プレゼンの最後に「いかがでしたか?」は絶対ダメ…そのとき一流が使う行動につながる"締めの言葉"
プレジデントオンライン / 2024年11月24日 15時15分
※本稿は、鶴野充茂『上手に「説明できる人」と「できない人」の習慣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
■「困難です」とはっきりと伝えることに抵抗がない
できない人は相手の顔色を見る。
相手の話を聞いていて、問題点を指摘する必要があるとき、あなたはそれをうまく伝えられますか。
「申し訳ありませんが……、ちょっと気になる点があって……、もし良ければ……お話しさせていただいても?」
説明下手な人は、相手の反応を過度に気にして遠慮がちに話してしまいます。
もちろん、相手がどのような反応を示しているのかを見ることはいいのですが、「修正を提案すると気を悪くされるのではないか」と顔色を気にするあまり、意見をうまく伝えられなかったら意味がありません。
もちろん、相手に対して失礼な物言いは避けたいところです。「どう伝えたらいいかわからない」という人も割と多いのかもしれません。
一方、説明上手な人は、このような言い方をします。
人によっては、「こんな直接すぎる物言いはできない」「失礼じゃないか」と思うかもしれませんが、そうではありません。
説明上手な人は、相手が必要としている情報は何かをつかみ、明確に伝えることを重視しています。そのため、相手が誤解しないように「困難です」とはっきりと伝えることに抵抗がないのです。
■「どこでもいい」は「考えるのを放棄した」ように見える
要は、常に相手の興味や状況を考慮しながら、相手が何を求めているかを探っているから、直接的な表現ができるのです。逆に言えば、必要のないときには言わないのです。
これはビジネスでもプライベートでもあてはまり、相互理解と良好な関係構築にプラスに働きます。プライベートの例も見ていきましょう。
「夕食はどこでもいいよ……あなたの好きなところで……私は何でも大丈夫だから……」
これは説明下手な人の例ですね。
もちろん、「パスタを食べよう」と相手のことを考えずに押し付けてしまうのは、問題かもしれません。
そのため、相手に遠慮して「どこでもいい」という表現を選んでいるのかと思いますが、人によっては「面倒だから考えるのを放棄した」と不快に思う可能性があります。優しさのつもりが誤解されてしまうのは、話し手にとっても本意ではないでしょう。
相手はこのとき、「あなたが食べたいものは何か」を知りたいはずです。
■「イタリアンと和食のどちらが食べたいか」と言えるか
そこで、説明上手な人はこう答えます。
相手が知りたい情報である「パスタが食べたい」を明確に伝えた上で、「イタリアンと和食のどちらが食べたいか」を相手に質問して選択させています。
相手が食べたいものを優先するという意味では、説明下手な人と同じですが、このような伝え方なら相手も余計なことを考えずにどの店にするかを決められるのではないでしょうか。
相手が求めている情報を明確に伝え、双方向のコミュニケーションをとっていくことで、スムーズに決断できるようになり、時間もエネルギーも節約できます。良好な関係構築にもつながるので、ぜひ取り入れたいところです。
■「わかってもらいたい」という強い欲求がある
できない人は理解を求める。
レストランや食べ物を紹介するようなネットの記事で、最後に「いかがでしたか?」で終わる文章を見たことはないでしょうか?
実は記事の内容に自信がないことを自ら明かす書き方の典型です。
同様の例は、ビジネスの場面でもよく見られます。
たとえば、新しいシステムを紹介するプレゼンの締めくくりで、こんな言葉を耳にしたことはありませんか?
「この新しいシステムが、いかに業務効率を向上させるか、ご理解いただけたでしょうか?」
分野やテーマが違ったとしても、なんとなくこんなフレーズに見覚えがある人も多いのではないでしょうか。
しかし、先の例と同様に、「説明下手」な人がよく使っている典型例なのです。
話の途中なら、いいのです。しかし、これで終わってはいけません。
では、「説明上手」な人は、同じ状況でどのように締めるのでしょうか。
「来月から、新システムの試験運用を始めたいと考えています。初日の朝9時に、30分程度の導入研修を行いますので、全員の参加をお願いできますか?」
この2つの例の違いには、一体どんな違いがあるのでしょうか?
説明下手な人は、相手の理解や共感を得ようとします。
彼らの頭の中には、「わかってもらいたい」という強い欲求があります。自分の考えや提案の素晴らしさを相手に理解してもらうことが、最大の目標になってしまうのです。
■具体的な判断や行動を促し、建設的なコミュケーションにつなげる
一方、説明上手な人は、具体的な行動や決定を求めます。
明確な次のステップを提示することで、相手に具体的な判断や行動を促します。
これによって、単なる理解から実際の成果へとつながりやすくなるのです。
説明下手な人の「ご理解いただけたでしょうか?」という問いかけに対して、相手は単に「はい、わかりました」と答えるかもしれません。
しかし、これでは実際にシステムが使われるかどうかは不明です。
一方、説明上手な人の「導入研修に参加できますか?」という問いかけは、具体的な行動を求めています。
これにより、相手は実際の行動について考え、決断を下すことになります。
さらに、相手が行動を取らない場合でも、その理由を直接聞くことができるのです。
「初日の朝は難しいので、別の時間に設定できませんか?」といった具体的なフィードバックを得られる可能性が高くなります。
これで、より建設的な対話につながります。
結果として、具体的な成果を、より短時間で、そしてストレスの少ない形で、生み出すことができます。
「理解してもらえたか」を確認するのではなく、具体的にどんな行動を取ってほしいのかを明確に伝えるようにしましょう。
これまでとは違う反応が得られたり、より効果的なコミュニケーションにつながるはずです。
■心配事を直接口に出すと、聞いている人は面倒な気持ちになる
できない人は例外にこだわる。
友人や同僚と旅行の計画を立てるとき、こんな会話を耳にしたことはありませんか?
「沖縄旅行、行ってみたいのよね。でも、いつ行くのがいいかな。夏は暑いし、冬は寒いかもしれないし。台風シーズンはちょっと怖いかも。あと、混雑する時期は避けたいよね。ビーチは行きたいけど、日焼けが心配だし、クラゲにも気をつけないと……」
こんな話し方を聞いていると、中には「本当に行きたいの?」と感じてしまう人もいるかもしれません。
もちろん旅行に行きたい気持ちはあるものの、あれこれと心配事が出てきてしまい、結局決断できずにいる……そんな経験、一度はあるのではないでしょうか。
ただ、頭の中でそんな考えを巡らせることはあるとしても、直接それを口に出してしまうと、聞いている人は面倒な気持ちになってしまいます。
確かに旅行に行くには様々な考慮する点があるかもしれません。しかし、それらを列挙するだけでは、かえって具体的な計画に結びつきにくくなってしまいます。
■相手に具体的なイメージを描いてもらうためのポイント
では、「説明上手」な人はどのように話すのでしょうか。
この説明の仕方には、いくつか大切なポイントがあります。
まず具体的な時期と期間を示していること。
主な目的を明確にしていること。
そして相手の関心や懸念を引き出す質問で締めくくっていることです。
説明上手な人は、まず旅行の中心的な魅力や目的を伝えます。
これにより、相手は旅行のイメージを具体的に思い描くことができます。この設定では、何といっても、旅行に、沖縄に、行きたいのです。そして相手を誘っている訳ですから、相手も同じように沖縄に行きたいと思ってもらうことが、何よりまず重要なのです。
そして、相手の懸念を引き出す質問をする。それによって、中身が濃く効率の良い対話ができます。
たとえば、相手が「日焼けが心配」と言えば、日焼け対策グッズの準備や日陰のあるビーチの提案ができます。「混雑が気になる」と言えば、比較的空いている観光スポットや時間帯、あるいは期間を考えることができるでしょう。
■相手のニーズに合わせて情報を出していく
大切なのは、相手の関心や懸念に応じて、必要な情報を適切に提供することです。
すべての可能性や例外を一度に列挙するのではなく、相手のニーズに合わせて情報を出していくのです。
ビジネスの場面でも同じことが言えます。
新製品のプレゼンで、考えられるすべての欠点や条件を列挙するのではなく、製品の主な特徴と利点を明確に伝え、そのうえで「具体的に気になる点はありますか?」と質問することで、より効果的なコミュニケーションが可能になります。
あなたが要点だと思うポイントすべてが、相手にとって重要な情報であるかどうかはわかりません。できるだけ早く、相手の気にするポイント、相手にとっての要点にたどりつく流れを意識することです。
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ビーンスター 代表取締役、広報アドバイザー
社会構想大学院大学客員教授、日本広報学会常任理事。コミュニケーションの専門家として、国内外数百社の経営者や政治家、医師・弁護士など専門家向けに広報アドバイザー、トレーナーとして活動するほか、東京理科大学オープンカレッジなどで説明力や文章力を高める講座を提供するなど広くビジネスパーソンに向けてコミュニケーションを教えてきた。東日本大震災後に国会内に設置された東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)でデジタル・コミュニケーションを統括、全国がん登録制度の発足時にはPR責任者を務めるなど、全国規模のコミュニケーションプログラムやPRキャンペーンにも携わる。水循環基本法フォローアップ委員会委員。公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会(PRSJ)元理事。筑波大学(心理学)、米コロンビア大学院(国際広報)卒。
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(ビーンスター 代表取締役、広報アドバイザー 鶴野 充茂)
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