人から頼まれると断れない…そんな人が「NO」を言わずに実質的に断ることができる魔法の切り返しフレーズ
プレジデントオンライン / 2024年12月1日 15時15分
※本稿は、片田智也『弱メンタルでも職場でうまいことやる方法を教えてください!』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
■悪いことが起きると「自分が原因かも」と関連づけが起きやすい
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「自己関連づけ」をしていることに気づく
上司や同僚の不機嫌な態度が気になることはないでしょうか?
どこかしかめっ面をしていたり、声が大きかったり口調が荒かったり……。
そんな時、心当たりがなくても「私のせいでは?」と自分の責任のように感じてしまうことはあるものです。
これは「自己関連づけ」という認知の歪みの1種です。
何か悪いことが起きた時、自分に非がないことでも「自分の責任」のように感じることがあります。
たとえば、「子どもの成績が下がったのは私のせい」と、自分を責める親は少なくありません。でも実際、成績が下がったのはその子自身の責任です。
そうわかっていても、なぜか自分が原因かのように感じてしまう……。
これが「自己関連づけ」の心理です。
まわりの機嫌の悪さが自分の責任のように感じるのも「自己関連づけ」の1つです。
ある会社員の女性がこう言っていました。
「上司がバタンと大きな音でドアを閉めるんです。それって私が何かしたからでしょうか……?」
客観的に考えれば「気にしすぎでは?」とわかります。でも、いざそう思ってしまうと、疑念を消すのは簡単ではありません。
自信を失っていたり、うまくいっていなかったり、どこか罪の意識があったり、そういう時は特に注意してください。
悪いことが起きると、人は、その理由や原因を探したくなります。
心が不安定な時ほど、「自分が原因かも?」と関連づけが起きやすいのです。そうやって何でもかんでも自分のせいにしていれば、心が疲れるのは当然でしょう。
■心がざわついても、「そういう錯覚だ」と割り切る
大丈夫です。「私のせい?」と感じても、まずあなたのせいではありません。
上司の機嫌が悪いのは、昨夜の夫婦ゲンカが原因かもしれませんし、メールが山のように溜まっているせいかもしれません。単に「体調が悪い」ということもありえます。
いずれにしても、あなた以外の原因である可能性の方が高いのです。
「でももし私に関連することだったら……?」と思うかもしれません。だとしても、職場なのです。不機嫌な態度ではなく、きちんと言葉によって示すべきでしょう。
「あの人の不機嫌はあの人自身のもの」と、はっきり線引きできるようになってください。
誰かの不機嫌によって心がざわついても、「そういう錯覚だ」と割り切って大丈夫です。
「自己関連づけ」だとわかれば、人の気持ちに振り回されることもなくなります。
■ムチャな注文をされたら、さらっとかわす
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「断り」ではなく「提案」をしてみる
「人からの頼みを断りづらい」と感じたことはないでしょうか?
いっぱいいっぱいなのに仕事を追加されたり、取引先やお客様からムチャな要求をされたり、「正直キツイんだけど断れない」ともやもやしてしまうことはあるものです。
もしかしてあなたは、「断るのは悪いことだ」と思っていませんか?
だとしたら、あなたは「断り慣れ」していないのでしょう。
要は、ムチャな注文をされる状況に慣れていないのです。
さらっとかわす言葉が出てこないのも当然かもしれません。
もともと日本は、言葉でハッキリ「NO」を言う文化ではありません。
「嫌な思いをさせるのでは?」と抵抗を感じるのは自然な反応と言えます。
たとえばあなたが、何かモノを販売するお店をやっているとします。
あるお客さんから「これ、半額にしてよ?」と頼まれたらどうでしょう?
「ハイ、喜んで」と素直に要求を受けるのでしょうか?
そんなことをしていれば、お店が潰れるのは時間の問題ですよね。
それと同じように、ムチャな要求に応じていたら、いずれあなたの心は潰れてしまいます。
■「お断り」ではなく主導権をもった「提案」を
大丈夫です。
要求を飲まない=悪いことではありません。
「お断り」ではなく「提案」だと捉えてみてください。
「(半額はムリですが)2割引きならいいですよ」「○○円以上買ってくれるなら半額でもOK」など、できる範囲のことをこちらから提案すればよいのです。
仕事の場合なら、「(そこまではムリだけど)ここまでならできます」「(今日はダメだけど)今週中ならできますよ?」といったイメージです。
カッコ内をわざわざ口にする必要はないでしょう。
大切なのは、「何だったらできるのか?」を臆せずに伝えること。
主導権はあなたにあります。
値引き交渉に応じるように、提案してみてください。
「断る」のではなく「提案する」と捉えれば、相手に拒絶感を与える心配もありません。人からのお願いに振り回されないために、自分のペースで仕事ができるようになっていきましょう。
■他人であれば、文化の違いはあって当然
↓
「文化が違う」と割り切ることが大切
「合わないな」と思う人はいるものです。
考え方や価値観が違ったり、話すテンポが合わなかったり、タイプやキャラが真逆だったり……。いわゆる「馬が合わない人」と過ごしていると疲れてしまいます。
たとえば、気持ちを大切にしたい人にとって、合理的にテキパキと話す上司は苦手と感じるかもしれません。もちろん、逆の場合も然りでしょう。
どんな傾向もその人らしさであり、どちらがよい、悪いというものではありません。それでも、もやっとしてしまう時はあるものです。
そういう場合は、「文化が違う」と割り切ってください。
たとえば、たいていの日本人にとって時間を守るのは当たり前のことです。
でも、ハワイのような「島時間」の文化圏ではその当たり前は通用しません。平気で遅れてくる人もいれば、「その時間に家を出ればOK」という人もいます。それがその文化における当たり前なのです。
さらに言えば、同じ文化圏でも「生活上の文化」は一人ひとり違うのです。家族や兄弟のような身内でも「まったく同じ」はありえません。
ましてや他人であれば、文化の違いはあって当然と言えるでしょう。
■ギリシャで「ピースサイン」はやってはいけない
大切なのは、その違いに悪意を見出さないことです。
たとえば、ピースサイン。日本では何ということのない手振りですが、ギリシャにおいては侮辱や挑発の意味になります。
ギリシャの人が、ピースサインをしている日本人をたまたま見かけたら、不快な思いをするでしょう。
同じように、文化が違う人の振る舞いでイヤな思いをしても、十中八九、それは悪意からではありません。
少なくとも、そう思うことで受ける印象は変わります。
理解できない言動や行動があったとしても、「そう振る舞うにふさわしい背景」があると考えてください。
人は、「悪意を向けられた」と認識することによって、不快感や否定的な感情を抱きます。
でも、ほとんどの場合、それは悪意ではなく文化の違いによる「誤解」です。
合わない人と話をする際は、「異国の人」と割り切るか、何もかも根本的に違うであろう「宇宙人だ」と考えてみてください。
そうすれば、「文化が違うのだから仕方がない」と割り切れるはずです。
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一般社団法人感情マネージメント協会代表理事、公認心理師
20代で独立起業するが、ストレスから緑内障を発症、視覚障害者に。同年、うつ病と診断された姉が自死。姉の死の真相を知るために精神医学や心理療法を探求し、後に心理カウンセラーに転身する。厚生労働省ストレスチェック制度、防衛省メンタルサポートなどメンタルケア関連の公共事業に多数参画。カウンセリング実績はのべ1万5000人以上。企業研修や講演の受講者は累計2万名を超える。精神障害を持つ方のカウンセリングから経営者、アスリートのメンタルトレーニングまで「心の問題解決」に広く取り組む。
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(一般社団法人感情マネージメント協会代表理事、公認心理師 片田 智也 イラスト=髙栁浩太郎)
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