仕事のできる人を見て「すごい」と思ってはいけない…落ち込みやすい「弱メンタル」に陥らない本質的な対策
プレジデントオンライン / 2024年12月4日 15時15分
※本稿は、片田智也『弱メンタルでも職場でうまいことやる方法を教えてください!』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
■経験豊富な先輩との比較は、自分から落ち込みにいくようなもの
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もともと落ち込んでいる時に、人と比べてしまっている
「同僚は話し上手なのに、それに比べて私は」「友達は仕事を楽しんでいる、それに引き換え自分は」「あの人はいつも明るくてポジティブなのに……」
このように、誰かと比べて落ち込んでしまうことはあるものです。
そもそも私たちはみんな違う人間であり、人と比べる必要はありません。
なのに、つい人と比べて落ち込んでしまうのはなぜなのでしょうか?
あなたが段取り不足で残業している時、さっそうと帰っていく先輩を見たとします。
「仕事ができてすごい、私は全然ダメなのに……」
そう思って気分が落ち込んでしまうかもしれません。
でも、隣にもっと段取りの悪い後輩がいたらどう思うでしょうか?
「経験の浅い後輩と比べても意味がない」と思うかもしれません。その通りです。そして、それは先輩と比べるのも同じことではないでしょうか?
わざわざ経験豊富な先輩を比較対象にする必要はありません。
まるで自分から落ち込みにいっているようにも思えます。
■あなたを羨んでいる人もどこかにいる
自信がない時や落ち込んでいる時、人は、自分を否定する理由を無意識に探してしまいます。まわりを見渡せば、「格上の人」はすぐに見つかるでしょう。
「人と比べるから落ち込む」のではありません。
実際はその逆、「落ち込んでいる時ほど人と比べたくなる」が正解です。
わざわざ負けるとわかっている相手を選んでしまうのも、当然と言えます。
私は視覚障害者です。「どのぐらい見えるか?」においてはかなり劣っている方でしょう。でも、それを人と比べて落ち込むことはまずありません。
あるとしたら、単に疲れているか、何かがうまくいっていないか、いずれにしても「すでに気分が落ち込んでいる時」なのです。そういう時は、「ハンディがある私はやっぱりダメなのかな」などと追い打ちをかけてしまいます。
そんなことを考えていると、本当にダメな気がしてくるものです。
大切なのは、比較による落ち込みを本気にしないことです。
「いかに自分が劣っているか?」という比較は、一部分の「自分のダメさ」がクローズアップされているにすぎません。
今見えていないだけで、あなたに優れている部分があること、人が「いいな」と思う何かを持っていることを思い出してください。
人間、誰しも隣の芝生は青く見えるものです。
そして、同じような目であなたを羨んでいる人もどこかにいるのです。
「手元にないもの」ではなく「持っているもの」を見て、ぴかぴかになるまで磨いてください。人と比べて落ち込む時間もなくなっていくはずです。
■仕事なんてゲームのようなもの
↓
「誰と比べているのか」比較対象を思い出してみる
「まったくがんばっていない」「私ってホントにダメだな」
いまいちがんばれていない気がして、自分を責めたことはないでしょうか?
大事なことなので何度でも繰り返します。
仕事は人生の一部であって全部ではありません。
私自身、仕事を深刻に考えすぎて病気までしてしまった身。だからこそあえて言います。仕事なんてゲームのようなものです。
どちらも、設定されたゴールに向かってチームで協力し、達成すると報酬がもらえるようになっていることが多いでしょう。
ワーカホリックのように熱中する人がいるのもそのためです。
昭和の時代は、そういった仕事人間を美化する風潮がありました。
でも、冷静に考えてみてください。
仕事とはどのぐらいがんばるべきものなのでしょうか?
冒頭のように悩んでいた、ある新入社員の男性にこう聞いてみました。
「がんばっていない? 誰と比べてそう評価したのですか?」
つまり、比較対象を聞いてみたのです。
たとえば、「背が低い」という時、それは誰と比べての評価でしょうか。
おそらく平均身長でしょう。でも、たとえ平均身長より高い180センチだとしても、バスケの選手としては「背が低い」とも言えます。
問題は、そういった比較対象を意識せず、なんとなく絶対的なニュアンスで「背が低い」という評価を下してしまうことです。
■無意識に、自分が作り出した理想像と比較している
「まったくがんばっていない」「私ってホントにダメだな」も同じです。
比較対象がぼんやりしているため、絶対にそうだとカン違いしてしまうのです。では、いったい誰と比べてしまっているのでしょうか?
たいていの場合は、あなたの中にある、自分が作り出した理想像です。
先ほどの彼の場合、「徹夜を当たり前のようにしていた、仕事人間だった父親の影響」だと言います。
比べる対象を意識していないと、知らず知らずのうちに自分を責めることになりがちです。
がんばりが足りない自分を情けなく思った時は、「誰と比べての評価なのか?」を振り返ってみてください。
仕事というゲームの画面から、いったん目を離してみましょう。
昭和と違って令和はワークライフバランスの時代。仕事以外にも熱中できる、楽しめるものはいくらでもあります。仕事は人生の一部にすぎないことを思い出し、楽しめる範囲の、ほどほどのがんばりを心がけてください。
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一般社団法人感情マネージメント協会代表理事、公認心理師
20代で独立起業するが、ストレスから緑内障を発症、視覚障害者に。同年、うつ病と診断された姉が自死。姉の死の真相を知るために精神医学や心理療法を探求し、後に心理カウンセラーに転身する。厚生労働省ストレスチェック制度、防衛省メンタルサポートなどメンタルケア関連の公共事業に多数参画。カウンセリング実績はのべ1万5000人以上。企業研修や講演の受講者は累計2万名を超える。精神障害を持つ方のカウンセリングから経営者、アスリートのメンタルトレーニングまで「心の問題解決」に広く取り組む。
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(一般社団法人感情マネージメント協会代表理事、公認心理師 片田 智也)
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