これを口に入れるだけで脳への血流が10~40%増加する…重要局面で最高のパフォーマンスを引き出す秘策
プレジデントオンライン / 2024年11月28日 17時15分
※本稿は、ヒラノマリ『人生を変える睡眠術』(大和出版)の一部を再編集したものです。
■大事な日の前、無理に寝つけなくてもいい
「大事なプレゼンや商談などの前日になると、寝つけないんです」という悩みをよく聞きます。そういう場合は、本稿で紹介する方法を試していただき、それでも1時間以上眠れないなら無理に寝ようとしなくていいと思います。
なぜなら、「眠れない」と思いながら寝ようとすると、よけいに焦りますし、心拍数も上がって、眠りにくい体になってしまうからです。
私は「1日1日で睡眠を評価せず、1週間でマネジメントすること」をおすすめしているのですが、それが大きな理由です。「1日眠れなくても、ほかの6日間は、ちゃんと眠れているから大丈夫だ」と思えるような睡眠をとってほしいのです。
まず、基本的なスタンスとして、「眠れなくてもいいや」と思うこと。
そのうえで、できる範囲で、眠りやすくなるような対策を講じてみましょう。
■まず脳内温度を冷やす
大事な日の前というのは、緊張状態に置かれているので、自律神経の問題もありますが、「脳の温度が高くなっていること」が、眠れない大きな要因です。
そういう場合はまず、おでこの裏にある前頭葉を冷やして、脳内温度を下げることが必要で、それによって寝つきやすくなることがわかっています。冷やしたタオルや氷のうを用意するか、市販の熱冷まし用の冷却シートを使うと便利です。
その時々で、何をすればいいか異なることもありますので、このケースに限らず、まず自分がどういう状態で、どんな睡眠術がふさわしいかを考えることが大切です。
同じ「眠れない」という状態でも、眼精疲労で眠れないといったときは、「ホットアイマスクを使って目を温めることで副交感神経のスイッチをオンして、リラックスモードにする」という方法が最適である場合があります。
■上を見上げると気道が広がって呼吸が深くなる
眠れないときは上を見上げましょう。一度、ベッドから出てもいいと思います。
上を見上げると気道が広がって呼吸が深くなり、リラックスしやすくなります。
眠くなるまでリビングで過ごしてもいいでしょう。
私の場合、星座の位置や人工衛星が飛んでいる場所がわかるアプリを見るのが好きなのですが、ブルーライトカットメガネをかけながらそのアプリを見ていると、その後はちゃんと眠れることが多いです。
空を見ているとそのような効果もありますし、すごく自分がちっぽけに思えて、気持ちがラクになったりもします。海を見るときと同じですね。
そして、星のまたたきにも「f分の1ゆらぎ(=リラックス効果のある自然現象)」があるので、副交感神経を優位にしてリラックスさせてくれます。
たき火の炎を見たり、川のせせらぎを聞くのも同じ効果があります。
視覚や聴覚だけでなく、触覚(外の風を感じる)や嗅覚(風が運ぶ匂いを感じる)なども含め、「f分の1ゆらぎ」を体感できると高いリラックス効果があります。
できる範囲でやってみてください。
■「頭と足の位置を逆にしたら眠れるようになった」という声
寝つきのよくない場合は、ベッドが「眠れない場所」になってしまっていることも多いもの。そうならないために、寝るときに見える景色を変えてみましょう。
一番簡単なのが、枕の位置をいつもと逆にすることです。
私の友人も、「いきなり部屋の模様替えはできないし、ベッドの買い替えもできないけど、頭と足の位置を逆にしたら眠れるようになった」と言っていました。
枕の位置を変えると、脳が「違うベッドだ」と認識してくれて、「眠れない」という思い込みから解放されるようです。やってみる価値ありです。
■横になって目をつぶるだけでも大丈夫
「布団に入って目をつぶっていても、眠れないなら休息にならないのでは?」
そう心配する声も聞きますが、大丈夫です。ちゃんと効果があります。
まず、横になっているだけでも脳波的にはα波になりますし、内臓に行きわたる血流量も増えるので、疲労回復の部分で効果があります。
α波はリラックスしているときに出てくる脳波で、その脳波が出ることによって、日中働いている交感神経から夜の副交感神経にスイッチが切り替わる仕組みになっています。
また、目をつぶっていれば視覚情報をシャットアウトできるので、その分、脳を休ませることができます。たとえ眠っていなくても、目をつぶって横になることは、ちゃんと休息になっているのです。
■当日に最高のパフォーマンスを引き出す2つの方法
当日に仕事でいいパフォーマンスを発揮するには複数のポイントがありますが、そのひとつは、交感神経と副交感神経のバランスをとり、自律神経を味方につけること。
アスリートを例に挙げるなら、重量挙げといった、一瞬で力を出すような瞬発系の競技では交感神経が少し優位なほうが望ましく、野球やサッカーといった競技では、交感神経と副交感神経、両方のバランスが整っているほうがいいと言われます。
そのように競技の種類によっても変わりますが、おそらく多くのビジネスパーソンの場合、両方のバランスが整っているほうがいいパフォーマンスになるはずです。
では、どんな方法で自律神経のバランスをとればいいのでしょうか。
1 呼吸法で自律神経を整える
自律神経を整える方法の中でも、呼吸は自分でコントロールでき、しかも、なんの道具もいりません。
私がよくおすすめしているのは、「ボックス・ブリージング」という呼吸法です。
ボックス・ブリージングとは、アメリカ海軍の特殊部隊であるNavy SEALsで採用されている呼吸法で、図表1のように「鼻から4秒息を吸って4秒止めて、口から4秒息を吐いて、また4秒息を止めて」を繰り返すというもの。
秒数の感覚をつかみにくい場合は、スマホのタイマーを使うといいでしょう。
2 ガムを噛む
本番の前に、ガムを噛むのもおすすめです。
メジャーリーガーやアスリートなどを見ていると、試合中にガムを噛んでいる方が多いですよね。緊張していると交感神経優位になりすぎてしまうので、ガムを噛むことで、リラックスの副交感神経のスイッチをオンにしているわけです。
それだけでなく、ガムを噛むと脳への血流が10~40%増加するとも言われていて、脳の活性化という面でも有効です。
ガムの味は、ミントでもなんでも、好きな味のものを選んでかまいませんが、噛むときは、意識してしっかり噛むことが大切です。
ただ、頭が冴えてしまうので、夜寝る前のガムはおすすめしません。
最近は、普通のガムよりも硬くて咀嚼回数を増やすようなものも出ているので、試してみるのもいいと思います。
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スリープトレーナー、睡眠健康指導士
自身も不眠症を経験したことから睡眠学に興味を持ち、大学卒業後は大塚家具に入社。一般のお客様からホテル、保養所、大使館などのベッドや寝室全体のコンサルティングを経験する。現在は日本で唯一のアスリート専門の睡眠のパーソナルトレーナー『スリープトレーナー』としてメジャーリーガーの藤浪晋太郎投手、プロ野球選手、Jリーガー、オリンピック選手などに試合時に合わせた睡眠アドバイスから寝具・パジャマ選びまで行っている。
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(スリープトレーナー、睡眠健康指導士 ヒラノマリ)
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