1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

「話がつまらない人」はこれができていない…テレビニュースが徹底する"冒頭15秒・75文字”の法則

プレジデントオンライン / 2024年11月28日 17時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Tero Vesalainen

結論を端的に伝えるには、どうすればいいか。関西テレビ放送アナウンサーの石田一洋さんは「テレビのニュースは、アナウンサーが顔出しをして伝える最初の1〜2文の『リード』で話題や伝えたいことを分かりやすく簡潔に予告する必要がある。わずか15秒・75文字程度だが、その力は大きく、このリードだけでもニュースの概要をつかむことができる」という――。

※本稿は、石田一洋『あなたの話はきちんと伝わっていますか?』(総合法令出版)の一部を再編集したものです。

■「結論」=「もっとも伝えたいこと」から話す

「説明をするときは結論から伝えるべし」という話は、一度は聞いたことがあると思います。ただ、聞いたことがあっても、実践できている人は多くありません。

「結論」を難しく考えてしまう人もいますが、説明の中で自分がもっとも伝えたいことと考えればOKです。

「結論」=「もっとも伝えたいこと」から話すだけで、説明は分かりやすくなります。

そして、結論を伝えた後は、重要度の高い順番に伝えていきます。

通常、結論の次は「理由」や「方法(どのように)」の部分が重要なケースが多いので、これらの順に伝えていくと、説明に対する納得感が高まります。

ちなみに、話を聞くとき、人の集中力がもっとも高くなるのは冒頭です。

最初に聞き手の興味をしっかり引きつけることができれば、その後の説明が少し長くなっても話を聞いてもらえる確率はグッと高くなります。

小学校で「起承転結」という文章の流れを教わった影響かもしれませんが、結論から話すことを意識していないと、多くの人は冒頭で「事実」や「出来事の説明」などの「起」の要素を話してしまうのです。

また、結論以外の部分は、いくらでも話を膨らませることができてしまいます。

すると、聞き手が求めていない細かい描写が延々と続いて、「結局、何が言いたいんだろう?」と思うような説明になってしまうのです。

■ニュースや情報番組でも使われる「伝え方のセオリー」とは

テレビ番組は、常に視聴者を意識しながら構成を考えています。

リモコンのボタン1つで、「いつでも」「一瞬で」チャンネルを替えることができるため、最初から最後まで興味をひき続けられるような構成が求められます。

そのため、テレビ番組では、重要なことや面白いことから順に伝えていくことをセオリーにしています。

ニュースや情報番組は、冒頭で概要や結果を伝え、バラエティ番組でも最初に強いネタを持ってきます。このセオリーは説明においても鉄則です。

実際に説明する順番の決め方をケーススタディで考えてみましょう。

次のシーンは、取引先に挨拶に行ったときの場面です。

握手を交わすアジアのビジネスパーソン
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazuma seki
「あのー、先日弊社に発注いただいた機材について、ご報告なのですが……まず、この度、これまでお世話になっていた営業担当のAが異動になりまして、代わりにウチのエースといわれるBが担当させていただくことになりました。担当変更については、特にご心配いただく必要はないのですが、強いて言うならAが異動と同時に元々新婚旅行の予定を入れておりまして、引き継ぎに時間がかかる状況ではございますが、できるだけ速やかに行います。ただ、御社の指定された納期の期日には確実に間に合うので全く問題もございませんし、何かありましたら営業部全体でサポートさせていただきますので、そこはご安心ください。一方で、嬉しいお知らせなのですが、価格のほうが見直しできそうで、2割程度の値引きが可能になりそうな状況ですので、ご期待いただければと思います」

この例は、伝えたい要素が複数あるために、話の趣旨がよく分からない状態になっています。これを整理して伝わりやすい形に修正していきましょう。

■まずは要点を整理し、全体像から結論をまとめる

まずは、重要度の高い項目をピックアップしていきます。

この説明の伝えたい要素を抜き出すと次のようになります。

・営業担当がAからBに変更
・納期は予定通り
・サポートは引き続きしっかりする
・価格は2割引きが可能になりそう

この中で、聞き手がもっとも興味がありそうなのは、やはり嬉しいニュースでしょう。

ということで、価格の話を最初にするべきです。

その後で、担当者の変更や納期の件を伝えます。

また、Aさんの個人的な話や引き継ぎに時間がかかっているなどの自社都合の話は、説明の途中に挟むと分かりにくくなります。ここは削除して要点だけにします。

難しいのは、結論部分が1つではないこと。

今回は概要報告のため、最初の結論は全体像について話します。

そして、最後は決意表明がよいでしょう。

以上を踏まえて、最初の文章を整理すると次のようになります。

「先日弊社に発注いただいた機材について、2点ご報告させていただきます。まず、1点目は嬉しいニュースです。価格についてですが、弊社で検討した結果、2割程度のお値引きが可能になりそうです。そして2点目は、担当者変更のお知らせです。これまでお世話になっていた御社の営業担当のAが異動になりまして、Bが担当させていただきます。引き継ぎに伴うサービスや納期の変更などは全くございませんのでご安心ください。引き続き、Bを中心に、営業部全体で精いっぱいサポートさせていただきますので、何卒どうぞよろしくお願いいたします」

要点が整理されて、ずいぶん分かりやすくなったと思います。

■ニュースの全体像を15秒以内の短い説明で伝える

結論を述べるときは、短くまとめることも大切です。

テレビのニュースを思い出してください。

まずアナウンサーが顔出しをして、最初の1〜2文を読みます。

次にVTRが流れて、ニュースの詳しい内容へと入っていきます。

NHK、民放問わず、どのニュースも、基本的にはこの流れで作られています。

生放送中のリポーター
写真=iStock.com/PonyWang
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PonyWang

アナウンサーが顔出しをして伝える最初の1〜2文を「リード」といいます。

リードは、話題や伝えたいことが分かりやすく簡潔にまとめられています。

例えば、

「今日、気象庁は東京でソメイヨシノが開花したと発表しました。平年より5日早く、去年より4日遅い開花です」
「メジャーリーグ、ドジャースの大谷翔平選手が、昨日行われたパドレス戦に出場し、2本のホームランを放ちました」

というような感じです。

リードは、ニュースの全体像を15秒以内の短い説明で伝えます。

新聞などの文字コンテンツであれば、意味が分からないときには、また見出しに戻って読み直すことができます。

しかし、テレビのニュースは聞き逃しても、録画していない限り前に戻って再生することができません。必ず一度で伝えなければいけないのです。

■多くのテレビCMも15秒・75文字で情報を伝えている

そのため、「これからこんな内容のニュースを伝えますよ」と予告して、視聴者に情報を受け取る態勢を整えてもらう必要があります。リードを聞いて、興味のあるニュースであればより集中して聞くこともでき、興味がなければ聞き流すという判断ができます。

時間にしてわずか15秒程度ですが、その力は大きく、この短い説明だけでもニュースの概要をつかむことができます。

放送の尺がないときは、リードだけで伝えることもあるくらいです。

15秒は、文字数にすると約75文字です。

とても短い気もしますが、多くのテレビCMも15秒です。

たったの15秒でも、しっかりと情報を伝えることができるのです。

■何が一番重要なのか自分で理解しているか

ニュースのリードは、テレビの中だけで有効というわけではありません。

石田一洋『あなたの話はきちんと伝わっていますか?』(総合法令出版)
石田一洋『あなたの話はきちんと伝わっていますか?』(総合法令出版)

リードは、説明にも役立てることができます。

リードを取り入れることで、聞き手に分かりやすく伝えることができるようになります。

リードは、大事なポイントを15秒という限られた時間で伝えようとすることに大きな意味があります。

先の記事で、「聞き手は話の2割しか理解できないので、要点を絞りましょう」とお伝えしましたが、まさにそのポイントをクリアできます。

何が一番重要なのか自分で理解していなければ、15秒で要点を伝えることはできません。

逆に言えば、リードの15秒で何を伝えるか考えることで、自分が一番伝えたい部分を明確にできているかもチェックできるのです。

----------

石田 一洋(いしだ・かずひろ)
関西テレビ放送アナウンサー
広島県出身、2002年早稲田大学商学部卒業。RKB毎日放送を経て2014年から現職プロ野球日本シリーズや、競馬G1、大阪国際女子マラソンなど全国ネットのスポーツ中継のほか、番組MCやリポーター、ニュース、ラジオパーソナリティ、ナレーション、司会と幅広く担当。アナウンスメントやドキュメンタリー制作のコンテスト優勝、受賞歴多数。第10回全国講師オーディションではグランプリを獲得。学校や企業研修では、「伝わる説明の技術」や「人を動かす伝え方」を中心に、「アサーティブコミュニケーション」「獲れる採用説明会の作り方」などを指導している。

----------

(関西テレビ放送アナウンサー 石田 一洋)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください