー期間の1カ月をすべて休む人もいます。
ヨーロッパの企業の場合は、アメリカよりも長い休暇を取る傾向があり、フランスやスペインでは、ほぼ全員が1カ月程度の休みを取っています。
ヨーロッパでは、長期休暇の取得は労働者の当然の権利という考えが根付いていますから、長く休むことに「後ろめたさ」を感じる人はほとんどいません。
日本人の目から見ると、「1カ月も会社を休んで、仕事に支障はないのか?」という素朴な疑問が浮かんでくると思います。
日本のビジネスパーソンが、1カ月連続で長期休暇を取ることは限りなく不可能ですが、世界の一流は優れたタイムマネジメント・スキルを発揮して、しっかりと休める状況を自ら作っています。
■日常的にお互いが情報共有して、チーム全体で協力し合う仕組み
そのポイントは、次の四つにあります。
【ポイント②】チームメンバーとの情報共有を徹底して、スムーズな引き継ぎを可能にしている
【ポイント③】この人がいないと仕事が回らないという「個人依存」の状況を作らないために、日頃から仕事の標準化に努めている
【ポイント④】日常の仕事の中で「協力し合う仕組み」を作り上げている
彼らは、日常的に業務の効率化を目指しており、それが効果を発揮していることが長期休暇の取得を可能にしています。
日本企業では、自分の仕事をチームメンバーと共有することを嫌がり、独占状態を作ることを好む人が少なくありませんが、こうした「個人依存」の状況は個人が休めなくなるだけでなく、メンバーの仕事にも影響が出てしまいます。
欧米の企業では、日常的にお互いが情報を共有して、チーム全体で協力し合う仕組みができているから、無理なく長期休暇を取ることができるのです。
■長期休暇の目的は「家族愛」を深め、「自己啓発」に努めること
彼らが長期休暇で大切にしていることは、大きく分けて二つあります。
一つは家族や親戚、親しい仲間たちとの時間を楽しむことであり、もう一つは自己啓発や教養を深めることです。
土日の休みだけではじっくりと取り組めないことを、長期の休みを使って実践しているのです。
【家族との時間】家族と一緒に過ごす時間を増やす
サンクスギビングでは、家族や友人が集まってターキー(七面鳥)やチキンを食べるのが恒例行事となっており、クリスマスは日本人にとっての正月のようなもので、家族全員が集まって楽しい時間を過ごします。
私もマイクロソフト時代には、上司や同僚のエグゼクティブからサンクスギビングに招待されて、1日に5軒もハシゴしたことがあります。
そんなときの彼らは、会社では見たことがないほどのリラックスした表情をしており、心の底から家族との時間を楽しんでいる様子を目にして、こちらまでハッピーな気分になりました。
仕事から離れて家族との時間を楽しむために、長期休暇を使って家族旅行に出かける人もたくさんいます。
アマゾンCEOのジェフ・ベゾスや、Facebookの創業者マーク・ザッカーバーグも例外ではなく、家族と過ごすリラックスタイムをSNSにアップして、世界中を笑顔にしています。
欧米人は「家族愛」を大事にして、家族と一緒に過ごす時間を少しでも多くすることを心がけていますが、世界の一流のビジネスパーソンにも、まったく同じことがいえます。
■ビル・ゲイツの楽しみながら教養を高める習慣
【自己啓発・教養】仕事とは関係のない本を積極的に読む
世界の一流ビジネスパーソンは、長期休暇を心身のリフレッシュだけでなく、教養を深める機会と考えています。
休暇中も能動的に学ぶ姿勢を保って、さらなる成長を目指しているのです。
脳科学によると、新しい知識や経験に出会うと、脳の神経ネットワークが活性化して、創造性やストレス耐性が高まるといわれています。
彼らは楽しみながら教養を高める習慣を身につけています。
辛い修行と考えるのではなく、楽しみながら学ぶことで、自分を癒してくれるエンターテインメントにしているのです。
ビル・ゲイツは読書家として知られており、離婚したという事情もあるのでしょうが、長期休暇は読書三昧の日々を送っています。
動物学の本など、自分の仕事とはあまり関係のない分野の本を積極的に読んでいるようで、彼が読んだ本の情報が世に出た途端にベストセラーになっています。
有名なのは、米国のエコノミストであるマルク・レビンソンが著した『THE BOX』(邦題・コンテナ物語)のケースです。
この本は2005年に出版され、船のコンテナのサイズを世界統一にしたことで、生産効率が20%もアップした……というイノベーションがテーマですが、ビル・ゲイツが「事業経営やイノベーションの役割についての固定観念に活を入れてくれた」と絶賛したことで、世界的にヒットしています。
世界の一流は、ほぼ例外なく、読書を自己啓発と教養の柱に据えています。
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株式会社クロスリバー代表
元マイクロソフト役員。国内および外資系通信会社に勤務し、2005年に米マイクロソフト本社に入社。2017年にクロスリバーを設立し、メンバー全員が週休3日・完全リモートワーク・複業を実践、800社以上の働き方改革の実行支援やオンライン研修を提供。オンライン講座は約6万人が受講し、満足度は98%を超える。著書に『AI分析でわかったトップ5%リーダーの習慣』、『AI分析でわかったトップ5%社員の習慣』(共にディスカヴァー・トゥエンティワン)、近著に『29歳の教科書』(プレジデント社)がある。
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(株式会社クロスリバー代表 越川 慎司)
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