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LINEでもXでもInstagramでもない…東大生が「受験生は絶対入れるな」という"バカになるアプリ"の名前

プレジデントオンライン / 2024年11月25日 16時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Kenneth Cheung

スマートフォンを手放せない子供は多い。東大生ライターの布施川天馬さんは「受験生にとってスマホは大敵だ。時間を奪い、成績が下がる。特に、あのSNSアプリだけは絶対に入れてはいけない」という――。

■東大生はスマホをどう受験勉強に活用したか

受験生にとって、スマホは友であり大敵でもあります。うまく使えば、あらゆる情報を集める便利なツールとなりますが、「少しだけ休憩を」と触り始めたが最後、ショート動画やネット記事などを渡り歩いて、気が付いたら数時間経過していた――なんてことはよくあることです。

いまの受験生は、昔よりも恵まれた部分もある反面、強い誘惑が増えた分、心を強く持つ必要性が高まっているように感じます。

スマホが当たり前になったことで、勉強スタイルもここ進年で大きく変化しました。その中には、いたずらにスマホを遠ざけるのではなく、学習の中に取り入れようとする動きもあります。実際、現在の教育現場では、全員がタブレットやノートPCを所持しており、授業に取り入れています。勉強アプリやソフトの開発も進み、デジタルデバイスの学習活用も実用的になってきたようにみえます。

実際の受験生たちはスマホやアプリなどに対してどのような意見を持っているでしょうか。そもそも、スマートフォンは勉強に役に立つのでしょうか。

今回は、東大生30人にインタビューを行い、「スマホに入れないほうがいいアプリ」と「そもそも勉強にスマホを活用すべきか」を尋ねました。

■眺めているだけで時間が溶けるSNSアプリ

今回話を聞いた中で、「入れるべきではない」意見が多数挙がったのがSNSアプリでした。特に、X(旧Twitter)やInstagram、TikTokは名指しで「入れないほうが良い」とされました。どれもタイムラインを眺めているだけで時間を過ごしてしまう危険性があり、スマホを封印するなど心を強く持つ必要があります。

主な意見として「自分よりもすごい人を見ると自己嫌悪になってやる気がなくなってしまう」「口喧嘩が発生しやすいコミュニティもあり、無駄に感情的になってしまう」「通知が気になってスマホから目を離せなくなってしまう」「投稿を伸ばすことに夢中になると、勉強よりもSNSを利用することに熱中してしまう危険性がある」といったものがありました。

「SNSアプリを削除したら成績が上がった」という報告もありました。現在法学部に通う彼は、高校2年生の1月にスマホからLINEとInstagramを消去した結果、2月の東大同日模試から同年6月の東進ハイスクール主催の東大模試までの4カ月間で120点も点数が伸びたそうです。判定もC判定(合格率50%前後)からA判定(同80%以上)まで急上昇し、「SNSを削除してよかった」と語っていました。

スマホをゴミ箱に
写真=iStock.com/blueshot
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/blueshot

■受験直前にXを消した結果

結局彼は、大学受験が終わるまでずっとSNSアプリをスマホにインストールしなかったようです。彼は自身の経験から「受験中はSNSに触らないほうが良い」と考えているようで、アルバイトの家庭教師先の生徒にも同じように指導した結果、目覚ましく成績が向上したとも語っていました。

筆者も受験生時代はSNSアプリを消していました。

東大受験直前の2月にスマホからX(当時はTwitter)をアンインストールしたところ、それまでは60点台だった東大英語の成績が30点近くもアップした経験があります。東大二次試験の合格ラインは440点中250点程度。30点も上昇すると、合格可能性は大きくアップしますから、我ながら非常に効果的な施策でした。

■絶対入れないでほしい…東大生から軒並み不評だった「BeReal」

近年若年層を中心に流行しているBeReal(ビリール/ビーリアル)も要注意です。BeRealはここ2~3年で急速に利用者を増やしているSNSアプリで、「一度だけの本当の自分を友達に見せる」を合言葉に人気を博しています。

利用者には毎日ランダムな時間帯に通知が届き、その瞬間から2分以内に自分とその周囲の写真を撮影して共有しなければなりません。通知の届く時間は日によって異なり、朝の7時台から、遅い時は夜の8時台まで通知が来ることがあるようです。時間通りに投稿できなかった場合、投稿できる写真の上限数が減るなどペナルティがあり、利用者は「通知を逃すまい」とスマホにかじりつくことになります。

アプリ「BeReal」のデモ画面
写真=iStock.com/Anna Matviienko
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Anna Matviienko

Instagramに対抗し、SNS中毒や使いすぎを抑えるために設計されている本アプリは、確かに一度あたりの利用時間こそ短いものの、「通知がいつ来るかわからない」特性上、常にスマホを意識しながら生活する必要が生じます。ハマりすぎると、いつもスマホを目の届く場所に置かなくてはいけないと思うようになるのです。

北海道大学の研究によれば、「画面を消した他人の携帯電話であっても、ただそばに置いてあるだけで注意が損なわれる」ことが判明しています。通知のためにスマホを机の上に置くだけで、勉強効率が低下する危険性があるというのです。通知問題はSNS全般に言えることではありますが、それらの中でも特に通知の重要性が高いBeRealは、今回話を聞いた東大生からは軒並み不評でした。

■「無料ゲーム」も入れないほうがいい

また、スマートフォンによくある「基本無料ゲーム」も評判がよくありませんでした。タイトルは個人によってまちまちでしたが、無料ゆえいくらでも時間を費やせるため、ついついスマホで時間を溶かす要因になりがちです。

文部科学省が今年発表した調査によれば、小中学生がスマホを触っている時間は2022年度と比べ延びており、スマホ時間が長いほど全国学力テストでの各教科の平均正答率が低くなる傾向にあるそうです。純粋に勉強時間が減るためなのか、なにか注意を阻害する効果があるかは不明ですが、勉強部屋にスマホを持ち込まないことが対策となります。

■スマホは受験勉強と相性が良くない

逆に、東大生が積極的にインストールしているアプリは何でしょうか。

実名で挙がったのは「英語アプリmikan」や「モノグサ」「Quizlet」といった暗記アプリのみで、それ以外の回答はありませんでした。暗記アプリ以外に活用方法がないというよりも、少なくとも今回話を聞いた東大生たちは学習にほとんどスマートフォンを導入しておらず、暗記アプリ以外の存在を知らないようでした。その証拠に、「受験生は勉強中にスマホを活用すべきですか?」と尋ねると、彼らはそろって「積極的には使うべきではない」と答えました。

「時間を決めて暗記アプリを利用するなどルールを決めるべき」「リスニングの音声データ再生用のみで運用すべき」などスマホの用法を限定しての活用を認める人もいましたが、大半は「積極的には使わないほうが良い」と答えていました。

その理由として、「科学的な研究データとして、電子スクリーンによる読解よりも紙媒体の読解の理解度が高いことが示されているため、できれば紙媒体にこだわったほうが良い」「本番は結局紙とペンだけで勝負をするため、本番に近い環境で練習をするのであれば、受験本番に近づくほどデジタルデバイスの活用頻度は減らすべき」といった意見がありました。

ただ、完全に否定一辺倒ではなく、「スマホを含めた電子機器のない世界は今後考え難く、どうしても生活に入り込んでくるので、それらとうまく付き合うトレーニングとして受験期のスマホを運用するとよい」という意見もありました。

■勉強のプロでも「スマホ断ち」は難しい

今回話を聞いた東大生から聞こえてきたのは、「スマホの取り扱いに苦労した」とする声ばかりでした。「『スマホばかり見ていても仕方ない』とわかっているのに、コミュニケーションのためとSNSをチェックしてしまう」「ネットサーフィンが楽しすぎて、いろいろなページを渡り歩いて何時間も使ってしまった」など、勉強のプロである東大生ですら、「勉強の邪魔になる」とわかっているのに、自らの意志でスマホの利用を制限することが難しかったことがわかります。

だからこそ、彼らはアプリを削除したり、スマホ自体の利用時間を制限したりして、「そもそもアクセスが不可能」な状況に身を置きました。意識的に自らを縛り切れないのであれば、誘惑の根源自体を消去する必要があることを彼らは知っているのです。

紙媒体の勉強で事足りるのであれば、そのほうが心を乱される確率は低下するでしょう。これは筆者の実体験に基づく私見ですが、紙の参考書による学習でも、偏差値60~70程度まで押し上げるには十分効果的です。であれば、わざわざ遊びを誘発しかねないスマホを無理に活用するのではなく、いっそ封印することも有効であるといえるでしょう。

もしどうしてもスマホで勉強したいのであれば、「電車内では暗記アプリを活用する」などスマホを使用する時間帯、場所、目的を決めるとか、勉強アプリを配置したページにはSNSやゲームなど集中を妨げるアプリを置かないといった厳重なルール策定が必要になりそうです。

■「スマホで勉強」は危険と隣り合わせ

「スタディサプリ」など、高品質で低価格な映像授業媒体が出現したり、「モノグサ」「英語アプリmikan」など使いやすい暗記アプリが出現したりと、デジタルデバイスを活用した学習環境は確実に整えられてきました。一方で、スマホやパソコンには勉強とは関係ないアプリを導入可能であり、常にそれらに誘惑される危険と隣り合わせとなります。

今回話を聞いた東大生たちは、受験生時代に「スマホの学習ツール化」の過渡期を過ごしました。小中学校時代は紙とペンで勉強していた世代ですから、今後10年で意見は大きく変わる可能性もあります。とはいえ、学習手段に貪欲な東大生30人のうち、一人も「受験では積極的にスマホを活用すべき」という意見がなかったことに、答えは出ているのかもしれません。

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布施川 天馬(ふせがわ・てんま)
現役東大生ライター
世帯年収300万円台の家庭に生まれ、金銭的余裕がない中で東京大学文科三類に合格した経験を書いた『東大式節約勉強法 世帯年収300万円台で東大に合格できた理由』の著者。他にも『人生を切りひらく 最高の自宅勉強法』(主婦と生活社)、『東大大全』(幻冬舎)、『東大×マンガ』(内外出版社)、『東大式時間術』(扶桑社)などがある。

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(現役東大生ライター 布施川 天馬)

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